第16章 クォータと service level agreement のポリシー
16.1. クォータについて
クォータとは、Red Hat Virtualization の提供するリソース制限ツールです。クォータは、ユーザーパーミッションによって設定される制限層の上部にある制限層と考えることができます。
クォータはデータセンターのオブジェクトです。
クォータにより、Red Hat Virtualization 環境の管理者はメモリー、CPU、ストレージへのユーザーアクセスを制限できます。クォータは、管理者がユーザーに割り当て可能なメモリーリソースやストレージリソースを定義します。これにより、ユーザーは、割り当てられたリソースのみ使用することができます。ユーザーがクォータリソースを使い切ると、Red Hat Virtualization Manager はそれ以降のユーザーアクションを拒否します。
クォータには 2 種類あります。
クォータタイプ | 定義 |
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ランタイムクォータ | このクォータは、CPU や メモリーなどのランタイムリソースの消費を制限します。 |
ストレージクォータ | このクォータは、使用可能なストレージ容量を制限します。 |
クォータには、SELinux と同様に 3 つのモードがあります。
クォータのモード | 機能 |
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有効 | このモードは、監査モードでテストしたクォータを有効にし、クォータの影響を受けるグループまたはユーザーに対するリソースを制限します。 |
監査 | このモードでは、クォータ違反があった場合にそれをログに記録しますが、実際にユーザーアクションが拒否されることはなく、クォータのテストに使用することができます。監査モードでは、クォータの影響を受けるユーザーに割り当てられるランタイムクォータの量やストレージクォータの量を増減することができます。 |
無効 | このモードは、クォータにより定義されたランタイムおよびストレージの制限を無効にします。 |
ユーザーが仮想マシンの実行を試みると、その仮想マシンの仕様は、該当するクォータで設定されているストレージ上限およびランタイム上限と比較されます。
仮想マシンを起動することによって、クォータが適用される実行中の全仮想マシンのリソースの総計がクォータで定義されている上限を超えてしまう場合には、Manager が仮想マシンの実行を拒否します。
ユーザーが新規ディスクを作成すると、適用されるクォータの対象となるその他の全ディスクのディスク使用量総計に要求されたディスクサイズが追加されます。新規ディスクに、クォータで許可されている容量を超えるディスク使用量総計が必要な場合には、ディスクの作成が失敗します。
クォータにより、同じハードウェアのリソースを共有することができます。クォータはハードおよびソフトの閾値をサポートしています。管理者は、クォータを使用してリソースの閾値を設定することができます。これらの閾値は、ユーザー側から見ると、そのリソースの 100% の使用率として表示されます。この閾値を不意に超過して障害が発生しないようにするために、インターフェースは「猶予」の容量をサポートしており、閾値を多少超過できるようになっています。閾値を超過するとそのユーザーに警告が送信されます。
重要
クォータは、仮想マシンの実行に制限を課します。これらの制限を無視すると、仮想マシンや仮想ディスクが使えなくなってしまうような事態が発生する可能性があります。
クォータが有効モードで実行されている場合には、クォータが割り当てられていない仮想マシンおよびディスクは使用することができません。
仮想マシンの電源を入れるには、その仮想マシンにクォータが割り当てられている必要があります。
仮想マシンのスナップショットを作成するには、その仮想マシンに関連付けられたディスクにクォータが割り当てられている必要があります。
テンプレートの作成時には、テンプレートが使用するクォータを選択するように要求されます。これにより、テンプレート (およびそのテンプレートから将来作成されるすべての仮想マシン) が、テンプレートの元となっている仮想マシンおよびディスクとは異なるクォータを使用するように設定することができます。