6.5. ホストとネットワーク
6.5.1. ホストの機能のリフレッシュ
ホストにネットワークインターフェースカードを追加した場合は、Manager でそのネットワークインターフェースカードを表示するには、そのホストの機能をリフレッシュする必要があります。
手順6.19 ホストの機能をリフレッシュする手順
- リソースタブ、ツリーモード、または検索機能を使用して、結果一覧に表示された候補の中から対象のホストを選択します。
- 機能をリフレッシュ ボタンをクリックします。
選択したホストの詳細ペインの ネットワークインターフェース タブのネットワークインターフェースの一覧が更新され、Manager で新しいネットワークインターフェースカードを使用できるようになりました。
6.5.2. ホストネットワークインターフェースの編集とホストへの論理ネットワークの割り当て
物理ホストのネットワークインターフェースの設定を変更して、物理ホストのネットワークインターフェース間で管理ネットワークを移動し、物理ホストのネットワークインターフェースに論理ネットワークを割り当てることができます。ブリッジおよび ethtool のカスタムプロパティーもサポートされています。
警告
Red Hat Virtualization でホストの IP アドレスを変更するには、ホストを削除してから、再度追加するのが唯一の方法です。
ホストの VLAN 設定を変更するには、そのホストを Manager から削除し、再設定してから、Manager に再度追加する必要があります。
ネットワークの同期を維持するには、ホストをメンテナンスモードに切り替えて、ホストから管理ネットワークを手動で削除します。これにより、ホストは新しい VLAN を介して到達できるようになります。次にホストをクラスターに追加します。管理ネットワークに直接接続されていない仮想マシンは、ホスト間で安全に移行できます。
管理ネットワークの VLAN ID が変更されると、以下のような警告が表示されます。
管理ネットワークの特定のプロパティー (例: VLAN、MTU) を変更すると、配下のネットワークインフラストラクチャーがそのような変更に対応するように設定されていない場合には、データセンター内でのホストへの接続が切断される可能性があります。操作を続行してもよろしいですか?
続行すると、データセンター内の全ホストが Manager に接続できなくなり、新規管理ネットワークへのホストの移行は失敗します。管理ネットワークは「非同期」と報告されます。
重要
外部プロバイダーによって提供されている論理ネットワークは、物理ホストのネットワークインターフェースには割り当てることはできません。そのようなネットワークは、仮想マシンの要求に応じて、ホストに動的に割り当てられます。
手順6.20 ホストネットワークインターフェースの編集とホストへの論理ネットワークの割り当て
- ホスト リソースタブをクリックして、対象のホストを選択します。
- 詳細ペインにある ネットワークインターフェース タブをクリックします。
- ホストネットワークの設定 ウィンドウが開きます。ボタンをクリックすると
- 論理ネットワークを物理ホストに割り当てるには、その論理ネットワークを選択して、その物理ホストのネットワークインターフェースの横にある 割り当て済み論理ネットワーク のエリアにドラッグします。もしくは、論理ネットワークを右クリックしてドロップダウンメニューからネットワークインターフェースを選択します。
- 論理ネットワークを設定します。
- 割り当てられた論理ネットワークの上にマウスを移動し、鉛筆のアイコンをクリックすると、管理ネットワークの編集 ウィンドウが開きます。
- IPv4 タブで、ブートプロトコル に None、DHCP、Static のいずれかを選択します。Static を選択した場合には、IP アドレス、 ネットマスク / ルーティングプレフィックス、および ゲートウェイ を入力してください。
注記
各論理ネットワークには、管理ネットワークゲートウェイで定義されている別のゲートウェイを使用することができます。これにより、論理ネットワークに到着したトラフィックは、管理ネットワークが使用するデフォルトのゲートウェイではなく、論理ネットワークのゲートウェイを使用して転送されます。注記
IPv6 タブは現在サポートされていないので使用しないでください - QoS タブを使用してデフォルトのホストのネットワーク QoS を上書きします。QoS を上書き を選択して、以下のフィールドに必要な値を入力します。
- 加重シェア: 特定のネットワークに割り当てる論理リンクのキャパシティーを、同じ論理リンクにアタッチされた他のネットワークに対して相対的に示します。シェアの具体的な値は、そのリンク上の全ネットワークのシェアの和によって異なります。デフォルトでは、これは、1-100 の範囲内の数値です。
- 速度の上限 [Mbps]: ネットワークが使用する最大帯域幅
- コミット速度 [Mbps]: ネットワークに必要な最小の帯域幅。要求されるコミット速度は保証されず、ネットワークインフラストラクチャーや同じ論理リンク上の他のネットワークに要求されるコミット速度によって異なります。
ホストネットワーク QoS の設定に関する詳しい情報は、「ホストネットワークの QoS」を参照してください。 - ネットワークブリッジを設定するには、カスタムプロパティー のタブをクリックして、ドロップダウンリストから を選択します。有効なキーと値を key=value の構文で入力します。エントリーが複数ある場合は、空白文字で区切ります。以下のキーが有効です (値は例として提示しています)。これらのパラメーターに関する詳しい説明は、「bridge_opts パラメーター」を参照してください。
forward_delay=1500 gc_timer=3765 group_addr=1:80:c2:0:0:0 group_fwd_mask=0x0 hash_elasticity=4 hash_max=512 hello_time=200 hello_timer=70 max_age=2000 multicast_last_member_count=2 multicast_last_member_interval=100 multicast_membership_interval=26000 multicast_querier=0 multicast_querier_interval=25500 multicast_query_interval=13000 multicast_query_response_interval=1000 multicast_query_use_ifaddr=0 multicast_router=1 multicast_snooping=1 multicast_startup_query_count=2 multicast_startup_query_interval=3125
- イーサネットのプロパティーを設定するには、カスタムプロパティー タブをクリックして、ドロップダウンリストから を選択します。ethtool のコマンドライン引数の形式を使用して有効な値を入力します。以下に例を示します。
--coalesce em1 rx-usecs 14 sample-interval 3 --offload em2 rx on lro on tso off --change em1 speed 1000 duplex half
このフィールドではワイルドカードを使用することができます。たとえば、このネットワークの全インターフェースに同じオプションを適用するには、以下のように指定します。--coalesce * rx-usecs 14 sample-interval 3
「Red Hat Virtualization Manager で Ethtool を使用するための設定方法」を参照してください。ethtool のプロパティーに関する詳しい情報は、コマンドラインでオプションはデフォルトでは使用できないので、engine 設定ツールを使用して追加する必要があります。詳しくは、man ethtool
と入力して man ページを参照してください。 - Fibre Channel over Ethernet (FCoE) を設定するには、カスタムプロパティー タブをクリックして、ドロップダウンリストから を選択します。key=value の構文で有効なキーと値を入力します。少なくとも
enable=yes
が必要です。dcb=
と[yes|no]
auto_vlan=
を追加することもできます。エントリーが複数の場合には空白文字で区切ってください。 のオプションは、デフォルトでは利用できないので、engine 設定ツールを使用して追加する必要があります。詳しくは、「Red Hat Virtualization Manager で FCoE を使用するための設定方法」を参照してください。[yes|no]
注記
FCoE には、別の専用論理ネットワークを使用することを推奨します。 - ホストが使用するデフォルトネットワークを管理ネットワーク (ovirtmgmt) から非管理ネットワークに変更するには、カスタムプロパティー タブで プロパティーを設定します。
- 管理ネットワークには、カスタムプロパティーを
false
に設定します。 - 非管理ネットワークには、を
true
に設定します。
データセンター内の各ホストでこの設定を繰り返します。「Red Hat Virtualization Manager で非管理ネットワークを使用するように設定する方法」を参照してください。オプションはデフォルトでは利用できないので、engine 設定ツールを使用して追加する必要があります。詳しくは、 - 論理ネットワークの定義がホスト上のネットワーク設定と同期されていない場合には、ネットワークを同期 のチェックボックスを選択します。論理ネットワークが同期されるまでは、その論理ネットワークを編集したり、他のインターフェースに移動したりすることはできません。
注記
以下のいずれかの条件が該当する場合には、ネットワークは同期されていると見なされません。- 仮想マシンネットワーク が物理ホストのネットワークと異なる場合。
- VLAN ID が物理ホストネットワークと異なる場合。
- カスタム の MTU が論理ネットワークで設定済みで、かつ物理ホストのネットワークと異なる場合。
- ネットワーク接続をチェックするには、ホストと Engine 間の接続を検証 のチェックボックスを選択します。この操作は、ホストがメンテナンスモードに入っている場合のみに機能します。
- 環境をリブートした時に変更が維持されるようにするには、ネットワーク設定を保存 のチェックボックスを選択します。
注記
ホストの全ネットワークインターフェースカードが表示されない場合には、機能をリフレッシュ ボタンをクリックして、そのホストで利用可能なネットワークインターフェースカードの一覧を更新します。
6.5.3. 論理ネットワークを使用した単一ネットワークインターフェースへの複数の VLAN 追加
単一のネットワークインターフェースに複数の VLAN を追加することにより、1 台のホスト上のトラフィックを分離することができます。
重要
そのためには、あらかじめ複数の論理ネットワークを作成しておく必要があります。それらの論理ネットワークにはすべて、新規論理ネットワーク または 論理ネットワークの編集 のウィンドウで VLAN タグ付けを有効にする のチェックボックスにチェックを入れてください。
手順6.21 論理ネットワークを使用した、ネットワークインターフェースへの複数の VLAN 追加
- ホスト リソースタブをクリックして、VLAN タグ付きの論理ネットワークが割り当てられたクラスターに関連付けられているホストを結果一覧から選択します。
- 詳細ペインにある ネットワークインターフェース タブをクリックし、データセンターにアタッチされた物理ネットワークインターフェースを一覧表示します。
- ホストネットワークの設定 ウィンドウが開きます。をクリックすると
- VLAN タグの付いた論理ネットワークを物理ネットワークインターフェースの横にある 割り当て済み論理ネットワーク のエリアにドラッグします。VLAN タグ付けにより、物理ネットワークインターフェースに複数の論理ネットワークを割り当てることができます。
- 割り当て済み論理ネットワークの上にマウスを移動し、鉛筆のアイコンをクリックすると、ネットワークの編集 ウィンドウが開きます。論理ネットワークの定義がホスト上のネットワーク設定と同期されていない場合には、ネットワークを同期 のチェックボックスを選択します。次のいずれかの ブートプロトコル を選択します。OK をクリックします。
- None
- DHCP
- StaticIP アドレス と サブネットマスク を入力します。
- ネットワークのチェックを実行するには、ホストと Engine 間の接続を検証 のチェックボックスを選択します。この検証は、ホストがメンテナンスモードに入っている場合のみに機能します。
- ネットワーク設定を保存 チェックボックスを選択します。
クラスター内のホストの NIC を編集して、各ホストに論理ネットワークを追加します。この作業が完了すると、ネットワークが稼働するようになります。
単一のインターフェースに VLAN タグの付いた論理ネットワークを複数追加しました。この手順を繰り返して、各ホストで同じネットワークインターフェースを選択/編集し、単一のネットワークインターフェースに異なる VLAN タグの付いた論理ネットワークを追加することができます。
6.5.4. ホストネットワークへの追加の IPv4 アドレスの割り当て
ovirtmgmt
管理ネットワークなどのホストネットワークは、初回の設定では IP アドレスが 1 つのみで作成されます。このため、NIC の設定ファイル (例: /etc/sysconfig/network-scripts/ifcfg-eth01
) に複数の IP アドレスが設定されている場合でも、ホストネットワークに割り当てられるのは最初にリストされている IP アドレスのみとなります。ストレージへの接続や、同じ NIC を使用する別のプライベートサブネット上のサーバーへの接続に、追加の IP アドレスが必要となる場合があります。
vdsm-hook-extra-ipv4-addrs
フックにより、ホストネットワークに追加の IPv4 アドレスを設定することができます。フックに関する詳しい情報は、「付録A VDSM とフック」を参照してください。
以下の手順では、追加の IP アドレスを設定する各ホストでホスト固有のタスクを実行する必要があります。
手順6.22 ホストネットワークへの追加の IPv4 アドレスの割り当て
- 追加の IPv4 アドレスを設定するホストに VDSM フックパッケージをインストールします。このパッケージは、Red Hat Virtualization Host ではデフォルトで利用可能ですが、Red Hat Enterprise Linux ホストにはインストールする必要があります。
# yum install vdsm-hook-extra-ipv4-addrs
- Manager で以下のコマンドを実行してキーを追加します。
# engine-config -s 'UserDefinedNetworkCustomProperties=ipv4_addrs=.*'
- ovirt-engine サービスを再起動します。
# systemctl restart ovirt-engine.service
- 管理ポータルで、ホスト リソースタブをクリックして、追加の IP アドレスを設定する必要のあるホストを選択します。
- 詳細ペインの ネットワークインターフェース タグをクリックして、 ボタンをクリックして ホストのネットワーク設定 ウィンドウを開きます。
- 割り当て済みの論理ネットワークの上にマウスを移動し、鉛筆のアイコンをクリックして 管理ネットワークの編集 ウィンドウを開いて、ホストのネットワークインターフェースを編集します。
- カスタムプロパティー のドロップダウンリストから ipv4_addr を選択して追加の IP アドレスとプレフィックス (例: 5.5.5.5/24) を指定します。IP アドレスを複数指定する場合にはコンマで区切る必要があります。
- ネットワーク設定を保存チェックボックスを選択します。
追加の IP アドレスは Manager には表示されませんが、ホストで
ip addr show
コマンドを実行すると、追加されているかどうかを確認できます。
6.5.5. ホストネットワークインターフェースへのネットワークラベルの追加
ネットワークラベルを使用することによって、ホストネットワークインターフェースへの論理ネットワーク割り当てに伴う管理ワークロードを大幅に簡素化することができます。
注記
ロールネットワーク (例: 移行ネットワークやディスプレイネットワークなど) にラベルを設定すると、そのネットワークが全ホストに一括でデプロイされます。このようなネットワークの一括追加は、DHCP を使用して処理されます。この方法による一括デプロイは、静的アドレスを入力する方法よりも優先されます。これは、多数の静的 IP アドレスを入力する作業が性質上スケーラブルでないことが理由です。
手順6.23 ホストネットワークインターフェースへのネットワークラベルの追加
- ホスト リソースタブをクリックして、VLAN タグ付きの論理ネットワークが割り当てられたクラスターに関連付けられているホストを結果一覧から選択します。
- 詳細ペインにある ネットワークインターフェース タブをクリックし、データセンターにアタッチされた物理ネットワークインターフェースを一覧表示します。
- ホストネットワークの設定 ウィンドウが開きます。をクリックすると
- ラベル のテキストフィールドにネットワークラベル名を入力します。
ホストネットワークインターフェースにネットワークラベルが追加されました。同じラベルで新規作成される論理ネットワークはいずれも、そのラベルが付いたホストネットワークインターフェースに自動的に割り当てられます。また、論理ネットワークからラベルを削除すると、その論理ネットワークは、そのラベルが付いた全ホストネットワークインターフェースから自動的に削除されます。
6.5.6. ボンディング
6.5.6.1. Red Hat Virtualization におけるボンディングロジック
Red Hat Virtualization Manager 管理ポータルでは、グラフィカルインターフェースを使用してボンディングデバイスを作成することができます。ボンディング作成には複数の異なるシナリオがあり、それぞれに独自のロジックが適用されます。
ボンディングロジックに影響を及ぼす 2 つの要因:
- いずれかのデバイスが論理ネットワークをすでに伝送しているかどうか。
- デバイスは、互換性のある論理ネットワークを伝送しているかどうか。
ボンディングシナリオ | 結果 |
---|---|
NIC + NIC
|
新規ボンディングの作成 ウィンドウが表示され、新規ボンディングデバイスを設定することができます。
ネットワークインターフェースが互換性のない論理ネットワークを伝送している場合には、新規ボンディングを形成するデバイスから互換性のない論理ネットワークをデタッチするまで、ボンディング操作は失敗します。
|
NIC + Bond
|
NIC がボンディングデバイスに追加されます。NIC とボンディングデバイスが伝送する各論理ネットワークに互換性がある場合には、それらの論理ネットワークはすべて、この操作で作成されるボンディングデバイスに追加されます。
ボンディングデバイスが互換性のない論理ネットワークを伝送している場合には、新規ボンディングを形成するデバイスから互換性のない論理ネットワークをデタッチするまで、ボンディング操作は失敗します。
|
Bond + Bond
|
ボンディングデバイスが論理ネットワークにアタッチされていない場合、または互換性のある論理ネットワークにアタッチされている場合には、新規ボンディングデバイスが作成されます。これには、すべてのネットワークインターフェースが含まれ、ボンディングを構成するデバイスの全論理ネットワークを伝送します。新規ボンディングの作成 ウィンドウが表示され、新規ボンディングの設定を行うことができます。
ボンディングデバイスが互換性のない論理ネットワークを伝送している場合には、新規ボンディングを形成するデバイスから互換性のない論理ネットワークをデタッチするまで、ボンディング操作は失敗します。
|
6.5.6.2. ボンディング
ボンディング とは、複数のネットワークインターフェースを ソフトウェアで定義したデバイス 1 つに集約することです。ボンディングされたネットワークインターフェースは、ボンディングで含まれているネットワークインターフェースカード (NIC) の伝送機能を統合して、1 つのネットワークインターフェースとして機能するため、単一の NIC よりも伝送速度が早くなります。また、ボンディング内の NIC すべてに障害が発生しない限り、ボンディング自体には障害が発生しないため、ボンディングすることでフォールトトレランスが向上します。ただし、一点制約があり、ボンディング内のすべてのネットワークインターフェースカードが同じオプションやモードをサポートするように、ネットワークインターフェースをボンディングする NIC は、必ず同じメーカーおよびモデルでなければなりません。
ボンディングのパケット分散アルゴリズムは、使用するボンディングモードによって決定されます。
重要
モード 1、2、3、4 は、仮想マシン (ブリッジ) および物理マシン (ブリッジなし) のネットワークタイプをサポートします。モード 0、5、6 は、物理マシン (ブリッジなし) のネットワークのみをサポートします。
ボンディングモード
Red Hat Virtualization は、デフォルトでモード 4 を使用しますが、以下にあげる一般的なボンディングモードに対応しています。
モード 0 (round-robin ポリシー)
- このモードは、ネットワークインターフェースカードを順番に使用してパケットを送信します。パケットの送信は、ボンディングで最初に利用可能なネットワークインターフェースカードから、最後に利用可能なネットワークインターフェースカードまでループで使用をくり返します。それ以降のループでもすべて、最初に利用可能なネットワークインターフェースカードから使用されます。モード 0 では、ネットワークに対して耐障害性や負荷分散が提供されていますが、ブリッジと併用できないため、仮想マシンの論理ネットワークとの互換性はありません。
モード 1 (active-backup ポリシー)
- このモードは、すべてのネットワークインターフェースカードをバックアップ状態に設定して、1 つだけアクティブなカードを残します。アクティブなネットワークインターフェースカードで障害が発生すると、バックアップに設定されていたネットワークインターフェースカードの 1 つが、障害の発生したインターフェースに代わって、ボンディング内で唯一のアクティブインターフェースになります。1 つ以上のポートでアドレスが表示されていると、有効なネットワークインターフェースカードの MAC アドレスを反映するためにボンディングの MAC アドレスが変更された場合に混乱が生じる可能性があり、このような混乱を避ける目的で、モード 1 のボンディングの MAC アドレスは、1 つのポートだけで表示されます。モード 1 は耐障害性を提供し、Red Hat Virtualization でサポートされています。
モード 2 (XOR ポリシー)
- このモードは、送信元と送信先の MAC アドレスの XOR (排他的理論和) をネットワークインターフェースカードのスレーブ数で除算した剰余に基づいて、パケット送信に用いるネットワークインターフェースカードを選択します。この計算により、各送信先の MAC アドレスに必ず同じネットワークインターフェースカードが選択されるようにします。モード 2 は耐障害性と負荷分散を提供し、Red Hat Virtualization でサポートされています。
モード 3 (broadcast ポリシー)
- このモードは、全パケットをすべてのネットワークインターフェースカードに送信します。モード 3 は耐障害性を提供し、Red Hat Virtualization でサポートされています。
モード 4 (IEEE 802.3ad ポリシー)
- このモードは、任意の集約グループを作成し、このグループ内のインターフェースが速度およびデュプレックスの設定を共有します。モード 4 は、IEEE 802.3ad 仕様に従ってアクティブな集約グループ内のネットワークインターフェースカードをすべて使用します。このモードも、Red Hat Virtualization でサポートされています。
モード 5 (adaptive transmit load balancing ポリシー)
- このモードは、ボンディング内の各ネットワークインターフェースカードの負荷に応じて発信トラフィックが分散され、現在のネットワークインターフェースカードが全着信トラフィックを受信するようにします。トラフィックの受信に割り当てられているネットワークインターフェースカードに障害が発生した場合には、着信トラフィックの受信ロールは別のネットワークインターフェースカードに割り当てられます。モード 5 はブリッジと併用できないため、仮想マシンの論理ネットワークとの互換性はありません。
モード 6 (adaptive load balancing ポリシー)
- このモードは、モード 5 (adaptive transmit load balancing ポリシー) に IPv4 トラフィックの受信負荷分散を組み合わせたポリシーで、特別なスイッチ要件はありません。ARP ネゴシエーションを使用して受信負荷の分散を行います。モード 6 はブリッジと併用できないため、仮想マシンの論理ネットワークとの互換性はありません。
6.5.6.3. 管理ポータルを使用したボンディングデバイスの作成
互換性のある複数のネットワークデバイスをボンディングしてまとめることができます。このタイプの設定を使用することで帯域幅と信頼度が高まります。ボンディングは、複数のネットワークインターフェース、既存のボンディングデバイス、この 2 つを組み合わせたものに対して適用することができます。ボンディングは VLAN タグ付きのトラフィックと、VLAN タグなしのトラフィックの両方を伝送することができます。
手順6.24 管理ポータルを使用したボンディングデバイスの作成
- ホスト リソースタブをクリックして、結果一覧でホストを選択します。
- 詳細ペインにある ネットワークインターフェース タブをクリックし、ホストにアタッチされた物理ネットワークインターフェースを一覧表示します。
- ホストネットワークの設定 ウィンドウが開きます。をクリックすると
- 一方のデバイスを選択して、他方のデバイスの上にドラグアンドドロップすると、新規ボンディングの作成 ウィンドウが開きます。または、一方のデバイスを右クリックして、他方のデバイスをドロップダウンメニューから選択します。デバイスに互換性がない場合には、ボンディングの操作は失敗して、互換性問題の解決方法を示したメッセージが表示されます。
- ドロップダウンメニューから ボンディング名 および ボンディングモード を選択します。ボンディングモード 1、2、4、5 を選択することができます。その他のモードを設定するには、カスタム オプションを使用します。
- 新規ボンディングの作成 ウィンドウを閉じます。をクリックしてボンディングを作成し、
- 新規作成したボンディングデバイスに論理ネットワークを割り当てます。
- オプションとして、ホストと Engine 間の接続を検証 および ネットワーク設定を保存 を選択することができます。
- ホストネットワークの設定 ウィンドウを閉じます。をクリックして変更を受け入れ、
複数のネットワークデバイスが 1 つのボンディングデバイスにリンクされ、単一のインターフェースとして編集できるようになりました。このボンディングデバイスは、選択したホストの詳細ペインにある ネットワークインターフェース タブに表示されます。
ホストが使用するスイッチのポートには、ボンディングを有効にする必要があります。ボンディングを有効化する手順は、スイッチによって若干異なります。ボンディング有効化に関する詳しい情報は、そのスイッチのメーカーが提供しているマニュアルを参照してください。
注記
モード 4 のボンディングの場合には、スイッチで全スレーブを正しく設定する必要があります。スイッチで正しく設定されているスレーブが 1 つもない場合には、
ad_partner_mac
は 00:00:00:00:00:00 として報告されます。Manager は ネットワークインターフェース タブのボンディングに感嘆符のアイコンで警告を表示します。いずれかのスレーブが稼働している場合には警告は表示されません。
6.5.6.4. ホストインターフェースのカスタムボンディングオプションの使用例
新規ボンディングの作成 ウィンドウで ボンディングモード から カスタム を選択すると、カスタマイズされたボンディングデバイスを作成することができます。以下の例は、必要に応じて適用してください。ボンディングオプションとその説明をまとめた包括的なリストは、Kernel.org の『Linux Ethernet Bonding Driver HOWTO』を参照してください。
例6.1 xmit_hash_policy
このオプションは、ボンディングモード 2 および 4 の送信負荷分散ポリシーを定義します。たとえば、多数の異なる IP アドレス間のトラフィックが大半の場合には、IP アドレス別に負荷分散するようにポリシーを設定することができます。この負荷分散ポリシーを設定するには、カスタム ボンディングモードを選択して、テキストフィールドに以下の値を入力します。
mode=4 xmit_hash_policy=layer2+3
例6.2 ARP モニタリング
ARP モニターは、ethtool を介して適切にリンク状態を報告できない、もしくは報告しないシステムに有用です。ホストのボンディングデバイスに
arp_interval
を設定するには、カスタム ボンディングモードを選択して、テキストフィールドに以下の値を入力します。
mode=1 arp_interval=1 arp_ip_target=192.168.0.2
例6.3 プライマリー
ボンディングデバイス内のプライマリーインターフェースとして、特定の NIC により高いスループットを指定する必要がある場合があります。プライマリーとなる NIC を指定するには、カスタム ボンディングモードを選択して、テキストフィールドに以下の値を入力します。
mode=1 primary=eth0
6.5.7. ホストの完全修飾ドメイン名の変更
ホストの完全修飾ドメイン名を変更するには、以下の手順に従ってください。
手順6.25 ホストの完全修飾ドメイン名の更新
- ホストをメンテナンスモードに切り替えて、仮想マシンが別のホストにライブマイグレーションされるようにします。詳しい説明は、「ホストのメンテナンスモードへの切り替え」を参照してください。または、全仮想マシンを手動でシャットダウンして、別のホストに移行します。詳しくは、『仮想マシン管理ガイド』の「手動での仮想マシン移行」のセクションを参照してください。
- ホスト名を更新するには、hostnamectl ツールを使用します。その他のオプションについては、『Red Hat Enterprise Linux 7 ネットワークガイド』の「ホスト名の設定」の章を参照してください。
# hostnamectl set-hostname NEW_FQDN
- ホストをリブートします。
- Manager でホストを再登録します。詳しい情報は「Red Hat Virtualization Manager へのホストの追加」を参照してください。
6.5.8. ホストの IP アドレスの変更
手順6.26
- ホストをメンテナンスモードに切り替えて、仮想マシンが別のホストにライブマイグレーションされるようにします。詳しい説明は、「ホストのメンテナンスモードへの切り替え」を参照してください。または、全仮想マシンを手動でシャットダウンして、別のホストに移行します。詳しくは、『仮想マシン管理ガイド』の「手動での仮想マシン移行」のセクションを参照してください。
admin
ユーザーとしてホストにログインします。- F2 を押してを選択し、Enter を押してレスキューシェルに入ります。
/etc/sysconfig/network-scripts/ifcfg-ovirtmgmt
ファイルを編集して、IP アドレスを変更します。以下に例を示します。# vi /etc/sysconfig/network-scripts/ifcfg-ovirtmgmt ... BOOTPROTO=none IPADDR=10.x.x.x PREFIX=24 ...
- ネットワークサービスを再起動して、IP アドレスが更新されたことを確認します。
# systemctl restart network.service
# ip addr show ovirtmgmt
exit
と入力してレスキューシェルを終了し、テキストユーザーインターフェースに戻ります。- Manager でホストを再登録します。詳しい情報は「Red Hat Virtualization Manager へのホストの追加」を参照してください。