第13章 高可用性およびクラスター
Red Hat Enterprise Linux 8 では、pcs
は、クラスター通信に、Corosync 3 クラスターエンジンと、Kronosnet (knet) ネットワーク抽象化層にフルサポートを提供します。既存の RHEL 7 クラスターから RHEL 8 クラスターへのアップグレードを計画すると、以下のような事項を検討する必要があります。
- アプリケーションのバージョン - RHEL 8 クラスターで必要なのは、どのバージョンの高可用性アプリケーションですか ?
- アプリケーションのプロセスの順番 - アプリケーションのプロセスを開始および停止する際に必要なのはどの変更ですか ?
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クラスターインフラストラクチャー - RHEL 8 の
pcs
で複数のネットワーク接続に対応するようになったため、クラスターが認識する NIC の数は変更しますか ? - 必要なパッケージ - 新しいクラスターで同じパッケージをすべてインストールする必要はありますか ?
RHEL 8 で Pacemaker クラスターを実行するための、以下の事項またはその他の事項により、RHEL 7 クラスターから RHEL 8 クラスターへのインプレースアップグレードを実行することはできず、RHEL 8 で新しいクラスターを設定する方法があります。RHEL 7 および RHEL 8 の両方を実行しているノードを含むクラスターを実行することはできません。
また、アップグレードを実行する前に、次の計画を立てる必要があります。
- 最終カットオーバー - アプリケーションのダウンタイムを短くするために、以前のクラスターで実行しているアプリケーションを停止して、新しいクラスターで開始するためにはどのようなプロセスがありますか ?
- テスト - アップグレード前に、開発環境またはテスト環境で、アップグレード戦略をテストすることはできますか ?
RHEL 7 と RHEL 8 における、クラスター作成および管理における主な相違点は、以下のセクションで説明します。
13.1. pcs cluster setup
コマンド、pcs cluster node add
コマンド、および pcs cluster node remove
コマンドの新しい形式
Red Hat Enterprise Linux 8 の pcs
では、ノード名の使用に完全に対応します。これは、現在は必須であり、ノード識別子でノードアドレスを置き換えます。ノードアドレスは任意となりました。
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pcs host auth
コマンドで、ノードアドレスがデフォルトでノード名となります。 -
pcs cluster setup
コマンドおよびpcs cluster node add
コマンドでは、ノードアドレスが、pcs host auth
コマンドで指定したノードアドレスにデフォルト設定されます。
この変更により、クラスターのセットアップ、クラスターへのノードの追加、およびクラスターからのノードの削除を行うコマンドの形式が変更になりました。新しいコマンド形式の詳細は、pcs cluster setup
コマンド、pcs cluster node add
コマンド、および pcs cluster node remove
コマンドのヘルプ表示を参照してください。