第15章 logging システムロールの使用


システム管理者は、logging システムロールを使用して、Red Hat Enterprise Linux ホストをロギングサーバーとして設定し、多数のクライアントシステムからログを収集できます。

15.1. logging RHEL システムロールを使用したローカルログメッセージのフィルタリング

logging RHEL システムロールのプロパティーベースのフィルターを使用すると、さまざまな条件に基づいてローカルログメッセージをフィルタリングできます。その結果、たとえば以下を実現できます。

  • 明確なログ: トラフィック量の多い環境では、ログが急増することがあります。エラーなどの特定のメッセージに注目することで、問題をより早く特定できるようになります。
  • システムパフォーマンスの最適化: ログの量が多すぎると、通常、システムパフォーマンスが低下します。重要なイベントのみを選択的にログに記録することで、リソースの枯渇を防ぎ、システムをより効率的に運用できます。
  • セキュリティーの強化: システムエラーやログイン失敗などのセキュリティーメッセージを効率的にフィルタリングすることで、関連するログのみを取得できます。これは、違反を検出し、コンプライアンス基準を満たすために重要です。

前提条件

手順

  1. 次の内容を含む Playbook ファイル (例: ~/playbook.yml) を作成します。

    ---
    - name: Deploy the logging solution
      hosts: managed-node-01.example.com
      tasks:
        - name: Filter logs based on a specific value they contain
          ansible.builtin.include_role:
            name: rhel-system-roles.logging
          vars:
            logging_inputs:
              - name: files_input
                type: basics
            logging_outputs:
              - name: files_output0
                type: files
                property: msg
                property_op: contains
                property_value: error
                path: /var/log/errors.log
              - name: files_output1
                type: files
                property: msg
                property_op: "!contains"
                property_value: error
                path: /var/log/others.log
            logging_flows:
              - name: flow0
                inputs: [files_input]
                outputs: [files_output0, files_output1]

    サンプル Playbook で指定されている設定は次のとおりです。

    logging_inputs
    ロギングの入力ディクショナリーのリストを定義します。type: basics オプションを指定すると、systemd ジャーナルまたは Unix ソケットからの入力が対象になります。
    logging_outputs
    ロギングの出力ディクショナリーのリストを定義します。type: files オプションにより、ローカルファイル (通常は /var/log/ ディレクトリー内) にログを保存できます。property: msgproperty: contains、および property_value: error オプションを指定すると、error 文字列を含むすべてのログが /var/log/errors.log ファイルに保存されます。property: msgproperty: !contains、および property_value: error オプションを指定すると、他のすべてのログが /var/log/others.log ファイルに保存されます。error 値は、フィルタリングする必要がある文字列に置き換えることができます。
    logging_flows
    ロギングのフローディクショナリーのリストを定義して、logging_inputslogging_outputs の関係を指定します。inputs: [files_input] オプションは、ログの処理を開始する入力のリストを指定します。outputs: [files_output0, files_output1] オプションは、ログ送信先の出力のリストを指定します。

    Playbook で使用されるすべての変数の詳細は、コントロールノードの /usr/share/ansible/roles/rhel-system-roles.logging/README.md ファイルを参照してください。

  2. Playbook の構文を検証します。

    $ ansible-playbook --syntax-check ~/playbook.yml

    このコマンドは構文を検証するだけであり、有効だが不適切な設定から保護するものではないことに注意してください。

  3. Playbook を実行します。

    $ ansible-playbook ~/playbook.yml

検証

  1. 管理対象ノードで、/etc/rsyslog.conf ファイルの構文をテストします。

    # rsyslogd -N 1
    rsyslogd: version 8.1911.0-6.el8, config validation run...
    rsyslogd: End of config validation run. Bye.
  2. 管理対象ノードで、システムが error 文字列を含むメッセージをログに送信することを確認します。

    1. テストメッセージを送信します。

      # logger error
    2. 以下のように /var/log/errors.log ログを表示します。

      # cat /var/log/errors.log
      Aug  5 13:48:31 hostname root[6778]: error

      hostname はクライアントシステムのホスト名に置き換えます。ログには、logger コマンドを入力したユーザーのユーザー名 (この場合は root) が含まれていることに注意してください。

関連情報

  • /usr/share/ansible/roles/rhel-system-roles.logging/README.md ファイル
  • /usr/share/doc/rhel-system-roles/logging/ ディレクトリー
  • rsyslog.conf(5) および syslog(3) man ページ
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