第1章 インストール中およびインストール直後の RHEL の保護
セキュリティーへの対応は、Red Hat Enterprise Linux をインストールする前にすでに始まっています。最初からシステムのセキュリティーを設定することで、追加のセキュリティー設定を実装することがより簡単になります。
1.1. ディスクパーティション設定
ディスクパーティション設定の推奨プラクティスは、ベアメタルマシンへのインストールと、インストール済みオペレーティングシステムを含む仮想ディスクハードウェアおよびファイルシステムの調整をサポートする仮想化環境またはクラウド環境とでは異なります。
ベアメタルインストール でデータの分離と保護を確実に行うには、/boot
、/
、/home
、/tmp
、/var/tmp/
ディレクトリー用に個別のパーティションを作成します。
/boot
-
このパーティションは、システムの起動時にシステムが最初に読み込むパーティションです。Red Hat Enterprise Linux 9 でシステムを起動するのに使用するブートローダーとカーネルイメージはこのパーティションに保存されます。このパーティションは暗号化しないでください。このパーティションが
/`
に含まれており、そのパーティションが暗号化されているなどの理由で利用できなくなると、システムを起動できなくなります。 /home
-
ユーザーデータ (
/home
) が別のパーティションではなく/
に保存されていると、このパーティションが満杯になり、オペレーティングシステムが不安定になる可能性があります。また、システムを、Red Hat Enterprise Linux 9 の次のバージョンにアップグレードする際に、/home
パーティションにデータを保存できると、このデータはインストール時に上書きされないため、アップグレードが非常に簡単になります。root パーティション (/
) が破損すると、データが完全に失われます。したがって、パーティションを分けることが、データ損失に対する保護につながります。また、このパーティションを、頻繁にバックアップを作成する対象にすることも可能です。 /tmp
および/var/tmp/
-
/tmp
ディレクトリーおよび/var/tmp/
ディレクトリーは、どちらも長期保存の必要がないデータを保存するために使用されます。しかし、このいずれかのディレクトリーでデータがあふれると、ストレージ領域がすべて使用されてしまう可能性があります。このディレクトリーは/
に置かれているため、こうした状態が発生すると、システムが不安定になり、クラッシュする可能性があります。そのため、このディレクトリーは個別のパーティションに移動することが推奨されます。
仮想マシンまたはクラウドインスタンス の場合、/boot
、/home
、/tmp
、および /var/tmp
パーティションの分離は任意です。/
パーティションがいっぱいになり始めたら、仮想ディスクのサイズとそのパーティションを拡張できるためです。/
パーティションがいっぱいにならないように、その使用状況を定期的にチェックするモニタリングを設定してから、仮想ディスクのサイズを適宜拡張してください。
インストールプロセス時に、パーティションを暗号化するオプションがあります。パスフレーズを入力する必要があります。これは、パーティションのデータを保護するのに使用されるバルク暗号鍵を解除する鍵として使用されます。