21.2. トランザクション管理
21.2.1. トランザクションの参照と管理
管理 CLI では、トランザクションレコードを参照および操作する機能がサポートされます。この機能は、トランザクションマネージャーと JBoss EAP 6 の管理 API との対話によって提供されます。
トランザクションマネージャーは、待機中の各トランザクションとトランザクションに関連する参加者に関する情報を、オブジェクトストアと呼ばれる永続ストレージに格納します。管理 API は、オブジェクトストアを
log-store
と呼ばれるリソースとして公開します。probe
と呼ばれる API 操作はトランザクションログを読み取り、各ログに対してノードを作成します。probe
コマンドは、log-store
を更新する必要があるときに、いつでも手動で呼び出すことができます。トランザクションログが表示された後すぐに消去されるのは普通です。
例21.1 ログストアの更新
このコマンドは、管理対象ドメインでプロファイル
default
を使用するサーバーグループに対してログストアを更新します。スタンドアローンサーバーの場合は、コマンドから profile=default
を削除します。
/profile=default/subsystem=transactions/log-store=log-store/:probe
例21.2 準備済みトランザクションすべての表示
準備済みトランザクションをすべて表示するには、最初にログストアを更新し (例21.1「ログストアの更新」を参照)、ファイルシステムの
ls
コマンドに似た機能を持つ次のコマンドを実行します。
ls /profile=default/subsystem=transactions/log-store=log-store/transactions
各トランザクションが一意の ID とともに表示されます。個々の操作は、各トランザクションに対して実行できます (トランザクションの管理 を参照)。
トランザクションの管理
- トランザクションの属性を表示します。
- JNDI 名、EIS 製品名およびバージョン、ステータスなどのトランザクションに関する情報を表示するには、
:read-resource
CLIコマンドを使用します。/profile=default/subsystem=transactions/log-store=log-store/transactions=0\:ffff7f000001\:-b66efc2\:4f9e6f8f\:9:read-resource
- トランザクションの参加者を表示します。
- 各トランザクションログには、
participants
(参加者) と呼ばれる子要素が含まれます。トランザクションの参加者を確認するには、この要素に対してread-resource
CLI コマンドを使用します。参加者は、JNDI 名によって識別されます。/profile=default/subsystem=transactions/log-store=log-store/transactions=0\:ffff7f000001\:-b66efc2\:4f9e6f8f\:9/participants=java\:\/JmsXA:read-resource
結果は以下のようになります。{ "outcome" => "success", "result" => { "eis-product-name" => "HornetQ", "eis-product-version" => "2.0", "jndi-name" => "java:/JmsXA", "status" => "HEURISTIC", "type" => "/StateManager/AbstractRecord/XAResourceRecord" } }
ここで示された結果ステータスはHEURISTIC
であり、復元可能です。詳細については、トランザクションをリカバリーします。 を参照してください。 - トランザクションを削除します。
- 各トランザクションログは、トランザクションを表すトランザクションログを削除するために、
:delete
操作をサポートします。/profile=default/subsystem=transactions/log-store=log-store/transactions=0\:ffff7f000001\:-b66efc2\:4f9e6f8f\:9:delete
- トランザクションをリカバリーします。
- 各トランザクションログは、
:recover
CLI コマンドを使用したリカバリーをサポートします。ヒューリスティックなトランザクションと参加者のリカバリー
- トランザクションの状態が
HEURISTIC
である場合は、リカバリー操作によって、状態がPREPARE
に変わり、リカバリーがトリガーされます。 - トランザクションの参加者の 1 つがヒューリスティックな場合、リカバリー操作は
commit
操作を再実行しようとします。成功した場合、トランザクションログから参加者が削除されます。これを確認するには、log-store
上で:probe
操作を再実行し、参加者がリストされていないことを確認します。これが最後の参加者の場合は、トランザクションも削除されます。
- リカバリーが必要なトランザクションの状態を更新します。
- トランザクションをリカバリーする必要がある場合は、リカバリーを試行する前に
:refresh
CLI コマンドを使用して、トランザクションのリカバリーが必要であるかを確認できます。/profile=default/subsystem=transactions/log-store=log-store/transactions=0\:ffff7f000001\:-b66efc2\:4f9e6f8f\:9/participants=2:refresh
トランザクション統計情報の表示
トランザクションマネージャーの統計が有効になっていると、トランザクションマネージャーおよびトランザクションサブシステムに関する統計を表示できます。トランザクションマネージャーの統計を有効にする方法は 「トランザクションマネージャーの設定」 を参照してください。
統計は、管理コンソールまたは管理 CLI より表示できます。管理コンソールでは、トランザクション統計情報は を選択して取得できます。管理対象ドメインの各サーバーのトランザクション統計を利用できます。別のサーバーの状態を表示するには、左側のメニューにある Change Server を選択し、そのリストからサーバーを選択します。
以下の表は、利用可能な各統計情報、その説明、および統計情報を表示する 管理 CLI コマンドを示しています。
統計 | 説明 | CLI コマンド |
---|---|---|
合計 |
このサーバー上でトランザクションマネージャーにより処理されるトランザクションの合計数。
|
/host=master/server=server-one/subsystem=transactions/:read-attribute(name=number-of-transactions,include-defaults=true) |
Committed |
このサーバー上でトランザクションマネージャーにより処理されるコミット済みトランザクションの数。
|
/host=master/server=server-one/subsystem=transactions/:read-attribute(name=number-of-committed-transactions,include-defaults=true) |
Aborted |
このサーバー上でトランザクションマネージャーにより処理されるアボートされたトランザクションの数。
|
/host=master/server=server-one/subsystem=transactions/:read-attribute(name=number-of-aborted-transactions,include-defaults=true) |
Timed Out |
このサーバー上でトランザクションマネージャーにより処理されるタイムアウトのトランザクションの数。
|
/host=master/server=server-one/subsystem=transactions/:read-attribute(name=number-of-timed-out-transactions,include-defaults=true) |
Heuristics |
管理コンソールでは利用できません。ヒューリスティック状態のトランザクションの数。
|
/host=master/server=server-one/subsystem=transactions/:read-attribute(name=number-of-heuristics,include-defaults=true) |
フライト状態のトランザクション |
管理コンソールでは使用できません。開始した未終了のトランザクションの数。
|
/host=master/server=server-one/subsystem=transactions/:read-attribute(name=number-of-inflight-transactions,include-defaults=true) |
障害の原因 - アプリケーション |
障害の原因がアプリケーションであった失敗トランザクションの数。
|
/host=master/server=server-one/subsystem=transactions/:read-attribute(name=number-of-application-rollbacks,include-defaults=true) |
障害の原因 - リソース |
障害の原因がリソースであった失敗トランザクションの数。
|
/host=master/server=server-one/subsystem=transactions/:read-attribute(name=number-of-resource-rollbacks,include-defaults=true) |
参加者 ID |
参加者の ID。
|
/host=master/server=server-one/subsystem=transactions/log-store=log-store/transactions=0\:ffff7f000001\:-b66efc2\:4f9e6f8f\:9:read-children-names(child-type=participants) |
トランザクションすべてのリスト |
トランザクションの完全リスト。
|
/host=master/server=server-one/subsystem=transactions/log-store=log-store:read-children-names(child-type=transactions) |