3.6. サブネットの使用
サブネットを使用して、インスタンスにネットワーク接続を付与します。インスタンスの作成プロセスの一環として、各インスタンスはサブネットに割り当てられるため、最適なインスタンスの配置を考慮してインスタンスの接続性の要件に対応することが重要です。
既存のネットワークに対してのみ、サブネットを作成することができます。OpenStack Networking のプロジェクトネットワークでは、複数のサブネットをホストできることを念頭に入れておいてください。これは、まったく異なるシステムを同じネットワークでホストし、それらのシステムを分離する必要がある場合に役立ちます。
たとえば、1 つのサブネットでは Web サーバーのトラフィックだけが伝送されるようにする一方で、別のサブネットはデータベースのトラフィックが通過するように指定することができます。
サブネットは相互に分離され、別のサブネットと通信する必要のあるインスタンスのトラフィックは、ルーターによって転送する必要があります。したがって、互いに大量のトラフィックを送受信する必要があるシステムを同じサブネットにグルーピングすることで、ネットワークレイテンシーおよび負荷を軽減することができます。
3.6.1. サブネットの作成
サブネットを作成するには、以下の手順に従います。
- Dashboard で プロジェクト > ネットワーク > ネットワーク を選択して、ネットワーク ビューで対象のネットワークの名前をクリックします。
+サブネットの作成 をクリックして、以下の値を指定します。
フィールド 説明 サブネット名
サブネットの説明的な名前
ネットワークアドレス
IP アドレス範囲とサブネットマスクが 1 つの値としてまとめられた CIDR 形式のアドレス。CIDR 形式のアドレスを決定するには、サブネットマスクでマスキングされたビット数を算出して、IP アドレス範囲の値に追記します。たとえば、サブネットマスク 255.255.255.0 でマスクされるビット数は 24 です。このマスクを IPv4 アドレス範囲 192.168.122.0 に使用するには、アドレスを 192.168.122.0/24 と指定します。
IP バージョン
インターネットプロトコルバージョン (有効なタイプは IPv4 または IPv6)。ネットワークアドレス フィールドの IP アドレスの範囲は、選択したプロトコルバージョンと一致する必要があります。
ゲートウェイ IP
デフォルトゲートウェイに指定したルーターのインターフェースの IP アドレス。このアドレスは、外部ロケーションを宛先とするトラフィックルーティングの次のホップとなり、ネットワークアドレス フィールドで指定した範囲内でなければなりません。たとえば、CIDR 形式のネットワークアドレスが 192.168.122.0/24 の場合には、通常デフォルトのゲートウェイは 192.168.122.1 となります。
ゲートウェイなし
転送を無効にして、サブネットを分離します。
次へ をクリックして DHCP オプションを指定します。
- DHCP 有効: そのサブネットの DHCP サービスを有効にします。DHCP を使用して、インスタンスへの IP 設定の割り当てを自動化することができます。
IPv6 アドレス設定モード : IPv6 ネットワークを作成する際の設定モード。IPv6 ネットワークを作成する場合には、IPv6 アドレスと追加の情報をどのように割り当てるかを指定する必要があります。
- オプション指定なし: IP アドレスを手動で設定する場合または OpenStack が対応していない方法を使用してアドレスを割り当てる場合には、このオプションを選択します。
- SLAAC (Stateless Address Autoconfiguration): インスタンスは、ルーターから送信されるルーター広告 (RA) メッセージに基づいて IPv6 アドレスを生成します。OpenStack Networking ルーターオプションまたは外部ルーターオプションを選択します。ra_mode が slaac に、address_mode が slaac に設定された OpenStack Networking サブネットを作成するには、この設定を使用します。
- DHCPv6 stateful: インスタンスは、OpenStack Networking DHCPv6 サービスから、IPv6 アドレスや追加のオプション (例: DNS) を受信します。ra_mode が dhcpv6-stateful に、address_mode が dhcpv6-stateful に設定されたサブネットを作成するには、この設定を使用します。
- DHCPv6 stateless: インスタンスは、OpenStack Networking ルーターから送信されるルーター広告 (RA) メッセージに基づいて IPv6 アドレスを生成します。追加のオプション (例: DNS) は、OpenStack Networking DHCPv6 サービスから割り当てられます。ra_mode が dhcpv6-stateless に、address_mode が dhcpv6-stateless に設定されたサブネットを作成するには、この設定を使用します。
- IP アドレス割り当てプール: DHCP によって割り当てられる IP アドレスの範囲。たとえば、192.168.22.100,192.168.22.100 という値を指定すると、その範囲内で使用可能なアドレスはすべて割り当ての対象として考慮されます。
- DNS サーバー: ネットワーク上で利用可能な DNS サーバーの IP アドレス。DHCP はこれらの IP アドレスをインスタンスに割り当てて名前解決します。
- 追加のルート設定: 静的ホストルート。まず CIDR 形式で宛先のネットワークを指定し、その後にルーティングに使用する次のホップを指定します (例: 192.168.23.0/24, 10.1.31.1)。静的ルートをインスタンスに分散する必要がある場合には、この値を指定します。
作成 をクリックします。
サブネットは、サブネット の一覧に表示されます。必要に応じて、ネットワークの編集 をクリックしてオプションを変更することもできます。インスタンスの作成時には、そのサブネットを使用するように設定できるようになりました。指定した DHCP オプションがインスタンスに適用されます。