6.20. 仮想化
IBM z17 プロセッサーの仮想化サポート
この更新により、RHEL 上の仮想化に IBM z17 CPU のサポートが追加されました。その結果、RHEL を搭載した IBM Z システムでホストされる仮想マシンは、z17 プロセッサーが提供する新しい機能を使用できるようになりました。
Jira:RHEL-33137[1]
IBM Z の Secure Execution では取得可能なシークレットがサポートされる
この更新により、IBM Z の Secure Execution 仮想マシン (VM) の暗号化デバイスに、一般化されたホストベースのシークレットを使用できるようになりました。その結果、Secure Execution を設定するときに initramfs
イメージにシークレットを保存する必要がなくなり、安全な仮想マシンイメージの作成が簡素化されます。この機能は現在、IBM z17 プロセッサーでのみサポートされていることに注意してください。
Jira:RHEL-25204[1]
HPE 上の RHEL は、最大 4096 の仮想 CPU を実行できる
この機能により、Hewlett Packard Enterprise Compute Scale-Up Server 上の RHEL ハイパーバイザーで実行している RHEL 仮想マシン (VM) インスタンスは、インメモリーデータベースやその他の大きなコンピュート集約型ワークロードを処理するために、最大 4096 個の仮想 CPU、32 ソケット、および 64 TB のメモリーをサポートするようになりました。
Jira:RHEL-57668[1]
RHEL 10 では nbdkit
バージョン 1.38 が提供される
nbdkit
パッケージはアップストリームバージョン 1.38 に更新され、さまざまなバグ修正と機能拡張が提供されています。主な変更点は以下のとおりです。
- ブロックサイズのアドバタイズが強化され、新しい読み取り専用フィルターが追加されました。
- Python および OCaml バインディングは、サーバー API のより多くの機能をサポートします。
- サーバーをより堅牢にするために、内部構造体の整合性チェックが追加されました。
変更点の完全なリストは、アップストリームのリリースノート を参照してください。
IBM Z 上の KVM が複数のブートデバイスをサポートするようになる
IBM Z ホスト上の KVM で実行されているゲストオペレーティングシステムは、プライマリーブートデバイスがブート可能でない場合、追加のデバイスからのブートを試行できます。この機能は次のデバイスタイプでサポートされています。
-
virtio-net
-
virtio-blk
-
virtio-scsi/cdrom
仮想マシンのブートデバイスの順序を設定するには、XML 設定の <boot>
行にある order
パラメーターを使用します。仮想マシンは最大 8 台のデバイスで起動を試行するようになりました。
さらに、これらのデバイスは、XML 設定の <boot>
行の loadparm
パラメーターをサポートするようになりました。loadparm
を使用すると、ゲストオペレーティングシステムがデバイスから起動すると、デバイスが使用するブートエントリーを設定できます。
Jira:RHEL-68444、Jira:RHEL-24070
64 ビット ARM ホスト上の仮想マシンで新たにサポートされる機能
64 ビット ARM アーキテクチャー (aarch64 とも呼ばれる) を使用する RHEL ホスト上の仮想マシンでは、次の機能がサポートされるようになりました。
- 64 ビット ARM ホスト間での仮想マシンの移行。ただし、現時点では、移行は両方のホストが同じ CPU タイプとメモリーページサイズを使用している場合にのみ機能することに注意してください。
- Trusted Platform Module (TPM) Interface Specification (TIS) ハードウェアインターフェイス
- Non-volatile dual inline memory module (NVDIMM) メモリーデバイス
- virtio-iommu デバイス
Jira:RHELDOCS-19832[1]
RHEL では、Mellanox 仮想機能を使用した仮想マシンのライブマイグレーションがサポートされる
この更新により、Mellanox ネットワークデバイスでアタッチされた仮想機能 (VF) を使用して、仮想マシン (VM) のライブマイグレーションを実行できるようになりました。
ただし、この機能は現在、特定のファームウェアバージョンを持つ Mellanox CX-7 ネットワークデバイスでのみサポートされています。Mellanox CX-7 ネットワークデバイス上の VF は、ライブマイグレーションに必要な機能を追加する新しい mlx5_vfio_pci
ドライバーを使用します。この新しいドライバーは、libvirt
によって VF に自動的にバインドされます。
詳細と制限については、Mellanox 仮想機能がアタッチされている仮想マシンのライブマイグレーション を参照してください。
Jira:RHELDOCS-19210[1]
virtio-net
での USO のサポート
この更新により、Windows virtio-net
ドライバーに User Datagram Protocol (UDP) Segmentation Offload (USO) 機能が追加されます。これにより、Windows 仮想マシンは大規模な UDP パケットのセグメンテーションを基盤となる virtio-net
デバイスにオフロードできるようになります。その結果、仮想マシンの CPU 使用率が削減され、特に大量の UDP トラフィックを生成するワークロードにおいて、全体的な UDP ネットワークパフォーマンスが向上します。
Jira:RHEL-1300[1]
virt-install
が SEV-SNP を使用した仮想マシンの作成をサポートするようになる
virt-install
ユーティリティーを使用して、AMD Secure Encrypted Virtualization with Secure Nested Paging (SEV-SNP) 機能を使用する仮想マシン (VM) を作成できるようになりました。これを行うには、launchSecurity sev-snp,policy=0x30000
オプションを使用します。
SEV-SNP は現在、テクノロジープレビューとして提供されている点に注意してください。
他の VM やホストも書き込み可能な共有の virtiofs
ディレクトリーを使用した仮想マシンのライブマイグレーションがサポート対象になる
この更新により、ホストや他の仮想マシンなど、複数の書き込み主体がそのディレクトリーへの書き込み権限を持っている場合でも、virtiofs
共有ディレクトリーを使用する仮想マシン (VM) のライブマイグレーションが可能になります。
RHEL for Real Time でサポートされる仮想マシン
この更新では、RHEL for Real Time でのリアルタイム仮想化の完全サポートが導入されました。ホストおよびゲストオペレーティングシステムを設定して、仮想マシン (VM) の低遅延かつ確定的な動作を実現できます。これにより、リアルタイム仮想マシンは、産業オートメーション、通信、自動車システムなど、リアルタイム性能を必要とするアプリケーションに適したものになります。
Jira:RHELDOCS-20116[1]