第1章 概要


1.1. RHEL 10.0 における主な変更点

RHEL インストーラーの主なハイライト:

  • オプションを選択解除しない限り、新しく作成されたユーザーにはデフォルトで管理者権限が与えられます。
  • タイムゾーンマップの代わりに新しいオプションを使用して、必要なタイムゾーンを設定できるようになりました。
  • VNC の代わりに Remote Desktop Protocol (RDP) がグラフィカルリモートアクセスに採用されました。

RHEL Image Builder の主なハイライト:

  • RHEL Image Builder の cockpit-composer パッケージが非推奨となり、新しい cockpit-image-builder プラグインに置き換えられました。
  • AWS や KVM などのディスクイメージには、個別の /boot パーティションはありません。

詳細は、新機能および機能拡張 - インストーラーとイメージの作成 を参照してください。

セキュリティー

テクノロジープレビューとして、システム全体の暗号化ポリシー (crypto-policies)、OpenSSL、GnuTLS、NSS ツールキット、および OpenSSH スイートが、耐量子計算機 (PQ) アルゴリズム に対応しました。

新しい sudo RHEL システムロール を使用すると、RHEL システム全体で sudo 設定を大規模かつ一貫して管理できます。

RHEL 10 では、OpenPGP 暗号化と署名を管理するための既存の GnuPG ツールを補完する Sequoia PGP ツールの sq および sqv が導入されました。

OpenSSL TLS ツールキットでは、FIPS 準拠の PKCS #12 ファイルの作成、ハードウェアトークンを使用するための pkcs11-provider、およびその他の多くの改善が導入されています。

RHEL 10 には OpenSSH スイートのバージョン 9.9 が含まれており、RHEL 9 で提供されていた OpenSSH 8.7 に比べて多くの修正と改善が提供されています。

SELinux ユーザースペースリリース 3.8 では、CIL 出力モード、SELinux サンドボックスの Wayland サポート、その他の改善を提供する、audit2allow の新しいオプションが導入されています。

Keylime エージェントコンポーネントはバージョン 0.2.5 で提供され、デバイスアイデンティティーの Initial Device Identity (IDevID) と Initial Attestation Key (IAK) をサポートし、デフォルトで TLS 1.3 を使用します。さらに、新しい keylime-policy ツールは、Keylime ポリシーのすべての管理タスクを統合します。

RHEL 9 と比べて、セキュリティーコンプライアンス の提供内容は、ツールとコンテンツの両面で大きく進化しています。以前のバージョンの RHEL とは異なるツールを使用する必要があるかもしれませんが、システムを準拠状態に近づけるために必要なすべてのアクションを引き続き実行できます。

詳細は、新機能 - セキュリティー を参照してください。

カーネル

このリリースでは、カーネルにいくつかの重要な改善と新機能が提供されます。仮想化エクスペリエンスを強化するために、IBM Z (s390x) システム上の virtio-gpu の限定的なサポートを導入し、グラフィカル機能を拡張しました。

使いやすさとデプロイメントを改善するために、rteval ユーティリティーはコンテナー化され、さまざまな環境への統合が簡素化されました。Quay.io コンテナーレジストリーを通じて公開されているコンテナーイメージから、すべてのランタイム依存関係とともに rteval ユーティリティーを実行できます。

動的 EFIVARS pstore バックエンドがサポートされるようになりました。システムを再起動せずに、NVMeEFIVARS などのサポートされているバックエンドを切り替えることができます。

RHEL で免除された機能を有効にするために、rh_waived カーネルコマンドラインブートパラメーターがサポートされるようになりました。ただし、RHEL 10 では、免除された機能はデフォルトで無効になっています。

動的プログラミング言語、Web サーバー、およびデータベースサーバー

RHEL 10.0 では、以下の動的プログラミング言語が提供されます。

  • Python 3.12
  • Ruby 3.3
  • Node.js 22
  • Perl 5.40
  • PHP 8.3

RHEL 10.0 には、以下のバージョン制御システムが同梱されています。

  • Git 2.45
  • Subversion 1.14

RHEL 10.0 には、以下の Web サーバーが同梱されています。

  • Apache HTTP Server 2.4.62
  • nginx 1.26

以下のプロキシーキャッシュサーバーを使用できます。

  • Varnish Cache 7.4
  • Squid 6.10

RHEL 10.0 は、以下のデータベースサーバーを提供します。

  • MariaDB 10.11
  • MySQL 8.4
  • PostgreSQL 16
  • Valkey 7.2

詳細は、新機能 - 動的プログラミング言語、Web サーバー、およびデータベースサーバー を参照してください。

コンパイラーおよび開発ツール

システムツールチェーン

RHEL 10.0 では、以下のシステムツールチェインコンポーネントを利用できます。

  • GCC 14.2
  • glibc 2.39
  • Annobin 12.55
  • binutils 2.41
パフォーマンスツールおよびデバッガー

RHEL 10.0 では、以下のパフォーマンスツールおよびデバッガーが利用できます。

  • GDB 14.2
  • Valgrind 3.23.0
  • SystemTap 5.1
  • Dyninst 12.3.0
  • elfutils 0.192
  • libabigail 2.6
パフォーマンス監視ツール

RHEL 10.0 では、以下のパフォーマンス監視ツールが利用できます。

  • PCP 6.3.0
  • Grafana 10.2.6
コンパイラーツールセット

RHEL 10.0 では、以下のコンパイラーツールセットを利用できます。

  • LLVM Toolset 19.1.7
  • Rust Toolset 1.84.1
  • Go Toolset 1.23

詳しい変更点は、新機能 - コンパイラーと開発ツール を参照してください。

Identity Management

Identity Management の主なハイライト:

  • IdM サーバーは部分的にしか機能しないか、まったく機能しません。具体的には、ipa-server-dns パッケージをインストールできず、-setup-dns オプションを使用して組み込み DNS サーバーを設定することもできません。bind-dyndb-ldap およびその他の影響を受けるコンポーネントへの必要な更新が完了するまで、統合 DNS 機能は利用できません。

詳細は、既知の問題 - Identity Management を参照してください。

Web コンソール

cockpit-files パッケージによって提供される新しい ファイルブラウザー を使用すると、RHEL Web コンソールでファイルとディレクトリーを管理できます。

詳細は、新機能 - Web コンソール を参照してください。

Red Hat Enterprise Linux システムロール

10.0 RHEL システムロールの主な新機能:

  • 新しい RHEL システムロール aide を使用すると、ファイル、ディレクトリー、およびシステムバイナリーに対する不正な変更を検出できます。
  • systemd RHEL システムロールを使用すると、システムユニットに加えてユーザーユニットを管理できるようになりました。
  • ha_cluster RHEL システムロールを使用して、既存クラスターの corosync 設定をロールに戻して同じクラスターを作成できる形式でエクスポートできます。
  • podman RHEL システムロールを使用して、Pod タイプの quadlet ユニットを管理できます。
  • metrics RHEL システムロールは、Redis の代わりに Valkey をサポートするようになりました。

詳細は、新機能および機能拡張 - Red Hat Enterprise Linux システムロール を参照してください。

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