6.11. CLI ツールを使用したオーバークラウドの作成
OpenStack 環境作成における最後の段階では、openstack overcloud deploy
コマンドを実行して OpenStack 環境を作成します。このコマンドを実行する前に、キーオプションやカスタムの環境ファイルの追加方法を十分に理解しておく必要があります。
バックグラウンドプロセスとして openstack overcloud deploy
を実行しないでください。バックグラウンドのプロセスとして開始された場合にはオーバークラウドの作成は途中で停止してしまう可能性があります。
オーバークラウドのパラメーター設定
以下の表では、openstack overcloud deploy
コマンドを使用する際の追加パラメーターを一覧表示します。
パラメーター | 説明 |
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デプロイする Heat テンプレートが格納されているディレクトリー。空欄にした場合には、コマンドはデフォルトのテンプレートの場所である |
| 作成または更新するスタックの名前 |
| デプロイメントのタイムアウト (分単位)このオプションを keystone トークンのタイムアウト制限 (デフォルトでは 240 分) よりも高い値に設定しないでください。 |
| ハイパーバイザーに使用する仮想化タイプ |
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時刻の同期に使用する Network Time Protocol (NTP) サーバー。コンマ区切りリストで複数の NTP サーバーを指定することも可能です (例: |
| 環境変数 no_proxy のカスタム値を定義します。これにより、プロキシー通信から特定のホスト名は除外されます。 |
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オーバークラウドノードにアクセスする SSH ユーザーを定義します。通常、SSH アクセスは |
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オーバークラウドデプロイメントに渡す追加の環境ファイル。複数回指定することが可能です。 |
| デプロイメントに追加する環境ファイルが格納されているディレクトリー。このコマンドは、これらの環境ファイルを最初に番号順、その後にアルファベット順で処理します。 |
| オーバークラウドの作成プロセスでは、デプロイメントの前に一連のチェックが行われます。このオプションは、デプロイメント前のチェックで何らかの致命的でないエラーが発生した場合に終了します。どのようなエラーが発生してもデプロイメントが失敗するので、このオプションを使用することを推奨します。 |
| オーバークラウドの作成プロセスでは、デプロイメントの前に一連のチェックが行われます。このオプションは、デプロイメント前のチェックで何らかのクリティカルではない警告が発生した場合に終了します。 |
| オーバークラウドに対する検証チェックを実行しますが、オーバークラウドを実際には作成しません。 |
| オーバークラウドのデプロイ後の設定を省略します。 |
| オーバークラウドのデプロイ後の設定を強制的に行います。 |
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| 引数とパラメーターが記載された YAML ファイルへのパス。 |
| カスタマーポータルまたは Satellite 6 にオーバークラウドノードを登録します。 |
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オーバークラウドノードに使用する登録方法。Red Hat Satellite 6 または Red Hat Satellite 5 の場合は |
| 登録に使用する組織 |
| すでに登録済みでもシステムを登録します。 |
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オーバークラウドノードを登録する Satellite サーバーのベース URL。このパラメーターには、HTTPS URL ではなく、Satellite の HTTP URL を使用します。たとえば、https://satellite.example.com ではなく http://satellite.example.com を使用します。オーバークラウドの作成プロセスではこの URL を使用して、どのサーバーが Red Hat Satellite 5 または Red Hat Satellite 6 サーバーであるかを判断します。Red Hat Satellite 6 サーバーの場合は、オーバークラウドは |
| 登録に使用するアクティベーションキー |
環境ファイルの parameter_defaults
セクションに追加する Heat テンプレートのパラメーターの使用が優先されるため、一部のコマンドラインパラメーターは古いか非推奨となっています。以下の表では、非推奨となったパラメーターと、それに相当する Heat テンプレートのパラメーターを対照しています。
パラメーター | 説明 | Heat テンプレートのパラメーター |
---|---|---|
| スケールアウトするコントローラーノード数 |
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| スケールアウトするコンピュートノード数 |
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| スケールアウトする Ceph Storage ノードの数 |
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| スケールアウトする Cinder ノード数 |
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| スケールアウトする Swift ノード数 |
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| コントローラーノードに使用するフレーバー |
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| コンピュートノードに使用するフレーバー |
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| Ceph Storage ノードに使用するフレーバー |
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| Cinder ノードに使用するフレーバー |
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| Swift Storage ノードに使用するフレーバー |
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| フラットなネットワークが neutron プラグインで設定されるように定義します。外部ネットワークを作成ができるようにデフォルトは datacentre に設定されています。 |
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| 各ハイパーバイザーで作成する Open vSwitch ブリッジ。デフォルトは br-ex です。通常、このパラメーターを変更する必要はありません。 |
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| 使用する論理ブリッジから物理ブリッジへのマッピング。ホストの外部ブリッジ (br-ex) を物理名 (datacentre) にマッピングするようにデフォルト設定されています。これは、デフォルトの Floating ネットワークに使用されます。 |
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| ネットワークノード向けに br-ex にブリッジするインターフェイスを定義します。 |
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| Neutron のテナントネットワーク種別 |
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| neutron テナントネットワークのトンネリング種別。複数の値を指定するには、コンマ区切りの文字列を使用します。 |
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| テナントネットワークを割り当てに使用できる GRE トンネリングの ID 範囲 |
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| テナントネットワークを割り当てに使用できる VXLAN VNI の ID 範囲 |
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| サポートされる Neutron ML2 および Open vSwitch VLAN マッピングの範囲。デフォルトでは、物理ネットワーク datacentre 上の任意の VLAN を許可するように設定されています。 |
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| neutron テナントネットワークのメカニズムドライバー。デフォルトは openvswitch です。複数の値を指定するには、コンマ区切りの文字列を使用します。 |
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| VLAN で区切られたネットワークまたは neutron でのフラットネットワークを使用するためにトンネリングを無効化します。 | パラメーターのマッピングなし |
| オーバークラウドの作成プロセスでは、デプロイメントの前に一連のチェックが行われます。このオプションは、デプロイメント前のチェックで何らかの致命的なエラーが発生した場合に終了します。どのようなエラーが発生してもデプロイメントが失敗するので、このオプションを使用することを推奨します。 | パラメーターのマッピングなし |
これらのパラメーターは、Red Hat OpenStack Platform の今後のリリースで廃止される予定です。
オプションの完全一覧については、以下のコマンドを実行します。
(undercloud) $ openstack help overcloud deploy