A.11. VDSM フックの実行
before_vm_start スクリプトは、libvirt に達する前に、ドメイン XML を編集して仮想マシンの VDSM の定義を変更することができます。これを実行する際には、注意を払う必要があります。フックスクリプトは、VDSM の操作を妨げる可能性があり、スクリプトにバグがある場合には、Red Hat Virtualization 環境が停止してしまう可能性があります。特に、ドメインの UUID は決して変更しないでください。また、十分な予備知識なしには、ドメインからのデバイスの削除を試みないでください。
before_vdsm_start と after_vdsm_stop のフックスクリプトは、root ユーザーとして実行されます。システムへの root アクセスが必要なその他のフックスクリプトは、sudo
コマンドで root 権限が使用できるように記述する必要があります。これをサポートするには、/etc/sudoers を更新して、vdsm ユーザーがパスワードを再入力せずに sudo
を使用できるようにする必要があります。フックスクリプトは非対話的に実行されるため、このように設定しなければなりません。
例A.4 VDSM フックの sudo
設定
以下の例では、vdsm ユーザーが root として /bin/chown
コマンドを実行できるように sudo
コマンドを設定します。
- root として仮想化ホストにログインします。
- テキストエディターで /etc/sudoers ファイルを開きます。
ファイルに以下の行を追加します。
vdsm ALL=(ALL) NOPASSWD: /bin/chown
これは、vdsm ユーザーが root ユーザーとして
/bin/chown
コマンドを実行できるように指定しています。また、NOPASSWD
パラメーターは、sudo
を呼び出す際にユーザーがパスワードの入力を要求されないことを示しています。
この設定ファイルが変更された後には、VDSM フックは sudo
コマンドを使用して root として /bin/chown
を実行することができるようになります。以下の Python コードは、sudo
を使用して、/my_file ファイル上で root として /bin/chown
を実行します。
retcode = subprocess.call( ["/usr/bin/sudo", "/bin/chown", "root", "/my_file"] )
フックスクリプトの標準エラーは VDSM のログに収集されます。この情報は、フックスクリプトのデバッグに使用されます。