21.5. NIS から IdM への移行
既存の NIS サーバーから Identity Management(IdM) に移行するには、以下の手順が必要です。
21.5.1. IdM での netgroup エントリーの準備 リンクのコピーリンクがクリップボードにコピーされました!
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移行前に、現在の NIS サーバーで管理されているアイデンティティーの種類を特定します。
- ユーザーエントリー
- NIS によって提供されるユーザー情報を使用するアプリケーションを判定します。sudo などの一部のユーティリティーは NIS ネットグループを必要としますが、複数のユーティリティーが通常の UNIX グループを使用できます。移行は、以下の手順で実行します。
- IdM で対応するユーザーアカウントを作成します。「ユーザーエントリーの移行」を参照してください。
- さらにネットグループが必要な場合は、以下を行います。
- ネットグループを追加します。「ネットグループの追加」を参照してください。
- ユーザーをネットグループに追加します。「ネットグループエントリーの移行」を参照してください。
- ホストエントリー
- IdM でホストグループを作成すると、対応するシャドウの NIS グループが自動的に作成されます。これらのシャドウ NIS グループに ipa netgroup-* コマンドを使用しないでください。ipa netgroup-* コマンドは、netgroup-add コマンドで作成された ネイティブ の netgroups の管理にだけ使用します。
- 直接変換の場合
- すべてのユーザーエントリーとホストエントリーが同じ名前を使用する必要がある場合は、IdM で同じ名前を使用してエントリーを作成できます。
- netgroup で参照されているユーザーすべてについてエントリーを作成します。
- netgroup で参照されているホストすべてについてエントリーを作成します。
- 元の netgroup と同じ名前の netgroup を作成します。
- ユーザーとホストをこの netgroup の直接のメンバーとして追加します。ユーザーおよびホストがグループまたはホストグループのメンバーである場合は、ネットグループにこれらのグループを追加することもできます。
21.5.2. Identity Management での NIS リスナーの有効化 リンクのコピーリンクがクリップボードにコピーされました!
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「Identity Management での NIS の有効化」を参照してください。
21.5.3. 既存 NIS データのインポートおよびエクスポート リンクのコピーリンクがクリップボードにコピーされました!
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NIS サーバーには、ユーザー、グループ、ホスト、netgroups、および自動マウントマップに関する情報を追加できます。これらのエントリータイプを IdM に移行できます。
次のセクションでは、ypcat コマンドを使用して現在の NIS サーバーからデータをエクスポートし、出力を使用して、対応する ipa *-add コマンドを使用してエントリーを IdM にインポートします。
- 移行スクリプトで使用される ypcat コマンドを提供するため、
yp-tools
パッケージをインストールするようにしてください。yum install yp-tools -y
[root@nis-server ~]# yum install yp-tools -y
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21.5.3.1. ユーザーエントリーの移行 リンクのコピーリンクがクリップボードにコピーされました!
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NIS の
passwd
マップには、名前、UID、プライマリーグループ、GECOS、シェル、ホームディレクトリーなどのユーザーに関する情報が含まれます。このデータを使用して、NIS ユーザーアカウントを IdM に移行します。
- オプション: パスワード強度の弱いパスワードに対応する必要がある場合には、「NIS ユーザー認証用の脆弱なパスワードハッシュ化の有効化」 を参照してください。
- 以下の内容で
/root/nis-users.sh
スクリプトを作成します。Copy to Clipboard Copied! Toggle word wrap Toggle overflow - IdM
admin
ユーザーとして認証します。kinit admin
[root@nis-server ~]# kinit admin
Copy to Clipboard Copied! Toggle word wrap Toggle overflow - スクリプトを実行します。以下に例を示します。
sh /root/nis-users.sh nisdomain nis-master.example.com
[root@nis-server ~]# sh /root/nis-users.sh nisdomain nis-master.example.com
Copy to Clipboard Copied! Toggle word wrap Toggle overflow 注記このスクリプトは、名、姓にハードコードされた値を使用し、パスワードをpassw0rd1
に設定します。ユーザーは、次回ログイン時に一時パスワードを変更する必要があります。
21.5.3.2. グループエントリーの移行 リンクのコピーリンクがクリップボードにコピーされました!
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NIS
グループ
マップには、グループ名、GID、グループメンバーなどのグループ情報が含まれます。このデータを使用して、NIS グループを IdM に移行します。
- 以下の内容で
/root/nis-groups.sh
スクリプトを作成します。Copy to Clipboard Copied! Toggle word wrap Toggle overflow - IdM
admin
ユーザーとして認証します。kinit admin
[root@nis-server ~]# kinit admin
Copy to Clipboard Copied! Toggle word wrap Toggle overflow - スクリプトを実行します。以下に例を示します。
sh /root/nis-groups.sh nisdomain nis-master.example.com
[root@nis-server ~]# sh /root/nis-groups.sh nisdomain nis-master.example.com
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21.5.3.3. ホストエントリーの移行 リンクのコピーリンクがクリップボードにコピーされました!
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NIS
ホスト
マップには、ホスト名や IP アドレスなどのホストに関する情報が含まれます。このデータを使用して、NIS ホストエントリーを IdM に移行します。
- 以下の内容で
/root/nis-hosts.sh
スクリプトを作成します。Copy to Clipboard Copied! Toggle word wrap Toggle overflow - IdM
admin
ユーザーとして認証します。kinit admin
[root@nis-server ~]# kinit admin
Copy to Clipboard Copied! Toggle word wrap Toggle overflow - スクリプトを実行します。以下に例を示します。
sh /root/nis-hosts.sh nisdomain nis-master.example.com
[root@nis-server ~]# sh /root/nis-hosts.sh nisdomain nis-master.example.com
Copy to Clipboard Copied! Toggle word wrap Toggle overflow 注記このスクリプトでは、エイリアスなどの特別なホスト設定は移行されません。
21.5.3.4. ネットグループエントリーの移行 リンクのコピーリンクがクリップボードにコピーされました!
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NIS
netgroup
マップには、netgroup に関する情報が含まれます。このデータを使用して、NIS ネットグループを IdM に移行します。
- 以下の内容で
/root/nis-netgroups.sh
スクリプトを作成します。Copy to Clipboard Copied! Toggle word wrap Toggle overflow - IdM
admin
ユーザーとして認証します。kinit admin
[root@nis-server ~]# kinit admin
Copy to Clipboard Copied! Toggle word wrap Toggle overflow - スクリプトを実行します。以下に例を示します。
sh /root/nis-netgroups.sh nisdomain nis-master.example.com
[root@nis-server ~]# sh /root/nis-netgroups.sh nisdomain nis-master.example.com
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21.5.3.5. 自動マウントマップの移行 リンクのコピーリンクがクリップボードにコピーされました!
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自動マウントマップは、場所 (親エントリー)、関連のキー、およびマップを定義する入れ子および相互関連のエントリーです。NIS 自動マウントマップを IdM に移行するには、以下を実行します。
- 以下の内容で
/root/nis-automounts.sh
スクリプトを作成します。Copy to Clipboard Copied! Toggle word wrap Toggle overflow このスクリプトでは、NIS 自動マウント情報のエクスポート、自動マウントの場所と関連マップの LDAP データ交換形式 (LDIF) の生成、IdM Directory Server への LDIF ファイルのインポートが行われます。詳細は、「自動マウントマップの NIS クライアントへの公開」を参照してください。 - IdM
admin
ユーザーとして認証します。kinit admin
[root@nis-server ~]# kinit admin
Copy to Clipboard Copied! Toggle word wrap Toggle overflow - スクリプトを実行します。以下に例を示します。
sh /root/nis-automounts.sh location nisdomain \ nis-master.example.com map_name
[root@nis-server ~]# sh /root/nis-automounts.sh location nisdomain \ nis-master.example.com map_name
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21.5.4. NIS ユーザー認証用の脆弱なパスワードハッシュ化の有効化 リンクのコピーリンクがクリップボードにコピーされました!
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Directory Server コンポーネントのデフォルト設定を使用すると、
userPassword
属性に保存されているパスワードはソルトでセキュア化されたハッシュアルゴリズム (SSHA) を使用してハッシュ化されます。NIS クライアントにパスワードの弱いハッシュアルゴリズムが必要な場合は、パスワードストレージスキーム設定を更新します。
弱いパスワードハッシュスキームを有効にすると、
userPassword
属性に保存されているパスワードのみが影響を受けます。Kerberos はこの属性を使用しないため、Kerberos 暗号化はこの設定の影響を受けません。
たとえば、
CRYPT
ハッシュ化されたパスワードを有効にするには、以下を実行します。
ldapmodify -D "cn=Directory Manager" -W -p 389 -h ipaserver.example.com -x
[root@server ~]# ldapmodify -D "cn=Directory Manager" -W -p 389 -h ipaserver.example.com -x
dn: cn=config
changetype: modify
replace: passwordStorageScheme
passwordStorageScheme: crypt
注記
パスワードハッシュは復号できないため、Directory Server は既存のパスワードハッシュを変換しません。サーバーは、ストレージスキームの変更後に設定したパスワードにのみ新しいパスワードストレージを適用します。