4.4. ロギング属性


4.4.1. ログレベルについて

ログレベルとは、ログメッセージの性質と重大度を示す列挙値の順序付けされたセットです。特定ログメッセージのレベルは、そのメッセージを送信するために選択したロギングフレームワークの適切なメソッドを使用して開発者が指定します。
Red Hat JBoss Data Grid は、サポート対象のアプリケーションロギングフレームワークによって使用されるすべてのログレベルをサポートします。最も一般的に使用される 6 つのログレベルは次のとおりです (重大度の低いものから順に記載)。
  1. TRACE
  2. DEBUG
  3. INFO
  4. WARN
  5. ERROR
  6. FATAL
ログレベルはログカテゴリーとログハンドラーによって使用され、それらが対象とするメッセージを限定します。各ログレベルには、他のログレベルとの相対的な順序を示す数値が割り当てられます。ログカテゴリーとハンドラーにはログレベルが割り当てられ、その数値以上のログメッセージのみを処理します。たとえば、WARN レベルのログハンドラーは、WARNERROR、および FATAL レベルのメッセージのみを記録します。

4.4.2. サポート対象のログレベル

以下の表は Red Hat JBoss Data Grid でサポートされるログレベルの一覧になります。ログレベル、ログレベルの値、および説明が記載されています。ログレベルの値は、他のログレベルに対する相対的な値になります。フレームワークが異なるとログレベルの名前が異なることがありますが、ログの値はこの一覧と一致します。
表4.2 サポート対象のログレベル
ログレベル 説明
FINEST 300 -
FINER 400 -
TRACE 400 アプリケーションの実行状態について詳細な情報を提供するメッセージに使用されます。TRACE レベルが有効な状態でサーバーが実行されている時に TRACE レベルのログメッセージがキャプチャーされます。
DEBUG 500 個々の要求の進捗やアプリケーションのアクティビティーを示すメッセージに使用されます。DEBUG レベルが有効な状態でサーバーが実行されている時に DEBUG レベルのログメッセージがキャプチャーされます。
FINE 500 -
CONFIG 700 -
INFO 800 アプリケーションの全体的な進捗を示すメッセージに使用されます。アプリケーションの起動やシャットダウン、その他の主なライフサイクルイベントに対して使用されます。
WARN 900 エラーではないが、理想的とは見なされない状況を示すために使用されます。将来的にエラーをもたらす可能性のある状況を示します。
WARNING 900 -
ERROR 1000 発生したエラーの中で、現在のアクティビティーや要求の完了を妨げる可能性があるが、アプリケーション実行の妨げにはならないエラーを示すために使用されます。
SEVERE 1000 -
FATAL 1100 重大なサービス障害を引き起こしたり、アプリケーションをシャットダウンしたり、場合によっては JBoss Data Grid をシャットダウンしたりする可能性があるイベントを示すために使用されます。

4.4.3. ログカテゴリーについて

ログカテゴリーは、キャプチャーするログメッセージのセットと、メッセージを処理する 1 つまたは複数のログハンドラーを定義します。
キャプチャーするログメッセージは、元の Java パッケージとログレベルによって定義されます。そのパッケージ内のクラスからのメッセージおよびそのログレベル以上の (数値がその値以上の) メッセージがログカテゴリーによってキャプチャーされ、指定のログハンドラーに送信されます。たとえば、WARNING ログレベルでは、9001000、および 1100 のログの値がキャプチャーされます。
ログカテゴリーは、独自のハンドラーの代わりにルートロガーのログハンドラーを任意で使用することができます。

4.4.4. ルートロガーについて

ルートロガーは、サーバーに送信された (指定レベルの) ログメッセージの中でログカテゴリーによってキャプチャーされないすべてのログメッセージをキャプチャーします。これらのメッセージは単一または複数のハンドラーに送信されます。
デフォルトでは、ルートロガーはコンソールおよび定期ログハンドラーを使用するように設定されています。定期ログハンドラーは、server.log ファイルに書き込むように設定されています。このファイルはサーバーログと呼ばれる場合もあります。

4.4.5. ログハンドラーについて

ログハンドラーは、キャプチャーされたログメッセージがどのように Red Hat JBoss Data Grid によって記録されるかを定義します。JBoss Data Grid で設定可能な 6 種類のログハンドラーは次のとおりです。
  • Console
  • File
  • Periodic
  • Size
  • Async
  • Custom
ログハンドラーは、指定されたログオブジェクトをさまざまな出力 (コンソールまたは指定されたログファイルを含む) に配信します。JBoss Data Grid で使用される一部のログハンドラーは、他のログハンドラーの動作を送信するために使用されるラッパーログハンドラーです。
ログハンドラーは、ソートを容易にするためにログ出力を特定のファイルに送信したり、特定の間隔でログを書き込むために使用されます。ログハンドラーは主として、必要なログの種類や、それらが保存または表示される場所、または JBoss Data Grid におけるロギング動作を指定するのに役立ちます。

4.4.6. ログハンドラーのタイプ

以下の表は、Red Hat JBoss Data Grid で利用可能なログハンドラーの各種タイプのリストです。
表4.3 ログハンドラーのタイプ
ログハンドラーのタイプ 説明 ユースケース
コンソール (Console) コンソールログハンドラーは、ログメッセージをホストオペレーティングシステムの標準出力 (stdout) または標準エラー (stderr) ストリームに書き込みます。これらのメッセージは、JBoss Data Grid がコマンドラインプロンプトから実行される場合に表示されます。 コンソールログハンドラーは、JBoss Data Grid がコマンドラインを使って管理されている場合に推奨されます。この場合、コンソールログハンドラーからのメッセージは、オペレーティングシステムが標準出力や標準エラーストリームをキャプチャーするように設定されていない限り、保存されません。
ファイル (File) ファイルログハンドラーは最も単純なログハンドラーです。主に、ログメッセージを指定のファイルへ書き込むために使用されます。 ファイルログハンドラーは、時間に基づいてすべてのログエントリーを 1 つの場所に保存することが要件である場合に最も役に立ちます。
定期 (Periodic) 定期ファイルハンドラーは、指定した時間が経過するまで、ログメッセージを指定ファイルに書き込みます。その時間が経過した後は、指定のタイムスタンプがファイル名に追加されます。その後、ハンドラーは元の名前で新たに作成されたログファイルへの書き込みを継続します。 定期ファイルハンドラーは、環境の要件に応じて、週ごと、日ごと、時間ごと、またはその他の単位ごとにログメッセージを蓄積するために使用することができます。
サイズ (Size) サイズログハンドラーは、指定のファイルが指定サイズに到達するまで、そのファイルにログメッセージを書き込みます。ファイルが指定のサイズに到達すると、名前に数値のプレフィックスを追加して名前が変更され、ハンドラーは元の名前で新規に作成されたログファイルへの書き込みを継続します。各サイズログハンドラーは、このような方式で保管されるファイルの最大数を指定する必要があります。 サイズハンドラーは、ログファイルのサイズが一致している必要のある環境に最も適しています。
非同期 (Async) 非同期ログハンドラーは、単一または複数の他のログハンドラーを対象とする非同期動作を提供するラッパーログハンドラーです。非同期ログハンドラーは、待ち時間が長かったり、ネットワークファイルシステムへのログファイルの書き込みなどの他のパフォーマンス上の問題があるログハンドラーに対して有用です。 非同期ログハンドラーは、待ち時間が長いことが問題になる環境や、ネットワークファイルシステムへログファイルを書き込む際に最も適しています。
カスタム (Custom) カスタムログハンドラーにより、実装されている新たなタイプのログハンドラーを設定することが可能になります。カスタムハンドラーは、java.util.logging.Handler を拡張する Java クラスとして実装し、モジュール内に格納する必要があります。 カスタムログハンドラーは、ログハンドラーのカスタマイズしたタイプを作成するもので、高度なユーザー用として推奨されます。

4.4.7. ログハンドラーの選択

以下は、Red Hat JBoss Data Grid で利用可能なログハンドラーのそれぞれのタイプについての最も一般的な使用例です。
  • コンソール (Console) ログハンドラーは、JBoss Data Grid がコマンドラインを使って管理される場合に推奨されます。このような場合、エラーやログメッセージはコンソールウィンドウに表示され、保存されるように別途設定されない限り保存されません。
  • ファイル (File) ログハンドラーは、ログエントリーを指定のファイルに送信するために使用されます。この単純なログハンドラーは、時間に基づいてすべてのログエントリーを 1 つの場所に保存することが要件である場合に役に立ちます。
  • 定期 (Periodic) ログハンドラーは、ファイル (File) ハンドラーと似ていますが、指定された期間に応じてファイルを作成します。例として、このハンドラーは環境の要件に応じて、週ごと、日ごと、時間ごと、またはその他の単位ごとにログメッセージを蓄積するために使用することができます。
  • サイズ (Size) ログハンドラーも、指定されたファイルにログメッセージを書き込みますが、ログファイルのサイズが指定の制限内にある場合にのみ、これが実行されます。ファイルサイズが指定したサイズまで達すると、ログファイルは新規のログファイルに書き込まれます。このハンドラーは、ログファイルのサイズに一貫性が必要な環境に最も適しています。
  • 非同期 (Async) ログハンドラーは、他のログハンドラーが非同期に動作するように強制するラッパーです。このログハンドラーは、待ち時間が長いことが問題となる環境や、ネットワークファイルシステムへの書き込み時に最も適しています。
  • カスタム (Custom) ログハンドラーは、新規のカスタマイズされたタイプのログハンドラーを作成します。これは高度なログハンドラーです。

4.4.8. ログフォーマッターについて

ログフォーマッターは、ログハンドラーの設定プロパティーで、関連するログハンドラーから発信されるログメッセージの外観を定義します。ログフォーマッターは java.util.Formatter クラスと同じ構文を使用する文字列です。
さらに詳しくは、http://docs.oracle.com/javase/6/docs/api/java/util/Formatter.html を参照してください。
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