4.4.14.3. cling 割り当てポリシーを使用した論理ボリュームの拡張


LVM ボリュームを拡張する際には、lvextend コマンドの --alloc cling オプションを使用して、cling 割り当てポリシーを指定することができます。このポリシーによって、同一の物理ボリューム上の領域が、既存の論理ボリュームの最終セグメントとして選択されます。物理ボリューム上に十分な領域がなく、タグの一覧が lvm.conf ファイル内で定義されている場合には、LVM は、その物理ボリュームにいずれかのタグが付けられているかを確認し、既存エクステントと新規エクステント間で、物理ボリュームのタグを適合させようとします。
たとえば、ご使用の論理ボリュームが単一のボリュームグループ内の 2 サイト間でミラー化されている場合、それらの場所に応じて、物理ボリュームにタグ付けすることができます。この場合、物理ボリュームに @site1 や @site2 というタグを付けて、lvm.conf ファイル内に以下の行を指定します。
cling_tag_list = [ "@site1", "@site2" ]
物理ボリュームのタグ付けに関する情報は、付録C LVM オブジェクトタグ を参照してください。
以下の例では、lvm.conf ファイルが変更されて、次のような行が追加されています。
cling_tag_list = [ "@A", "@B" ]
また、この例では、/dev/sdb1/dev/sdc1/dev/sdd1/dev/sde1/dev/sdf1/dev/sdg1、および /dev/sdh1 の物理ボリュームで構成されるボリュームグループ taft が作成されています。これらの物理ボリュームには、AB および C のタグが付けられています。この例では、C のタグは使用されていませんが、LVM がタグを使用して、ミラーレッグに使用する物理ボリュームを選択することを示しています。
# pvs -a -o +pv_tags /dev/sd[bcdefgh]1
  PV         VG   Fmt  Attr PSize   PFree   PV Tags
  /dev/sdb1  taft lvm2 a-   135.66g 135.66g A
  /dev/sdc1  taft lvm2 a-   135.66g 135.66g B
  /dev/sdd1  taft lvm2 a-   135.66g 135.66g B
  /dev/sde1  taft lvm2 a-   135.66g 135.66g C
  /dev/sdf1  taft lvm2 a-   135.66g 135.66g C
  /dev/sdg1  taft lvm2 a-   135.66g 135.66g A
  /dev/sdh1  taft lvm2 a-   135.66g 135.66g A
以下のコマンドは、ボリュームグループ taft から 100GB のミラー化ボリュームを作成します。
# lvcreate -m 1 -n mirror --nosync -L 100G taft
以下のコマンドは、ミラーレッグおよびミラーログに使用されるデバイスを表示します。
# lvs -a -o +devices
  LV                VG        Attr   LSize   Log         Copy%  Devices
  mirror            taft      Mwi-a- 100.00g mirror_mlog 100.00
mirror_mimage_0(0),mirror_mimage_1(0)
  [mirror_mimage_0] taft      iwi-ao 100.00g                    /dev/sdb1(0)
  [mirror_mimage_1] taft      iwi-ao 100.00g                    /dev/sdc1(0)
  [mirror_mlog]     taft      lwi-ao   4.00m                    /dev/sdh1(0)
以下のコマンドは、ミラー化ボリュームのサイズを拡張します。cling 割り当てポリシーを使用して、同じタグが付いた物理ボリュームを使用してミラーレッグが拡張される必要があることを示します。
# lvextend --alloc cling -L +100G taft/mirror
  Extending 2 mirror images.
  Extending logical volume mirror to 200.00 GiB
  Logical volume mirror successfully resized
以下に表示したコマンドは、レッグと同一のタグが付いた物理ボリュームを使用してミラーレッグが拡張されているのを示しています。C のタグが付いた物理ボリュームは無視される点に注意してください。
# lvs -a -o +devices
  LV                VG        Attr   LSize   Log         Copy%  Devices
  mirror            taft      Mwi-a- 200.00g mirror_mlog  50.16
mirror_mimage_0(0),mirror_mimage_1(0)
  [mirror_mimage_0] taft      Iwi-ao 200.00g                    /dev/sdb1(0)
  [mirror_mimage_0] taft      Iwi-ao 200.00g                    /dev/sdg1(0)
  [mirror_mimage_1] taft      Iwi-ao 200.00g                    /dev/sdc1(0)
  [mirror_mimage_1] taft      Iwi-ao 200.00g                    /dev/sdd1(0)
  [mirror_mlog]     taft      lwi-ao   4.00m                    /dev/sdh1(0)
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