2.3.6. スナップショットボリューム


LVM スナップショット機能により、サービスを中断せずに任意の時点でデバイスの仮想イメージを作成することができます。スナップショットの取得後に複製元のデバイスに変更が加えられた場合、このスナップショット機能により、データが変更される前に変更部分のコピーを作成してデバイスの状態を再構築できます。

注記

Red Hat Enterprise Linux 6.4 リリースでは、LVM はシンプロビジョニングされたスナップショットをサポートします。シンプロビジョニングされたスナップショットボリュームの詳細は、「シンプロビジョニングされたスナップショットボリューム」 を参照してください。

注記

LVM スナップショットは、クラスター内のノード全体ではサポートされていません。クラスター化されたボリュームグループ内ではスナップショットボリュームを作成できません。
スナップショットは、スナップショットが作成された後に変更されたデータ部分のみをコピーするため、スナップショット機能に必要なストレージの容量は最小限で済みます。たとえば、複製元がまれにしか更新されない場合、その容量の 3-5 % だけで十分にスナップショットを維持することができます。

注記

ファイルシステムのスナップショットコピーは仮想コピーであり、ファイルシステム用の実際のメディアバックアップではありません。スナップショットはバックアップ手順の代替となるものを提供する訳ではありません。
スナップショットのサイズによって、複製元のボリュームへの変更を保管するために確保するスペースの量が左右されます。たとえば、スナップショットを作成後に複製元を完全に上書きした場合に、その変更を保管するには、スナップショットが最低でも複製元のボリュームと同じサイズである必要があります。スナップショットのサイズは、予想される変更レベルに応じて決定する必要があります。たとえば、/usr などの、ほとんど読み取り用に使用されるボリュームの短期的なスナップショットには、/home のように大量の書き込みが行われるボリュームの長期的なスナップショットほどにはスペースを必要としません。
スナップショットが満杯になると、そのスナップショットは無効になります。これは、複製元のボリューム上の変更を追跡できなくなるためです。スナップショットのサイズは常時監視する必要があります。ただし、スナップショットは完全にサイズ変更可能のため、ストレージに余裕があれば、スナップショットのボリュームサイズを拡大してそれが停止することを防止できます。逆に、スナップショットボリュームのサイズが必要以上に大きい場合は、そのボリュームのサイズを縮小して、他の論理ボリューム用に必要となる領域を開放することができます。
スナップショットファイルシステムを作成すると、複製元への完全な読み取り/書き込みのアクセスがそのまま残ります。スナップショット上のチャンクが変更された場合、そのチャンクはマーク付けされ、そこには複製元のボリュームのコピーは入りません。
スナップショット機能にはいくつかの用途があります。
  • 最も一般的な用途は、継続的にデータを更新している稼動中のシステムを停止せずに、論理ボリューム上でバックアップを実行する必要がある場合のスナップショット作成です。
  • スナップショットファイルシステム上で fsck コマンドを実行すると、ファイルシステムの整合性をチェックして、元のファイルシステムが修復を必要とするかどうかを判断することができます。
  • スナップショットは読み取り/書き込み用のため、スナップショットを取ってそのスナップショットに対してテストを実行することにより、実際のデータに触れることなく実稼働データに対するアプリケーションのテストを実行できます。
  • LVM ボリュームを作成して、Red Hat の仮想化と併用することが可能です。LVM スナップショットを使用して、仮想ゲストイメージのスナップショットを作成することができます。これらのスナップショットは、最小限のストレージを使用して、既存のゲストの変更や新規ゲストの作成を行う上で利便性の高い方法を提供します。Red Hat Virtualization による LVM ベースのストレージプールの作成についての詳細は、『仮想化管理ガイド』 を参照してください。
スナップショットボリュームの作成に関する情報は、「ミラー化ボリュームの作成」 を参照してください。
Red Hat Enterprise Linux 6 リリースでは、lvconvert--merge オプションを使用して、スナップショットを複製元のボリュームにマージすることが可能です。この機能の用途の 1 つとして挙げられるのはシステムロールバックの実行であり、データやファイルを紛失した場合やその他の場合にシステムを以前の状態に復元する必要がある場合に実行されます。スナップショットボリュームのマージの結果作成される論理ボリュームには、複製元のボリューム名、マイナー番号、UUID が付けられ、マージされたスナップショットは削除されます。このオプションの使用方法についての情報は、 「スナップショットボリュームのマージ」 を参照してください。
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