14.4. strict モード
fips-mode
オプションがあります。fips
機能が有効になっている場合、これは自動的に non-strict
に設定されます。これは、BCFIPS が "非承認モード" で実行されることを意味します。よりセキュアな代替方法として、--features=fips --fips-mode=strict
を使用できます。この場合、BouncyCastle FIPS は "承認モード" を使用します。このオプションを使用すると、暗号化とセキュリティーアルゴリズムに対するセキュリティー要件が厳しくなります。
strict モードでは、デフォルトのキーストアタイプ (およびデフォルトのトラストストアタイプ) は BCFKS です。別のキーストアタイプを使用する場合は、オプション --https-key-store-type
を使用して適切なタイプを指定する必要があります。トラストストアを使用する場合も、同様のコマンドが必要になる場合があります。
サーバーを起動すると、起動ログに次のような Approved Mode
に関する注釈とともに KC
プロバイダーが含まれていることを確認できます。
KC(BCFIPS version 1.000203 Approved Mode, FIPS-JVM: enabled) version 1.0 - class org.keycloak.crypto.fips.KeycloakFipsSecurityProvider,
14.4.1. strict モードでの暗号化の制限
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前のセクションで説明したように、strict モードは
pkcs12
キーストアでは機能しない可能性があります。前述のように、別のキーストア (bcfks
など) を使用する必要があります。また、strict モードを使用している場合、jks
およびpkcs12
キーストアは Red Hat build of Keycloak ではサポートされません。たとえば、管理コンソールの OIDC または SAML クライアントのキーストア、もしくはレルムキーのava-keystore
プロバイダーのキーストアのインポートや生成などです。 -
ユーザーパスワードは、14 文字以上でなければなりません。Red Hat build of Keycloak は、デフォルトで PBKDF2 ベースのパスワードエンコーディングを使用します。BCFIPS 承認モードでは、PBKDF2 アルゴリズムを使用した 112 ビット (実質的には 14 文字) 以上のパスワードが必要です。それよりも短いパスワードを許可する場合は、SPI
password-hashing
のプロバイダーpbkdf2-sha256
のプロパティーmax-padding-length
で値を 14 に設定して、このアルゴリズムによって作成されたハッシュの検証時に追加のパディングを提供します。この設定は、以前に保存されたパスワードとの下位互換性もあります。たとえば、ユーザーのデータベースが非 FIPS 環境にあり、パスワードが短く、承認モードで BCFIPS を使用して Red Hat build of Keycloak でパスワードを検証する場合、そのパスワードは機能するはずです。したがって、サーバーの起動時に次のようなオプションを効果的に使用できます。
--spi-password-hashing-pbkdf2-sha256-max-padding-length=14
上記のオプションを使用しても、FIPS 準拠は損なわれません。いずれにせよ、パスワードは長くすることが推奨されます。たとえば、最新のブラウザーで自動生成されるパスワードは 14 文字を超えるため、この要件に一致します。
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1024 ビットの RSA キーは機能しません (最小は 2048)。これは、Red Hat build of Keycloak レルム自体が使用するキー (管理コンソールの
Keys
のレルムキー) だけでなく、クライアントキーと IDP キーにもあてはまります。 -
HMAC SHA-XXX キーは、112 ビット (または 14 文字) 以上でなければなりません。たとえば、OIDC クライアントをクライアント認証
Signed Jwt with Client Secret
(OIDC 表記ではclient-secret-jwt
) で使用する場合、クライアントシークレットの長さは 14 文字以上である必要があります。優れたセキュリティーを確保するには、この要件が必ず満たされるように、Red Hat build of Keycloak サーバーによって生成されたクライアントシークレットを使用することを推奨します。