14.8. IBM Z の仮想マシンへの DASD デバイスの割り当て


vfio-ccw 機能を使用すると、直接アクセスストレージデバイス (DASD) を仲介デバイスとして IBM Z ホスト上の仮想マシンに割り当てることができます。これにより、たとえば仮想マシンは z/OS データセットにアクセスできるか、割り当てられた DASD を z/OS マシンに提供できるようになります。

前提条件

  • FICON プロトコルでサポートされる IBM Z ハードウェアアーキテクチャーを備えたシステムがある。
  • Linux オペレーティングシステムのターゲット仮想マシンがある。
  • driverctl パッケージがインストールされている。

    # dnf install driverctl
  • ホストに必要な vfio カーネルモジュールがロードされている。

    # lsmod | grep vfio

    このコマンドの出力には、以下のモジュールが含まれている必要があります。

    • vfio_ccw
    • vfio_mdev
    • vfio_iommu_type1
  • 仮想マシンによる排他的使用のために予備の DASD デバイスがあり、そのデバイスの識別子を把握している。

    次の手順では、例として 0.0.002c を使用しています。コマンドを実行する場合は、0.0.002c を DASD デバイスーの ID に置き換えます。

手順

  1. DASD デバイスのサブチャネル識別子を取得します。

    # lscss -d 0.0.002c
    Device   Subchan.  DevType CU Type Use  PIM PAM POM  CHPIDs
    ----------------------------------------------------------------------
    0.0.002c 0.0.29a8  3390/0c 3990/e9 yes  f0  f0  ff   02111221 00000000

    この例では、サブチャンネル ID は 0.0.29a8 として検出されます。以下のコマンドでは、0.0.29a8 を、検出されたデバイスのサブチャンネル ID に置き換えます。

  2. 前の手順の lscss コマンドでヘッダー出力のみが表示され、デバイスインフォメーションが表示されない場合は、以下の手順を実行します。

    1. cio_ignore リストからデバイスを削除します。

      # cio_ignore -r 0.0.002c
    2. ゲスト OS で、仮想マシンの edit the kernel command line を編集し、! マークを使用して、cio_ignore= で始まる行にデバイス識別子を追加します (まだ存在しない場合)。

      cio_ignore=all,!condev,!0.0.002c
    3. ホストで手順 1 を繰り返し、サブチャネル識別子を取得します。
  3. サブチャネルは vfio_ccw パススルードライバーにバインドします。

    # driverctl -b css set-override 0.0.29a8 vfio_ccw
    注記

    これにより、0.0.29a8 サブチャンネルが vfio_ccw に永続的にバインドされます。つまり、DASD はホストコンピューターでは使用できなくなります。ホストでデバイスを使用する必要がある場合は、まず 'vfio_ccw' への自動バインディングを削除し、サブチャンネルをデフォルトドライバーに再バインドする必要があります。

    # driverctl -b css unset-override 0.0.29a8

  4. DASD 仲介デバイスを定義して起動します。

    # cat nodedev.xml
    <device>
        <parent>css_0_0_29a8</parent>
        <capability type="mdev">
            <type id="vfio_ccw-io"/>
        </capability>
    </device>
    
    # virsh nodedev-define nodedev.xml
    Node device 'mdev_30820a6f_b1a5_4503_91ca_0c10ba12345a_0_0_29a8' defined from 'nodedev.xml'
    
    # virsh nodedev-start mdev_30820a6f_b1a5_4503_91ca_0c10ba12345a_0_0_29a8
    Device mdev_30820a6f_b1a5_4503_91ca_0c10ba12345a_0_0_29a8 started
  5. 実行中の場合は、仮想マシンをシャットダウンします。
  6. 以前に定義したデバイスの UUID を表示し、次の手順のために保存します。

    # virsh nodedev-dumpxml mdev_30820a6f_b1a5_4503_91ca_0c10ba12345a_0_0_29a8
    
    <device>
      <name>mdev_30820a6f_b1a5_4503_91ca_0c10ba12345a_0_0_29a8</name>
      <parent>css_0_0_29a8</parent>
      <capability type='mdev'>
        <type id='vfio_ccw-io'/>
        <uuid>30820a6f-b1a5-4503-91ca-0c10ba12345a</uuid>
        <iommuGroup number='0'/>
        <attr name='assign_adapter' value='0x02'/>
        <attr name='assign_domain' value='0x002b'/>
      </capability>
    </device>
  7. 仲介デバイスを仮想マシンに接続します。これを行うには、virsh edit ユーティリティーを使用して仮想マシンの XML 設定を編集し、以下のセクションを XML に追加します。uuid の値は、前の手順で取得した UUID に置き換えます。

    <hostdev mode='subsystem' type='mdev' model='vfio-ccw'>
      <source>
        <address uuid="30820a6f-b1a5-4503-91ca-0c10ba12345a"/>
      </source>
    </hostdev>
  8. オプション: ホストの起動時に仲介デバイスが自動的に起動するように設定します。

    # virsh nodedev-autostart mdev_30820a6f_b1a5_4503_91ca_0c10ba12345a_0_0_29a8

検証

  1. 仲介デバイスが正しく設定されていることを確認します。

    # virsh nodedev-info mdev_30820a6f_b1a5_4503_91ca_0c10ba12345a_0_0_29a8
    Name:           mdev_30820a6f_b1a5_4503_91ca_0c10ba12345a_0_0_29a8
    Parent:         css_0_0_0121
    Active:         yes
    Persistent:     yes
    Autostart:      yes
  2. libvirt が仲介 DASD デバイスに割り当てた識別子を取得します。これを行うには、仮想マシンの XML 設定を表示して、vfio-ccw デバイスを見つけます。

    # virsh dumpxml vm-name
    
    <domain>
    [...]
        <hostdev mode='subsystem' type='mdev' managed='no' model='vfio-ccw'>
          <source>
            <address uuid='10620d2f-ed4d-437b-8aff-beda461541f9'/>
          </source>
          <alias name='hostdev0'/>
          <address type='ccw' cssid='0xfe' ssid='0x0' devno='0x0009'/>
        </hostdev>
    [...]
    </domain>

    この例では、デバイスに割り当てられた識別子は 0.0.0009 です。

  3. 仮想マシンを起動し、ゲスト OS にログインします。
  4. ゲスト OS で、DASD デバイスがリストされていることを確認します。以下に例を示します。

    # lscss | grep 0.0.0009
    0.0.0009 0.0.0007  3390/0c 3990/e9      f0  f0  ff   12212231 00000000
  5. ゲスト OS で、デバイスをオンラインに設定します。以下に例を示します。

    # chccwdev -e 0.0009
    Setting device 0.0.0009 online
    Done
Red Hat logoGithubRedditYoutubeTwitter

詳細情報

試用、購入および販売

コミュニティー

Red Hat ドキュメントについて

Red Hat をお使いのお客様が、信頼できるコンテンツが含まれている製品やサービスを活用することで、イノベーションを行い、目標を達成できるようにします。

多様性を受け入れるオープンソースの強化

Red Hat では、コード、ドキュメント、Web プロパティーにおける配慮に欠ける用語の置き換えに取り組んでいます。このような変更は、段階的に実施される予定です。詳細情報: Red Hat ブログ.

会社概要

Red Hat は、企業がコアとなるデータセンターからネットワークエッジに至るまで、各種プラットフォームや環境全体で作業を簡素化できるように、強化されたソリューションを提供しています。

© 2024 Red Hat, Inc.