2.2. IBM Z での仮想化の有効化
KVM ハイパーバイザーを設定し、RHEL 9 を実行している IBM Z システムで仮想マシンを作成するには、以下の手順に従います。
前提条件
最低でも、以下のシステムリソースが利用できる。
- ホスト用に 6 GB と、各仮想マシン用に 6 GB の空きディスク容量。
- ホスト用に 2 GB と、各仮想マシン用に 2 GB の RAM。
- ホスト上の 4 つの CPU通常、仮想マシンは、割り当てられた 1 つの vCPU で実行できますが、Red Hat は、高負荷時に仮想マシンが応答しなくならないように、仮想マシンごとに 2 つ以上の vCPU を割り当てることを推奨します。
- IBM Z ホストシステムでは、z13 以降の CPU を使用している。
RHEL 9 が論理パーティション (LPAR) にインストールされている。また、LPAR が start-interpretive execution (SIE) 仮想機能に対応している。
これを確認するには、
/proc/cpuinfo
ファイルでsie
を検索します。# grep sie /proc/cpuinfo features : esan3 zarch stfle msa ldisp eimm dfp edat etf3eh highgprs te sie
手順
仮想化パッケージをインストールします。
# dnf install qemu-kvm libvirt virt-install
仮想化サービスを起動します。
# for drv in qemu network nodedev nwfilter secret storage interface; do systemctl start virt${drv}d{,-ro,-admin}.socket; done
検証
システムが仮想ホストとして準備されていることを確認します。
# virt-host-validate [...] QEMU: Checking if device /dev/kvm is accessible : PASS QEMU: Checking if device /dev/vhost-net exists : PASS QEMU: Checking if device /dev/net/tun exists : PASS QEMU: Checking for cgroup 'memory' controller support : PASS QEMU: Checking for cgroup 'memory' controller mount-point : PASS [...]
virt-host-validate のすべての項目で
PASS
値が返された場合は、システムに 仮想マシンを作成する 準備ができています。いずれかの項目で
FAIL
が返された場合は、表示される指示に従って問題を解決してください。いずれかの項目で
WARN
が返された場合は、表示される指示に従って仮想化機能を向上させることを検討してください。
トラブルシューティング
KVM 仮想化がホスト CPU でサポートされていない場合は、virt-host-validate は以下の出力を生成します。
QEMU: Checking for hardware virtualization: FAIL (Only emulated CPUs are available, performance will be significantly limited)
ただし、このようなホストシステムにある仮想マシンは、パフォーマンス上の問題が発生するのではなく、起動に失敗します。
これを回避するには、仮想マシンの XML 設定の
<domain type>
値をqemu
に変更します。ただし、Red Hat はqemu
ドメインタイプを使用する仮想マシンに対応していないため、実稼働環境ではこれを設定しないことを強く推奨している点に注意してください。