第2章 仮想化の有効化
RHEL 9 で仮想化を使用するには、仮想化パッケージをインストールして、仮想マシンをホストするようにシステムを設定する必要があります。これを行うための具体的な手順は、CPU アーキテクチャーによって異なります。
2.1. AMD64 および Intel 64 での仮想化の有効化
KVM ハイパーバイザーを設定し、RHEL 9 を実行している AMD64 または Intel 64 システムで仮想マシンを作成するには、以下の手順に従います。
前提条件
- Red Hat Enterprise Linux 9 が、ホストマシンに インストールされ登録されている。
システムが仮想ホストとして機能するように、以下のハードウェア要件を満たしている。
- ホストマシンのアーキテクチャーが KVM 仮想化 に対応している。
最低でも、以下のシステムリソースが利用できる。
- ホスト用に 6 GB と、各仮想マシン用に 6 GB の空きディスク容量。
- ホスト用に 2 GB と、各仮想マシン用に 2 GB の RAM。
手順
仮想化ハイパーバイザーパッケージをインストールします。
# dnf install qemu-kvm libvirt virt-install virt-viewer
仮想化サービスを起動します。
# for drv in qemu network nodedev nwfilter secret storage interface; do systemctl start virt${drv}d{,-ro,-admin}.socket; done
検証
システムが仮想ホストとして準備されていることを確認します。
# virt-host-validate [...] QEMU: Checking for device assignment IOMMU support : PASS QEMU: Checking if IOMMU is enabled by kernel : WARN (IOMMU appears to be disabled in kernel. Add intel_iommu=on to kernel cmdline arguments) LXC: Checking for Linux >= 2.6.26 : PASS [...] LXC: Checking for cgroup 'blkio' controller mount-point : PASS LXC: Checking if device /sys/fs/fuse/connections exists : FAIL (Load the 'fuse' module to enable /proc/ overrides)
virt-host-validate のすべての項目で
PASS
値が返された場合は、システムに 仮想マシンを作成する 準備ができています。いずれかの項目で
FAIL
が返された場合は、表示される指示に従って問題を解決してください。いずれかの項目で
WARN
が返された場合は、表示される指示に従って仮想化機能を向上させることを検討してください。
トラブルシューティング
KVM 仮想化がホスト CPU でサポートされていない場合は、virt-host-validate は以下の出力を生成します。
QEMU: Checking for hardware virtualization: FAIL (Only emulated CPUs are available, performance will be significantly limited)
ただし、このようなホストシステムにある仮想マシンは、パフォーマンス上の問題が発生するのではなく、起動に失敗します。
これを回避するには、仮想マシンの XML 設定の
<domain type>
値をqemu
に変更します。ただし、Red Hat はqemu
ドメインタイプを使用する仮想マシンに対応していないため、実稼働環境ではこれを設定しないことを強く推奨している点に注意してください。
次のステップ