第11章 ストレージをインストールする際の注意点
ストレージデバイスやファイルシステムの設定の多くはインストール時にしか実行することができません。ファイルシステムタイプなどの他の設定については、再フォーマットせずに変更できるのは特定の時点までになります。このようにストレージの設定については Red Hat Enterprise Linux 7 をインストールする前に慎重に計画する必要があります。
本章ではシステムのストレージ設定を計画する際の注意点について説明しています。インストール手順 (インストール時のストレージ設定を含む) は、Red Hat が提供する Installation Guide を参照してください。
サイズとストレージの制限に関して Red Hat が公式にサポートしているものについては、http://www.redhat.com/resourcelibrary/articles/articles-red-hat-enterprise-linux-6-technology-capabilities-and-limits の記事を参照してください。
11.1. 特に注意を要する事項について
本セクションでは、ストレージの設定で特に注意を要する事項について記載しています。
/home、/opt、/usr/local には別々のパーティションを用意する
今後システムをアップグレードする可能性がある場合は、
/home
、/opt
、および /usr/local
を別のデバイスに配置します。これにより、ユーザーデータやアプリケーションデータを保持しながら、オペレーティングシステムが含まれるデバイスやファイルシステムを再フォーマットできます。
IBM System Z における DASD デバイスと zFCP デバイス
IBM System Z のプラットフォームでは、DASD デバイスと zFCP デバイスは Channel Command Word (CCW) メカニズムで設定されます。CCW のパスをシステムに明示的に追加してからオンラインにする必要があります。DASD デバイスの場合、これは、起動コマンドラインまたは CMS 設定ファイル内で
DASD=
パラメーターとしてデバイス番号(またはデバイス番号の範囲)を一覧表示することを意味します。
zFCP デバイスの場合は、デバイス番号、論理ユニット番号 (LUN)、および ワールドワイドポート名 (WWPN) を記載する必要があります。zFCP が初期化されると CCW パスにマッピングが行われます。起動コマンドライン(または CMS 設定ファイル)の
FCP_x=
行を使用すると、インストーラーにこの情報を指定できます。
LUKS を使用したブロックデバイスの暗号化
LUKS/dm-crypt を使用して暗号化用にブロックデバイスをフォーマットすると、そのデバイスに存在するフォーマットがすべて破棄されます。このため、まず暗号化するデバイスが存在する場合はそのデバイスを選択してください。次に、新しいシステムのストレージ設定をインストールプロセスの一部としてアクティブにします。
古い BIOS RAID メタデータ
ディスクから RAID メタデータを削除 せず にファームウェア RAID 用に設定したシステムからディスクを移動すると、Anaconda がディスクを正しく検出できなくなる可能性があります。
警告
ディスクから RAID メタデータを削除または消去すると、保存データがすべて破棄される可能性があります。Red Hat では、これを実行する前に必ずバックアップを取っておくことを推奨します。
注記
非推奨の dmraid を使用して RAID ボリュームを作成した場合は、dmraid ユーティリティーを使用して削除します。
#
dmraid -r -E /device/
RAID デバイスの管理に関する詳細は、man dmraid および 18章RAID (Redundant Array of Independent Disks) を参照してください。
iSCSI の検出および設定
iSCSI ドライブのプラグアンドプレイ検出の場合には、iBFT 起動が可能な ネットワークインターフェイスカード (NIC) のファームウェアで設定を行ってください。インストール時の iSCSI ターゲットの CHAP 認証がサポートされています。ただし、インストール時の iSNS 検出はサポートされていません。
FCoE の検出および設定
Fibre Channel over Ethernet (FCoE) ドライブのプラグアンドプレイ検出は、EDD で起動可能な NIC のファームウェアで設定を行ってください。
DASD
ダイレクトアクセスストレージデバイス (DASD) は、インストール時に追加または設定できません。このデバイスは CMS 設定ファイル内で指定してください。
DIF/DIX を有効にしているブロックデバイス
DIF/DIX は、特定の SCSI ホストバスアダプターおよびブロックデバイスで提供されているハードウェアチェックサムの機能です。DIF/DIX が有効になっていると、ブロックデバイスが汎用ブロックデバイスとして使用されている場合にエラーが発生します。DIF/DIX チェックサムの計算後はバッファーされたデータが上書きされないようにするためのインターロックがバッファー書き込みパス内にないため、バッファーされた入出力または mmap(2) ベースの入出力が正常に動作しなくなります。
これにより、I/O が後でチェックサムエラーで失敗します。この問題は、すべてのブロックデバイス(またはファイルシステムベース)でバッファーされた I/O または mmap (2 ) I/O に共通するため、上書きによって生じるこれらのエラーを回避することはできません。
そのため、DIF/DIX が有効になっているブロックデバイスは、O_DIRECT を使用するアプリケーションでのみ使用する必要があります。こうしたアプリケーションはローブロックデバイスを使用するはずです。または、ファイルシステムを介して O_DIRECT I/O のみを発行する限り、DIF/DIX が有効なブロックデバイスで XFS ファイルシステムを安全に使用することもできます。特定の割り当て動作を行う際にバッファーされた入出力にフォールバックを行わないファイルシステムは XFS のみです。
DIF/DIX チェックサムの計算後に入出力データが変更しないようにするのは常にアプリケーションの役目となるため、DIF/DIX を使用できるアプリケーションを O_DIRECT 入出力および DIF/DIX ハードウェアでの使用を目的として設計されたアプリケーションに限ってください。