第35章 iSCSI オフロードおよびインターフェースバインディングの設定
本章では、ソフトウェア iSCSI を使用する際に NIC ポートにセッションをバインドするために iSCSI インターフェースを設定する方法を説明します。また、オフロードに対応するネットワークデバイスで使用するインターフェースを設定する方法を説明します。つまり、Chelsio、Broadcom、および ServerEngines からのデバイスです。
network サブシステムを設定すると、iSCSI インターフェースがバインディングに使用するパス/NIC を判断できます。たとえば、ポータルと NIC が異なるサブネットに設定されている場合には、バインディング用に iSCSI インターフェースを手動で設定する必要はありません。
iSCSI インターフェースをバインディング用に設定を試みる前に、最初に以下のコマンドを実行します。
$ ping -I ethX target_IP
ping が失敗すると、セッションを NIC にバインドできなくなります。その場合は、最初にネットワーク設定を確認してください。
35.1. 利用可能な iface 設定の表示
Red Hat Enterprise Linux 5.5 iSCSI オフロードとインターフェースバインディングは、以下の iSCSI イニシエーター実装でサポートされます。
- ソフトウェア iSCSI ( scsi_tcp モジュールおよび ib_iser モジュールと同様)は、セッションごとに 1 つの接続とともに、セッションごとに iSCSI ホストインスタンス( scsi_hostなど)を割り当てます。これにより、
/sys/class_scsi_host
および/proc/scsi
は、ログに記録した各接続/セッションの scsi_host を報告します。 - オフロード iSCSI (Chelsio cxgb3i、B roadx bnx2i および ServerEngines be2iscsi モジュールと同様)、このスタックは各 PCI デバイスに scsi_host を割り当てます。そのため、ホストバスアダプター上の各ポートは別の PCI デバイスとして表示され、HBA ポートごとに異なる scsi_host が表示されます。
両方のイニシエーターの実装を管理するために、iscsiadm は iface 構造を使用します。この構造では、セッションのバインドに使用される各 HBA ポート、ソフトウェア iSCSI、またはネットワークデバイス (ethX) の
/var/lib/iscsi/ifaces
に iface 設定を入力する必要があります。
利用可能な iface 設定を表示するには、iscsiadm -m iface を実行します。これにより、iface 情報が次の形式で表示されます。
iface_name transport_name,hardware_address,ip_address,net_ifacename,initiator_name
各値/setting の説明は以下の表を参照してください。
設定 | 詳細 |
---|---|
iface_name | iface 設定名。 |
transport_name | ドライバーの名前 |
hardware_address | MAC アドレス |
ip_address | このポートに使用する IP アドレス |
net_iface_name | ソフトウェア iSCSI セッションの vlan またはエイリアスバインディングに使用される名前。iSCSI オフロードの場合には、この値は再起動後も維持されないため、net _iface_name は <empty> になります。 |
initiator_name | この設定は、/etc/iscsi/initiatorname.iscsi で定義されているイニシエーターのデフォルト名をオーバーライドするために使用されます。 |
例35.1 iscsiadm -m iface コマンドの出力例
以下は、iscsiadm -m iface コマンドの出力例です。
iface0 qla4xxx,00:c0:dd:08:63:e8,20.15.0.7,default,iqn.2005-06.com.redhat:madmax iface1 qla4xxx,00:c0:dd:08:63:ea,20.15.0.9,default,iqn.2005-06.com.redhat:madmax
ソフトウェア iSCSI の場合、各 iface 設定には一意の名前(65 文字未満)が必要です。オフロードをサポートするネットワークデバイスの iface_name は、transport_name.hardware_name の形式で表示されます。
例35.2 iscsiadm -m iface output with a Chelsio network card
たとえば、Chelsio ネットワークカードを使用するシステムで iscsiadm -m iface の出力は以下のようになります。
default tcp,<empty>,<empty>,<empty>,<empty> iser iser,<empty>,<empty>,<empty>,<empty> cxgb3i.00:07:43:05:97:07 cxgb3i,00:07:43:05:97:07,<empty>,<empty>,<empty>
また、より使いやすい方法で、特定の iface 設定も表示することができます。これを行うには、-I iface_name オプションを使用します。これにより、以下の形式で設定が表示されます。
iface.setting = value
例35.3 Chelsio コンバージドモードでの iface 設定の使用
前述の例を使用すると、同じ Chelsio コンバージドモードの iface 設定(つまり iscsiadm -m iface -I cxgb3i.00:07:43:05:97:07)は以下のようになります。
# BEGIN RECORD 2.0-871 iface.iscsi_ifacename = cxgb3i.00:07:43:05:97:07 iface.net_ifacename = <empty> iface.ipaddress = <empty> iface.hwaddress = 00:07:43:05:97:07 iface.transport_name = cxgb3i iface.initiatorname = <empty> # END RECORD