9.4. autofs
/etc/fstab
を使用する場合の欠点の 1 つは、NFS マウントされたファイルシステムにユーザーがアクセスする頻度に関わらず、マウントされたファイルシステムを所定の場所で維持するために、システムがリソースを割り当てる必要があることです。これは 1 つまたは 2 つのマウントでは問題になりませんが、システムが一度に多くのシステムへのマウントを維持している場合、システム全体のパフォーマンスに影響を与える可能性があります。/etc/fstab
に代わるのは、カーネルベースの automount ユーティリティーを使用することです。自動マウント機能は以下の 2 つのコンポーネントで構成されます。
- ファイルシステムを実装するカーネルモジュール
- 他のすべての機能を実行するユーザー空間デーモン
automount ユーティリティーは、NFS ファイルシステムを自動的にマウントおよびアンマウント (オンデマンドマウント) できるため、システムリソースを節約できます。これは、AFS、SMBFS、CIFS、およびローカルファイルシステムを含む他のファイルシステムをマウントするために使用できます。
重要
nfs-utils パッケージは、「NFS ファイルサーバー」と「ネットワークファイルシステムクライアント」グループの両方に含まれるようになりました。そのため、Base グループではデフォルトでインストールされなくなりました。NFS 共有の自動マウントを試みる前に、最初に nfs-utils がシステムにインストールされていることを確認してください。
autofs は、「ネットワークファイルシステムクライアント」グループに含まれます。
autofs は、デフォルトのプライマリー設定ファイルとして
/etc/auto.master
(マスターマップ) を使用します。これは、ネームサービススイッチ (NSS) のメカニズムと autofs 設定 (/etc/sysconfig/autofs
) を使用して別のネットワークソースと名前を使用するように変更できます。autofs バージョン 4 デーモンのインスタンスはマスターマップ内に設定された各マウントポイントに対して実行されるため、任意のマウントポイントに対してコマンドラインから手動で実行することが可能でした。しかし、autofs バージョン 5 では、設定されたすべてのマウントポイントは 1 つのデーモンを使用して管理されるため、これを実行することができなくなりました。これは、他の業界標準の自動マウント機能の通常の要件と一致しています。マウントポイント、ホスト名、エクスポートしたディレクトリー、および各種オプションは各ホストに対して手動で設定するのではなく、すべて 1 つのファイルセット (またはサポートされている別のネットワークソース) 内に指定することができます。
9.4.1. バージョン 4 と比較した autofs バージョン 5 の改善点
autofs バージョン 5 では、バージョン 4 と比較して、以下の機能拡張が行われています。
- ダイレクトマップのサポート
- autofs のダイレクトマップは、ファイルシステム階層の任意の時点でファイルシステムを自動的にマウントするメカニズムを提供します。ダイレクトマップは、マスターマップの
/-
のマウントポイントによって示されます。ダイレクトマップのエントリーには、(間接マップで使用される相対パス名の代わりに) 絶対パス名がキーとして含まれています。 - レイジーマウントとアンマウントのサポート
- マルチマウントマップエントリーは、単一のキーの下にあるマウントポイントの階層を記述します。この良い例として、
-hosts
マップがあります。これは通常、マルチマウントマップエントリーとして、/net/host
の下のホストからのすべてのエクスポートを自動マウントするために使用されます。-hosts
マップを使用する場合は、/net/host の ls が、host からの各エクスポートの autofs トリガーマウントをマウントします。次に、これらはマウントされ、アクセスされると期限切れとなります。これにより、エクスポートが多数あるサーバーにアクセスする際に必要なアクティブなマウントの数を大幅に減らすことができます。 - 強化された LDAP サポート
- autofs 設定ファイル (
/etc/sysconfig/autofs
) は、サイトが実装する autofs スキーマを指定するメカニズムを提供するため、アプリケーション自体で試行錯誤してこれを判断する必要がなくなります。さらに、共通の LDAP サーバー実装でサポートされるほとんどのメカニズムを使用して、LDAP サーバーへの認証済みバインドがサポートされるようになりました。このサポートには、新しい設定ファイル (/etc/autofs_ldap_auth.conf
) が追加されました。デフォルトの設定ファイルは自己文書化されており、XML 形式を使用します。 - Name Service Switch (nsswitch) 設定の適切な使用
- Name Service Switch 設定ファイルは、特定の設定データがどこから来るのかを判別する手段を提供するために存在します。この設定の理由は、データにアクセスするための統一されたソフトウェアインターフェイスを維持しながら、管理者が最適なバックエンドデータベースを柔軟に使用できるようにするためです。バージョン 4 の自動マウント機能は、今まで以上に NSS 設定を処理できるようになっていますが、まだ完全ではありません。一方、autofs バージョン 5 は完全な実装です。このファイルで対応している構文の詳細は、man nsswitch.conf を参照してください。すべての NSS データベースが有効なマップソースである訳ではなく、パーサーは無効なデータベースを拒否します。有効なソースは、ファイル、yp、nis、nisplus、ldap および hesiod です。
- autofs マウントポイントごとの複数のマスターマップエントリー
- 頻繁に使用されますが、まだ記述されていないのは、直接マウントポイント
/-
の複数のマスターマップエントリーの処理です。各エントリーのマップキーはマージされ、1 つのマップとして機能します。例9.2 autofs マウントポイントごとの複数のマスターマップエントリー
以下にダイレクトマウントの connectathon テストマップの例が表示されます。/- /tmp/auto_dcthon /- /tmp/auto_test3_direct /- /tmp/auto_test4_direct