9.3. パッケージグループでの作業
パッケージグループは、たとえば システムツール や サウンドとビデオ などの共通の目的でサービスを行うパッケージの集合です。パッケージグループをインストールすると、依存パッケージも取得するため、時間が大幅に短縮できます。yum groups
コマンドは、yum のパッケージグループに作用するすべての操作をカバーするトップレベルのコマンドです。
9.3.1. パッケージグループのリスト表示
summary
オプションを使用すると、インストール済みのグループ数、利用可能なグループ数、利用可能な環境グループ数、インストール済みの言語グループ数、利用可能な言語グループ数が表示されます。
yum groups
summary
例9.14 yum groups summary の出力例
~]$yum
groups
summary
Loaded plugins: langpacks, product-id, subscription-manager Available Environment Groups: 12 Installed Groups: 10 Available Groups: 12
yum リポジトリーからすべてのパッケージグループをリスト表示するには、list
オプションを追加します。コマンドの出力は、グループ名でフィルターを設定できます。
yum group list glob_expression…
このコマンドで使用できる任意の引数がいくつかあります。たとえば、hidden
は、ユーザーに表示可能とされていないグループもリスト表示し、ids
はグループ ID を表示します。language
オプション、environment
オプション、installed
、または available
オプションを追加して、出力を特定のグループタイプに制限することもできます。
特定のグループに含まれている必須およびオプションパッケージをリスト表示するには、以下のコマンドを使用します。
yum group info glob_expression…
例9.15 LibreOffice パッケージグループの情報表示
~]$ yum group info LibreOffice
Loaded plugins: langpacks, product-id, subscription-manager
Group: LibreOffice
Group-Id: libreoffice
Description: LibreOffice Productivity Suite
Mandatory Packages:
=libreoffice-calc
libreoffice-draw
-libreoffice-emailmerge
libreoffice-graphicfilter
=libreoffice-impress
=libreoffice-math
=libreoffice-writer
+libreoffice-xsltfilter
Optional Packages:
libreoffice-base
libreoffice-pyuno
上記の例で分かるように、このパッケージグループに含まれているパッケージは、以下の記号でマークされている状態に分けられます。
-
-
: パッケージはインストールされておらず、このパッケージグループではインストールされません。 -
+
: パッケージはインストールされていませんが、次回のyum upgrade
またはyum group upgrade
でインストールされます。 -
=
: パッケージはインストールされており、パッケージグループの一部としてインストールされました。 -
記号なし: パッケージはインストールされていますが、パッケージグループとしてはインストールされませんでした。このため、
yum group remove
ではこのパッケージを削除できません。
この区別は、group_command
設定パラメーターがデフォルト設定の objects
に設定されている場合にのみ行われます。グループの一部として、または個別にパッケージをインストールしたかを yum で追跡したくない場合は、このパラメーターを異なる値に設定します。すると、"記号なし" パッケージと "=" パッケージが同じ意味になります。
yum group mark
コマンドを使用する上記のパッケージの状態を変更することもできます。たとえば、yum group mark packages
は、特定のインストール済みパッケージを指定されたグループのメンバーとしてマークします。グループ更新で新たなパッケージのインストールをしないようにするには、yum group mark blacklist
を使用します。yum group mark
の詳細な機能は man ページの yum
(8) を参照してください。
@^ 接頭辞を使用すると環境グループが特定でき、パッケージグループには @ のマークが付きます。yum
group
list
、info
、install
、または remove
を使用する場合は、@group_name を渡すてパッケージグループを指定し、@^group_name で環境グループを指定します。または group_name の両方を含める場合は group_name を渡します。
9.3.2. パッケージグループのインストール
パッケージグループにはそれぞれ、名前とグループ ID (groupid) があります。パッケージグループの名前とグループ ID (括弧内に表示される) をリスト表示するには、以下のコマンドを入力します。
yum group list ids
例9.16 パッケージグループの名前と groupid の表示
パッケージグループ (例: KDE デスクトップ環境に関連するグループ) の名前または ID を検索するには、以下のコマンドを入力します。
~]$ yum group list ids kde\* Available environment groups: KDE Plasma Workspaces (kde-desktop-environment) Done
一部のグループは、設定されたリポジトリーの設定により非表示になっています。たとえば、サーバーで hidden
コマンドオプションを使用すると、非表示グループも表示されます。
~]$ yum group list hidden ids kde\* Loaded plugins: product-id, subscription-manager Available Groups: KDE (kde-desktop) Done
パッケージグループをインストールするには、group install
コマンドに正式なグループ名 (groupid は含めない) を渡します。root
で以下のコマンドを実行します。
yum
group install
"group name"
groupid を使用してインストールすることもできます。root
で、以下のコマンドを実行します。
yum
group install
groupid
groupid、または引用付きグループ名の先頭に @ 記号を追加して install
コマンドに渡すことで、group install
と同じように yum
を実行できます。root
で以下のコマンドを実行します。
yum
install
@group
group を、groupid、または引用符で囲んだグループ名に置き換えます。同じ論理が環境グループにも適用できます。
yum install @^group
例9.17 KDE Desktop グループをインストールする 4 つの方法
上記で説明したように、パッケージグループをインストールする方法は 4 つあります。KDE Desktop の場合、コマンドは以下のようになります。
~]# yum group install "KDE Desktop" ~]# yum group install kde-desktop ~]# yum install @"KDE Desktop" ~]# yum install @kde-desktop
9.3.3. パッケージグループの削除
install
構文に類似した構文で、パッケージグループ名またはその ID を使用してパッケージグループを削除できます。root
で以下のコマンドを実行します。
yum group remove group_name
yum
group remove
groupid
また、groupid または引用付き名前の先頭に @ 記号を追加して、remove
コマンドに渡すことで、group remove
と同じように yum を実行できます。root
で以下のコマンドを実行します。
yum
remove
@group
group を、groupid、または引用符で囲んだグループ名に置き換えます。同様に、環境グループに置き換えることもできます。
yum remove @^group
例9.18 KDE Desktop
グループを削除する 4 つの方法
インストールする場合と同様に、パッケージグループを削除する方法は 4 つあります。KDE Desktop の場合、コマンドは以下のようになります。
~]# yum group remove "KDE Desktop" ~]# yum group remove kde-desktop ~]# yum remove @"KDE Desktop" ~]# yum remove @kde-desktop