22.4. LMIShell の使用
LMIShell はインタラクティブクライアントかつ非インタラクティブインタープリターで、OpenPegasus CIMOM が提供する CIM オブジェクトにアクセスするために使用できます。Python インタープリターに基づいていますが、CIM オブジェクトとの対話のための追加の関数およびクラスも実装します。
22.4.1. LMIShell の開始、使用、終了
Python インタープリターと同様に、LMIShell は LMIShell スクリプトでインタラクティブクライアントまたは非インタラクティブインタープリターとして使用できます。
インタラクティブモードでの LMIShell の開始
インタラクティブモードで LMIShell インタープリターを開始するには、lmishell
コマンドを引数なしで実行します。
lmishell
デフォルトでは、LMIShell は CIMOM との接続確立を試みる際に、サーバー側の証明書を認証局のトラストストアに対して確認します。この検証を無効にするには、--noverify
または -n
コマンドラインオプションを指定して lmishell
コマンドを実行します。
lmishell --noverify
Tab Completion (タブ入力) の使用
インタラクティブモードでの実行時には、LMIShell インタープリターでは Tab キーを使用した基本的なプログラミング構造体や CIM オブジェクトの入力が可能になります。これにはネームスペース、クラス、メソッド、およびオブジェクト属性が含まれます。
履歴の閲覧
デフォルトでは、LMIShell はユーザーがインタラクティブプロンプトで入力したすべてのコマンドを ~/.lmishell_history
ファイルに保存します。これにより、コマンド履歴が閲覧でき、インタラクティブモードで入力した行をプロンプトで再度入力することなく再使用できます。コマンド履歴で後ろに戻るには 上向き矢印 キーか Ctrl+p のキーの組み込み合わせを押します。コマンド履歴で前に進むには、下向き矢印 キーか Ctrl+n のキーの組み合わせを押します。
LMIShell は、増分逆検索もサポートします。コマンド履歴で特定の行を探すには、Ctrl+r を押してからコマンドの一部を入力します。以下に例を示します。
> (reverse-i-search)`connect
': c = connect("server.example.com", "pegasus")
コマンド履歴を削除するには、以下のように clear_history()
機能を使用します。
clear_history
()
~/.lmishellrc
設定ファイルの history_length
オプションの値を変更することで、コマンド履歴に保存されている行数を設定できます。さらに、この設定ファイルの history_file
オプションの値を変更することにより、履歴ファイルの場所を変更できます。たとえば、履歴ファイルの場所を ~/.lmishell_history
に設定し、最大 1000
行を保存するように LMIShell を設定するには、以下の行を ~/.lmishellrc
ファイルに追加します。
history_file = "~/.lmishell_history" history_length = 1000
例外処理
デフォルトでは、LMIShell インタープリターはすべての例外を処理し、戻り値を使用します。すべての例外をコードで処理するためにこの動作を無効にするには、以下のように use_exceptions()
関数を使用します。
use_exceptions
()
自動例外処理を再度有効にするには、以下を使用します。
use_exception
(False
)
~/.lmishellrc
設定ファイルの use_exceptions
オプションの値を True
に変更すると、例外処理を永続的に無効にできます。
use_exceptions = True
一時的なキャッシュの設定
デフォルト設定では、LMIShell 接続オブジェクトは一時的なキャッシュを使用して CIM クラス名および CIM クラスを保存し、ネットワーク通信を減らします。この一時的なキャッシュを削除するには、以下のように clear_cache()
メソッドを使用します。
object_name.clear_cache
()
object_name を接続オブジェクトの名前に置き換えます。
特定の接続オブジェクトの一時的なキャッシュを無効にするには、以下のように use_cache()
メソッドを使用します。
object_name.use_cache
(False
)
再度これを有効にするには、以下を使用します。
object_name.use_cache
(True
)
~/.lmishellrc
設定ファイルの use_cache
オプションの値を False
に変更すると、接続オブジェクトの一時キャッシュを永続的に無効にできます。
use_cache = False
LMIShell の終了
LMIShell インタープリターを終了してシェルプロンプトに戻るには、Ctrl+d のキーの組み合わせを押すか、以下のように quit()
関数を発行します。
> quit()
~]$
LMIShell スクリプトの実行
LMIShell スクリプトを実行するには、以下のように lmishell
コマンドを実行します。
lmishell file_name
file_name をスクリプト名に置き換えます。実行後に └Shell スクリプトを検証するには、--interact
または -i
コマンドラインオプションも指定します。
lmishell --interact file_name
LMIShell スクリプトのファイル拡張子は、.lmi
が適切です。
22.4.2. CIMOM への接続
LMIShell では、同一システムにローカルで実行している CIMOM、またはネットワーク経由でアクセス可能なリモートマシンの CIMOM に接続できます。
リモートの CIMOM への接続
リモートの CIMOM が提供する CIM オブジェクトにアクセスするには、以下のように connect()
関数を使用して接続オブジェクトを作成します。
connect
(host_name, user_name, password)
host_name を管理システムのホスト名に、user_name をそのシステム上で実行中の OpenPegasus CIMOM に接続許可されているユーザー名に、password をユーザーのパスワードに置き換えます。パスワードを省略すると、LMIShell によりパスワードの入力が求められます。この関数は LMIConnection
オブジェクトを返します。
例22.1 リモートの CIMOM への接続
server.example.com
上で実行中の OpenPegasus CIMOM にユーザー pegasus
として接続するには、インタラクティブプロンプトに以下のコマンドを入力します。
> c = connect("server.example.com", "pegasus")
password:
>
ローカルの CIMOM への接続
LMIShell では、Unix ソケットを使用することでローカルの CIMOM に接続できます。この種の接続では、LMIShell インタープリターを root
ユーザーとして実行し、/var/run/tog-pegasus/cimxml.socket
ソケットが存在する必要があります。
ローカルの CIMOM が提供する CIM オブジェクトにアクセスするには、以下のように connect()
関数を使用して接続オブジェクトを作成します。
connect
(host_name)
host_name を localhost
、127.0.0.1
、または ::1
のいずれかで置き換えます。関数は LMIConnection
オブジェクトか None
を返します。
例22.2 ローカルの CIMOM への接続
localhost
上で実行中の OpenPegasus CIMOM に root
ユーザーとして接続するには、インタラクティブプロンプトに以下のコマンドを入力します。
> c = connect("localhost")
>
CIMOM への接続の確認
connect()
関数は、LMIConnection
オブジェクト、または接続が確立されないと None
を返します。さらに、connect()
関数が接続確立に失敗すると、標準エラー出力にエラーメッセージを出力します。
CIMOM への接続が正常に確立されたことを確認するには、以下のように isinstance()
関数を使用します。
isinstance
(object_name,LMIConnection
)
object_name を接続オブジェクト名に置き換えます。この関数は、object_name
が LMIConnection オブジェクトの場合は True
を、それ以外の場合は False
を返します。
例22.3 CIMOM への接続の確認
例22.1「リモートの CIMOM への接続」 で作成した c
変数に LMIConnection
オブジェクトが含まれていることを確認するには、インタラクティブプロンプトに以下のコマンドを入力します。
> isinstance(c, LMIConnection)
True
>
または、c
が None
でないことを確認することもできます。
> c is None
False
>
22.4.3. ネームスペースの使用
LMIShell ネームスペースは、利用可能なクラスを組織化する自然な方法を提供し、他のネームスペースおよびクラスへの階層的なアクセスポイントとして機能します。root
ネームスペースは、接続オブジェクトの最初のエントリーポイントです。
利用可能なネームスペースのリスト表示
利用可能なネームスペースのリストを表示するには、以下のように print_namespaces()
メソッドを使用します。
object_name.print_namespaces
()
object_name を、検査するオブジェクトの名前に置き換えます。このメソッドは、利用可能なネームスペースを標準出力に出力します。
利用可能なネームスペースリストを取得するには、オブジェクト属性 namespaces
にアクセスします。
object_name.namespaces
これは文字列のリストを返します。
例22.4 利用可能なネームスペースのリスト表示
例22.1「リモートの CIMOM への接続」 で作成した c
接続オブジェクトの root
ネームスペースオブジェクトを検査するには、インタラクティブプロンプトに以下のコマンドを入力します。
> c.root.print_namespaces() cimv2 interop PG_InterOp PG_Internal >
このネームスペースのリストを変数 root_namespaces
に割り当てるには、以下を入力します。
> root_namespaces = c.root.namespaces >
ネームスペースオブジェクトへのアクセス
特定のネームスペースオブジェクトにアクセスするには、以下の構文を使用します。
object_name.namespace_name
object_name を検査するオブジェクト名に置き換え、namespace_name をアクセスするネームスペース名に置き換えます。これは LMINamespace
オブジェクトを返します。
例22.5 ネームスペースオブジェクトへのアクセス
例22.1「リモートの CIMOM への接続」 で作成した c
接続オブジェクトの cimv2
ネームスペースにアクセスするには、ns
という名前の変数に割り当て、インタラクティブプロンプトに以下のコマンドを入力します。
> ns = c.root.cimv2
>
22.4.4. クラスの使用
LMIShell クラスは、CIMOM が提供するクラスを表します。これらのプロパティー、メソッド、インスタンス、インスタンス名、および ValueMap プロパティーにアクセスしたりこれらをリスト表示したりでき、ドキュメンテーションストリングを出力したり、新たなインスタンスやインスタンス名を作成できます。
利用可能なクラスのリスト表示
特定のネームスペースで利用可能なクラスをリスト表示するには、以下のように print_classes()
メソッドを使用します。
namespace_object.print_classes()
namespace_object を検査するネームスペースオブジェクトに置き換えます。このメソッドは、利用可能なクラスを標準出力に出力します。
利用可能なクラスリストを取得するには、classes()
メソッドを使用します。
namespace_object.classes
()
このメソッドは文字列のリストを返します。
例22.6 利用可能なクラスのリスト表示
例22.5「ネームスペースオブジェクトへのアクセス」 で作成した ns
ネームスペースオブジェクトを検査して利用可能なクラスをリスト表示するには、インタラクティブプロンプトに以下のコマンドを入力します。
> ns.print_classes() CIM_CollectionInSystem CIM_ConcreteIdentity CIM_ControlledBy CIM_DeviceSAPImplementation CIM_MemberOfStatusCollection ... >
このクラスのリストを変数 cimv2_classes
に割り当てるには、以下を入力します。
> cimv2_classes = ns.classes() >
クラスオブジェクトへのアクセス
CIMOM が提供する特定のクラスオブジェクトにアクセスするには、以下の構文を使用します。
namespace_object.class_name
namespace_object を、検査するネームスペースオブジェクト名にに置き換え、class_name を、アクセスするクラス名に置き換えます。
例22.7 クラスオブジェクトへのアクセス
例22.5「ネームスペースオブジェクトへのアクセス」 で作成した ns
ネームスペースオブジェクトの LMI_IPNetworkConnection
クラスにアクセスし、これを変数 cls
に割り当てるには、インタラクティブプロンプトに以下のコマンドを入力します。
> cls = ns.LMI_IPNetworkConnection >
クラスオブジェクトの検査
すべてのクラスオブジェクトには、その名前と所属するネームスペースに関する情報、および詳細なクラスのドキュメンテーションが保存されています。特定のクラスオブジェクトの名前を取得するには、以下の構文を使用します。
class_object.classname
class_object を、検査するクラスオブジェクト名に置き換えます。これは、オブジェクト名を表す文字列を返します。
クラスオブジェクトが所属するネームスペースに関する情報を取得するには、以下を使用します。
class_object.namespace
これは、名前空間を表す文字列を返します。
詳細なクラスのドキュメンテーションを表示するには、以下のように doc()
メソッドを使用します。
class_object.doc
()
例22.8 クラスオブジェクトの検査
例22.7「クラスオブジェクトへのアクセス」 で作成した cls
クラスオブジェクトを検査して、その名前と対応するネームスペースを表示するには、インタラクティブプロンプトに以下のコマンドを入力します。
> cls.classname 'LMI_IPNetworkConnection' > cls.namespace 'root/cimv2' >
クラスのドキュメンテーションにアクセスするには、以下を入力します。
> cls.doc() Class: LMI_IPNetworkConnection SuperClass: CIM_IPNetworkConnection [qualifier] string UMLPackagePath: 'CIM::Network::IP' [qualifier] string Version: '0.1.0' ...
利用可能なメソッドのリスト表示
特定のクラスオブジェクトで利用可能なメソッドのリストを表示するには、以下のように print_methods()
メソッドを使用します。
class_object.print_methods
()
class_object を、検査するクラスオブジェクト名に置き換えます。このメソッドは、利用可能なメソッドを標準出力に出力します。
利用可能なメソッドリストを取得するには、methods()
メソッドを使用します。
class_object.methods()
このメソッドは文字列のリストを返します。
例22.9 利用可能なメソッドのリスト表示
例22.7「クラスオブジェクトへのアクセス」 で作成した cls
クラスオブジェクトを検査して利用可能なメソッドのリストを表示するには、インタラクティブプロンプトに以下のコマンドを入力します。
> cls.print_methods() RequestStateChange >
このメソッドのリストを変数 service_methods
に割り当てるには、以下を入力します。
> service_methods = cls.methods() >
利用可能なプロパティーのリスト表示
特定のクラスオブジェクトで利用可能なプロパティーのリストを表示するには、以下のように print_properties()
メソッドを使用します。
class_object.print_properties
()
class_object を、検査するクラスオブジェクト名に置き換えます。このメソッドは、利用可能なプロパティーを標準出力に出力します。
利用可能なプロパティーリストを取得するには、properties()
メソッドを使用します。
class_object.properties
()
このメソッドは文字列のリストを返します。
例22.10 利用可能なプロパティーのリスト表示
例22.7「クラスオブジェクトへのアクセス」 で作成した cls
クラスオブジェクトを検査して利用可能なすべてのプロパティーのリストを表示するには、インタラクティブプロンプトに以下のコマンドを入力します。
> cls.print_properties() RequestedState HealthState StatusDescriptions TransitioningToState Generation ... >
このクラスリストを変数 service_properties
に割り当てるには、以下を入力します。
> service_properties = cls.properties() >
ValueMap プロパティーのリスト表示と閲覧
CIM クラスには、Managed Object Format (MOF) 定義で ValueMap プロパティー が含まれる場合があります。ValueMap プロパティーには定数値が含まれ、これはメソッドを呼び出す場合や戻り値をチェックする場合に便利なものです。
特定のクラスオブジェクトの利用可能な ValueMap プロパティーのリストを表示するには、以下のように print_valuemap_properties()
メソッドを使用します。
class_object.print_valuemap_properties
()
class_object を、検査するクラスオブジェクト名に置き換えます。このメソッドは、利用可能な ValueMap プロパティーを標準出力に出力します。
利用可能な ValueMap プロパティーのリストを取得するには、valuemap_properties()
メソッドを使用します。
class_object.valuemap_properties
()
このメソッドは文字列のリストを返します。
例22.11 ValueMap プロパティーのリスト表示
例22.7「クラスオブジェクトへのアクセス」 で作成した cls
クラスオブジェクトを検査して、利用可能な ValueMap プロパティーのリストを表示するには、インタラクティブプロンプトに以下のコマンドを入力します。
> cls.print_valuemap_properties() RequestedState HealthState TransitioningToState DetailedStatus OperationalStatus ... >
この ValueMap プロパティーリストを変数 service_valuemap_properties
に割り当てるには、以下を入力します。
> service_valuemap_properties = cls.valuemap_properties() >
特定の ValueMap プロパティーにアクセスするには、以下の構文を使用します。
class_object.valuemap_propertyValues
valuemap_property を、アクセスする ValueMap プロパティー名に置き換えます。
利用可能な定数値のリストを表示するには、以下のように print_values()
メソッドを使用します。
class_object.valuemap_propertyValues
.print_values
()
このメソッドは、名前の付いた利用可能な定数値を標準出力に出力します。また、values()
メソッドを使用して利用可能な定数値のリストを取得することもできます。
class_object.valuemap_propertyValues
.values
()
このメソッドは文字列のリストを返します。
例22.12 ValueMap プロパティーへのアクセス
例22.11「ValueMap プロパティーのリスト表示」 では、ValueMap プロパティー RequestedState
について説明しました。このプロパティーを検査して、利用可能な定数値のリストを表示するには、インタラクティブプロンプトに以下のコマンドを入力します。
> cls.RequestedStateValues.print_values() Reset NoChange NotApplicable Quiesce Unknown ... >
この定数値のリストを変数 requested_state_values
に割り当てるには、以下を入力します。
> requested_state_values = cls.RequestedStateValues.values() >
特定の定数値にアクセスするには、以下の構文を使用します。
class_object.valuemap_propertyValues
.constant_value_name
constant_value_name を、定数値の名前を置き換えます。また、以下のように value()
メソッドを使用することもできます。
class_object.valuemap_propertyValues
.value
("constant_value_name")
特定の定数値の名前を確認するには、value_name()
メソッドを使用します。
class_object.valuemap_propertyValues
.value_name
("constant_value")
このメソッドは文字列を返します。
例22.13 定数値へのアクセス
例22.12「ValueMap プロパティーへのアクセス」 では、RequestedState
プロパティーが定数値 Reset
を提供していました。この名前の定数値にアクセスするには、インタラクティブプロンプトに以下のコマンドを入力します。
>cls.RequestedStateValues.Reset
11 >cls.RequestedStateValues.value("Reset")
11 >
この定数値の名前を確認するには、以下を入力します。
> cls.RequestedStateValues.value_name(11) u'Reset' >
CIMClass オブジェクトの取り込み
クラスメソッドの多くは CIMClass
オブジェクトへのアクセスを必要としません。これは、呼び出されたメソッドが実際に必要とするときにのみ、LMIShell が CIMOM からオブジェクトを取得するためです。CIMClass
オブジェクトを手動で取り込むには、以下のように fetch()
メソッドを使用します。
class_object.fetch
()
class_object を、クラスオブジェクト名に置き換えます。CIMClass
オブジェクトへのアクセスを必要とするメソッドは、これを自動的に取り込むことに注意してください。
22.4.5. インスタンスの使用
LMIShell インスタンスは、CIMOM が提供するインスタンスを表します。プロパティーの取得や設定、メソッドのリスト表示や呼び出し、ドキュメンテーション文字列の表示、関連オブジェクトリストの取得、修正されたオブジェクトの CIMOM へのプッシュ、CIMOM から個別インスタンスの削除が行えます。
インスタンスへのアクセス
特定のクラスオブジェクトの利用可能なインスタンスをすべて取得するには、以下のように instances()
メソッドを使用します。
class_object.instances
()
class_object を、検査するクラスオブジェクト名に置き換えます。このメソッドは、LMIInstance
オブジェクトのリストを返します。
クラスオブジェクトの最初のインスタンスにアクセスするには、first_instance()
メソッドを使用します。
class_object.first_instance
()
このメソッドは、LMIInstance
オブジェクトを返します。
instances()
および first_instance()
は、インスタンスのリストを表示したり、最初のインスタンスを返したりするほかにも、オプションの引数をサポートして結果をフィルターすることもできます。
class_object.instances
(criteria)
class_object.first_instance
(criteria)
criteria を、鍵と値のペアで設定される辞書に置き換えます。この鍵はインスタンスプロパティーを表し、値はこのプロパティーの必要な値を表します。
例22.14 インスタンスへのアクセス
例22.7「クラスオブジェクトへのアクセス」 で作成した cls
クラスオブジェクトの最初のインスタンスで、eth0
と同等の ElementName
プロパティーがあるものを見つけ、これを変数 device
に割り当てるには、インタラクティブプロンプトに以下のコマンドを入力します。
> device = cls.first_instance({"ElementName": "eth0"}) >
インスタンスの検査
すべてのインスタンスオブジェクトには、そのクラス名と所属するネームスペースに関する情報、およびプロパティーと値に関する詳細なドキュメンテーションが保存されています。さらに、インスタンスオブジェクトを使用すると、一意の ID オブジェクトを検索できます。
特定のインスタンスオブジェクトのクラス名を取得するには、以下の構文を使用します。
instance_object.classname
instance_object を、検査するインスタンスオブジェクト名に置き換えます。これは、クラス名を表す文字列を返します。
インスタンスオブジェクトが所属するネームスペースに関する情報を取得するには、以下を使用します。
instance_object.namespace
これは、名前空間を表す文字列を返します。
インスタンスオブジェクト用に一意の ID オブジェクトを検索するには、以下を使用します。
instance_object.path
これは、LMIInstanceName
オブジェクトを返します。
最後に、詳細なドキュメンテーションを表示するには、以下のように doc()
メソッドを使用します。
instance_object.doc
()
例22.15 インスタンスの検査
例22.14「インスタンスへのアクセス」 で作成した device
インスタンスオブジェクトを検査して、そのクラス名と対応するネームスペースを表示するには、インタラクティブプロンプトに以下のコマンドを入力します。
> device.classname u'LMI_IPNetworkConnection' > device.namespace 'root/cimv2' >
インスタンスオブジェクトのドキュメンテーションにアクセスするには、以下を入力します。
> device.doc() Instance of LMI_IPNetworkConnection [property] uint16 RequestedState = '12' [property] uint16 HealthState [property array] string [] StatusDescriptions ...
新規インスタンスの作成
いくつかの CIM プロバイダーでは、特定のクラスオブジェクトの新規インスタンスを作成できます。クラスオブジェクトの新規インスタンスを作成するには、以下のように create_instance()
メソッドを使用します。
class_object.create_instance
(properties)
class_object を、クラスオブジェクトと properties の名前を、キーと値のペアで設定されるディクショナリーに置き換えます。キーはインスタンスのプロパティーと値はプロパティー値を表します。このメソッドは、LMIInstance
オブジェクトを返します。
例22.16 新規インスタンスの作成
LMI_Group
クラスはシステムグループを表し、LMI_Account
クラスは管理システム上のユーザーアカウントを表します。例22.5「ネームスペースオブジェクトへのアクセス」 で作成した ns
ネームスペースオブジェクトを使用して、システムグループ pegasus
と、ユーザー lmishell-user
用にこれら 2 つのクラスのインスタンスを作成し、そのインスタンスを group
変数および user
変数に割り当てるには、インタラクティブプロンプトに以下のコマンドを入力します。
> group = ns.LMI_Group.first_instance({"Name" : "pegasus"}) > user = ns.LMI_Account.first_instance({"Name" : "lmishell-user"}) >
lmishell-user
ユーザー用に LMI_Identity
クラスのインスタンスを取得するには、以下を入力します。
> identity = user.first_associator(ResultClass="LMI_Identity") >
LMI_MemberOfGroup
クラスは、システムグループのメンバーシップを表します。LMI_MemberOfGroup
クラスを使用して lmishell-user
を pegasus
グループに追加するには、以下のようにこのクラスの新規インスタンスを作成します。
> ns.LMI_MemberOfGroup.create_instance({ ... "Member" : identity.path, ... "Collection" : group.path}) LMIInstance(classname="LMI_MemberOfGroup", ...) >
個別インスタンスの削除
CIMOM から特定のインスタンスを削除するには、以下のように delete()
メソッドを使用します。
instance_object.delete
()
instance_object を、削除するインスタンスオブジェクト名に置き換えます。このメソッドはブール値を返します。インスタンスを削除すると、そのプロパティーとメソッドにはアクセスできなくなることに注意してください。
例22.17 個別インスタンスの削除
LMI_Account
クラスは、管理システム上のユーザーアカウントを表します。例22.5「ネームスペースオブジェクトへのアクセス」 で作成した ns
ネームスペースオブジェクトを使用して、ユーザー lmishell-user
用に LMI_Account
クラスのインスタンスを作成し、それを変数 user
に割り当てるには、インタラクティブプロンプトに以下のコマンドを入力します。
> user = ns.LMI_Account.first_instance({"Name" : "lmishell-user"}) >
このインスタンスを削除して、システムから lmishell-user
を取り除くには、以下を入力します。
> user.delete()
True
>
利用可能なプロパティーのリスト表示とアクセス
特定のインスタンスオブジェクトの利用可能なプロパティーのリストを表示するには、以下のように print_properties()
メソッドを使用します。
instance_object.print_properties
()
instance_object を、検査するインスタンスオブジェクト名に置き換えます。このメソッドは、利用可能なプロパティーを標準出力に出力します。
利用可能なプロパティーリストを取得するには、properties()
メソッドを使用します。
instance_object.properties
()
このメソッドは文字列のリストを返します。
例22.18 利用可能なプロパティーのリスト表示
例22.14「インスタンスへのアクセス」 で作成した device
インスタンスオブジェクトを検査して、利用可能なプロパティーのリストを表示するには、インタラクティブプロンプトに以下のコマンドを入力します。
> device.print_properties() RequestedState HealthState StatusDescriptions TransitioningToState Generation ... >
このプロパティーのリストを変数 device_properties
に割り当てるには、以下を入力します。
> device_properties = device.properties() >
特定のプロパティーの現在の値を取得するには、以下の構文を使用します。
instance_object.property_name
property_name を、アクセスするプロパティー名に置き換えます。
特定のプロパティーの値を修正するには、以下のように値を割り当てます。
instance_object.property_name = value
value を、プロパティーの新たな値に置き換えます。CIMOM への変更を伝達するには、push()
メソッドも実行する必要があることに注意してください。
instance_object.push
()
このメソッドは、戻り値、戻り値のパラメーター、およびエラー文字列で設定される 3 項目タプルを返します。
例22.19 個別プロパティーへのアクセス
例22.14「インスタンスへのアクセス」 で作成した device
インスタンスオブジェクトを検査して、プロパティー SystemName
の値を表示するには、インタラクティブプロンプトに以下のコマンドを入力します。
> device.SystemName
u'server.example.com'
>
利用可能なメソッドのリスト表示と使用
特定のインスタンスオブジェクトの利用可能なメソッドリストを表示するには、以下のように print_methods()
メソッドを使用します。
instance_object.print_methods
()
instance_object を、検査するインスタンスオブジェクト名に置き換えます。このメソッドは、利用可能なメソッドを標準出力に出力します。
利用可能なメソッドリストを取得するには、methods()
メソッドを使用します。
instance_object.methods
()
このメソッドは文字列のリストを返します。
例22.20 利用可能なメソッドのリスト表示
例22.14「インスタンスへのアクセス」 で作成した device
インスタンスオブジェクトを検査して利用可能なメソッドのリストを表示するには、インタラクティブプロンプトに以下のコマンドを入力します。
> device.print_methods() RequestStateChange >
これらメソッドのリストを変数 network_device_methods
に割り当てるには、以下を入力します。
> network_device_methods = device.methods() >
特定のメソッドを呼び出すには、以下の構文を使用します。
instance_object.method_name( parameter=value, ...)
instance_object を、使用するインスタンスオブジェクト名に、method_name を、呼び出すメソッド名に、parameter を、設定するパラメーター名に、value を、このパラメーターの値に置き換えます。メソッドは、戻り値、戻り値のパラメーター、およびエラー文字列で設定される 3 項目タプルを返します。
LMIInstance
オブジェクトは、自動的にそのコンテンツ (プロパティー、メソッド、修飾子など) を更新しません。自動的に更新するようにするには、以下のように refresh()
メソッドを使用します。
例22.21 メソッドの使用
PG_ComputerSystem
クラスはシステムを表します。例22.5「ネームスペースオブジェクトへのアクセス」 で作成した ns
ネームスペースオブジェクトを使用してこのクラスのインスタンスを作成し、これを変数 sys
に割り当てるには、インタラクティブプロンプトに以下のコマンドを入力します。
> sys = ns.PG_ComputerSystem.first_instance() >
LMI_AccountManagementService
クラスは、システム内でユーザーおよびグループの管理を可能にするメソッドを実装します。このクラスのインスタンスを作成して変数 acc
に割り当てるには、以下を使用します。
> acc = ns.LMI_AccountManagementService.first_instance() >
システムに lmishell-user
という名前の新規ユーザーを作成するには、以下のように CreateAccount()
メソッドを使用します。
> acc.CreateAccount(Name="lmishell-user", System=sys) LMIReturnValue(rval=0, rparams=NocaseDict({u'Account': LMIInstanceName(classname="LMI_Account"...), u'Identities': [LMIInstanceName(classname="LMI_Identity"...), LMIInstanceName(classname="LMI_Identity"...)]}), errorstr='')
LMIShell は、同期メソッド呼び出しをサポートします。同期メソッドを使用するとき、LMIShell は関連のジョブオブジェクトを待ち、finished に状態を変更します。そして、このジョブのリターンパラメーターを返します。LMIShell は、指定のメソッドが以下のクラスの 1 つのオブジェクトを返すと、同期メソッド呼び出しを実行できます。
-
LMI_StorageJob
-
LMI_SoftwareInstallationJob
-
LMI_NetworkJob
LMIShell は、最初に、待機メソッドに indication を使用します。それが失敗すると、代わりにポーリングメソッドを使います。
同期メソッド呼び出しを実行するには、以下の構文を使用します。
instance_object.Sync
method_name(
parameter=value,
...)
instance_object を、使用するインスタンスオブジェクト名に、method_name を、呼び出すメソッド名に、parameter を、設定するパラメーター名に、value を、このパラメーターの値に置き換えます。すべての同期メソッドには、その名前に Sync
接頭辞があり、ジョブの戻り値、ジョブの戻り値のパラメーター、およびジョブのエラー文字列で設定される 3 項目タプルを返します。
また、LMIShell がポーリングメソッドのみを使用するように強制することもできます。これを行うには、以下のように PreferPolling
パラメーターを指定します。
instance_object.Sync
method_name(PreferPolling
=True
parameter=value, ...)
ValueMap パラメーターのリスト表示と閲覧
CIM メソッドには、Managed Object Format (MOF) 定義で ValueMap パラメーター が含まれる場合があります。ValueMap パラメーターには定数値が含まれます。
特定メソッドで利用可能な ValueMap パラメーターのリストを表示するには、以下のように print_valuemap_parameters()
メソッドを使用します。
instance_object.method_name.print_valuemap_parameters
()
instance_object を、検査するインスタンスオブジェクト名に置き換え、method_name を、検査するメソッド名に置き換えます。このメソッドは、利用可能な ValueMap パラメーターを標準出力に出力します。
利用可能な ValueMap パラメーターのリストを取得するには、valuemap_parameters()
メソッドを使用します。
instance_object.method_name.valuemap_parameters
()
このメソッドは文字列のリストを返します。
例22.22 ValueMap パラメーターのリスト表示
例22.21「メソッドの使用」 で作成した acc
インスタンスオブジェクトを検査して、CreateAccount()
メソッドで利用可能な ValueMap パラメーターのリストを表示するには、インタラクティブプロンプトに以下のコマンドを入力します。
> acc.CreateAccount.print_valuemap_parameters() CreateAccount >
この ValueMap パラメーターのリストを変数 create_account_parameters
に割り当てるには、以下を入力します。
> create_account_parameters = acc.CreateAccount.valuemap_parameters() >
特定の ValueMap パラメーターにアクセスするには、以下の構文を使用します。
instance_object.method_name.valuemap_parameterValues
valuemap_parameter を、アクセスする ValueMap パラメーター名に置き換えます。
利用可能な定数値のリストを表示するには、以下のように print_values()
メソッドを使用します。
instance_object.method_name.valuemap_parameterValues
.print_values
()
このメソッドは、名前の付いた利用可能な定数値を標準出力に出力します。また、values()
メソッドを使用して利用可能な定数値のリストを取得することもできます。
instance_object.method_name.valuemap_parameterValues
.values
()
このメソッドは文字列のリストを返します。
例22.23 ValueMap パラメーターへのアクセス
例22.22「ValueMap パラメーターのリスト表示」 では、ValueMap パラメーター CreateAccount
について説明しました。このパラメーターを検査して利用可能な定数値のリストを表示するには、インタラクティブプロンプトに以下のコマンドを入力します。
> acc.CreateAccount.CreateAccountValues.print_values() Operationunsupported Failed Unabletosetpasswordusercreated Unabletocreatehomedirectoryusercreatedandpasswordset Operationcompletedsuccessfully >
この定数値のリストを変数 create_account_values
に割り当てるには、以下を入力します。
> create_account_values = acc.CreateAccount.CreateAccountValues.values() >
特定の定数値にアクセスするには、以下の構文を使用します。
instance_object.method_name.valuemap_parameterValues
.constant_value_name
constant_value_name を、定数値の名前を置き換えます。また、以下のように value()
メソッドを使用することもできます。
instance_object.method_name.valuemap_parameterValues
.value
("constant_value_name")
特定の定数値の名前を確認するには、value_name()
メソッドを使用します。
instance_object.method_name.valuemap_parameterValues
.value_name
("constant_value")
このメソッドは文字列を返します。
例22.24 定数値へのアクセス
例22.23「ValueMap パラメーターへのアクセス」 では、CreateAccount
ValueMap パラメーターが定数値 Failed
を提供していました。この名前の定数値にアクセスするには、インタラクティブプロンプトに以下のコマンドを入力します。
>acc.CreateAccount.CreateAccountValues.Failed
2 >acc.CreateAccount.CreateAccountValues.value("Failed")
2 >
この定数値の名前を確認するには、以下を入力します。
> acc.CreateAccount.CreateAccountValues.value_name(2) u'Failed' >
インスタンスオブジェクトの更新
LMIShell が使用するローカルオブジェクトは、CIMOM 側での CIM オブジェクトを表し、このオブジェクトが LMIShell のオブジェクトと連携中に変更されると、古くなる場合があります。特定のインスタンスオブジェクトのプロパティーとメソッドを更新するには、以下のように refresh()
メソッドを使用します。
instance_object.refresh
()
instance_object を、更新するオブジェクト名に置き換えます。このメソッドは、戻り値、戻り値のパラメーター、およびエラー文字列で設定される 3 項目タプルを返します。
例22.25 インスタンスオブジェクトの更新
例22.14「インスタンスへのアクセス」 で作成した device
インスタンスオブジェクトのプロパティーとメソッドを更新するには、インタラクティブプロンプトに以下のコマンドを入力します。
> device.refresh()
LMIReturnValue(rval=True, rparams=NocaseDict({}), errorstr='')
>
MOF 表現の表示
インスタンスオブジェクトの MOF (Managed Object Format) 表現を表示するには、以下のように tomof()
メソッドを使用します。
instance_object.tomof
()
instance_object を、検査するインスタンスオブジェクト名に置き換えます。このメソッドは、オブジェクトの MOF 表現を標準出力に出力します。
例22.26 MOF 表現の表示
例22.14「インスタンスへのアクセス」 で作成した device
インスタンスオブジェクトの MOF 表現を表示するには、インタラクティブプロンプトに以下のコマンドを入力します。
> device.tomof() instance of LMI_IPNetworkConnection { RequestedState = 12; HealthState = NULL; StatusDescriptions = NULL; TransitioningToState = 12; ...
22.4.6. インスタンス名の使用
LMIShell インスタンス名は、プライマリーキーとその値のセットを持つオブジェクトです。この種類のオブジェクトは、インスタンスを正確に識別します。
インスタンス名へのアクセス
CIMInstance
オブジェクトは CIMInstanceName
オブジェクトにより識別されます。利用可能なインスタンス名オブジェクトのリストを取得するには、以下のように instance_names()
メソッドを使用します。
class_object.instance_names
()
class_object を、検査するクラスオブジェクト名に置き換えます。このメソッドは、LMIInstanceName
オブジェクトのリストを返します。
クラスオブジェクトの最初のインスタンス名オブジェクトにアクセスするには、first_instance_name()
メソッドを使用します。
class_object.first_instance_name
()
このメソッドは、LMIInstanceName
オブジェクトを返します。
instance_names()
と first_instance_name()
は、インスタンス名オブジェクトのリストを表示したり、最初のインスタンス名オブジェクトを返したりするほかにも、オプションの引数をサポートして結果をフィルターすることもできます。
class_object.instance_names
(criteria)
class_object.first_instance_name
(criteria)
criteria を、鍵と値のペアで設定される辞書で置き換えます。この鍵は鍵プロパティーを表し、値はこの鍵プロパティーの必要な値を表します。
例22.27 インスタンス名へのアクセス
例22.7「クラスオブジェクトへのアクセス」 で作成した cls
クラスオブジェクトの最初のインスタンス名で、eth0
と同等の Name
鍵プロパティーがあるものを見つけ、これを変数 device_name
に割り当てるには、インタラクティブプロンプトに以下のコマンドを入力します。
> device_name = cls.first_instance_name({"Name": "eth0"}) >
インスタンス名の検査
すべてのインスタンス名オブジェクトには、そのクラス名と、所属するネームスペースに関する情報が保存されています。
特定のインスタンス名オブジェクトのクラス名を取得するには、以下の構文を使用します。
instance_name_object.classname
instance_name_object を、検査するインスタンス名オブジェクトの名前に置き換えます。これは、クラス名を表す文字列を返します。
インスタンス名オブジェクトが所属するネームスペースに関する情報を取得するには、以下を使用します。
instance_name_object.namespace
これは、名前空間を表す文字列を返します。
例22.28 インスタンス名の検査
例22.27「インスタンス名へのアクセス」 で作成した device_name
インスタンス名オブジェクトを検査して、そのクラス名と対応するネームスペースを表示するには、インタラクティブプロンプトに以下のコマンドを入力します。
> device_name.classname u'LMI_IPNetworkConnection' > device_name.namespace 'root/cimv2' >
新規インスタンス名の作成
LMIShell を使用すると、リモートオブジェクトのすべてのプライマリーキーを知っている場合に、新たにラップされた CIMInstanceName
オブジェクトを作成できます。このインスタンス名オブジェクトを使用して、インスタンスオブジェクト全体を取得できます。
クラスオブジェクトの新規インスタンス名を作成するには、以下のように new_instance_name()
メソッドを使用します。
class_object.new_instance_name
(key_properties)
class_object をクラスオブジェクト名に置き換え、key_properties を、鍵と値のペアで設定される辞書に置き換えます。このメソッドは、LMIInstanceName
オブジェクトを返します。
例22.29 新規インスタンス名の作成
LMI_Account
クラスは、管理システム上のユーザーアカウントを表します。例22.5「ネームスペースオブジェクトへのアクセス」 で作成した ns
ネームスペースオブジェクトを使用して、管理システムの lmishell-user
ユーザーを表す LMI_Account
クラスの新規インスタンス名を作成するには、インタラクティブプロンプトに以下のコマンドを入力します。
> instance_name = ns.LMI_Account.new_instance_name({ ... "CreationClassName" : "LMI_Account", ... "Name" : "lmishell-user", ... "SystemCreationClassName" : "PG_ComputerSystem", ... "SystemName" : "server"}) >
鍵プロパティーのリスト表示とアクセス
特定のインスタンス名オブジェクトの利用可能な鍵プロパティーのリストを表示するには、以下のように print_key_properties()
メソッドを使用します。
instance_name_object.print_key_properties
()
instance_name_object を、検査するインスタンス名オブジェクトの名前に置き換えます。このメソッドは、利用可能な鍵プロパティーを標準出力に出力します。
利用可能な鍵プロパティーのリストを取得するには、key_properties()
メソッドを使用します。
instance_name_object.key_properties
()
このメソッドは文字列のリストを返します。
例22.30 利用可能な鍵プロパティーのリスト表示
例22.27「インスタンス名へのアクセス」 で作成した device_name
インスタンス名オブジェクトを検査して、利用可能な鍵プロパティーのリストを表示するには、インタラクティブプロンプトに以下のコマンドを入力します。
> device_name.print_key_properties() CreationClassName SystemName Name SystemCreationClassName >
この鍵プロパティーのリストを変数 device_name_properties
に割り当てるには、以下を入力します。
> device_name_properties = device_name.key_properties() >
特定の鍵プロパティーの現在の値を取得するには、以下の構文を使用します。
instance_name_object.key_property_name
key_property_name をアクセスする鍵プロパティー名に置き換えます。
例22.31 個別の鍵プロパティーへのアクセス
例22.27「インスタンス名へのアクセス」 で作成した device_name
インスタンス名オブジェクトを検査して、鍵プロパティー SystemName
の値を表示するには、インタラクティブプロンプトに以下のコマンドを入力します。
> device_name.SystemName u'server.example.com' >
インスタンス名のインスタンスへの変換
インスタンス名はインスタンスに変換できます。これを行うには、以下のように to_instance()
メソッドを使用します。
instance_name_object.to_instance
()
instance_name_object を、変換するインスタンス名オブジェクトの名前に置き換えます。このメソッドは、LMIInstance
オブジェクトを返します。
例22.32 インスタンス名のインスタンスへの変換
例22.27「インスタンス名へのアクセス」 で作成した device_name
インスタンス名オブジェクトをインスタンスオブジェクト変換して、変数 device
に割り当てるには、インタラクティブプロンプトに以下のコマンドを入力します。
> device = device_name.to_instance() >
22.4.7. 関連するオブジェクトの使用
Common Information Model は、管理オブジェクト間の関係を定義します。
関連するインスタンスへのアクセス
特定のインスタンスオブジェクトに関連するオブジェクトのリストを取得するには、以下のように associators()
メソッドを使用します。
instance_object.associators
(
AssocClass=class_name,
ResultClass=class_name,
ResultRole=role,
IncludeQualifiers=include_qualifiers,
IncludeClassOrigin=include_class_origin,
PropertyList=property_list)
特定のインスタンスオブジェクトに関連する最初のオブジェクトにアクセスするには、first_associator()
メソッドを使用します。
instance_object.first_associator
(
AssocClass=class_name,
ResultClass=class_name,
ResultRole=role,
IncludeQualifiers=include_qualifiers,
IncludeClassOrigin=include_class_origin,
PropertyList=property_list)
instance_object を、検査するインスタンスオブジェクト名に置き換えます。以下のパラメーターを指定すると結果をフィルターにかけられます。
-
AssocClass
: 返される各オブジェクトは、このクラスまたはそのサブクラスの 1 つのインスタンスを通してソースオブジェクトに関連付けられている必要があります。デフォルト値はNone
です。 -
ResultClass
: 返される各オブジェクトは、このクラス、またはそのいずれかのサブクラスのインスタンスである必要があります。もしくは、このクラスまたはいずれかのサブクラスである必要があります。デフォルト値はNone
です。 -
Role
: 返される各オブジェクトは、ソースオブジェクトが特定のロールを果たす関連付けでソースオブジェクトと関連付けられている必要があります。このオブジェクトは、ソースオブジェクトが特定のロールを果たす関連付けでソースオブジェクトと関連付けられている必要があります。デフォルト値はNone
です。 -
ResultRole
: 返される各オブジェクトは、返されるオブジェクトが特定のロールを果たす関連付けでソースオブジェクトと関連付けられている必要があります。返されるオブジェクトを参照する関連付けクラス内のプロパティー名は、このパラメーターの値と合致する必要があります。デフォルト値はNone
です。
他のパラメーターは以下のとおりです。
-
IncludeQualifiers
: 応答に各オブジェクトのすべての修飾子 (オブジェクトおよび返されるプロパティー上の修飾子を含む) を QUALIFIER 要素として組み込むかどうかを示すブール値。デフォルト値はFalse
です。 -
IncludeClassOrigin
: 返される各オブジェクトで適切な全要素に CLASSORIGIN 属性が存在すべきかどうかを示すブール値。デフォルト値はFalse
です。 -
PropertyList
: このリストのメンバーは 1 つ以上のプロパティー名を定義します。返されたオブジェクトは、このリストにないプロパティーには要素を含めません。PropertyList
が空のリストである場合は、返されるオブジェクトにプロパティーは含まれません。None
の場合、追加のフィルタリングは定義されません。デフォルト値はNone
です。
例22.33 関連するインスタンスへのアクセス
LMI_StorageExtent
クラスは、システム内で利用可能なブロックデバイスを表します。例22.5「ネームスペースオブジェクトへのアクセス」 で作成した ns
ネームスペースオブジェクトを使用して、ブロックデバイス /dev/vda
用に LMI_StorageExtent
クラスのインスタンスを作成し、これを変数 vda
に割り当てるには、インタラクティブプロンプトに以下のコマンドを入力します。
> vda = ns.LMI_StorageExtent.first_instance({ ... "DeviceID" : "/dev/vda"}) >
このブロックデバイスにおけるディスクパーティションのリストを取得して、これを変数 vda_partitions
に割り当てるには、以下のように associators()
メソッドを使用します。
> vda_partitions = vda.associators(ResultClass="LMI_DiskPartition") >
関連するインスタンス名へのアクセス
特定のインスタンスオブジェクトで関連するインスタンス名のリストを取得するには、以下のように associator_names()
メソッドを使用します。
instance_object.associator_names
(
AssocClass=class_name,
ResultClass=class_name,
Role=role,
ResultRole=role)
特定のインスタンスオブジェクトで最初に関連するインスタンス名にアクセスするには、first_associator_name()
メソッドを使用します。
instance_object.first_associator_name
(
AssocClass=class_object,
ResultClass=class_object,
Role=role,
ResultRole=role)
instance_object を、検査するインスタンスオブジェクト名に置き換えます。以下のパラメーターを指定すると結果をフィルターにかけられます。
-
AssocClass
: 返される名前により、このクラスのインスタンス、またはサブクラスの 1 つから、ソースオブジェクトに関連づけられる必要のあるオブジェクトが識別されます。デフォルト値はNone
です。 -
ResultClass
: 返される各名前はオブジェクトを識別します。オブジェクトは、このクラスのインスタンスまたはそのサブクラスの 1 つである必要があります。または、このクラスまたはそのサブクラスのいずれかである必要があります。デフォルト値はNone
です。 -
Role
: 返された各名前は、ソースオブジェクトが指定されたロールを実行する関連付けでソースオブジェクトと関連付ける必要があるオブジェクトを識別します。このオブジェクトは、ソースオブジェクトが特定のロールを果たす関連付けでソースオブジェクトと関連付けられている必要があります。デフォルト値はNone
です。 -
ResultRole
: 返された各名前はオブジェクトを特定し、返された名前付きオブジェクトが指定されたロールを実行する関連付けでソースオブジェクトと関連付ける必要があるオブジェクトを識別します。返されるオブジェクトを参照する関連付けクラス内のプロパティー名は、このパラメーターの値と合致する必要があります。デフォルト値はNone
です。
例22.34 関連するインスタンス名へのアクセス
例22.33「関連するインスタンスへのアクセス」 で作成した vda
インスタンスオブジェクトを使用して、その関連するインスタンス名のリストを取得し、変数 vda_partitions
に割り当てるには、以下を入力します。
> vda_partitions = vda.associator_names(ResultClass="LMI_DiskPartition") >
22.4.8. 関連付けオブジェクトの使用
Common Information Model は、管理オブジェクト間の関係を定義します。関連付けオブジェクトは、他の 2 つのオブジェクト間の関係を定義します。
関連付けインスタンスへのアクセス
特定のターゲットオブジェクトを参照する関連付けオブジェクトのリストを取得するには、以下のように references()
メソッドを使用します。
instance_object.references
(
ResultClass=class_name,
Role=role,
IncludeQualifiers=include_qualifiers,
IncludeClassOrigin=include_class_origin,
PropertyList=property_list)
特定のターゲットオブジェクトを参照する最初の関連付けオブジェクトにアクセスするには、first_reference()
メソッドを使用します。
instance_object.first_reference
(
... ResultClass=class_name,
... Role=role,
... IncludeQualifiers=include_qualifiers,
... IncludeClassOrigin=include_class_origin,
... PropertyList=property_list)
>
instance_object を、検査するインスタンスオブジェクト名に置き換えます。以下のパラメーターを指定すると結果をフィルターにかけられます。
-
ResultClass
: 返される各オブジェクトは、このクラス、またはそのいずれかのサブクラスのインスタンスである必要があります。もしくは、このクラスまたはいずれかのサブクラスである必要があります。デフォルト値はNone
です。 -
Role
: 返される各オブジェクトは、このパラメーターの値に合致する名前を持つプロパティーでターゲットオブジェクトを参照する必要があります。デフォルト値はNone
です。
他のパラメーターは以下のとおりです。
-
IncludeQualifiers
: 応答に、QUALIFIER 要素として各オブジェクト (オブジェクト、および返されるすべてのプロパティー上の修飾子を含む) を追加するどうかを示すブール値。デフォルト値はFalse
です。 -
IncludeClassOrigin
: 返される各オブジェクトで適切な全要素に CLASSORIGIN 属性が存在すべきかどうかを示すブール値。デフォルト値はFalse
です。 -
PropertyList
: このリストのメンバーは 1 つ以上のプロパティー名を定義します。返されたオブジェクトは、このリストにないプロパティーには要素を含めません。PropertyList
が空のリストである場合は、返されるオブジェクトにプロパティーは含まれません。None
の場合、追加のフィルタリングは定義されません。デフォルト値はNone
です。
例22.35 関連付けインスタンスへのアクセス
LMI_LANEndpoint
クラスは、特定のネットワークインターフェイスデバイスに関連付けられる通信エンドポイントを表します。例22.5「ネームスペースオブジェクトへのアクセス」 で作成した ns
ネームスペースオブジェクトを使用して、ネットワークインターフェイスデバイス eth0 用に LMI_LANEndpoint
クラスのインスタンスを作成し、これを変数 lan_endpoint
に割り当てるには、インタラクティブプロンプトに以下のコマンドを入力します。
> lan_endpoint = ns.LMI_LANEndpoint.first_instance({ ... "Name" : "eth0"}) >
LMI_BindsToLANEndpoint
オブジェクトを参照する最初の関連付けオブジェクトにアクセスし、これを変数 bind
に割り当てるには、以下を入力します。
> bind = lan_endpoint.first_reference( ... ResultClass="LMI_BindsToLANEndpoint") >
これで Dependent
プロパティーを使用して、対応するネットワークインターフェイスデバイスの IP アドレスを表す依存 LMI_IPProtocolEndpoint
クラスにアクセスすることができます。
> ip = bind.Dependent.to_instance() > print ip.IPv4Address 192.168.122.1 >
関連付けインスタンス名へのアクセス
特定のインスタンスオブジェクトの関連付けインスタンス名のリストを取得するには、以下のように reference_names()
メソッドを使用します。
instance_object.reference_names
(
ResultClass=class_name,
Role=role)
特定のインスタンスオブジェクトの最初の関連付けインスタンスにアクセスするには、first_reference_name()
メソッドを使用します。
instance_object.first_reference_name
(
ResultClass=class_name,
Role=role)
instance_object を、検査するインスタンスオブジェクト名に置き換えます。以下のパラメーターを指定すると結果をフィルターにかけられます。
-
ResultClass
: 返される各オブジェクトは、このクラスのインスタンスかそのサブクラスの 1 つのインスタンス、または、このクラスまたはそのサブクラスの 1 つである必要があります。デフォルト値はNone
です。 -
Role
: 返される各オブジェクトは、このパラメーターの値に合致する名前を持つプロパティーでターゲットインスタンスを参照するオブジェクトを識別します。デフォルト値はNone
です。
例22.36 関連付けインスタンス名へのアクセス
例22.35「関連付けインスタンスへのアクセス」 で作成した lan_endpoint
インスタンスオブジェクトを使用して、LMI_BindsToLANEndpoint
オブジェクトを参照する最初の関連付けインスタンス名にアクセスし、これを変数 bind
に割り当てるには、以下を入力します。
> bind = lan_endpoint.first_reference_name( ... ResultClass="LMI_BindsToLANEndpoint")
これで Dependent
プロパティーを使用して、対応するネットワークインターフェイスデバイスの IP アドレスを表す依存 LMI_IPProtocolEndpoint
クラスにアクセスすることができます。
> ip = bind.Dependent.to_instance() > print ip.IPv4Address 192.168.122.1 >
22.4.9. Indication の使用
Indication は、データにおける特定の変化に反応して発生する特有のイベントへのリアクションです。LMIShell は、indication をサブスクライブしてこのようなイベント対応を受信できます。
Indication のサブスクライブ
indication をサブスクライブするには、以下のように subscribe_indication()
メソッドを使用します。
connection_object.subscribe_indication
( QueryLanguage="WQL"
, Query='SELECT * FROM CIM_InstModification'
, Name="cpu"
, CreationNamespace="root/interop"
, SubscriptionCreationClassName="CIM_IndicationSubscription"
, FilterCreationClassName="CIM_IndicationFilter"
, FilterSystemCreationClassName="CIM_ComputerSystem"
, FilterSourceNamespace="root/cimv2"
, HandlerCreationClassName="CIM_IndicationHandlerCIMXML"
, HandlerSystemCreationClassName="CIM_ComputerSystem"
, Destination="http://host_name:5988"
)
別の方法では、以下のように、このメソッド呼び出しの短いバージョンを使用することもできます。
connection_object.subscribe_indication
( Query='SELECT * FROM CIM_InstModification'
, Name="cpu"
, Destination="http://host_name:5988"
)
connection_object を接続オブジェクトに置き換え、host_name を、indication を配信するシステムのホスト名に置き換えます。
デフォルトでは、LMIShell インタープリターが作成したすべてのサブスクリプションは、インタープリターの終了時に自動的に削除されます。この動作を変更するには、Permanent=True
キーワードパラメーターを subscribe_indication()
メソッド呼び出しに渡します。これで、LMIShell がサブスクリプションを削除しなくなります。
例22.37 Indication のサブスクライブ
例22.1「リモートの CIMOM への接続」 で作成した c
接続オブジェクトを使用して、cpu
という名前の indication をサブスクライブするには、インタラクティブプロンプトに以下のコマンドを入力します。
> c.subscribe_indication( ... QueryLanguage="WQL", ... Query='SELECT * FROM CIM_InstModification', ... Name="cpu", ... CreationNamespace="root/interop", ... SubscriptionCreationClassName="CIM_IndicationSubscription", ... FilterCreationClassName="CIM_IndicationFilter", ... FilterSystemCreationClassName="CIM_ComputerSystem", ... FilterSourceNamespace="root/cimv2", ... HandlerCreationClassName="CIM_IndicationHandlerCIMXML", ... HandlerSystemCreationClassName="CIM_ComputerSystem", ... Destination="http://server.example.com:5988") LMIReturnValue(rval=True, rparams=NocaseDict({}), errorstr='') >
サブスクライブしている indication のリスト表示
サブスクライブしている indication のリストを表示するには、以下のように print_subscribed_indications()
メソッドを使用します。
connection_object.print_subscribed_indications
()
connection_object を、検査する接続オブジェクト名に置き換えます。このメソッドは、サブスクライブしている indication を標準出力に出力します。
サブスクライブしている indication のリストを取得するには、subscribed_indications()
メソッドを使用します。
connection_object.subscribed_indications
()
このメソッドは文字列のリストを返します。
例22.38 サブスクライブしている indication のリスト表示
例22.1「リモートの CIMOM への接続」 で作成した c
接続オブジェクトを検査し、サブスクライブしている indication のリストを表示するには、インタラクティブプロンプトに以下のコマンドを入力します。
> c.print_subscribed_indications() >
この indication のリストを変数 indications
に割り当てるには、以下を入力します。
> indications = c.subscribed_indications() >
Indication のサブスクライブ解除
デフォルトでは、LMIShell インタープリターが作成したすべてのサブスクリプションは、インタープリターの終了時に自動的に削除されます。これより前に個別のサブスクリプションを削除するには、以下のように unsubscribe_indication()
メソッドを使用します。
connection_object.unsubscribe_indication
(indication_name)
connection_object を、検査する接続オブジェクト名に置き換え、indication_name を、削除する indication の名前に置き換えます。
すべてのサブスクリプションを削除するには、unsubscribe_all_indications()
メソッドを使用します。
connection_object.unsubscribe_all_indications
()
例22.39 Indication のサブスクライブ解除
例22.1「リモートの CIMOM への接続」 で作成した c
接続オブジェクトを使用して、例22.37「Indication のサブスクライブ」 で作成した indication のサブスクライブを解除するには、インタラクティブプロンプトに以下のコマンドを入力します。
> c.unsubscribe_indication('cpu') LMIReturnValue(rval=True, rparams=NocaseDict({}), errorstr='') >
Indication ハンドラーの実装
subscribe_indication()
メソッドを使用すると、indication を配信するシステムのホスト名を指定できます。以下の例では、indication ハンドラーの実装方法を示します。
> def handler(ind, arg1, arg2, kwargs): ... exported_objects = ind.exported_objects() ... do_something_with(exported_objects) > listener = LmiIndicationListener("0.0.0.0", listening_port) > listener.add_handler("indication-name-XXXXXXXX", handler, arg1, arg2, kwargs)
> listener.start()
>
ハンドラーの最初の引数は LmiIndication
オブジェクトで、これには indication がエクスポートしたメソッドとオブジェクトのリストが含まれます。他のパラメーターはユーザー固有なので、ハンドラーをリスナーに追加する際にこれらの引数を指定する必要があります。
上記の例では、add_handler()
メソッド呼び出しは、8 つの X 文字の特別な文字列を使用しています。この文字は、ハンドラー名が競合しないように、リスナーが生成するランダムな文字列に置き換えられます。ランダムな文字列を使用するには、最初にインデックスリスナーを起動してからインデックスにサブスクライブし、ハンドラーオブジェクトの Destination
プロパティーに schema://host_name/random_string
の値が含まれるようにします。
例22.40 Indication ハンドラーの実装
以下のスクリプトでは、192.168.122.1
にある管理システムを監視し、新規ユーザーアカウントの作成時に常に indication_callback()
関数を呼び出すハンドラーの書き込み方法を示しています。
#!/usr/bin/lmishell import sys from time import sleep from lmi.shell.LMIUtil import LMIPassByRef from lmi.shell.LMIIndicationListener import LMIIndicationListener # These are passed by reference to indication_callback var1 = LMIPassByRef("some_value") var2 = LMIPassByRef("some_other_value") def indication_callback(ind, var1, var2): # Do something with ind, var1 and var2 print ind.exported_objects() print var1.value print var2.value c = connect("hostname", "username", "password") listener = LMIIndicationListener("0.0.0.0", 65500) unique_name = listener.add_handler( "demo-XXXXXXXX", # Creates a unique name for me indication_callback, # Callback to be called var1, # Variable passed by ref var2 # Variable passed by ref ) listener.start() print c.subscribe_indication( Name=unique_name, Query="SELECT * FROM LMI_AccountInstanceCreationIndication WHERE SOURCEINSTANCE ISA LMI_Account", Destination="192.168.122.1:65500" ) try: while True: sleep(60) except KeyboardInterrupt: sys.exit(0)
22.4.10. 使用例
本セクションでは、OpenLMI パッケージで配布される様々な CIM プロバイダーの例を示します。本セクションのすべての例で、以下の 2 つの変数定義を使用します。
c = connect("host_name", "user_name", "password") ns = c.root.cimv2
host_name を、管理システムのホスト名に置き換え、user_name を、そのシステムで実行している OpenPegasus CIMOM への接続が許可されているユーザー名に置き換え、password を、ユーザーのパスワードに置き換えます。
OpenLMI サービスプロバイダーの使用
openlmi-service パッケージは、システムサービスの管理用に CIM プロバイダーをインストールします。以下の例では、この CIM プロバイダーを使用して利用可能なシステムサービスのリストを表示する方法と、そのサービスの開始、停止、有効化、および無効化を行う方法を示しています。
例22.41 利用可能なサービスのリスト表示
管理システムで利用可能なすべてのサービスと、そのサービスの開始 (TRUE
) または (FALSE
) に関する情報、およびステータス文字列をリスト表示するには、以下のコードスニペットを使用します。
for service in ns.LMI_Service.instances(): print "%s:\t%s" % (service.Name, service.Status)
デフォルトで有効になっているサービスのみをリスト表示するには、以下のコードスニペットを使用します。
cls = ns.LMI_Service for service in cls.instances(): if service.EnabledDefault == cls.EnabledDefaultValues.Enabled: print service.Name
有効なサービスの場合は、EnabledDefault
プロパティーの値が 2
と等しくなり、無効なサービスの場合は 3
と等しくなることに注意してください。
cups
サービスに関する情報を表示するには、以下を使用します。
cups = ns.LMI_Service.first_instance({"Name": "cups.service"}) cups.doc()
例22.42 サービスの起動と停止
cups
サービスを起動して現行ステータスを確認するには、以下のコードスニペットを使用します。
cups = ns.LMI_Service.first_instance({"Name": "cups.service"}) cups.StartService() print cups.Status cups.StopService() print cups.Status
例22.43 サービスの有効化および無効化
cups
サービスを有効または無効にして、EnabledDefault
プロパティーを表示するには、以下のコードスニペットを使用します。
cups = ns.LMI_Service.first_instance({"Name": "cups.service"}) cups.TurnServiceOff() print cups.EnabledDefault cups.TurnServiceOn() print cups.EnabledDefault
OpenLMI ネットワーキングプロバイダーの使用
openlmi-networking パッケージは、ネットワーキング用の CIM プロバイダーをインストールします。以下の例では、この CIM プロバイダーを使用して特定のポート番号に関連付けられた IP アドレスをリスト表示する方法、新規接続を作成する方法、静的 IP アドレスを設定する方法、および接続をアクティブ化する方法を説明しています。
例22.44 特定のポート番号に関連付けられている IP アドレスのリスト表示
eth0 ネットワークインターフェイスに関連付けられている IP アドレスのリストを表示するには、以下のコードスニペットを使用します。
device = ns.LMI_IPNetworkConnection.first_instance({'ElementName': 'eth0'}) for endpoint in device.associators(AssocClass="LMI_NetworkSAPSAPDependency", ResultClass="LMI_IPProtocolEndpoint"): if endpoint.ProtocolIFType == ns.LMI_IPProtocolEndpoint.ProtocolIFTypeValues.IPv4: print "IPv4: %s/%s" % (endpoint.IPv4Address, endpoint.SubnetMask) elif endpoint.ProtocolIFType == ns.LMI_IPProtocolEndpoint.ProtocolIFTypeValues.IPv6: print "IPv6: %s/%d" % (endpoint.IPv6Address, endpoint.IPv6SubnetPrefixLength)
このコードスニペットは、指定した LMI_IPNetworkConnection
クラスに関連付けられた LMI_IPProtocolEndpoint
クラスを使用します。
デフォルトのゲートウェイを表示するには、以下のコードスニペットを使用します。
for rsap in device.associators(AssocClass="LMI_NetworkRemoteAccessAvailableToElement", ResultClass="LMI_NetworkRemoteServiceAccessPoint"): if rsap.AccessContext == ns.LMI_NetworkRemoteServiceAccessPoint.AccessContextValues.DefaultGateway: print "Default Gateway: %s" % rsap.AccessInfo
デフォルトのゲートウェイは、AccessContext
プロパティーが DefaultGateway
と等しい LMI_NetworkRemoteServiceAccessPoint
インスタンスで表されます。
DNS サーバーのリストを取得するには、以下のようにオブジェクトモデルをトラバースする必要があります。
-
LMI_NetworkSAPSAPDependency
を使用して、指定したLMI_IPNetworkConnection
に関連付けられたLMI_IPProtocolEndpoint
インスタンスを取得する。 -
LMI_DNSProtocolEndpoint
インスタンスに同一の関連付けを使用する。
LMI_NetworkRemoteAccessAvailableToElement
で関連付けられている DNS サーバーと同等の AccessContext
プロパティーを持つ LMI_NetworkRemoteServiceAccessPoint
インスタンスには、 AccessInfo
プロパティーに DNS サーバーのアドレスがあります。
RemoteServiceAccessPath
の取得には他のパスもあり、エントリーは重複可能です。以下のコードスニペットは、set()
関数を使用して DNS サーバーから重複エントリーを削除します。
dnsservers = set() for ipendpoint in device.associators(AssocClass="LMI_NetworkSAPSAPDependency", ResultClass="LMI_IPProtocolEndpoint"): for dnsedpoint in ipendpoint.associators(AssocClass="LMI_NetworkSAPSAPDependency", ResultClass="LMI_DNSProtocolEndpoint"): for rsap in dnsedpoint.associators(AssocClass="LMI_NetworkRemoteAccessAvailableToElement", ResultClass="LMI_NetworkRemoteServiceAccessPoint"): if rsap.AccessContext == ns.LMI_NetworkRemoteServiceAccessPoint.AccessContextValues.DNSServer: dnsservers.add(rsap.AccessInfo) print "DNS:", ", ".join(dnsservers)
例22.45 新規接続の作成および静的 IP アドレスの設定
eth0 ネットワークインターフェイスで静的 IPv4 とステートレスの IPv6 設定を作成するには、以下のコードスニペットを使用します。
capability = ns.LMI_IPNetworkConnectionCapabilities.first_instance({ 'ElementName': 'eth0' }) result = capability.LMI_CreateIPSetting(Caption='eth0 Static', IPv4Type=capability.LMI_CreateIPSetting.IPv4TypeValues.Static, IPv6Type=capability.LMI_CreateIPSetting.IPv6TypeValues.Stateless) setting = result.rparams["SettingData"].to_instance() for settingData in setting.associators(AssocClass="LMI_OrderedIPAssignmentComponent"): if setting.ProtocolIFType == ns.LMI_IPAssignmentSettingData.ProtocolIFTypeValues.IPv4: # Set static IPv4 address settingData.IPAddresses = ["192.168.1.100"] settingData.SubnetMasks = ["255.255.0.0"] settingData.GatewayAddresses = ["192.168.1.1"] settingData.push()
このコードスニペットは、LMI_IPNetworkConnectionCapabilities
のインスタンスで LMI_CreateIPSetting()
メソッドを呼び出して新しい設定を作成します。これは LMI_IPNetworkConnectionElementCapabilities
を介して LMI_IPNetworkConnection
に関連付けられます。また、push()
メソッドを使用して設定の修正も行います。
例22.46 接続のアクティブ化
設定をネットワークインターフェイスに適用するには、LMI_IPConfigurationService
クラスの ApplySettingToIPNetworkConnection()
メソッドを呼び出します。このメソッドは非同期で、ジョブを返します。以下のコードスニペットでは、このメソッドを同期で呼び出す方法を示しています。
setting = ns.LMI_IPAssignmentSettingData.first_instance({ "Caption": "eth0 Static" }) port = ns.LMI_IPNetworkConnection.first_instance({ 'ElementName': 'ens8' }) service = ns.LMI_IPConfigurationService.first_instance() service.SyncApplySettingToIPNetworkConnection(SettingData=setting, IPNetworkConnection=port, Mode=32768)
Mode
パラメーターは、設定の適用方法に影響を与えます。このパラメーターで最もよく使われる値は、以下のとおりです。
-
1
: 設定を直ちに適用し、自動アクティブ化します。 -
2
: 設定を自動アクティブ化しますが、すぐには適用しません。 -
4
: 切断して自動アクティブ化を無効にします。 -
5
: 設定状態を変更せず、自動アクティブ化のみを無効にします。 -
32768
: 設定を適用します。 -
32769
: 切断します。
OpenLMI ストレージプロバイダーの使用
openlmi-storage パッケージは、ストレージ管理用の CIM プロバイダーをインストールします。以下の例では、この CIM プロバイダーを使用したボリュームグループおよび論理ボリュームの作成、ファイルシステムの構築およびマウント、システムが認知するブロックデバイスのリスト表示の方法を説明します。
c
および ns
の変数に加え、以下の例では下記の変数定義を使用します。
MEGABYTE = 1024*1024 storage_service = ns.LMI_StorageConfigurationService.first_instance() filesystem_service = ns.LMI_FileSystemConfigurationService.first_instance()
例22.47 ボリュームグループの作成
/dev/myGroup/
にあり、3 つのメンバーがありデフォルトの拡張サイズが 4 MB の新規ボリュームグループを作成するには、以下のコードスニペットを使用します。
# Find the devices to add to the volume group # (filtering the CIM_StorageExtent.instances() # call would be faster, but this is easier to read): sda1 = ns.CIM_StorageExtent.first_instance({"Name": "/dev/sda1"}) sdb1 = ns.CIM_StorageExtent.first_instance({"Name": "/dev/sdb1"}) sdc1 = ns.CIM_StorageExtent.first_instance({"Name": "/dev/sdc1"}) # Create a new volume group: (ret, outparams, err) = storage_service.SyncCreateOrModifyVG( ElementName="myGroup", InExtents=[sda1, sdb1, sdc1]) vg = outparams['Pool'].to_instance() print "VG", vg.PoolID, \ "with extent size", vg.ExtentSize, \ "and", vg.RemainingExtents, "free extents created."
例22.48 論理ボリュームの作成
サイズが 100 MB の論理ボリューム 2 つを作成するには、以下のコードスニペットを使用します。
# Find the volume group: vg = ns.LMI_VGStoragePool.first_instance({"Name": "/dev/mapper/myGroup"}) # Create the first logical volume: (ret, outparams, err) = storage_service.SyncCreateOrModifyLV( ElementName="Vol1", InPool=vg, Size=100 * MEGABYTE) lv = outparams['TheElement'].to_instance() print "LV", lv.DeviceID, \ "with", lv.BlockSize * lv.NumberOfBlocks,\ "bytes created." # Create the second logical volume: (ret, outparams, err) = storage_service.SyncCreateOrModifyLV( ElementName="Vol2", InPool=vg, Size=100 * MEGABYTE) lv = outparams['TheElement'].to_instance() print "LV", lv.DeviceID, \ "with", lv.BlockSize * lv.NumberOfBlocks, \ "bytes created."
例22.49 ファイルシステムの作成
例22.48「論理ボリュームの作成」 の論理ボリューム lv
に ext3
ファイルシステムを作成するには、以下のコードスニペットを使用します。
(ret, outparams, err) = filesystem_service.SyncLMI_CreateFileSystem( FileSystemType=filesystem_service.LMI_CreateFileSystem.FileSystemTypeValues.EXT3, InExtents=[lv])
例22.50 ファイルシステムのマウント
例22.49「ファイルシステムの作成」 で作成したファイルシステムをマウントするには、以下のコードスニペットを使用します。
# Find the file system on the logical volume: fs = lv.first_associator(ResultClass="LMI_LocalFileSystem") mount_service = ns.LMI_MountConfigurationService.first_instance() (rc, out, err) = mount_service.SyncCreateMount( FileSystemType='ext3', Mode=32768, # just mount FileSystem=fs, MountPoint='/mnt/test', FileSystemSpec=lv.Name)
例22.51 ブロックデバイスのリスト表示
システムが認識するブロックデバイスのリストを表示するには、以下のコードスニペットを使用します。
devices = ns.CIM_StorageExtent.instances() for device in devices: if lmi_isinstance(device, ns.CIM_Memory): # Memory and CPU caches are StorageExtents too, do not print them continue print device.classname, print device.DeviceID, print device.Name, print device.BlockSize*device.NumberOfBlocks
OpenLMI ハードウェアプロバイダーの使用
openlmi-hardware パッケージは、ハードウェアを監視するための CIM プロバイダーをインストールします。以下の例では、この CIM プロバイダーを使用して CPU、メモリーモジュール、PCI デバイス、およびマシンの製造元およびモデルに関する情報を取得する方法を説明します。
例22.52 CPU 情報の表示
CPU 名、プロセッサーコア数、ハードウェアスレッド数などの基本的な CPU 情報を表示するには、以下のコードスニペットを使用します。
cpu = ns.LMI_Processor.first_instance() cpu_cap = cpu.associators(ResultClass="LMI_ProcessorCapabilities")[0] print cpu.Name print cpu_cap.NumberOfProcessorCores print cpu_cap.NumberOfHardwareThreads
例22.53 メモリー情報の表示
メモリーモジュールの個別サイズなどの基本情報を表示するには、以下のコードスニペットを使用します。
mem = ns.LMI_Memory.first_instance() for i in mem.associators(ResultClass="LMI_PhysicalMemory"): print i.Name
例22.54 シャーシ情報の表示
製造元やモデルなどのマシンの基本情報を表示するには、以下のコードスニペットを使用します。
chassis = ns.LMI_Chassis.first_instance() print chassis.Manufacturer print chassis.Model
例22.55 PCI デバイスのリスト表示
システムが認識する PCI デバイスのリストを表示するには、以下のコードスニペットを使用します。
for pci in ns.LMI_PCIDevice.instances(): print pci.Name