11.4. シェルおよびコマンドラインツール
RHEL 9 では、chkconfig
パッケージがデフォルトでインストールされない
システムサービス用のランレベル情報を更新およびクエリーする chkconfig
パッケージは、RHEL 9 ではデフォルトでインストールされません。
サービスを管理するには、systemctl
コマンドを使用するか、chkconfig
パッケージを手動でインストールします。
systemd
の詳細は、systemd の概要 を参照してください。systemctl
ユーティリティーの使用方法は、systemctl を使用したシステムサービスの管理 を参照してください。
Bugzilla:2053598[1]
コンソール keymap
を設定するには、最小限のインストールで libxkbcommon
ライブラリーが必要
RHEL 9 では、特定の systemd
ライブラリーの依存関係が動的リンクから動的ロードに変換され、システムが実行時にライブラリーを開いて使用できるようになりました。今回の変更により、必要なライブラリーをインストールしない限り、このようなライブラリーに依存する機能は使用できなくなります。これは、最小限のインストール設定を使用するシステムにおけるキーボードレイアウトの設定にも影響します。その結果、localectl --no-convert set-x11-keymap gb
コマンドに失敗します。
この問題を回避するには、libxkbcommon
ライブラリーをインストールします。
# dnf install libxkbcommon
sysstat
パッケージの %vmeff
メトリックに誤った値が表示される
sysstat
パッケージは、ページ再利用効率を測定するための %vmeff
メトリックを提供します。sysstat
は、新しいカーネルバージョンで提供されるすべての関連する /proc/vmstat
値を解析しないため、sar -B
コマンドによって返される %vmeff
列の値は正しくありません。この問題を回避するには、/proc/vmstat
ファイルから %vmeff
値を手動で計算します。詳細は、Why the sar(1)
tool reports %vmeff
values beyond 100 % in RHEL 8 and RHEL 9? を参照してください。
Service Location Protocol (SLP) は UDP を介した攻撃に対して脆弱である
OpenSLP は、プリンターやファイルサーバーなどのローカルエリアネットワーク内のアプリケーションに動的設定メカニズムを提供します。ただし、SLP は、インターネットに接続されたシステムで UDP を介した反射型/増幅型サービス拒否攻撃に対して脆弱です。SLP を使用すると、認証されていない攻撃者は、SLP 実装によって設定された制限なしで新しいサービスを登録できます。攻撃者は UDP を使用し、送信元アドレスをスプーフィングすることで、サービス一覧を要求し、スプーフィングされたアドレスにサービス拒否を作成できます。
外部の攻撃者が SLP サービスにアクセスできないようにするには、インターネットに直接接続されているなど、信頼できないネットワークで実行されているすべてのシステムで SLP を無効にします。または、この問題を回避するには、UDP および TCP ポート 427 でトラフィックをブロックまたはフィルタリングするようにファイアウォールを設定します。
Jira:RHEL-6995[1]
セキュアブートが有効になっている UEFI
システム上の ReaR レスキューイメージは、デフォルト設定では起動に失敗する
rear mkrescue
または rear mkbackup
コマンドを使用した ReaR イメージの作成が失敗し、次のメッセージが表示されます。
grub2-mkstandalone may fail to make a bootable EFI image of GRUB2 (no /usr/*/grub*/x86_64-efi/moddep.lst file) (...) grub2-mkstandalone: error: /usr/lib/grub/x86_64-efi/modinfo.sh doesn't exist. Please specify --target or --directory.
不足しているファイルは、grub2-efi-x64-modules
パッケージの一部です。このパッケージをインストールすると、エラーなしでレスキューイメージが正常に作成されます。UEFI
セキュアブートが有効になっている場合は、レスキューイメージは署名されていないブートローダーを使用するため起動できません。
この問題を回避するには、/etc/rear/local.conf
または /etc/rear/site.conf
ReaR 設定ファイルに次の変数を追加します。
UEFI_BOOTLOADER=/boot/efi/EFI/redhat/grubx64.efi SECURE_BOOT_BOOTLOADER=/boot/efi/EFI/redhat/shimx64.efi
提案された回避策を使用すると、grub2-efi-x64-modules
パッケージのないシステムでもイメージを正常に生成でき、セキュアブートが有効になっているシステムで起動できるようになります。さらに、システムのリカバリー中に、リカバリーされたシステムのブートローダーは EFI
shim ブートローダーに設定されます。
UEFI
、セキュアブート
、shim ブートローダー
の詳細は、ナレッジベースの記事 UEFI: what happens when booting the system を参照してください。
Jira:RHELDOCS-18064[1]
sar
および iostat
ユーティリティーによって生成された %util
列が無効
sar
または iostat
ユーティリティーを使用してシステム使用状況の統計情報を収集する場合、sar
または iostat
によって生成された %util
列に無効なデータが含まれることがあります。
Jira:RHEL-26275[1]
lsb-release
バイナリーは RHEL 9 では利用できない
/etc/os-release
の情報は、以前は lsb-release
バイナリーを呼び出すことで入手できました。このバイナリーは redhat-lsb package
に含まれていましたが、このパッケージは RHEL 9 では削除されました。現在は、/etc/os-release
ファイルを読み取ることで、オペレーティングシステムに関する情報 (ディストリビューション、バージョン、コード名、関連するメタデータなど) を表示できるようになりました。このファイルは Red Hat が提供しており、このファイルに対する変更は redhat-release
パッケージを更新するたびに上書きされます。ファイルの形式は KEY=VALUE
であり、シェルスクリプトのデータを安全に取得できます。
Jira:RHELDOCS-16427[1]