13.3. kdump ターゲットの設定
クラッシュダンプは通常、ローカルファイルシステムにファイルとして保存され、デバイスに直接書き込まれます。また、NFS
または SSH
プロトコルを使用して、ネットワーク経由でクラッシュダンプにアクセスするように設定することもできます。クラッシュダンプファイルを保存するこれらの方法は、一度に 1 つだけ使用できます。デフォルトの動作では、ローカルファイルシステムの /var/crash/
ディレクトリーに保存されます。
前提条件
- システムの root 権限がある。
-
kdump
設定とターゲットの要件をすべて満たしている。詳細は 対応している kdump 設定とターゲット を参照してください。
手順
ローカルファイルシステムの
/var/crash/
ディレクトリーにクラッシュダンプファイルを保存するには、/etc/kdump.conf
ファイルを変更して、パスを指定します。path /var/crash
path /var/crash
オプションは、kdump
がクラッシュダンプファイルを保存するファイルシステムへのパスを表します。注記-
/etc/kdump.conf
ファイルでダンプターゲットを指定すると、path は指定されたダンプ出力先に対する相対パスになります。 -
/etc/kdump.conf
ファイルでダンプターゲットを指定しない場合、パスはルートディレクトリーからの 絶対 パスを表します。
現在のシステムにマウントされている内容に応じて、ダンプターゲットと調整されたダンプパスが自動的に設定されます。
kdump
によって生成されるクラッシュダンプファイルと付随するファイルを保護するには、ユーザー権限や SELinux コンテキストなど、ターゲットの宛先ディレクトリーの属性を適切に設定する必要があります。さらに、次のようにkdump.conf
ファイルでkdump_post.sh
などのスクリプトを定義することもできます。kdump_post <path_to_kdump_post.sh>
kdump_post
ディレクティブは、kdump
がクラッシュダンプの取得と指定の保存先への保存を完了した 後に 実行されるシェルスクリプトまたはコマンドを指定するものです。このメカニズムを使用すると、kdump
の機能を拡張して、ファイル権限の調整などの操作を実行できます。-
例13.1 kdump
ターゲット設定
# grep -v ^# /etc/kdump.conf | grep -v ^$
ext4 /dev/mapper/vg00-varcrashvol
path /var/crash
core_collector makedumpfile -c --message-level 1 -d 31
ここでは、ダンプターゲット (ext4 /dev/mapper/vg00-varcrashvol
) が指定されているため、/var/crash
にマウントされます。path
オプションも /var/crash
に設定されているため、kdump
は vmcore
ファイルを /var/crash/var/crash
ディレクトリーに保存します。
クラッシュダンプを保存するローカルディレクトリーを変更するには、
root
ユーザーとして/etc/kdump.conf
設定ファイルを編集します。-
#path /var/crash
の行頭にあるハッシュ記号 (#
) を削除します。 値を対象のディレクトリーパスに置き換えます。以下に例を示します。
path /usr/local/cores
重要Red Hat Enterprise Linux 9 では、失敗を避けるために、
path
ディレクティブを使用してkdump
ターゲットとして定義されたディレクトリーがkdump
systemd
サービスの起動時に存在していなければなりません。この動作は、RHEL の以前のバージョンとは異なります。以前は、サービスの起動時にディレクトリーが存在しない場合、ディレクトリーが自動的に作成されていました。
-
ファイルを別のパーティションに書き込むには、
/etc/kdump.conf
設定ファイルを編集します。必要に応じて
#ext4
の行頭にあるハッシュ記号 (#
) を削除します。-
デバイス名 (
#ext4 /dev/vg/lv_kdump
行) -
ファイルシステムラベル (
#0ext4 LABEL=/boot
行) -
UUID (
#ext4 UUID=03138356-5e61-4ab3-b58e-27507ac41937
の行)
-
デバイス名 (
ファイルシステムタイプとデバイス名、ラベル、または UUID を必要な値に変更します。UUID 値を指定するための正しい構文は、
UUID="correct-uuid"
とUUID=correct-uuid
の両方です。以下に例を示します。ext4 UUID=03138356-5e61-4ab3-b58e-27507ac41937
重要LABEL=
またはUUID=
を使用してストレージデバイスを指定することを推奨します。/dev/sda3
などのディスクデバイス名は、再起動した場合に一貫性が保証されません。IBM Z ハードウェアで Direct Access Storage Device (DASD) を使用する場合は、
kdump
に進む前に、ダンプデバイスが/etc/dasd.conf
で正しく指定されていることを確認してください。
クラッシュダンプを直接書き込むには、
/etc/kdump.conf
設定ファイルを修正します。-
#raw /dev/vg/lv_kdump
の行頭にあるハッシュ記号 (#
) を削除します。 値を対象のデバイス名に置き換えます。以下に例を示します。
raw /dev/sdb1
-
NFS
プロトコルを使用してクラッシュダンプをリモートマシンに保存するには、次の手順を実行します。-
#nfs my.server.com:/export/tmp
の行頭にあるハッシュ記号 (#
) を削除します。 値を、正しいホスト名およびディレクトリーパスに置き換えます。以下に例を示します。
nfs penguin.example.com:/export/cores
変更を有効にするには、
kdump
サービスを再起動します。sudo systemctl restart kdump.service
注記NFS ディレクティブを使用して NFS ターゲットを指定すると、
kdump.service
が自動的に NFS ターゲットをマウントしてディスク容量をチェックしようとします。NFS ターゲットを事前にマウントする必要はありません。kdump.service
がターゲットをマウントしないようにするには、kdump.conf
でdracut_args --mount
ディレクティブを使用します。これにより、kdump.service
が--mount
引数を使用してdracut
ユーティリティーを呼び出して NFS ターゲットを指定できるようになります。
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SSH プロトコルを使用してクラッシュダンプをリモートマシンに保存するには、次の手順を実行します。
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#ssh user@my.server.com
の行頭にあるハッシュ記号 (#
) を削除します。 - 値を正しいユーザー名およびホスト名に置き換えます。
SSH キーを設定に含めます。
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#sshkey /root/.ssh/kdump_id_rsa
の行頭にあるハッシュ記号 ("#") を削除します。 値を、ダンプ先のサーバー上の正しいキーの場所に変更します。以下に例を示します。
ssh john@penguin.example.com sshkey /root/.ssh/mykey
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