第1章 Remote health monitoring with connected clusters
1.1. リモートヘルスモニタリングについて
OpenShift Dedicated は、クラスターに関する Telemetry および設定データを収集し、Telemeter Client および Insights Operator を使用して Red Hat に報告します。Red Hat に提供されるデータには、このドキュメントで説明されている利点があります。
Telemetry および Insights Operator 経由でデータを Red Hat にレポートするクラスターは 接続クラスター (connected cluster) と見なされます。
Telemetry は、OpenShift Dedicated Telemeter Client が Red Hat に送信する情報を表す Red Hat 用語です。軽量の属性は、サブスクリプション管理の自動化、クラスターの健全性の監視、サポートの支援、お客様のエクスペリエンスの向上を図るために、接続されたクラスターから Red Hat に送信されます。
Insights Operator は OpenShift Dedicated 設定データを収集し、これを Red Hat に送信します。このデータは、クラスターが直面する可能性のある問題についての情報を得るために使用されます。その情報は、OpenShift Cluster Manager Hybrid Cloud Console でクラスター管理者に伝達されます。
この 2 つのプロセスの詳細は、このドキュメントを参照してください。
Telemetry および Insights Operator の利点
ユーザーにとって、Telemetry および Insights Operator には次のような利点があります。
- 問題の特定および解決の強化。エンドユーザーには正常と思われるイベントも、Red Hat は多くのお客様を含む全体的な視点で観察できます。この視点により、一部の問題はより迅速に特定され、エンドユーザーがサポートケースを作成したり、Jira issue を作成しなくても解決することが可能です。
-
高度なリリース管理。OpenShift Dedicated は、更新ストラテジーを選択できる
candidate
、fast
、およびstable
リリースチャネルを提供します。リリースのfast
からstable
に移行できるかどうかは、更新の成功率やアップグレード時に確認されるイベントに依存します。接続されたクラスターが提供する情報により、Red Hat はリリースの品質をstable
チャネルに引き上げ、fast
チャネルで見つかった問題により迅速に対応することができます。 - 新機能の明確な優先順位付け。収集されるデータは、最も使用される OpenShift Dedicated の領域に関する洞察を提供します。この情報により、Red Hat はお客様に最も大きな影響を与える新機能の開発に重点的に取り組むことができます。
- 効率的なサポートエクスペリエンス。Red Hat カスタマーポータル でサポートチケットを作成する際に、接続されたクラスターのクラスター ID を指定できます。これにより、Red Hat は接続された情報を使用してクラスター固有の効率化されたサポートエクスペリエンスを提供できます。このドキュメントは、強化されたサポートエクスペリエンスについての詳細情報を提供しています。
- 予測分析。OpenShift Cluster Manager Hybrid Cloud Console で表示されるクラスター情報は、接続されたクラスターから収集された情報によって有効になります。Red Hat は、OpenShift Dedicated クラスターがさらされている問題の特定に役立つように、ディープラーニング、機械学習、人工知能の自動化に取り組んでいます。
1.1.1. Telemetry について
Telemetry は厳選されたクラスターモニタリングメトリクスのサブセットを Red Hat に送信します。Telemeter Client はメトリクスの値を 4 分 30 秒ごとに取得し、データを Red Hat にアップロードします。これらのメトリクスについては、このドキュメントで説明しています。
このデータストリームは、Red Hat がリアルタイムでクラスターをモニターし、お客様に影響を与える問題に随時対応するために使用されます。Red Hat はこれを使用することで、OpenShift Dedicated アップグレードをお客様にロールアウトして、サービスへの影響を最小限に抑え、アップグレードエクスペリエンスを継続的に改善することもできます。
Red Hat サポートおよびエンジニアリングチームは、サポートケースでレポートされるデータにアクセスする場合と同じ制限が適用された状態で、このデバッグ情報を使用できます。接続クラスターに関するすべての情報は、より使いやすく、直感的に使用できる OpenShift Dedicated を実現するために Red Hat が使用します。。
1.1.1.1. Telemetry で収集される情報
以下の情報は、Telemetry によって収集されます。
1.1.1.1.1. システム情報
- OpenShift Dedicated クラスターのバージョンと、更新バージョンの可用性を判別するために使用されるインストール済み更新の詳細を含むバージョン情報
- クラスターごとに利用可能な更新の数、更新に使用されるチャネルおよびイメージリポジトリー、更新の進捗情報、および更新で発生するエラーの数などの更新情報
- インストール時に生成される一意でランダムな識別子
- クラウドインフラストラクチャーレベルのノード設定、ホスト名、IP アドレス、Kubernetes Pod 名、namespace、およびサービスなど、Red Hat サポートがお客様にとって有用なサポートを提供するのに役立つ設定の詳細
- クラスターにインストールされている OpenShift Dedicated フレームワークコンポーネントおよびそれらの状態およびステータス
- 動作が低下した Operator の関連オブジェクトとして一覧表示されるすべての namespace のイベント
- 動作が低下したソフトウェアに関する情報
- 証明書の有効性についての情報
- OpenShift Dedicated がデプロイされているプロバイダープラットフォームの名前とデータセンターの場所
1.1.1.1.2. サイジング情報
- CPU コアの数およびそれぞれに使用される RAM の容量を含む、クラスター、マシンタイプ、およびマシンについてのサイジング情報
- etcd メンバーの数および etcd クラスターに保存されるオブジェクトの数
1.1.1.1.3. 使用情報
- コンポーネント、機能および拡張機能に関する使用率の情報
- テクノロジープレビューおよびサポート対象外の設定に関する使用率の詳細
Telemetry は、ユーザー名やパスワードなどの識別情報を収集しません。Red Hat は、意図的な個人情報の収集は行いません。誤って個人情報を受信したことが明らかになった場合、Red Hat はその情報を削除します。Telemetry データが個人データに該当する場合は、Red Hat プライバシーステートメント で Red Hat のプライバシー方針を確認してください。
1.1.2. Insights Operator について
Insights Operator は設定およびコンポーネントの障害ステータスを定期的に収集し、デフォルトで 2 時間ごとにそのデータを Red Hat に報告します。この情報により、Red Hat は設定や Telemetry で報告されるデータよりも詳細な障害データを評価できます。
OpenShift Dedicated のユーザーは、Red Hat Hybrid Cloud Console の Insights Advisor サービスで各クラスターのレポートを表示できます。問題が特定されると、Insights は詳細を提供します。利用可能な場合は、問題の解決方法に関する手順が提供されます。
Insights Operator は、ユーザー名、パスワード、または証明書などの識別情報を収集しません。Red Hat Insights のデータ収集とコントロールの詳細は、Red Hat Insights のデータおよびアプリケーションセキュリティー を参照してください。
Red Hat は、接続されたすべてのクラスター情報を使用して、以下を実行します。
- Red Hat Hybrid Cloud Console の Insights Advisor サービスで、潜在的なクラスターの問題を特定し、解決策と予防措置を提供します。
- 製品およびサポートチームに集約された重要な情報を提供することにより、OpenShift Dedicated を改善します。
- OpenShift Dedicated をより直感的なものにします。
関連情報
- Insights Operator はデフォルトでインストールされ、有効にされます。
1.1.2.1. Insights Operator によって収集される情報
以下の情報は、Insights Operator によって収集されます。
- OpenShift Dedicated バージョンおよび環境に固有の問題を特定するためのクラスターおよびそのコンポーネントについての一般的な情報
- 誤った設定や設定するパラメーターに固有の問題の判別に使用するクラスターのイメージレジストリー設定などの設定ファイル
- クラスターコンポーネントで発生するエラー
- 実行中の更新の進捗情報、およびコンポーネントのアップグレードのステータス
- Amazon Web Services などの OpenShift Dedicated がデプロイされるプラットフォームや、クラスターが置かれるリージョンについての詳細情報
-
Operator が問題を報告すると、
openshift-*
およびkube-*
プロジェクトのコア OpenShift Dedicated Pod に関する情報が収集されます。これには、状態、リソース、セキュリティーコンテキスト、ボリューム情報などが含まれます。
関連情報
- Insights Operator のソースコードは、レビューおよび提供できます。Insights Operator によって収集される項目のリストについては、Insights Operator のアップストリームプロジェクト を参照してください。
1.1.3. Telemetry および Insights Operator データフローについて
Telemeter Client は、Prometheus API から選択した時系列データを収集します。時系列データは、処理するために 4 分 30 秒ごとに api.openshift.com にアップロードされます。
Insights Operator は、選択したデータを Kubernetes API および Prometheus API からアーカイブに収集します。アーカイブは、処理のために 2 時間ごとに OpenShift Cluster Manager Hybrid Cloud Console にアップロードされます。Insights Operator は、OpenShift Cluster Manager Hybrid Cloud Console から最新の Insights 分析もダウンロードします。これは、OpenShift Dedicated Web コンソールの Overview ページに含まれる Insights status ポップアップを設定するために使用されます。
Red Hat との通信はすべて、Transport Layer Security (TLS) および相互証明書認証を使用して、暗号化されたチャネル上で行われます。すべてのデータは移動中および停止中に暗号化されます。
顧客データを処理するシステムへのアクセスは、マルチファクター認証と厳格な認証制御によって制御されます。アクセスは関係者以外極秘で付与され、必要な操作に制限されます。
Telemetry および Insights Operator データフロー
1.1.4. リモートヘルスモニタリングデータの使用方法に関する追加情報
リモートヘルスモニタリングを有効にするために収集される情報の詳細は、Telemetry で収集される情報 および Insights Operator によって収集される情報 を参照してください。
このドキュメントで前述したとおり、Red Hat は、サポートおよびアップグレードの提供、パフォーマンス/設定の最適化、サービスへの影響の最小化、脅威の特定および修復、トラブルシューティング、オファリングおよびユーザーエクスペリエンスの強化、問題への対応および請求を目的として (該当する場合)、お客様の Red Hat 製品使用データを収集します。
収集における対策
Red Hat は、Telemetry および設定データを保護するために設計された技術的および組織的な対策を採用しています。
共有
Red Hat は、ユーザーエクスペリエンスの向上に向けて、Telemetry および Insights Operator で収集されるデータを内部で共有する場合があります。Red Hat は、以下の目的で Red Hat のビジネスパートナーと、お客様を特定しない集約された形式で Telemetry および設定データを共有する場合があります。つまり、パートナーが 市場およびお客様の Red Hat のオファリングの使用についてより良く理解できるように支援することを目的とするか、それらのパートナーと共同でサポートしている製品の統合を効果的に行うことを目的としています。
サードパーティー
Red Hat は、Telemetry および設定データの収集、分析、および保管を支援するために、特定のサードパーティーと連携する場合があります。