第10章 分散トレーシング
分散トレーシングを使用すると、分散システムのアプリケーション間で実行されるトランザクションの進捗を追跡できます。マイクロサービスのアーキテクチャーでは、トレーシングはサービス間のトランザクションの進捗を追跡します。トレースデータは、アプリケーションのパフォーマンスを監視し、ターゲットシステムおよびエンドユーザーアプリケーションの問題を調べるのに役立ちます。
AMQ Streams では、トレーシングによってメッセージのエンドツーエンドの追跡が容易になります。これは、ソースシステムから Kafka、さらに Kafka からターゲットシステムおよびアプリケーションへのメッセージの追跡です。これは、Grafana ダッシュボード で表示できるメトリクスやコンポーネントロガーを補います。
AMQ Streams によるトレーシングのサポート方法
トレーシングのサポートは、以下のコンポーネントに組み込まれています。
- Kafka Connect (Source2Image がサポートされる Kafka Connect を含む)
- MirrorMaker
- MirrorMaker 2.0
- AMQ Streams Kafka Bridge
カスタムリソースのテンプレート設定プロパティーを使用して、これらのコンポーネントのトレーシングを有効化および設定します。
Kafka プロデューサー、コンシューマー、および Kafka Streams API アプリケーションでトレーシングを有効にするには、AMQ Streams に含まれる OpenTracing Apache Kafka Client Instrumentation ライブラリーを使用してアプリケーションコードを インストルメント化 します。インストルメント化されると、クライアントはメッセージのトレースデータを生成します (メッセージの作成時やログへのオフセットの書き込み時など)。
トレースは、サンプリングストラテジーに従いサンプル化され、Jaeger ユーザーインターフェースで可視化されます。
トレーシングは Kafka ブローカーではサポートされません。
AMQ Streams 以外のアプリケーションおよびシステムにトレーシングを設定する方法については、本章の対象外となります。この件についての詳細は、OpenTracing ドキュメント を参照し、「inject and extrac」を検索してください。
手順の概要
AMQ Streams のトレーシングを設定するには、以下の手順を順番に行います。
クライアントのトレーシングを設定します。
トレーサーでクライアントをインストルメント化します。
- MirrorMaker、Kafka Connect、Kafka Bridge のトレーシングを設定します。
前提条件
- Jaeger バックエンドコンポーネントが OpenShift クラスターにデプロイされている必要があります。デプロイメント手順の詳細は、Jaeger デプロイメントのドキュメントを参照してください。
10.1. OpenTracing および Jaeger の概要
AMQ Streams では OpenTracing および Jaeger プロジェクトが使用されます。
OpenTracing は、トレーシングまたは監視システムに依存しない API 仕様です。
- OpenTracing API は、アプリケーションコードを インストルメント化 するために使用されます。
- インストルメント化されたアプリケーションは、分散システム全体で個別のトランザクションの トレース を生成します。
- トレースは、特定の作業単位を定義する スパン で構成されます。
Jaeger はマイクロサービスベースの分散システムのトレーシングシステムです。
- Jaeger は OpenTracing API を実装し、インストルメント化のクライアントライブラリーを提供します。
- Jaeger ユーザーインターフェースを使用すると、トレースデータをクエリー、フィルター、および分析できます。
関連情報