第14章 IBM Power Systems でのインストールに関するトラブルシューティング


本章では、一般的なインストール関連の問題とその解決法について説明していきます。
デバッグの目的で、Anaconda はインストールアクションを /tmp ディレクトリー内のファイルにログ記録します。以下の表に各種のログファイルを示します。
表14.1 インストール中に生成されるログファイル
ログファイル 内容
/tmp/anaconda.log Anaconda に関する一般的なメッセージ
/tmp/program.log インストール中に実行されたすべての外部プログラム
/tmp/storage.log ストレージモジュールの詳細情報
/tmp/packaging.log yum パッケージおよび rpm パッケージのインストールメッセージ
/tmp/syslog ハードウェア関連のシステムメッセージ
インストールに失敗すると、これらのファイルからのメッセージは /tmp/anaconda-tb-identifier に統合されます。identifier はランダムな文字列です。
インストールに成功すると、デフォルトでは、これらのファイルは /var/log/anaconda/ ディレクトリー下のインストール済みシステムにコピーされます。ただし、インストールが失敗した場合、またはインストールシステムの起動時に inst.nosave=all オプションまたは inst.nosave=logs オプションを使用すると、ログはインストールプログラムの RAM ディスクにのみ存在します。つまり、ファイルは永久的には保存されず、システムの電源を切ると失われることになります。永続的に保存するには、インストールプログラムを実行しているシステムで scp を使用してネットワーク上の別のシステムにこれらのファイルをコピーするか、マウントされたストレージデバイス(USB フラッシュドライブなど)にコピーします。ネットワーク経由でログファイルを転送する方法を以下に示します。
注記
以下の手順では、インストールシステムがネットワークにアクセスでき、ターゲットシステムが ssh プロトコルでファイルを受信できるようにする必要があります。

手順14.1 ネットワークを介してログファイルを転送する

  1. インストールするシステムで Ctrl+Alt+F2 を押してシェルプロンプトにアクセスします。インストールプログラムの一時ファイルシステムへのアクセス権を持つ root アカウントでログインします。
  2. ログファイルが置かれている /tmp ディレクトリーに移動します。
    # cd /tmp
  3. scp コマンドを使用して、ネットワーク上の別のシステムにログファイルをコピーします。
    # scp *log user@address:path
    user には転送先システムで有効なユーザー名を入力します。address には転送先システムのアドレスまたはホスト名を入力します。path にはログファイルを保存するディレクトリーへのパスを入力します。たとえば、john として IP アドレスが 192.168.0.122 のシステムにログインして、ログファイルをそのシステムの /home/john/logs/ ディレクトリーに置く場合は、以下のような形式になります。
    # scp *log john@192.168.0.122:/home/john/logs/
    初めてターゲットシステムに接続する際に、SSH クライアントにより、リモートシステムのフィンガープリントが正しいことと、継続するかを尋ねられます。
    The authenticity of host '192.168.0.122 (192.168.0.122)' can't be established.
    ECDSA key fingerprint is a4:60:76:eb:b2:d0:aa:23:af:3d:59:5c:de:bb:c4:42.
    Are you sure you want to continue connecting (yes/no)?
    yes入力 し、Enter を押して続行します。プロンプトに従いパスワードを入力します。転送先システムの指定ディレクトリーへのファイル転送が開始されます。
これでインストールによるログファイルが完全に転送先システムに保存され、後で確認できるようになります。

14.1. インストール開始時の問題

14.1.1. グラフィカルインストールの起動に関連する問題

特定のビデオカードを搭載するシステムでグラフィカルなインストールプログラムを起動すると、問題が発生することがあります。インストールプログラムがデフォルト設定を使用して実行しない場合は、それより低い解像度モードでの実行を試みます。それでも動作が失敗する場合、インストールプログラムはテキストモードによる実行を試行します。
ディスプレイに関する問題の解決策はいくつかありますが、そのほとんどはカスタムの起動オプションを指定する必要があります。詳細は、「ブートメニューによるインストールシステムの設定」 を参照してください。
基本的なグラフィックモードを使用する
基本的なグラフィックスドライバーを使用して、インストールの実行を試みることができます。これを行うには、boot: プロンプトでインストールプログラムのオプションを編集し、コマンドラインの最後に inst.xdriver=vesa を追加します。
ディスプレイの解像度を手動で指定する
インストールプログラムが画面の解像度の検出に失敗した場合は、自動検出を無効にして手動で指定できます。これを行うには、起動メニューに inst.resolution=x オプションを追加します。x はディスプレイの解像度( 1024x768など)に置き換えます。

14.1.2. シリアルコンソールが検出されない

シリアルコンソールを使ってテキストモードでインストールしようとすると、コンソールに何も出力されないことがあります。これは、システムにグラフィックカードが搭載されているのにモニターが接続されていない場合に発生します。Anaconda がグラフィックカードを検出すると、ディスプレイが接続されていない場合でも、表示に使用しようとします。
シリアルコンソールでテキストベースのインストールを実行する場合は、inst.text および console= 起動オプションを使用します。詳細は 23章起動オプション を参照してください。
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