25.2. VNC インストールの実行


Anaconda インストールプログラムは、VNC インストール用に 2 つのモードを提供します。これらのモードは Direct Mode および Connect Mode です。Direct モードでは、VNC ビューアーがインストールされているシステムへの接続を開始する必要があります。Connect モードでは、VNC ビューアーへの接続を開始するにはシステムをインストールしておく必要があります。接続が確立されると、この 2 つのモードに違いはありません。選択するモードは、お使いの環境の設定により異なります。
Direct モード
このモードでは、Anaconda はインストールを開始するように設定され、VNC ビューアーを待ってから続行します。インストールするシステムで IP アドレスとポートが表示されます。この情報を使って、別のコンピューターからインストールするシステムへの接続を確立します。このため、インストールするシステムで視覚的に対話が可能なアクセスを必要とします。
Connect モード
このモードでは、まずリモートシステム上の VNC ビューアーを リスニングモード で開始します。VNC ビューアーに指定ポートでの着信接続を待機させます。 次に、Anaconda が起動し、起動オプションまたはキックスタートコマンドを使用してホスト名およびポート番号が提供されます。インストールが開始されると、インストールプログラムは指定されたホスト名およびポート番号を使用して、リスニング VNC ビューアーで接続を確立します。このため、リモートシステムは、着信ネットワーク接続を許可できるようにしておく必要があります。

VNC インストールモードを選択する際の注意点

  • システムで視覚的に対話可能なアクセス
    • インストールするシステムで視覚的に対話が可能なアクセスがない場合は、Connect モードを使用する必要があります。
  • ネットワーク接続のルールとファイアウォール
    • インストールするシステムでファイアウォールにより着信接続が許可されていない場合は、Connect モードを使用するかファイアウォールを無効にする必要があります。ファイアウォールを無効にすると、セキュリティーに影響を及ぼす可能性があります。
    • VNC ビューアーを実行しているリモートのシステムでファイアウォールにより着信接続が許可されていない場合は、Direct モードを使用するかファイアウォールを無効にする必要があります。ファイアウォールを無効にすると、セキュリティーに影響を及ぼす可能性があります。ファイアウォールの設定方法はRed Hat Enterprise Linux 7 セキュリティーガイドを参照してください。
注記
VNC を使ったインストールを開始するには、カスタムの起動オプションを指定する必要があります。これを行う方法は、システムのアーキテクチャーによって異なります。アーキテクチャー固有の設定方法については次を参照してください。

25.2.1. VNC Direct モードでのインストール

Direct モードでは、VNC ビューアーがインストールされているシステムへの接続を開始する必要があります。Anaconda はこの接続の開始を要求します。

手順25.1 Direct モードで VNC を開始する

  1. インストールされているシステムへの接続に使用するワークステーション上で VNC ビューアーを実行します。たとえば、TigerVNC を使用する場合:

    図25.1 TigerVNC の接続詳細

    TigerVNC の接続詳細
  2. インストールシステムを起動し、ブートメニューが表示されるまで待ちます。メニューで Tab キーを押して起動オプションを編集します。inst.vnc オプションをコマンドラインの最後に追加します。
    必要に応じて、インストールシステムに VNC アクセスを制限する場合は、inst.vncpassword=PASSWORD 起動オプションも追加します。PASSWORD は、インストールで使用するパスワードに置き換えます。VNC パスワードは 6 文字から 8 文字に設定する必要があります。
    重要
    inst.vncpassword= オプションには一時的なパスワードを使用してください。システムで使用する実際のパスワードまたは root パスワードは指定しないでください。

    図25.2 AMD、Intel、および ARM システムでの VNC ブートオプションの追加

    AMD、Intel、および ARM システムでの VNC ブートオプションの追加
  3. Enter を押してインストールを開始します。システムはインストールプログラムを初期化し、必要なサービスを開始します。システムの準備ができると、以下のようなメッセージが画面上に表示されます。
    13:14:47 Please manually connect your VNC viewer to 192.168.100.131:1 to begin the install.
    IP アドレスとポート番号を書き留めます(上記の例では 192.168.100.131:1)。
  4. VNC ビューアーを実行しているシステムで、前の手順で取得した IP アドレスとポート番号を Anaconda で画面上に表示された形式と同じ形式で Connection Details ダイアログに入力します。次に、Connect をクリックします。VNC ビューアーによりインストールシステムに接続されます。VNC パスワードを設定する場合は、プロンプトが表示されたら入力し、OK をクリックします。
    VNC クライアントの使用に関する詳細は、Red Hat Enterprise Linux 7 システム管理者のガイド の該当するセクションを参照してください。
この手順が終了すると新しいウィンドウが開き、VNC 接続が確立され、インストールメニューが表示されます。このウィンドウでは、システムに直接インストールするときと同じように、Anaconda グラフィカルインターフェイスを使用できます。
次のいずれかに進みます。

25.2.2. VNC Connect モードでのインストール

Connect モードでは、インストールされているシステムがリモートシステム上で実行中の VNC ビューアーへ接続を開始します。作業の開始前に、リモートシステムで VNC に使用するポートでの着信接続が受け取れるよう設定されていることを確認してください。接続が妨害されていないことを確認する方法はネットワークやワークステーションの設定により異なります。ファイアウォール設定に関する詳細はRed Hat Enterprise Linux 7 Security Guideを参照してください。

手順25.2 Connect モードで VNC を開始する

  1. クライアント側のシステムで VNC ビューアーをリスニングモードで開始します。たとえば、TigerVNC を使用する Red Hat Enterprise Linux で、以下のコマンドを実行します。
    $ vncviewer -listen PORT
    PORT は、接続に使用するポート番号に置き換えます。
    端末に以下の例のようなメッセージが表示されます。

    例25.1 TigerVNC ビューアーの待機

    TigerVNC Viewer 64-bit v1.3.0 (20130924)
    Built on Sep 24 2013 at 16:32:56
    Copyright (C) 1999-2011 TigerVNC Team and many others (see README.txt)
    See http://www.tigervnc.org for information on TigerVNC.
    
    Thu Feb 20 15:23:54 2014
    main:        Listening on port 5901
    
    これで VNC ビューアーの準備が整い、インストールシステムからの着信接続を待機している状態になります。
  2. インストールするシステムを起動し、ブートメニューの表示を待ちます。メニューで Tab キーを押して起動オプションを編集します。コマンドラインに以下のオプションを追加します。
    inst.vnc inst.vncconnect=HOST:PORT
    HOST には VNC ビューアーを待機させているシステムの IP アドレス、PORT には VNC ビューアーがリッスンしているポート番号を入力します。
  3. Enter を押してインストールを開始します。システムはインストールプログラムを初期化し、必要なサービスを開始します。初期化が完了すると、Anaconda は前のステップで指定した IP アドレスとポートへの接続を試みます。
    接続が正常に確立されると、VNC ビューアーを実行するシステム上で新規のウィンドウが開き、インストールメニューが表示されます。このウィンドウでは、システムに直接インストールするときと同じように、Anaconda グラフィカルインターフェイスを使用できます。
この手順の終了後は、次に進むことができます。
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