第25章 VNC の使用


Red Hat Enterprise Linux をインストールする方法として、グラフィカルインストールインターフェイスが推奨されます。ただし、グラフィカルインターフェイスへの直接のアクセスが困難または不可能な場合もあります。多くのエンタープライズシステム、特にサーバー (IBM Power Systems および IBM Z) には、ディスプレイやキーボードへの接続機能がなく、手動によるインストール (キックスタート以外) を行うために VNC が不可欠となります。
ヘッドレスシステム (ディスプレイ、キーボード、マウスが直接接続されていないシステム)での手動インストールを可能にするために、Anaconda インストールプログラムには Virtual Network Computing (VNC)インストールが含まれています。これにより、インストールプログラムのグラフィカルモードがローカルで実行でき、ネットワークに接続されているシステムで表示できます。VNC を使用したインストールを行うと、ディスプレイや入力デバイスがない場合でもすべてのインストールオプションを選択することができます。
本章では、インストールするシステムで VNC モードを作動させ、VNC ビューアーを使ってこのシステムに接続する方法を説明しています。

25.1. VNC ビューアーのインストール

VNC を使ったインストールを行う場合、ワークステーションまたは別の端末コンピューター上で VNC ビューアーを実行しておく必要があります。VNC ビューアーはほとんどの Linux ディストリビューションのリポジトリーに含まれています。また、Windows など他のオペレーティングシステムの場合にも無料 VNC ビューアーを入手することができます。Linux システムの場合は、パッケージマネージャーを使ってディストリビューションのビューアーを検索します。
Red Hat Enterprise Linux では、以下の VNC ビューアーを利用できます。
  • TigerVNC: デスクトップ環境に依存しない基本的なビューアーです。tigervnc パッケージとしてインストールされます。
  • vinagre: GNOME デスクトップ環境のビューアーです。vinagre パッケージとしてインストールされます。
  • KRDC: KDE デスクトップ環境に統合されているビューアーです。kdenetwork-krdc パッケージとしてインストールされます。
上記のビューアーのいずれかをインストールするには、root で以下のコマンドを実行します。
# yum install package
package は使用するビューアーのパッケージ名 (tigervnc など) に置き換えてください。
注記
本章の手順では、VNC ビューアーとして TigerVNC を使用していることを前提としています。他のビューアーの場合、手順が異なることがありますが全般的な原則は適用することができます。
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