3.2. USB インストールメディアの作成
CD や DVD ではなく、USB ドライブまたは SD カードで起動可能なメディアを作成し、64 ビット AMD、Intel、または ARM システムに Red Hat Enterprise Linux をインストールすることもできます。Linux システム上で作成するのか Windows システム上で作成するのかにより、作成手順が異なります。最小限の起動メディア、完全インストール用のメディアはいずれも同じ手順で作成できます。USB ドライブを使用する場合はその容量に注意してください。イメージ全体を収納できる十分な容量、つまり最小限の起動メディアであればおよそ 450 MB、完全インストール用のメディアであれば 4.8 GB の容量の USB ドライブが必要になります。
3.2.1. Linux での USB インストールメディアの作成
次の手順では、Linux システムを使用していること、また2章Red Hat Enterprise Linux のダウンロードで説明されているように適切な ISO イメージをすでにダウンロードしていることを前提としています。ほとんどの Linux ディストリビューションでは、特に追加のパッケージをインストールしなくても記載の手順で正しく動作します。
警告
この手順を実行すると、すべて破棄されます。USB フラッシュドライブ上のデータは、警告なしで破棄されます。このため、正しいドライブを指定していること、またドライブに、保存の必要があるデータが含まれていないことを必ず確認しておいてください。
多くの Linux ディストリビューションでは、ライブ USB メディアを作成する独自のツールが含まれています (Fedora では liveusb-creator、Ubunto などは usb-creator)。こうしたツールの説明については本ガイドの範疇を超えてしまうため、ここでは説明していません。次の手順に従うと、ほとんどの Linux システムで USB メディアを作成することができます。
手順3.1 Linux での USB メディアの作成
- USB フラッシュドライブをシステムに接続し、dmesg コマンドを実行します。最近のイベントの詳細を示すログが表示されます。このログの末尾の方に、今 USB を挿入したことを示すメッセージが表示されているのを確認します。以下にメッセージの例を示します。
[ 170.171135] sd 5:0:0:0: [sdb] Attached SCSI removable disk
接続デバイスの名前を書き留めておきます(上記の例ではsdb
)。 root
としてログインします。$
su -プロンプトに従い root パスワードを入力します。- デバイスがマウントされていないことを確認します。まず、findmnt device コマンドと前の手順で確認したデバイス名を使用します。たとえば、デバイス名が
sdb
の場合は、次のコマンドを使用します。#
findmnt /dev/sdbコマンドから何も出力されなければ次の手順に進むことができます。何らかの出力がある場合は、デバイスが自動的にマウントされたことを示しているため、次に進む前にそのデバイスをアンマウントしておく必要があります。出力の例は、以下のようになります。#
findmnt /dev/sdb TARGET SOURCE FSTYPE OPTIONS /mnt/iso /dev/sdb iso9660 ro,relatimeTARGET
列に注意してください。次に umount target コマンドを使用して、デバイスをアンマウントします。#
umount /mnt/iso - dd コマンドを使用して、インストール ISO イメージを USB デバイスに直接書き込みます。
#
dd if=/image_directory/image.iso of=/dev/device bs=blocksize/image_directory/image.iso をダウンロードした ISO イメージファイルへのフルパスに置き換え、device を、その前に dmesg コマンドで報告されるデバイス名に、blocksize は、書き込みプロセスを迅速化するために妥当なブロックサイズ(例:512k
)に置き換えます。bs
パラメーターはオプションですが、プロセスを大幅に高速化できます。重要デバイス上の パーティション 名(例:/dev/sda
1たとえば、ISO イメージが/home/testuser/Downloads/rhel-server-7-x86_64-boot.iso
にあり、検出されたデバイス名がsdb
の場合、コマンドは以下のようになります。#
dd if=/home/testuser/Downloads/rhel-server-7-x86_64-boot.iso of=/dev/sdb bs=512k - dd がデバイスへのイメージの書き込みを終了するのを待ちます。進捗バーが表示されないことに注意してください。
#
プロンプトが再度表示されるとデータ転送が完了します。プロンプトが表示されたら、root
アカウントからログアウトし、USB ドライブを取り外します。
これで USB ドライブを起動デバイスとして使用する準備が整いました。AMD、Intel、および ARM システムの場合は7章64 ビット AMD、Intel、および ARM システムでのインストールの起動、IBM Power Systems サーバーの場合は12章IBM Power Systems でのインストールの起動をお読みください。
注記
IBM Power Systems サーバーで仮想化以外のインストール (ベアメタルインストールとも呼ばれる) を行うには、
inst.stage2=
起動オプションを指定する必要があります。inst.stage2=
起動オプションの詳細は、 「ブートメニューによるインストールシステムの設定」 を参照してください。
3.2.2. Windows での USB インストールメディアの作成
Windows で起動可能な USB メディアを作成する手順は使用するツールによって異なります。ISO イメージを USB ドライブに書き込むことができるユーティリティーは数多くあります。Red Hat は、から https://github.com/FedoraQt/MediaWriter/releases ダウンロードできる Fedora Media Writer の使用を推奨します。
注記
Fedora Media Writer はコミュニティー製品であるため、Red Hat のサポート対象外となります。ツールに関する問題は、https://github.com/FedoraQt/MediaWriter/issues から報告できます。
重要
Windows の Explorer または同様のファイルマネージャーを使った USB ドライブへの ISO イメージファイルの転送は正しく動作しないため、そのデバイスからは起動できません。
手順3.2 Windows での USB メディアの作成
- Fedora Media Writer をダウンロードしてインストールします。
- メディアの作成に使用する Red Hat Enterprise Linux ISO イメージをダウンロードします。(ISO イメージの取得方法については 2章Red Hat Enterprise Linux のダウンロード を参照してください。)
- 起動可能なメディアの作成に使用する USB ドライブを挿入します。
- Fedora Media Writer を開きます。
- メインウィンドウで Custom Image をクリックし、ダウンロードした Red Hat Enterprise Linux ISO イメージを選択します。
- ドロップダウンメニューから使用するドライブを選択します。ドライブが表示されない場合は、USB ドライブが接続されていることを確認し、Fedora Media Writer を再起動します。
- Write to disk をクリックします。起動メディアの作成プロセスが開始されます。プロセスが完了するまでドライブを抜かないでください。ISO イメージのサイズと USB ドライブの書き込み速度によって、イメージの書き込みは数分かかる場合があります。
図3.1 Fedora Media Writer
[D] - 作成プロセスが完了し、
Complete!
メッセージが表示されたら、システムの通知エリアの 安全な削除ハードウェア アイコンを使用して USB ドライブをアンマウントします。
これで USB ドライブを起動デバイスとして使用する準備が整いました。AMD、Intel、および ARM システムの場合は7章64 ビット AMD、Intel、および ARM システムでのインストールの起動、IBM Power Systems サーバーの場合は12章IBM Power Systems でのインストールの起動をお読みください。
3.2.3. Mac OS X での USB インストールメディアの作成
この手順では、dd コマンドラインツールを使用して、インストールイメージを USB フラッシュドライブに書き込みます。手順によっては sudo コマンドを使用します。このコマンドは、パスワードを必要とする管理者アカウントでログインした場合のみ使用できることに注意してください。
警告
この手順を実行すると、USB フラッシュドライブ上にあるデータはすべて削除されます。
手順3.3 Mac OS X での USB メディアの作成
- USB フラッシュドライブをシステムに接続し、diskutil list コマンドでデバイスパスを特定します。デバイスパスの形式は
/dev/disk 番号で、number
はディスクの数になります。ディスク番号は、0 から始まります。デバイス 0 は通常、OS X リカバリーディスクになり、ディスク 1 はご自分のメインの OS X インストールになります。以下の例では、disk2
です。$ diskutil list /dev/disk0 #: TYPE NAME SIZE IDENTIFIER 0: GUID_partition_scheme *500.3 GB disk0 1: EFI EFI 209.7 MB disk0s1 2: Apple_CoreStorage 400.0 GB disk0s2 3: Apple_Boot Recovery HD 650.0 MB disk0s3 4: Apple_CoreStorage 98.8 GB disk0s4 5: Apple_Boot Recovery HD 650.0 MB disk0s5 /dev/disk1 #: TYPE NAME SIZE IDENTIFIER 0: Apple_HFS YosemiteHD *399.6 GB disk1 Logical Volume on disk0s1 8A142795-8036-48DF-9FC5-84506DFBB7B2 Unlocked Encrypted /dev/disk2 #: TYPE NAME SIZE IDENTIFIER 0: FDisk_partition_scheme *8.0 GB disk2 1: Windows_NTFS SanDisk USB 8.0 GB disk2s1
USB フラッシュドライブを特定するには、NAME
、TYPE
、およびSIZE
列を、フラッシュドライブに関する内容と比較します。たとえば、NAME
は Finder のフラッシュドライブのタイトルと同じである必要があります。これらの値をフラッシュドライブの情報パネル内の値と比較することもできます。ドライブアイコンを右クリックし、Get Info を選択します。 - diskutil unmountDisk コマンドを使用して、フラッシュドライブのファイルシステムボリュームをアンマウントします。
$ diskutil unmountDisk /dev/disknumber Unmount of all volumes on disknumber was successful
これを実行すると、デスクトップからフラッシュドライブのアイコンが消えます。消えない場合は、間違ったディスクを指定した可能性があります。システムディスクを誤ってアンマウントしようとすると、failed to unmount
エラーが発生します。 - dd コマンドを sudo コマンドのパラメーターとして使用し、ISO イメージをフラッシュドライブに書き込みます。
$ sudo dd if=/path/to/image.iso of=/dev/rdisknumber bs=1m>
注記Mac OS X は、各ストレージデバイスにブロック(/dev/disk*
)とキャラクターデバイス(/dev/rdisk*
)ファイルの両方を提供します。/dev/rdisk番号
キャラクターデバイスにイメージを書き込む方が、/dev/disk番号
ブロックデバイスよりも高速です。例3.1 ISO イメージのディスクへの書き込み
/Users/user_name/Downloads/rhel-server-7-x86_64-boot.iso
ファイルを/dev/rdisk2
デバイスに書き込むには、以下を実行します。$ sudo dd if=/Users/user_name/Downloads/rhel-server-7-x86_64-boot.iso of=/dev/rdisk2
- コマンドが完了するまで待機します。進捗バーは表示されませんが、実行中の操作の状態を確認するには、ターミナルで Ctrl+t を押します。
load: 1.02 cmd: dd 3668 uninterruptible 0.00u 1.91s 112+0 records in 111+0 records out 116391936 bytes transferred in 114.834860 secs (1013559 bytes/sec)
- データ送信の速度は、USB ポートとフラッシュドライブの速度に依存します。プロンプトが再度表示されたら、データ転送が完了しています。これでフラッシュドライブを取り外すことができます。
これでフラッシュドライブを起動デバイスとして使用する準備が整いました。AMD64 および Intel 64 のシステムの場合は7章64 ビット AMD、Intel、および ARM システムでのインストールの起動、IBM Power Systems サーバーの場合は12章IBM Power Systems でのインストールの起動をお読みください。