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第9章 64 ビット AMD、Intel、および ARM システムでのインストールに関連するトラブルシューティング

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本章では、一般的なインストール関連の問題とその解決法について説明していきます。
デバッグの目的で、Anaconda はインストールアクションを /tmp ディレクトリー内のファイルにログ記録します。以下の表に各種のログファイルを示します。
表9.1 インストール中に生成されるログファイル
ログファイル 内容
/tmp/anaconda.log Anaconda に関する一般的なメッセージ
/tmp/program.log インストール中に実行されたすべての外部プログラム
/tmp/storage.log ストレージモジュールの詳細情報
/tmp/packaging.log yum パッケージおよび rpm パッケージのインストールメッセージ
/tmp/syslog ハードウェア関連のシステムメッセージ
インストールに失敗すると、これらのファイルからのメッセージは /tmp/anaconda-tb-identifier に統合されます。identifier はランダムな文字列です。
インストールに成功すると、デフォルトでは、これらのファイルは /var/log/anaconda/ ディレクトリー下のインストール済みシステムにコピーされます。ただし、インストールが失敗した場合、またはインストールシステムの起動時に inst.nosave=all オプションまたは inst.nosave=logs オプションを使用すると、ログはインストールプログラムの RAM ディスクにのみ存在します。つまり、ファイルは永久的には保存されず、システムの電源を切ると失われることになります。永続的に保存するには、インストールプログラムを実行しているシステムで scp を使用してネットワーク上の別のシステムにこれらのファイルをコピーするか、マウントされたストレージデバイス(USB フラッシュドライブなど)にコピーします。ネットワーク経由でログファイルを転送する方法を以下に示します。USB フラッシュドライブやその他のリムーバブルメディアを使用している場合は、以下の手順を開始する前のそれらのデータのバックアップを作成するようにしてください。

手順9.1 ログファイルを USB ドライブに転送する

  1. インストールするシステムで Ctrl+Alt+F2 を押してシェルプロンプトにアクセスします。インストールプログラムの一時ファイルシステムへのアクセス権を持つ root アカウントでログインします。
  2. USB フラッシュドライブをシステムに接続し、dmesg コマンドを実行します。最近のイベントの詳細を示すログが表示されます。このログの末尾の方に、今 USB を挿入したことを示すメッセージが表示されているのを確認します。以下にメッセージの例を示します。
    [ 170.171135] sd 5:0:0:0: [sdb] Attached SCSI removable disk
    接続デバイスの名前を書き留めておきます(上記の例では sdb )。
  3. /mnt ディレクトリーに移動したら、USB ドライブのマウントターゲットとして機能する新しいディレクトリーを作成します。ディレクトリーの名前は重要ではありません。この例では usb という名前を使用します。
    # mkdir usb
  4. USB フラッシュドライブを、新たに作成したディレクトリーにマウントします。ドライブ全体をマウントするのではなく、ドライブ上の一つのパーティションにマウントするのが一般的です。したがって、sdb の名前を使用しないでください。ログファイルを書き込むパーティションの名前を使用してください。この例では、sdb1 という名前を使用しています。
    # mount /dev/sdb1 /mnt/usb
    マウントしたデバイスにアクセスして内容を一覧表示し、その内容が期待どおりのものであるかを確認することで、正しいデバイスをマウントしているかがわかります。
    # cd /mnt/usb
    # ls
  5. ログファイルを、マウントしたデバイスにコピーします。
    # cp /tmp/*log /mnt/usb
  6. USB フラッシュドライブのマウントを解除します。ターゲットがビジーであることを示すエラーメッセージが表示される場合は、作業ディレクトリーをマウント外に変更します(例: /)。
    # umount /mnt/usb
これでインストールによるログファイルが USB フラッシュドライブに保存されました。

手順9.2 ネットワークを介してログファイルを転送する

  1. インストールするシステムで Ctrl+Alt+F2 を押してシェルプロンプトにアクセスします。インストールプログラムの一時ファイルシステムへのアクセス権を持つ root アカウントでログインします。
  2. ログファイルが置かれている /tmp ディレクトリーに移動します。
    # cd /tmp
  3. scp コマンドを使用して、ネットワーク上の別のシステムにログファイルをコピーします。
    # scp *log user@address:path
    user には転送先システムで有効なユーザー名を入力します。address には転送先システムのアドレスまたはホスト名を入力します。path にはログファイルを保存するディレクトリーへのパスを入力します。たとえば、john として IP アドレスが 192.168.0.122 のシステムにログインして、ログファイルをそのシステムの /home/john/logs/ ディレクトリーに置く場合は、以下のような形式になります。
    # scp *log john@192.168.0.122:/home/john/logs/
    初めてターゲットシステムに接続する際に、SSH クライアントにより、リモートシステムのフィンガープリントが正しいことと、継続するかを尋ねられます。
    The authenticity of host '192.168.0.122 (192.168.0.122)' can't be established.
    ECDSA key fingerprint is a4:60:76:eb:b2:d0:aa:23:af:3d:59:5c:de:bb:c4:42.
    Are you sure you want to continue connecting (yes/no)?
    yes入力 し、Enter を押して続行します。プロンプトに従いパスワードを入力します。転送先システムの指定ディレクトリーへのファイル転送が開始されます。
これでインストールによるログファイルが完全に転送先システムに保存され、後で確認できるようになります。

9.1. インストール開始時の問題

9.1.1. UEFI セキュアブートが有効になっているとシステムが起動しない

Red Hat Enterprise Linux 7 のベータリリースでは、特別な公開鍵で署名されており、標準の UEFI セキュアブート実装で認識されません。そのため、セキュアブートテクノロジーが有効になっているとシステムが起動しません。
この問題を解決するには、UEFI セキュアブートを無効にし、システムをインストールしてから、Machine Owner Key 機能を使用してベータの公開鍵をインポートします。手順については 「UEFI セキュアブートによるベータリリースの使用」 を参照してください。

9.1.2. グラフィカルインストールの起動に関連する問題

特定のビデオカードを搭載するシステムでグラフィカルなインストールプログラムを起動すると、問題が発生することがあります。インストールプログラムがデフォルト設定を使用して実行しない場合は、それより低い解像度モードでの実行を試みます。それでも動作が失敗する場合、インストールプログラムはテキストモードによる実行を試行します。
ディスプレイに関する問題の解決策はいくつかありますが、そのほとんどはカスタムの起動オプションを指定する必要があります。詳細は、「ブートメニューによるインストールシステムの設定」 を参照してください。
基本的なグラフィックモードを使用する
基本的なグラフィックスドライバーを使用して、インストールの実行を試みることができます。これを行うには、起動メニューで Troubleshooting > Install Red Hat Enterprise Linux in basic graphics mode を選択するか、インストールプログラムの起動オプションを編集して、コマンドラインの末尾に inst.xdriver=vesa を追加します。
ディスプレイの解像度を手動で指定する
インストールプログラムが画面の解像度の検出に失敗した場合は、自動検出を無効にして手動で指定できます。これを行うには、起動メニューに inst.resolution=x オプションを追加します。x はディスプレイの解像度( 1024x768など)に置き換えます。
代替のビデオドライバーを使用する
カスタムのビデオドライバーを設定し、インストールプログラムの自動検出を無効にすることもできます。ドライバーを指定するには、inst.xdriver=x オプションを使用します。x は使用するデバイスドライバーに置き換えます(例: nouveau)。
注記
カスタムのビデオドライバーを指定すると問題が解決する場合は、anaconda コンポーネントで で https://bugzilla.redhat.com バグとして報告する必要があります。Anaconda はハードウェアを自動的に検出し、適切なドライバーを介入せずに使用することができます。
VNC を使用したインストールを行う
上記で説明したオプションがいずれも失敗する場合は、別のシステムと Virtual Network Computing (VNC) プロトコルを使用して、ネットワーク経由でグラフィカルインストールにアクセスできます。VNC を使用したインストールの詳細は、25章VNC の使用 を参照してください。

9.1.3. シリアルコンソールが検出されない

シリアルコンソールを使ってテキストモードでインストールしようとすると、コンソールに何も出力されないことがあります。これは、システムにグラフィックカードが搭載されているのにモニターが接続されていない場合に発生します。Anaconda がグラフィックカードを検出すると、ディスプレイが接続されていない場合でも、表示に使用しようとします。
シリアルコンソールでテキストベースのインストールを実行する場合は、inst.text および console= 起動オプションを使用します。詳細は 23章起動オプション を参照してください。
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