15.2. IBM Z へのインストール手順の概要
Red Hat Enterprise Linux の IBM Z へのインストールは、対話形式または無人モードで行うことが可能です。IBM Z へのインストールは通常、ローカルメディアからではなく、ネットワーク経由で行われるという点で他のアーキテクチャーと異なります。このインストールは、以下の 3 つの段階で設定されます。
インストールの起動
メインフレームに接続し、その後にインストールプログラムを含むメディアから IPL (initial program load)、つまり起動を実行します。詳細は 16章IBM Z でのインストールの起動 を参照してください。インストールシステムへの接続
ローカルマシンから、リモートの IBM Z システムに接続し、インストールプロセスを続行します。詳細は 17章インストールシステムへの接続 を参照してください。Anaconda
Anaconda インストールプログラムを使用してネットワークを設定し、言語サポート、インストールソース、インストールするソフトウェアパッケージを指定し、残りのインストールを実行します。詳細は、18章Anaconda を使用したインストール を参照してください。
15.2.1. インストールの起動
メインフレームとの接続を確立したら、インストールプログラムを含むメディアから IPL (initial program load)、つまり起動を実行する必要があります。本書では、IBM Z に Red Hat Enterprise Linux をインストールする最も一般的な方法を説明します。一般的には、
generic.prm
ファイルのパラメーターとともに、カーネル(kernel.img
)と初期 RAM ディスク(initrd.img
)で設定される Linux インストールシステムを起動することができます。さらに、initrd、カーネル、および generic.prm のファイル名とメモリーアドレスを決定する generic.ins
ファイルがロードされます。
本書では、Linux インストールシステムを インストールプログラム とも呼びます。
IPL プロセスを開始できる制御ポイントは、Linux を実行する環境によって異なります。Linux を z/VM ゲストのオペレーティングシステムとして実行する場合は、ホストである z/VM の CP (コントロールプログラム) が制御ポイントになります。Linux を LPAR モードで実行する場合は、メインフレームの SE (サポートエレメント) または接続されている IBM Z の HMC (ハードウェア管理コンソール) が制御ポイントになります。
以下の起動メディアは、Linux を z/VM 環境でゲストのオペレーティングシステムとして実行する場合にのみ使用できます。
- z/VM リーダー: 詳細は 「z/VM リーダーの使用」 を参照してください。
以下の起動メディアは、Linux を LPAR モードで実行する場合にのみ使用できます。
- リモート FTP サーバー経由の SE または HMC - 詳細は 「FTP サーバーの使用」 を参照してください。
- SE または HMC DVD: 詳細は 「FCP 接続の SCSI DVD ドライブ」 を参照してください。
以下の起動メディアは、z/VM と LPAR の両方に使用できます。
- DASD: z/VM で使用する場合は「設定済み DASD の使用」を、LPAR で使用する場合は「設定済み DASD の使用」を参照してください。
- FCP チャネルを使って接続している SCSI デバイス: z/VM で使用する場合は「設定済み FCP 接続の SCSI ディスクの使用」を、LPAR で使用する場合は「設定済み FCP 接続の SCSI ディスクの使用」を参照してください。
- FCP 接続の SCSI DVD: z/VM で使用する場合は「FCP 接続の SCSI DVD ドライブ」を、LPAR で使用する場合は「FCP 接続の SCSI DVD ドライブ」を参照してください。
DASD および FCP 接続の SCSI デバイス(SCSI DVD を除く)をブートメディアとして使用する場合は、
zipl
ブートローダーを設定する必要があります。
15.2.2. インストールシステムへの接続
ローカルマシンから、リモートの IBM Z システムに接続し、インストールプロセスを続行します。詳細は 17章インストールシステムへの接続 を参照してください。
15.2.3. Anaconda を使用したインストール
2 つ目のインストールフェーズでは、Anaconda インストールプログラムをグラフィカルモード、テキストベースのモード、またはコマンドラインモードで使用します。
- グラフィカルモード
- グラフィカルなインストールは VNC クライアントを使います。マウスやキーボードを使って画面を移動したり、ボタンをクリックしたり、テキストフィールドへの入力を行ったりすることができます。VNC を使用してグラフィカルインストールを実行する方法は、25章VNC の使用 を参照してください。
- テキストベースモード
- GUI のインターフェイス要素は一切提供されないため、すべての設定には対応していません。VNC クライアントを使用できない場合に対話式のインストールを行うにはこのモードを使用します。テキストベースのインストールの詳細は、「テキストモードでのインストール」 を参照してください。
- コマンドラインモード
- これは、IBM Z に自動で非対話形式のインストールを行うためのモードです。インストールプログラムで、キックスタートコマンドが無効な場合や、欠落している場合には、システムが再起動される点に注意してください自動インストールの詳細は27章キックスタートを使ったインストールを参照してください。
Red Hat Enterprise Linux 7 では、テキストベースのインストールはユーザー介入を最小限に抑えています。FCP 接続の SCSI デバイスでのインストールや パーティションレイアウトのカスタマイズ、パッケージアドオンの選択などの機能は、グラフィカルユーザーインターフェイスでのインストールに限られます。可能な限りグラフィカルインストールを使用してください。詳細は 18章Anaconda を使用したインストール を参照してください。