1.6. RHEL とともに配布される TuneD プロファイル
以下は、Red Hat Enterprise Linux に TuneD とともにインストールされるプロファイルのリストです。
利用可能な製品固有またはサードパーティーの TuneD プロファイルが複数存在する可能性があります。このようなプロファイルは通常、個別の RPM パッケージで提供されます。
balanced
デフォルトの省電力プロファイル。パフォーマンスと電力消費のバランスを取ることが目的です。可能な限り、自動スケーリングと自動チューニングを使用します。唯一の欠点はレイテンシーが増加することです。今回の TuneD リリースでは、CPU、ディスク、オーディオ、およびビデオプラグインを有効にし、
conservative
CPU ガバナーを有効にします。radeon_powersave
オプションは、dpm-balanced
値に対応している場合はその値を使用し、それ以外の場合はauto
に設定されます。energy_performance_preference
属性をnormal
の電力設定に変更します。また、scaling_governor
ポリシー属性をconservative
またはpowersave
CPU ガバナーのいずれかに変更します。powersave
省電力パフォーマンスを最大化するプロファイル。実際の電力消費を最小化するためにパフォーマンスを調整できます。今回の TuneD リリースでは、SATA ホストアダプターの USB 自動サスペンド、WiFi 省電力、および Aggressive Link Power Management (ALPM) の省電力を有効にします。また、ウェイクアップ率が低いシステムのマルチコア省電力がスケジュールされ、
ondemand
ガバナーがアクティブ化されます。さらに、AC97 音声省電力と、システムに応じて HDA-Intel 省電力 (10 秒のタイムアウト) が有効になります。KMS が有効なサポート対象の Radeon グラフィックカードがシステムに搭載されている場合、プロファイルは自動省電力に設定されます。ASUS Eee PC では、動的な Super Hybrid Engine が有効になります。energy_performance_preference
属性をpowersave
またはpower
電力設定に変更します。また、scaling_governor
ポリシー属性をondemand
またはpowersave
CPU ガバナーのいずれかに変更します。注記場合によっては、
balanced
プロファイルの方が、powersave
プロファイルよりも効率的です。定義された量の作業を行う場合 (たとえば、動画ファイルをトランスコードする必要がある場合) を考えてください。トランスコードがフルパワーで実行される場合に、マシンの電力消費が少なくなることがあります。これは、タスクがすぐに完了し、マシンがアイドル状態になり、非常に効率的な省電力モードに自動的に切り替わることがあるためです。その一方で、調整されたマシンでファイルをトランスコードすると、マシンはトランスコード中に少ない電力を消費しますが、処理に時間がかかり、全体的な消費電力は高くなることがあります。
このため、一般的に
balanced
プロファイルが優れたオプションになる場合があります。throughput-performance
高スループットに最適化されたサーバープロファイル。これにより、節電メカニズムが無効になり、
sysctl
が有効になるため、ディスクおよびネットワーク IO のスループットパフォーマンスが向上します。CPU ガバナーはperformance
に設定されます。energy_performance_preference
およびscaling_governor
属性をperformance
プロファイルに変更します。accelerator-performance
-
accelerator-performance
プロファイルには、throughput-performance
プロファイルと同じチューニングが含まれます。さらに、CPU を低い C 状態にロックし、レイテンシーが 100us 未満になるようにします。これにより、GPU などの特定のアクセラレーターのパフォーマンスが向上します。 latency-performance
低レイテンシーに最適化されたサーバープロファイル。省電力メカニズムが無効になり、レイテンシーを向上させる
sysctl
設定が有効になります。CPU ガバナーはperformance
に設定され、CPU は低い C 状態にロックされます (PM QoS を使用)。energy_performance_preference
およびscaling_governor
属性をperformance
プロファイルに変更します。network-latency
低レイテンシーネットワークチューニング向けプロファイル。
latency-performance
プロファイルに基づきます。さらに、transparent huge page と NUMA バランシングを無効にし、他のネットワーク関連のsysctl
パラメーターをいくつか調整します。latency-performance
プロファイルを継承します。また、energy_performance_preference
およびscaling_governor
属性をperformance
プロファイルに変更します。hpc-compute
-
高パフォーマンスコンピューティング向けに最適化されたプロファイル。
latency-performance
プロファイルに基づきます。 network-throughput
スループットネットワークチューニング向けプロファイル。
throughput-performance
プロファイルに基づきます。さらに、カーネルネットワークバッファーを増やします。latency-performance
またはthroughput-performance
プロファイルのいずれかを継承します。また、energy_performance_preference
およびscaling_governor
属性をperformance
プロファイルに変更します。virtual-guest
throughput-performance
プロファイルに基づく Red Hat Enterprise 9 仮想マシンおよび VMWare ゲスト向けプロファイル。仮想メモリーのスワップの減少や、ディスクの readahead 値の増加などが行われます。ディスクバリアは無効になりません。throughput-performance
プロファイルを継承します。また、energy_performance_preference
およびscaling_governor
属性をperformance
プロファイルに変更します。virtual-host
throughput-performance
プロファイルに基づいて仮想ホスト用に設計されたプロファイル。他のタスクの中でも特に、仮想メモリーのスワップを減らし、ディスクの先読み値を増やし、ダーティーページの書き戻しというより積極的な値を可能にします。throughput-performance
プロファイルを継承します。また、energy_performance_preference
およびscaling_governor
属性をperformance
プロファイルに変更します。oracle
-
throughput-performance
プロファイルに基づいて Oracle データベースの負荷向けに最適化されたプロファイル。さらに、transparent huge page を無効にし、他のパフォーマンス関連のカーネルパラメーターを変更します。このプロファイルは、tuned-profiles-oracle
パッケージで利用できます。 desktop
-
balanced
プロファイルに基づく、デスクトップに最適化されたプロファイル。対話型アプリケーションの応答を向上させるスケジューラーオートグループが有効になります。 optimize-serial-console
printk 値を減らすことで、シリアルコンソールへの I/O アクティビティーを調整するプロファイル。これにより、シリアルコンソールの応答性が向上します。このプロファイルは、他のプロファイルのオーバーレイとして使用することが意図されています。以下に例を示します。
# tuned-adm profile throughput-performance optimize-serial-console
mssql
-
Microsoft SQL Server に提供されるプロファイル。
throughput-performance
プロファイルに基づきます。 intel-sst
ユーザー定義の Intel Speed Select Technology 設定で最適化されたプロファイル。このプロファイルは、他のプロファイルのオーバーレイとして使用することが意図されています。以下に例を示します。
# tuned-adm profile cpu-partitioning intel-sst