23.5. クロックの同期
phc2sys プログラムは、システムクロックを NIC 上の PHC ハードウェアクロック(PHC)と同期するために使用されます。
phc2sys サービスは /etc/sysconfig/phc2sys
設定ファイルで設定されます。/etc/sysconfig/phc2sys
ファイルのデフォルト設定は OPTIONS="-a -r"です。
-a
オプションを使用すると、phc2sys が ptp4l アプリケーションから同期されるクロックを読み取ります。PTP
ポートの状態の変更に従い、NIC ハードウェアクロック間の同期を適宜調整します。-r
オプションも指定されていない限り、システムクロックは同期されません。システムクロックをタイムソースにするには、-r
オプションを 2 回指定します。
/etc/sysconfig/phc2sys
への変更後に、root
でコマンドを実行し、コマンドラインから phc2sys サービスを再起動します。
~]# service phc2sys restart
通常の状態では、service コマンドを使用して、phc2sys サービスを起動し、停止し、再起動します。
phc2sys をサービスとして起動するには、コマンドラインからこれを起動できます。たとえば、
root
で以下のコマンドを入力します。
~]# phc2sys -a -r
-a
オプションを使用すると、phc2sys が ptp4l アプリケーションから同期されるクロックを読み取ります。システムクロックをタイムソースにするには、-r
オプションを 2 回指定します。
または、
-s
オプションを使用して、システムクロックを特定のインターフェースの PTP
ハードウェアクロックに同期します。以下に例を示します。
~]# phc2sys -s eth3 -w
-w
オプションは、実行中の ptp4l アプリケーションが PTP
クロックを同期するまで待機し、ptp4l から UTC オフセットへの TAI を取得します。
通常、
PTP
は 国際原子時(TAI )のタイムスケールで作動し、システムクロックは 協定世界時 (UTC)で維持されます。TAI と UTC のタイムスケール間の現在のオフセットは、36 秒です。このオフセットは、うるう秒が追加もしくは取り除かれると変化します。以下のように、-w
オプションを使用しない場合は、-O
オプションを使用してこのオフセットを手動で設定する必要があります。
~]# phc2sys -s eth3 -O -36
phc2sys servo がロックされた状態になると、
-S
オプションを使用しない限り、クロックはステップされません。つまり、phc2sys プログラムは、ptp4l プログラムが PTP
ハードウェアクロックを同期した後に起動すべきということになります。ただし、-w
を使用すると、ptp4l の後に phc2sys を起動する必要はありません。これは、クロックの同期を待つためです。
phc2sys プログラムは、以下のコマンドを実行してサービスとしても起動できます。
~]# service phc2sys start
サービスとして実行する場合、オプションは /etc/sysconfig/phc2sys
ファイルに指定されます。phc2sys の他のオプションの詳細は、 phc2sys (8)
man ページを参照してください。
本セクションの例では、コマンドがスレーブシステムまたはスレーブポートで実行されている想定であることに注意してください。