32.4. IBM PowerPC ハードウェアにおける fadump の使用
Red Hat Enterprise Linux 6.8 以降では、
kdump
の代替ダンプメカニズムである ファームウェア支援ダンプ
(fadump
)が利用できるようになりました。fadump
機能は、IBM Power Systems でのみサポートされます。fadump
の目的は、クラッシュしたシステムのダンプを有効にし、完全にリセットされたシステムからこれを実行し、システムが実稼働環境で復旧するまでの総経過時間を最小限に抑えることです。fadump
機能は、kdump
と fadump
メカニズムの間で無関係に切り替えるために、ユーザー空間にある kdump
インフラストラクチャーと統合されます。
ファームウェア支援ダンプ(
fadump
)は、IBM PowerPC LPARS で利用可能な kexec-kdump
に代わる信頼性の高い仕組みです。ファームウェア支援ダンプでは、PCI および I/O デバイスが再初期化され、完全にリセットされたシステムから、vmcore がキャプチャーされます。この仕組みでは、クラッシュ発生時にファームウェアを使用してメモリーを保存しますが、kdump
ユーザー空間スクリプトを再利用して vmcore を保存します。
そのために、
fadump
はクラッシュ発生時にシステムファームウェアを使って保持する必要のあるメモリー領域を登録します。これらの領域には、ブートメモリー、システムレジスター、およびハードウェアのページテーブルエントリー (PTE) を除く、すべてのシステムメモリーコンテンツが含まれます。
注記
ブートメモリー と呼ばれる保持されないメモリー
領域は、クラッシュイベント後にカーネルを正常に起動するのに必要な RAM の容量です。デフォルトのブートメモリーサイズは、256 MB または全システム RAM の 5% のいずれか大きい方です。
kexec
-initiated イベントとは異なり、fadump
プロセスでは実稼働用のカーネルを使用してクラッシュダンプを復元します。PowerPC ハードウェアはクラッシュ後に起動すると、デバイスノード /proc/device-tree/rtas/ibm,kernel-dump
が procfs
で利用できるようにし、fadump 対応の kdump
スクリプトは vmcore を保存するかどうかを確認します。この処理が完了すると、システムは正しく再起動されます。
fadump の有効化
/etc/default/grub
のGRUB_CMDLINE_LINUX
の行にfadump=on
を追加します。GRUB_CMDLINE_LINUX="rd.lvm.lv=rhel/swap crashkernel=auto rd.lvm.lv=rhel/root rhgb quiet
fadump=on
"- (オプション)デフォルトを許可する代わりに予約ブートメモリーを指定する場合は、
/etc/default/grub
のGRUB_CMDLINE_LINUX
にfadump_reserve_mem=xxM
を追加します。xx は必要なメモリー容量(メガバイト単位)に置き換えます。GRUB_CMDLINE_LINUX="rd.lvm.lv=rhel/swap crashkernel=auto rd.lvm.lv=rhel/root rhgb quiet fadump=on
fadump_reserve_mem=xxM
"
重要
すべてのブート設定オプションと同様に、必要になる前に設定をテストすることを強く推奨します。クラッシュカーネルから起動時に Out of Memory(OOM)エラーが発生する場合は、クラッシュカーネルが正常に起動できるまで、
fadump_reserve_mem=
で指定した値を増やします。この場合は、トライアンドエラーが必要になることがあります。