第11章 サービスアカウントの OAuth クライアントとしての使用


11.1. OAuth クライアントとしてのサービスアカウント

サービスアカウントは、OAuth クライアントの制限されたフォームで使用できます。サービスアカウントは一部の基本ユーザー情報へのアクセスを許可するスコープのサブセットと、サービスアカウント自体の namespace 内のロールベースの権限のみを要求できます。

  • user:info
  • user:check-access
  • role:<any_role>:<serviceaccount_namespace>
  • role:<any_role>:<serviceaccount_namespace>:!

サービスアカウントを OAuth クライアントとして使用する場合:

  • client_idsystem:serviceaccount:<serviceaccount_namespace>:<serviceaccount_name> になります。
  • client_secret には、サービスアカウントの API トークンのいずれかを指定できます。例:

    $ oc sa get-token <serviceaccount_name>
  • WWW-Authenticate チャレンジを取得するには、サービスアカウントの serviceaccounts.openshift.io/oauth-want-challenges アノテーションを true に設定します。
  • redirect_uri は、サービスアカウントのアノテーションに一致する必要があります。

11.1.1. OAuth クライアントとしてのサービスアカウントの URI のリダイレクト

アノテーションキーには、以下のようにプレフィックス serviceaccounts.openshift.io/oauth-redirecturi. または serviceaccounts.openshift.io/oauth-redirectreference. が含まれる必要があります。

serviceaccounts.openshift.io/oauth-redirecturi.<name>

最も単純なフォームでは、アノテーションは有効なリダイレクト URI を直接指定するために使用できます。例:

"serviceaccounts.openshift.io/oauth-redirecturi.first":  "https://example.com"
"serviceaccounts.openshift.io/oauth-redirecturi.second": "https://other.com"

上記の例の first および second ポストフィックスは 2 つの有効なリダイレクト URI を分離するために使用されます。

さらに複雑な設定では、静的なリダイレクト URI のみでは不十分な場合があります。たとえば、ルートのすべての ingress が有効とみなされる必要があるかもしれません。この場合、serviceaccounts.openshift.io/oauth-redirectreference. プレフィックスを使用した動的なリダイレクト URI を使用できます。

例:

"serviceaccounts.openshift.io/oauth-redirectreference.first": "{\"kind\":\"OAuthRedirectReference\",\"apiVersion\":\"v1\",\"reference\":{\"kind\":\"Route\",\"name\":\"jenkins\"}}"

このアノテーションの値にはシリアライズされた JSON データが含まれるため、これを拡張フォーマットで表示するとより容易になります。

{
  "kind": "OAuthRedirectReference",
  "apiVersion": "v1",
  "reference": {
    "kind": "Route",
    "name": "jenkins"
  }
}

ここでは、OAuthRedirectReference により jenkins という名前のルートを参照できます。そのため、そのルートのすべての ingress は有効とみなされます。OAuthRedirectReference の詳細な仕様は以下のようになります。

{
  "kind": "OAuthRedirectReference",
  "apiVersion": "v1",
  "reference": {
    "kind": ..., 1
    "name": ..., 2
    "group": ... 3
  }
}
1
kind は参照されているオブジェクトのタイプを参照します。現時点では、route のみがサポートされています。
2
name はオブジェクトの名前を参照します。このオブジェクトはサービスアカウントと同じ namespace にある必要があります。
3
group はオブジェクトのグループを参照します。ルートのグループは空の文字列であるため、これを空白のままにします。

アノテーションはどちらも、プレフィックスも組み合わせて、参照オブジェクトで提供されるデータを上書きできます。例:

"serviceaccounts.openshift.io/oauth-redirecturi.first":  "custompath"
"serviceaccounts.openshift.io/oauth-redirectreference.first": "{\"kind\":\"OAuthRedirectReference\",\"apiVersion\":\"v1\",\"reference\":{\"kind\":\"Route\",\"name\":\"jenkins\"}}"

first ポストフィックスはアノテーションを関連付けるために使用されます。jenkins ルートに https://example.com の ingress がある場合に、https://example.com/custompath が有効とみなされますが、https://example.com は有効とみなされません。上書きデータを部分的に指定するためのフォーマットは以下のようになります。

タイプ構文

スキーム

"https://"

Hostname

"//website.com"

ポート

"//:8000"

パス

"examplepath"

注記

ホスト名の上書きを指定すると、参照されるオブジェクトのホスト名データが置き換わりますが、これは望ましい動作ではありません。

上記の構文のいずれの組み合わせも、以下のフォーマットを使って実行できます。

<scheme:>//<hostname><:port>/<path>

同じオブジェクトを複数回参照して、柔軟性を向上することができます。

"serviceaccounts.openshift.io/oauth-redirecturi.first":  "custompath"
"serviceaccounts.openshift.io/oauth-redirectreference.first": "{\"kind\":\"OAuthRedirectReference\",\"apiVersion\":\"v1\",\"reference\":{\"kind\":\"Route\",\"name\":\"jenkins\"}}"
"serviceaccounts.openshift.io/oauth-redirecturi.second":  "//:8000"
"serviceaccounts.openshift.io/oauth-redirectreference.second": "{\"kind\":\"OAuthRedirectReference\",\"apiVersion\":\"v1\",\"reference\":{\"kind\":\"Route\",\"name\":\"jenkins\"}}"

jenkins という名前のルートに https://example.com の ingress がある場合には、https://example.com:8000https://example.com/custompath の両方が有効とみなされます。

必要な動作を得るために、静的で動的なアノテーションを同時に使用できます。

"serviceaccounts.openshift.io/oauth-redirectreference.first": "{\"kind\":\"OAuthRedirectReference\",\"apiVersion\":\"v1\",\"reference\":{\"kind\":\"Route\",\"name\":\"jenkins\"}}"
"serviceaccounts.openshift.io/oauth-redirecturi.second": "https://other.com"
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