2.2. OpenShift Container Platform アップグレードチャネルおよびリリース
OpenShift Container Platform 4.1 で、Red Hat はクラスターのアップグレードの適切なリリースバージョンを推奨するためにチャネルという概念を導入しました。アップグレードのペースを制御することで、これらのアップグレードチャネルからアップグレードストラテジーを選択することができます。アップグレードチャネルは OpenShift Container Platform のマイナーバージョンに関連付けられます。たとえば、OpenShift Container Platform 4.2 アップグレードチャネルには 4.3 リリースへのアップグレードが含まれることはありません。このストラテジーにより、管理者は OpenShift Container Platform の次のマイナーバージョンへのアップグレードに関して明確な決定を行うことができます。アップグレードチャネルはリリースの選択のみを制御し、インストールするクラスターのバージョンには影響を与えません。 OpenShift Container Platform の特定のバージョンの openshift-install
バイナリーファイルは常に該当バージョンをインストールします。
OpenShift Container Platform 4.2 は以下のアップグレードチャネルを提供します。
-
candidate-4.2
-
fast-4.2
-
stable-4.2
candidate-4.2 チャネル
candidate-4.2
チャネルには、z-stream (4.2.z) リリースの候補となるビルドが含まれます。リリース候補には、製品のすべての機能が含まれますが、それらがサポートされる訳ではありません。リリース候補を使用して機能の受け入れテストを実行し、OpenShift Container Platform の次のバージョンへの対応を支援します。リリース候補は、名前に -rc
を含まないものを含め、候補チャネルで利用可能なビルドを指します。候補チャネルでバージョンが利用可能になると、さらに品質のチェックが行われます。品質基準を満たす場合には、これは fast-4.2
または stable-4.2
チャネルにプロモートされます。このストラテジーにより、特定のリリースが candidate-4.2
チャネルと fast-4.2
または stable-4.2
チャネルの両方で利用可能な場合、そのリリースは Red Hat でサポートされるバージョンということになります。candidate-4.2
チャネルには、いずれのチャネルでも推奨されている更新のないリリースバージョンを含めることができます。
candidate-4.2
チャネルを使用して、OpenShift Container Platform の直前のマイナーバージョンからアップグレードできます。
リリース候補は、https://www.openshift.com/try サイトにある夜間バッチとは異なります。夜間ビルドは各種機能への早期アクセスのために利用できますが、夜間バッチへの/からの更新は推奨されておらず、サポートもされていません。夜間ビルドはいずれのアップグレードチャネルでも利用できません。
fast-4.4 チャネル
fast-4.2
チャネルは、Red Hat が一般公開リリースとして指定のバージョンを宣言するとすぐに新規の 4.2 バージョンで更新されます。そのため、これらのリリースは完全にサポートされ、実稼働用の品質があり、これらのリリースのプロモート元の candidate-4.2
チャネルのリリース候補として利用可能であった間のパフォーマンスにも問題がなかったリリースです。リリースは fast-4.2
チャネルに表示されてからしばらくすると、stable-4.2
チャネルに追加されます。リリースは fast-4.2
チャネルに表示される前に、stable-4.2
チャネルに表示されることはありません。
fast-4.2
チャネルを使用して、OpenShift Container Platform の以前のマイナーバージョンからのアップグレードを実行できます。
stable-4.2 チャネル
fast-4.2
チャネルにはエラータの公開後すぐにリリースが組み込まれ、リリースは数時間から 1 日が経過した後に stable-4.2
チャネルに追加されます。この期間中、接続環境のカスタマープログラム(Connected Customer Program) に関わる Red Hat SRE チーム、Red Hat サポートサービス、および実稼働前および実稼働環境からリリースの安定性についてのデータが収集されます。
stable-4.2
チャネルを使用して、OpenShift Container Platform の以前のマイナーバージョンからのアップグレードを実行できます。
アップグレードバージョンパス
OpenShift Container Platform では、インストールされた OpenShift Container Platform のバージョンと、次のリリースにアクセスするために選択したチャネル内のパスの確認を可能にするアップグレード推奨サービスが提供されます。fast-4.2
チャネルでは以下を確認できます。
- 4.2.0
- 4.2.1
- 4.2.3
- 4.2.4
このサービスは、テスト済みの重大な問題のないアップグレードのみを推奨します。クラスターが 4.2.1 にあり、OpenShift Container Platform が 4.2.4 を提案している場合、.4.2.1 から .4.2.4 に更新しても問題がありません。パッチの連続する番号のみに依存しないようにしてください。たとえば、この例では 4.2.2 はチャネルで利用可能な状態ではなく、これまで利用可能になったことがありません。更新サービスは、既知の脆弱性を含む OpenShift Container Platform のバージョンへの更新を提案しません。
更新の安定性は、チャネルによって異なります。candidate-4.2
チャネルに更新についての推奨があるからといって、その更新が必ずしもサポートされる訳ではありません。つまり、更新について深刻な問題がまだ検出されていないものの、この更新の安定性についての提案を導くようなトラフィックの安定性はとくに確認されていない可能性があります。fast-4.2
または stable-4.2
チャネルに更新の推奨がある場合は、更新がそれぞれのチャネルにある限り完全にサポートされることを示します。リリースがチャネルから削除されることは決してありませんが、深刻な問題を示す更新の推奨はすべてのチャネルから削除されます。更新の推奨が削除された後に開始された更新はサポートされない可能性があります。
Red Hat は最終的には、fast-4.2
または stable-4.2
チャネルのサポートされるリリースから 4.2.z の最新リリースへのサポートされる更新パスを提供します。ただし、問題のあるリリースからの安全なパスが構築され、検証される間に遅延が生じる可能性があります。
高速かつ安定したチャネルの使用およびストラテジー
fast-4.2
および stable-4.2
チャネルでは、一般公開リリースが利用可能になり次第これを受信するか、または Red Hat がそれらの更新のロールアウトを制御するようにするかを選択することができます。問題がロールアウト時またはロールアウト後に検出される場合、該当バージョンへのアップグレードは fast-4.2
および stable-4.2
チャネルの両方でブロックされ、新たに推奨されるアップグレード先の新規バージョンが導入される可能性があります。
fast-4.2
チャネルで実稼働前のシステムを設定し、stable-4.2
チャネルで実稼働システムを設定してから Red Hat の接続環境のカスタマープログラム(Connected Customer Program) に参加することで、お客様のプロセスを改善することができます。Red Hat はこのプログラムを使用して、ご使用の特定のハードウェアおよびソフトウェア設定に対する更新の影響の有無を確認します。今後のリリースでは、更新が fast-4.2
から stable-4.2
チャネルに移行するペースが改善されるか、変更される可能性があります。
ネットワークが制限された環境のクラスター
OpenShift Container Platform クラスターのコンテナーイメージを独自に管理する場合には、製品リリースに関連する Red Hat エラータを確認し、アップグレードへの影響に関するコメントに留意する必要があります。アップグレード時に、インターフェースにこれらのバージョン間の切り替えについての警告が表示される場合があります。そのため、これらの警告を無視するかどうかを決める前に適切なバージョンを選択していることを確認する必要があります。
チャネル間の切り替え
stable-4.2
チャネルから fast-4.2
チャネルに切り換える場合も、クラスターは引き続きサポートされます。candidate-4.2
チャネルに常に切り替えることはできますが、そのチャネルの一部のリリースはサポートされないリリース候補である可能性があります。現在のリリースが一般利用公開リリースの場合、candidate-4.2
チャネルから fast-4.2
チャネルに切り換えることができます。fast-4.2
チャネルから stable-4.2
チャネルに常に切り換えることができますが、現在のリリースが fast-4.2
に最近プロモートされた場合、リリースが stable-4.2
にプロモートされるまでに最長 1 日分の遅延が生じる可能性があります。現在のリリースを含まないチャネルに変更すると、アラートが表示され、更新は推奨されません。ただし、元のチャネルにいつでも安全に戻ることができます。