2.24. CDI のスクラッチ領域の用意
2.24.1. DataVolume について
DataVolume
オブジェクトは、Containerized Data Importer (CDI) プロジェクトで提供されるカスタムリソースです。DataVolume は、基礎となる PersistentVolumeClaim (PVC) に関連付けられるインポート、クローン作成、およびアップロード操作のオーケストレーションを行います。DataVolume は KubeVirt に統合され、仮想マシンが PVC の作成前に起動することを防ぎます。
2.24.2. スクラッチ領域について
Containerized Data Importer (CDI) では、仮想マシンイメージのインポートやアップロードなどの、一部の操作を実行するためにスクラッチ領域 (一時ストレージ) が必要になります。このプロセスで、CDI は、宛先 DataVolume (DV) をサポートする PVC のサイズと同じサイズのスクラッチ領域 PVC をプロビジョニングします。スクラッチ領域 PVC は操作の完了または中止後に削除されます。
CDIConfig オブジェクトにより、 scratchSpaceStorageClass
を CDIConfig オブジェクトの spec:
セクションに指定して、スクラッチ領域 PVC をバインドするために使用する StorageClass を定義することができます。
定義された StorageClass がクラスターの StorageClass に一致しない場合、クラスターに定義されたデフォルト StorageClass が使用されます。クラスターで定義されたデフォルトの StorageClass がない場合、元の DV または PVC のプロビジョニングに使用される StorageClass が使用されます。
CDI では、元の DataVolume をサポートする PVC の種類を問わず、file
ボリュームモードが設定されているスクラッチ領域が必要です。元の PVC が block
ボリュームモードでサポートされる場合、file
ボリュームモード PVC をプロビジョニングできる StorageClass を定義する必要があります。
手動プロビジョニング
ストレージクラスがない場合、CDI はイメージのサイズ要件に一致するプロジェクトの PVC を使用します。これらの要件に一致する PVC がない場合、CDI インポート Pod は適切な PVC が利用可能になるまで、またはタイムアウト機能が Pod を強制終了するまで Pending 状態になります。
2.24.3. スクラッチ領域を必要とする CDI 操作
タイプ | 理由 |
---|---|
レジストリーのインポート | CDI はイメージをスクラッチ領域にダウンロードし、イメージファイルを見つけるためにレイヤーを抽出する必要があります。その後、raw ディスクに変換するためにイメージファイルが QEMU-img に渡されます。 |
イメージのアップロード | QEMU-IMG は STDIN の入力を受け入れません。代わりに、アップロードするイメージは、変換のために QEMU-IMG に渡される前にスクラッチ領域に保存されます。 |
アーカイブされたイメージの HTTP インポート | QEMU-IMG は、CDI がサポートするアーカイブ形式の処理方法を認識しません。イメージが QEMU-IMG に渡される前にアーカイブは解除され、スクラッチ領域に保存されます。 |
認証されたイメージの HTTP インポート | QEMU-IMG が認証を適切に処理しません。イメージが QEMU-IMG に渡される前にスクラッチ領域に保存され、認証されます。 |
カスタム証明書の HTTP インポート | QEMU-IMG は HTTPS エンドポイントのカスタム証明書を適切に処理しません。代わりに CDI は、ファイルを QEMU-IMG に渡す前にイメージをスクラッチ領域にダウンロードします。 |
2.24.4. CDI 設定での StorageClass の定義
CDI 設定で StorageClass を定義し、CDI 操作のスクラッチ領域を動的にプロビジョニングします。
手順
oc
クライアントを使用してcdiconfig/config
を編集し、spec: scratchSpaceStorageClass
を追加または編集してクラスターの StorageClass に一致させます。$ oc edit cdiconfig/config
API Version: cdi.kubevirt.io/v1alpha1 kind: CDIConfig metadata: name: config ... spec: scratchSpaceStorageClass: "<storage_class>" ...
2.24.5. CDI がサポートする操作マトリックス
このマトリックスにはエンドポイントに対してコンテンツタイプのサポートされる CDI 操作が表示されます。これらの操作にはスクラッチ領域が必要です。
コンテンツタイプ | HTTP | HTTPS | HTTP Basic 認証 | レジストリー | アップロード |
---|---|---|---|---|---|
kubevirt (QCOW2) |
✓ QCOW2 |
✓ QCOW2** |
✓ QCOW2 |
✓ QCOW2* |
✓ QCOW2* |
KubeVirt (RAW) |
✓ RAW |
✓ RAW |
✓ RAW |
✓ RAW* |
✓ RAW* |
Archive+ | ✓ TAR | ✓ TAR | ✓ TAR | □ TAR | □ TAR |
✓ サポートされる操作
□ サポートされない操作
* スクラッチ領域が必要
**カスタム認証局が必要な場合にスクラッチ領域が必要
+ アーカイブはブロックモード DV をサポートしません。
追加リソース
- StorageClass およびこれらがクラスターで定義される方法についての詳細は、「Dynamic provisioning」セクションを参照してください。