1.2. Azure での MachineSet の作成
Microsoft Azure 上の OpenShift Container Platform クラスターで特定の目的を果たすように異なる MachineSet を作成することができます。たとえば、インフラストラクチャー MachineSet および関連マシンを作成して、サポートするワークロードを新しいマシンに移動できます。
1.2.1. マシン API の概要
マシン API は、アップストリームのクラスター API プロジェクトおよびカスタム OpenShift Container Platform リソースに基づく重要なリソースの組み合わせです。
OpenShift Container Platform 4.2 クラスターの場合、マシン API はクラスターインストールの終了後にすべてのノードホストのプロビジョニングの管理アクションを実行します。このシステムにより、OpenShift Container Platform 4.2 はパブリックまたはプライベートのクラウドインフラストラクチャーに加えて弾力性があり、動的なプロビジョニング方法を提供します。
以下の 2 つのリソースは重要なリソースになります。
- マシン
- ノードのホストを記述する基本的なユニットです。マシンには、複数の異なるクラウドプラットフォーム用に提供されるコンピュートノードのタイプを記述する providerSpec があります。たとえば、Amazon Web Services (AWS) 上のワーカーノードのマシンタイプは特定のマシンタイプおよび必要なメタデータを定義する場合があります。
- MachineSet
- マシンのグループです。MachineSet とマシンの関係は、ReplicaSet と Pod の関係と同様です。マシンを追加する必要がある場合や、マシンの数を縮小したりする必要がある場合、コンピューティングのニーズに応じて MachineSet の replicas フィールドを変更します。
以下のカスタムリソースは、クラスターに機能を追加します。
- MachineAutoscaler
- このリソースはマシンをクラウドで自動的にスケーリングします。ノードに対する最小および最大のスケーリングの境界を、指定される MachineSet に設定でき、MachineAutoscaler はノードの該当範囲を維持します。MachineAutoscaler オブジェクトは ClusterAutoscaler オブジェクトの設定後に有効になります。ClusterAutoscale および MachineAutoscaler リソースは、どちらも ClusterAutoscalerOperator によって利用可能にされます。
- ClusterAutoscaler
- このリソースはアップストリームの ClusterAutoscalerプロジェクトに基づいています。OpenShift Container Platform の実装では、これは MachineSet API を拡張することによってクラスター API に統合されます。コア、ノード、メモリー、および GPU などのリソースのクラスター全体でのスケーリング制限を設定できます。優先順位を設定することにより、重要度の低い Pod のために新規ノードがオンラインにならないようにクラスターで Pod の優先順位付けを実行できます。また、ScalingPolicy を設定してノードをスケールダウンせずにスケールアップできるようにすることもできます。
- MachineHealthCheck
このリソースはマシンの正常でない状態を検知し、マシンを削除し、サポートされているプラットフォームでは新規マシンを作成します。
注記バージョン 4.2 では、MachineHealthChecks はテクノロジープレビュー機能です。
OpenShift Container Platform バージョン 3.11 では、クラスターでマシンのプロビジョニングが管理されないためにマルチゾーンアーキテクチャーを容易に展開することができませんでした。しかし、OpenShift Container Platform バージョン 4.1 以降、このプロセスはより簡単になりました。それぞれの MachineSet のスコープが単一ゾーンに設定されるため、インストールプログラムはユーザーに代わって、アベイラビリティーゾーン全体に MachineSet を送信します。さらに、コンピューティングは動的に展開されるため、ゾーンに障害が発生した場合の、マシンのリバランスが必要な場合に使用するゾーンを常に確保できます。Autoscaler はクラスターの有効期間中にベストエフォートでバランシングを提供します。
1.2.2. Azure 上の MachineSet カスタムリソースのサンプル YAML
このサンプル YAML は、centralus
リージョンの 1
Microsoft Azure ゾーンで実行され、 node-role.kubernetes.io/<role>: ""
というラベルの付けられたノードを作成する MachineSet を定義します。
このサンプルでは、<infrastructureID>
はクラスターのプロビジョニング時に設定したクラスター ID に基づくインフラストラクチャー ID であり、<role>
は追加するノードラベルです。
apiVersion: machine.openshift.io/v1beta1 kind: MachineSet metadata: labels: machine.openshift.io/cluster-api-cluster: <infrastructureID> 1 machine.openshift.io/cluster-api-machine-role: <role> 2 machine.openshift.io/cluster-api-machine-type: <role> 3 name: <infrastructureID>-<role>-<region> 4 namespace: openshift-machine-api spec: replicas: 1 selector: matchLabels: machine.openshift.io/cluster-api-cluster: <infrastructureID> 5 machine.openshift.io/cluster-api-machineset: <infrastructureID>-<role>-<region> 6 template: metadata: creationTimestamp: null labels: machine.openshift.io/cluster-api-cluster: <infrastructureID> 7 machine.openshift.io/cluster-api-machine-role: <role> 8 machine.openshift.io/cluster-api-machine-type: <role> 9 machine.openshift.io/cluster-api-machineset: <infrastructureID>-<role>-<region> 10 spec: metadata: creationTimestamp: null labels: node-role.kubernetes.io/<role>: "" 11 providerSpec: value: apiVersion: azureproviderconfig.openshift.io/v1beta1 credentialsSecret: name: azure-cloud-credentials namespace: openshift-machine-api image: offer: "" publisher: "" resourceID: /resourceGroups/<infrastructureID>-rg/providers/Microsoft.Compute/images/<infrastructureID> sku: "" version: "" internalLoadBalancer: "" kind: AzureMachineProviderSpec location: centralus managedIdentity: <infrastructureID>-identity 12 metadata: creationTimestamp: null natRule: null networkResourceGroup: "" osDisk: diskSizeGB: 128 managedDisk: storageAccountType: Premium_LRS osType: Linux publicIP: false publicLoadBalancer: "" resourceGroup: <infrastructureID>-rg 13 sshPrivateKey: "" sshPublicKey: "" subnet: <infrastructureID>-<role>-subnet 14 15 userDataSecret: name: <role>-user-data 16 vmSize: Standard_D2s_v3 vnet: <infrastructureID>-vnet 17 zone: "1" 18
- 1 5 7 12 13 14 17
- クラスターのプロビジョニング時に設定したクラスター ID を基にするインフラストラクチャー ID を指定します。OpenShift CLI と
jq
パッケージがインストールされている場合は、以下のコマンドを実行してインフラストラクチャー ID を取得できます。$ oc get -o jsonpath='{.status.infrastructureName}{"\n"}' infrastructure cluster
- 2 3 8 9 11 15 16
- 追加するノードラベルを指定します。
- 4 6 10
- インフラストラクチャー ID、ノードラベル、およびリージョンを指定します。
- 18
- マシンを配置するリージョン内のゾーンを指定します。リージョンがゾーンをサポートすることを確認してください。
1.2.3. MachineSet の作成
インストールプログラムによって作成されるものに加え、独自の MachineSet を作成して、選択する特定のワークロードに対するマシンのコンピュートリソースを動的に管理することができます。
前提条件
- OpenShift Container Platform クラスターをデプロイします。
-
oc
として知られる OpenShift コマンドラインインターフェース (CLI) をダウンロードします。 -
cluster-admin
パーミッションを持つユーザーとして、oc
にログインします。
手順
説明されているように MachineSet カスタムリソースサンプルを含む新規 YAML ファイルを作成し、そのファイルに
<file_name>.yaml
という名前を付けます。<clusterID>
および<role>
パラメーターの値を設定していることを確認します。特定のフィールドに設定する値が不明な場合は、クラスターから既存の MachineSet を確認できます。
$ oc get machinesets -n openshift-machine-api NAME DESIRED CURRENT READY AVAILABLE AGE agl030519-vplxk-worker-us-east-1a 1 1 1 1 55m agl030519-vplxk-worker-us-east-1b 1 1 1 1 55m agl030519-vplxk-worker-us-east-1c 1 1 1 1 55m agl030519-vplxk-worker-us-east-1d 0 0 55m agl030519-vplxk-worker-us-east-1e 0 0 55m agl030519-vplxk-worker-us-east-1f 0 0 55m
特定の MachineSet の値を確認します。
$ oc get machineset <machineset_name> -n \ openshift-machine-api -o yaml .... template: metadata: labels: machine.openshift.io/cluster-api-cluster: agl030519-vplxk 1 machine.openshift.io/cluster-api-machine-role: worker 2 machine.openshift.io/cluster-api-machine-type: worker machine.openshift.io/cluster-api-machineset: agl030519-vplxk-worker-us-east-1a
新規
MachineSet
を作成します。$ oc create -f <file_name>.yaml
MachineSet の一覧を表示します。
$ oc get machineset -n openshift-machine-api NAME DESIRED CURRENT READY AVAILABLE AGE agl030519-vplxk-infra-us-east-1a 1 1 1 1 11m agl030519-vplxk-worker-us-east-1a 1 1 1 1 55m agl030519-vplxk-worker-us-east-1b 1 1 1 1 55m agl030519-vplxk-worker-us-east-1c 1 1 1 1 55m agl030519-vplxk-worker-us-east-1d 0 0 55m agl030519-vplxk-worker-us-east-1e 0 0 55m agl030519-vplxk-worker-us-east-1f 0 0 55m
新規の MachineSet が利用可能な場合、
DESIRED
およびCURRENT
の値は一致します。MachineSet が利用可能でない場合、数分待機してからコマンドを再度実行します。新規の MachineSet が利用可能になった後に、マシンおよびそれが参照するノードのステータスを確認します。
$ oc describe machine <name> -n openshift-machine-api
以下は例になります。
$ oc describe machine agl030519-vplxk-infra-us-east-1a -n openshift-machine-api status: addresses: - address: 10.0.133.18 type: InternalIP - address: "" type: ExternalDNS - address: ip-10-0-133-18.ec2.internal type: InternalDNS lastUpdated: "2019-05-03T10:38:17Z" nodeRef: kind: Node name: ip-10-0-133-18.ec2.internal uid: 71fb8d75-6d8f-11e9-9ff3-0e3f103c7cd8 providerStatus: apiVersion: awsproviderconfig.openshift.io/v1beta1 conditions: - lastProbeTime: "2019-05-03T10:34:31Z" lastTransitionTime: "2019-05-03T10:34:31Z" message: machine successfully created reason: MachineCreationSucceeded status: "True" type: MachineCreation instanceId: i-09ca0701454124294 instanceState: running kind: AWSMachineProviderStatus
新しいノードを表示し、新規ノードが指定したラベルを持っていることを確認します。
$ oc get node <node_name> --show-labels
コマンド出力を確認し、
node-role.kubernetes.io/<your_label>
がLABELS
一覧にあることを確認します。
MachineSet への変更は、MachineSet が所有する既存のマシンには適用されません。たとえば、既存の MachineSet へ編集または追加されたラベルは、既存のマシンおよび MachineSet に関連付けられたノードには伝播しません。
次のステップ
他のアベイラビリティーゾーンで MachineSet が必要な場合、このプロセスを繰り返して追加の MachineSet を作成します。