第1章 MachineSet の作成
1.1. AWS での MachineSet の作成
Amazon Web Services (AWS) で OpenShift Container Platform クラスターの特定の目的を果たすように異なる MachineSet を作成することができます。たとえば、インフラストラクチャー MachineSet および関連マシンを作成して、サポートするワークロードを新しいマシンに移動できます。
1.1.1. マシン API の概要
マシン API は、アップストリームのクラスター API プロジェクトおよびカスタム OpenShift Container Platform リソースに基づく重要なリソースの組み合わせです。
OpenShift Container Platform 4.2 クラスターの場合、マシン API はクラスターインストールの終了後にすべてのノードホストのプロビジョニングの管理アクションを実行します。このシステムにより、OpenShift Container Platform 4.2 はパブリックまたはプライベートのクラウドインフラストラクチャーに加えて弾力性があり、動的なプロビジョニング方法を提供します。
以下の 2 つのリソースは重要なリソースになります。
- マシン
- ノードのホストを記述する基本的なユニットです。マシンには、複数の異なるクラウドプラットフォーム用に提供されるコンピュートノードのタイプを記述する providerSpec があります。たとえば、Amazon Web Services (AWS) 上のワーカーノードのマシンタイプは特定のマシンタイプおよび必要なメタデータを定義する場合があります。
- MachineSet
- マシンのグループです。MachineSet とマシンの関係は、ReplicaSet と Pod の関係と同様です。マシンを追加する必要がある場合や、マシンの数を縮小したりする必要がある場合、コンピューティングのニーズに応じて MachineSet の replicas フィールドを変更します。
以下のカスタムリソースは、クラスターに機能を追加します。
- MachineAutoscaler
- このリソースはマシンをクラウドで自動的にスケーリングします。ノードに対する最小および最大のスケーリングの境界を、指定される MachineSet に設定でき、MachineAutoscaler はノードの該当範囲を維持します。MachineAutoscaler オブジェクトは ClusterAutoscaler オブジェクトの設定後に有効になります。ClusterAutoscale および MachineAutoscaler リソースは、どちらも ClusterAutoscalerOperator によって利用可能にされます。
- ClusterAutoscaler
- このリソースはアップストリームの ClusterAutoscalerプロジェクトに基づいています。OpenShift Container Platform の実装では、これは MachineSet API を拡張することによってクラスター API に統合されます。コア、ノード、メモリー、および GPU などのリソースのクラスター全体でのスケーリング制限を設定できます。優先順位を設定することにより、重要度の低い Pod のために新規ノードがオンラインにならないようにクラスターで Pod の優先順位付けを実行できます。また、ScalingPolicy を設定してノードをスケールダウンせずにスケールアップできるようにすることもできます。
- MachineHealthCheck
このリソースはマシンの正常でない状態を検知し、マシンを削除し、サポートされているプラットフォームでは新規マシンを作成します。
注記バージョン 4.2 では、MachineHealthChecks はテクノロジープレビュー機能です。
OpenShift Container Platform バージョン 3.11 では、クラスターでマシンのプロビジョニングが管理されないためにマルチゾーンアーキテクチャーを容易に展開することができませんでした。しかし、OpenShift Container Platform バージョン 4.1 以降、このプロセスはより簡単になりました。それぞれの MachineSet のスコープが単一ゾーンに設定されるため、インストールプログラムはユーザーに代わって、アベイラビリティーゾーン全体に MachineSet を送信します。さらに、コンピューティングは動的に展開されるため、ゾーンに障害が発生した場合の、マシンのリバランスが必要な場合に使用するゾーンを常に確保できます。Autoscaler はクラスターの有効期間中にベストエフォートでバランシングを提供します。
1.1.2. AWS 上の MachineSet カスタムリソースのサンプル YAML
このサンプル YAML は us-east-1a
Amazon Web Services (AWS) ゾーンで実行され、node-role.kubernetes.io/<role>:""
というラベルが付けられたノードを作成する MachineSet を定義します。
このサンプルでは、<infrastructureID>
はクラスターのプロビジョニング時に設定したクラスター ID に基づくインフラストラクチャー ID であり、<role>
は追加するノードラベルです。
apiVersion: machine.openshift.io/v1beta1 kind: MachineSet metadata: labels: machine.openshift.io/cluster-api-cluster: <infrastructureID> 1 name: <infrastructureID>-<role>-<zone> 2 namespace: openshift-machine-api spec: replicas: 1 selector: matchLabels: machine.openshift.io/cluster-api-cluster: <infrastructureID> 3 machine.openshift.io/cluster-api-machineset: <infrastructureID>-<role>-<zone> 4 template: metadata: labels: machine.openshift.io/cluster-api-cluster: <infrastructureID> 5 machine.openshift.io/cluster-api-machine-role: <role> 6 machine.openshift.io/cluster-api-machine-type: <role> 7 machine.openshift.io/cluster-api-machineset: <infrastructureID>-<role>-<zone> 8 spec: metadata: labels: node-role.kubernetes.io/<role>: "" 9 providerSpec: value: ami: id: ami-046fe691f52a953f9 10 apiVersion: awsproviderconfig.openshift.io/v1beta1 blockDevices: - ebs: iops: 0 volumeSize: 120 volumeType: gp2 credentialsSecret: name: aws-cloud-credentials deviceIndex: 0 iamInstanceProfile: id: <infrastructureID>-worker-profile 11 instanceType: m4.large kind: AWSMachineProviderConfig placement: availabilityZone: us-east-1a region: us-east-1 securityGroups: - filters: - name: tag:Name values: - <infrastructureID>-worker-sg 12 subnet: filters: - name: tag:Name values: - <infrastructureID>-private-us-east-1a 13 tags: - name: kubernetes.io/cluster/<infrastructureID> 14 value: owned userDataSecret: name: worker-user-data
- 1 3 5 11 12 13 14
- クラスターのプロビジョニング時に設定したクラスター ID を基にするインフラストラクチャー ID を指定します。OpenShift CLI と
jq
パッケージがインストールされている場合は、以下のコマンドを実行してインフラストラクチャー ID を取得できます。$ oc get -o jsonpath='{.status.infrastructureName}{"\n"}' infrastructure cluster
- 2 4 8
- インフラストラクチャー ID、ノードラベル、およびゾーンを指定します。
- 6 7 9
- 追加するノードラベルを指定します。
- 10
- OpenShift Container Platform ノードの AWS ゾーンに有効な Red Hat Enterprise Linux CoreOS (RHCOS) AMI を指定します。
1.1.3. MachineSet の作成
インストールプログラムによって作成されるものに加え、独自の MachineSet を作成して、選択する特定のワークロードに対するマシンのコンピュートリソースを動的に管理することができます。
前提条件
- OpenShift Container Platform クラスターをデプロイします。
-
oc
として知られる OpenShift コマンドラインインターフェース (CLI) をダウンロードします。 -
cluster-admin
パーミッションを持つユーザーとして、oc
にログインします。
手順
説明されているように MachineSet カスタムリソースサンプルを含む新規 YAML ファイルを作成し、そのファイルに
<file_name>.yaml
という名前を付けます。<clusterID>
および<role>
パラメーターの値を設定していることを確認します。特定のフィールドに設定する値が不明な場合は、クラスターから既存の MachineSet を確認できます。
$ oc get machinesets -n openshift-machine-api NAME DESIRED CURRENT READY AVAILABLE AGE agl030519-vplxk-worker-us-east-1a 1 1 1 1 55m agl030519-vplxk-worker-us-east-1b 1 1 1 1 55m agl030519-vplxk-worker-us-east-1c 1 1 1 1 55m agl030519-vplxk-worker-us-east-1d 0 0 55m agl030519-vplxk-worker-us-east-1e 0 0 55m agl030519-vplxk-worker-us-east-1f 0 0 55m
特定の MachineSet の値を確認します。
$ oc get machineset <machineset_name> -n \ openshift-machine-api -o yaml .... template: metadata: labels: machine.openshift.io/cluster-api-cluster: agl030519-vplxk 1 machine.openshift.io/cluster-api-machine-role: worker 2 machine.openshift.io/cluster-api-machine-type: worker machine.openshift.io/cluster-api-machineset: agl030519-vplxk-worker-us-east-1a
新規
MachineSet
を作成します。$ oc create -f <file_name>.yaml
MachineSet の一覧を表示します。
$ oc get machineset -n openshift-machine-api NAME DESIRED CURRENT READY AVAILABLE AGE agl030519-vplxk-infra-us-east-1a 1 1 1 1 11m agl030519-vplxk-worker-us-east-1a 1 1 1 1 55m agl030519-vplxk-worker-us-east-1b 1 1 1 1 55m agl030519-vplxk-worker-us-east-1c 1 1 1 1 55m agl030519-vplxk-worker-us-east-1d 0 0 55m agl030519-vplxk-worker-us-east-1e 0 0 55m agl030519-vplxk-worker-us-east-1f 0 0 55m
新規の MachineSet が利用可能な場合、
DESIRED
およびCURRENT
の値は一致します。MachineSet が利用可能でない場合、数分待機してからコマンドを再度実行します。新規の MachineSet が利用可能になった後に、マシンおよびそれが参照するノードのステータスを確認します。
$ oc describe machine <name> -n openshift-machine-api
以下は例になります。
$ oc describe machine agl030519-vplxk-infra-us-east-1a -n openshift-machine-api status: addresses: - address: 10.0.133.18 type: InternalIP - address: "" type: ExternalDNS - address: ip-10-0-133-18.ec2.internal type: InternalDNS lastUpdated: "2019-05-03T10:38:17Z" nodeRef: kind: Node name: ip-10-0-133-18.ec2.internal uid: 71fb8d75-6d8f-11e9-9ff3-0e3f103c7cd8 providerStatus: apiVersion: awsproviderconfig.openshift.io/v1beta1 conditions: - lastProbeTime: "2019-05-03T10:34:31Z" lastTransitionTime: "2019-05-03T10:34:31Z" message: machine successfully created reason: MachineCreationSucceeded status: "True" type: MachineCreation instanceId: i-09ca0701454124294 instanceState: running kind: AWSMachineProviderStatus
新しいノードを表示し、新規ノードが指定したラベルを持っていることを確認します。
$ oc get node <node_name> --show-labels
コマンド出力を確認し、
node-role.kubernetes.io/<your_label>
がLABELS
一覧にあることを確認します。
MachineSet への変更は、MachineSet が所有する既存のマシンには適用されません。たとえば、既存の MachineSet へ編集または追加されたラベルは、既存のマシンおよび MachineSet に関連付けられたノードには伝播しません。
次のステップ
他のアベイラビリティーゾーンで MachineSet が必要な場合、このプロセスを繰り返して追加の MachineSet を作成します。