3.10. カスタムスケジューラーの実行


デフォルトのスケジューラーと共に複数のカスタムスケジューラーを実行し、各 Pod に使用するスケジューラーを設定できます。

重要

これは OpenShift Container Platform でカスタムスケジューラーを使用することはサポートされていますが、Red Hat ではカスタムスケジューラーの機能を直接サポートしません。

デフォルトスケジューラーの設定方法の詳細は、デフォルトスケジューラーの設定による Pod 配置の制御 を参照してください。

特定のスケジューラーを使用して指定された Pod をスケジュールするには、Pod 仕様にスケジューラーの名前を指定します

3.10.1. カスタムスケジューラーのデプロイ

クラスターにカスタムスケジューラーを追加するには、デプロイメントにカスタムスケジューラーのイメージを追加します。

前提条件

  • cluster-admin ロールを持つユーザーとしてクラスターにアクセスできる。
  • スケジューラーバイナリーがある。

    注記

    スケジューラーバイナリーの作成方法に関する情報は、本書では扱っておりません。たとえば、Kubernetes ドキュメントの Configure Multiple Schedulers を参照してください。カスタムスケジューラーの実際の機能は、Red Hat ではサポートされない点に留意してください。

  • スケジューラーバイナリーを含むイメージを作成し、これをレジストリーにプッシュしている。

手順

  1. スケジューラー設定ファイルを保持する設定マップを含むファイルを作成します。

    scheduler-config-map.yaml

    apiVersion: v1
    kind: ConfigMap
    metadata:
      name: scheduler-config
      namespace: kube-system 1
    data:
      scheduler-config.yaml: | 2
        apiVersion: kubescheduler.config.k8s.io/v1beta2
        kind: KubeSchedulerConfiguration
        profiles:
          - schedulerName: custom-scheduler 3
        leaderElection:
          leaderElect: false

    1
    この手順では、kube-system namespace を使用しますが、お好みの namespace を使用することができます。
    2
    この手順の後半で Deployment リソースを定義するときに、--config 引数を使用して、このファイルをスケジューラーコマンドに渡します。
    3
    カスタムスケジューラーのスケジューラープロファイルを定義します。このスケジューラー名は、Pod 設定で schedulerName を定義する際に使用されます。
  2. 設定マップを作成します。

    $ oc create -f scheduler-config-map.yaml
  3. カスタムスケジューラーのデプロイメントリソースを含むファイルを作成します。

    custom-scheduler.yaml ファイルの例

    apiVersion: v1
    kind: ServiceAccount
    metadata:
      name: custom-scheduler
      namespace: kube-system 1
    ---
    apiVersion: rbac.authorization.k8s.io/v1
    kind: ClusterRoleBinding
    metadata:
      name: custom-scheduler-as-kube-scheduler
    subjects:
    - kind: ServiceAccount
      name: custom-scheduler
      namespace: kube-system 2
    roleRef:
      kind: ClusterRole
      name: system:kube-scheduler
      apiGroup: rbac.authorization.k8s.io
    ---
    apiVersion: rbac.authorization.k8s.io/v1
    kind: ClusterRoleBinding
    metadata:
      name: custom-scheduler-as-volume-scheduler
    subjects:
    - kind: ServiceAccount
      name: custom-scheduler
      namespace: kube-system 3
    roleRef:
      kind: ClusterRole
      name: system:volume-scheduler
      apiGroup: rbac.authorization.k8s.io
    ---
    apiVersion: apps/v1
    kind: Deployment
    metadata:
      labels:
        component: scheduler
        tier: control-plane
      name: custom-scheduler
      namespace: kube-system 4
    spec:
      selector:
        matchLabels:
          component: scheduler
          tier: control-plane
      replicas: 1
      template:
        metadata:
          labels:
            component: scheduler
            tier: control-plane
            version: second
        spec:
          serviceAccountName: custom-scheduler
          containers:
          - command:
            - /usr/local/bin/kube-scheduler
            - --config=/etc/config/scheduler-config.yaml 5
            image: "<namespace>/<image_name>:<tag>" 6
            livenessProbe:
              httpGet:
                path: /healthz
                port: 10259
                scheme: HTTPS
              initialDelaySeconds: 15
            name: kube-second-scheduler
            readinessProbe:
              httpGet:
                path: /healthz
                port: 10259
                scheme: HTTPS
            resources:
              requests:
                cpu: '0.1'
            securityContext:
              privileged: false
            volumeMounts:
            - name: config-volume
              mountPath: /etc/config
          hostNetwork: false
          hostPID: false
          volumes:
            - name: config-volume
              configMap:
                name: scheduler-config

    1 2 3 4
    この手順では、kube-system namespace を使用しますが、お好みの namespace を使用することができます。
    5
    カスタムスケジューラーのコマンドには、異なる引数が必要な場合があります。
    6
    カスタムスケジューラー用に作成したコンテナーイメージを指定します。
  4. クラスター内にデプロイメントリソースを作成します。

    $ oc create -f custom-scheduler.yaml

検証

  • スケジューラー Pod が実行されていることを確認します。

    $ oc get pods -n kube-system

    カスタムスケジューラー Pod は Running として一覧表示されます。

    NAME                                                       READY   STATUS    RESTARTS   AGE
    custom-scheduler-6cd7c4b8bc-854zb                          1/1     Running   0          2m

3.10.2. カスタムスケジューラーを使用した Pod のデプロイ

カスタムスケジューラーをクラスターにデプロイした後、デフォルトのスケジューラーではなくそのスケジューラーを使用するように Pod を設定できます。

注記

各スケジューラーには、クラスター内のリソースの個別のビューがあります。このため、各スケジューラーは独自のノードセットを動作する必要があります。

2 つ以上のスケジューラーが同じノードで動作する場合、それらは互いに介入し、利用可能なリソースよりも多くの Pod を同じノードにスケジュールする可能性があります。この場合、Pod はリソースが十分にないために拒否される可能性があります。

前提条件

  • cluster-admin ロールを持つユーザーとしてクラスターにアクセスできる。
  • カスタムスケジューラーがクラスターにデプロイされている。

手順

  1. クラスターがロールベースアクセス制御 (RBAC) を使用する場合は、カスタムスケジューラー名を system:kube-scheduler クラスターロールに追加します。

    1. system:kube-scheduler クラスターロールを編集します。

      $ oc edit clusterrole system:kube-scheduler
    2. カスタムスケジューラーの名前を、leases および endpoints リソースの resourceNames 一覧に追加します。

      apiVersion: rbac.authorization.k8s.io/v1
      kind: ClusterRole
      metadata:
        annotations:
          rbac.authorization.kubernetes.io/autoupdate: "true"
        creationTimestamp: "2021-07-07T10:19:14Z"
        labels:
          kubernetes.io/bootstrapping: rbac-defaults
        name: system:kube-scheduler
        resourceVersion: "125"
        uid: 53896c70-b332-420a-b2a4-f72c822313f2
      rules:
      ...
      - apiGroups:
        - coordination.k8s.io
        resources:
        - leases
        verbs:
        - create
      - apiGroups:
        - coordination.k8s.io
        resourceNames:
        - kube-scheduler
        - custom-scheduler 1
        resources:
        - leases
        verbs:
        - get
        - update
      - apiGroups:
        - ""
        resources:
        - endpoints
        verbs:
        - create
      - apiGroups:
        - ""
        resourceNames:
        - kube-scheduler
        - custom-scheduler 2
        resources:
        - endpoints
        verbs:
        - get
        - update
      ...
      1 2
      この例では、custom-scheduler をカスタムスケジューラー名として使用します。
  2. Pod 設定を作成し、schedulerName パラメーターでカスタムスケジューラーの名前を指定します。

    custom-scheduler-example.yaml ファイルの例

    apiVersion: v1
    kind: Pod
    metadata:
      name: custom-scheduler-example
      labels:
        name: custom-scheduler-example
    spec:
      schedulerName: custom-scheduler 1
      containers:
      - name: pod-with-second-annotation-container
        image: docker.io/ocpqe/hello-pod

    1
    使用するカスタムスケジューラーの名前です。この例では custom-scheduler になります。スケジューラー名が指定されていない場合、Pod はデフォルトのスケジューラーを使用して自動的にスケジュールされます。
  3. Pod を作成します。

    $ oc create -f custom-scheduler-example.yaml

検証

  1. 以下のコマンドを入力し、Pod が作成されたことを確認します。

    $ oc get pod custom-scheduler-example

    custom-scheduler-example Pod が出力に表示されます。

    NAME                       READY     STATUS    RESTARTS   AGE
    custom-scheduler-example   1/1       Running   0          4m
  2. 以下のコマンドを入力し、カスタムスケジューラーが Pod をスケジュールしたことを確認します。

    $ oc describe pod custom-scheduler-example

    以下の切り捨てられた出力に示されるように、スケジューラー custom-scheduler が一覧表示されます。

    Events:
      Type    Reason          Age        From                                               Message
      ----    ------          ----       ----                                               -------
      Normal  Scheduled       <unknown>  custom-scheduler                                   Successfully assigned default/custom-scheduler-example to <node_name>

3.10.3. 関連情報

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