11.5. Node.js 関数の開発
Node.js 関数プロジェクトを作成 したら、指定のテンプレートを変更して、関数にビジネスロジックを追加できます。これには、関数呼び出しと返されるヘッダーとステータスコードの設定が含まれます。
11.5.1. 前提条件
- 関数を開発する前に、OpenShift Serverless 機能の設定の手順を実行する必要があります。
11.5.2. Node.js 関数テンプレート構造
Knative (kn
) CLI を使用して Node.js 関数を作成すると、プロジェクトディレクトリーは典型的な Node.js プロジェクトのようになります。唯一の例外は、関数の設定に使用される追加の func.yaml
ファイルです。
http
および event
トリガー関数のテンプレート構造はいずれも同じです。
テンプレート構造
. ├── func.yaml 1 ├── index.js 2 ├── package.json 3 ├── README.md └── test 4 ├── integration.js └── unit.js
- 1
func.yaml
設定ファイルは、イメージ名とレジストリーを判断するために使用されます。- 2
- プロジェクトに関数を 1 つエクスポートする
index.js
ファイルを追加する必要があります。 - 3
- テンプレート
package.json
ファイルにある依存関係に限定されるわけではありません。他の Node.js プロジェクトと同様に、別の依存関係を追加できます。npm 依存関係の追加例
npm install --save opossum
デプロイメント用にプロジェクトをビルドすると、これらの依存関係は作成したランタイムコンテナーイメージに含まれます。
- 4
- 統合およびテストスクリプトは、関数テンプレートの一部として提供されます。
11.5.3. Node.js 関数の呼び出しについて
Knative (kn
) CLI を使用して関数プロジェクトを作成する場合に、CloudEvents に応答するプロジェクト、または単純な HTTP 要求に応答するプロジェクトを生成できます。Knative の CloudEvents は HTTP 経由で POST 要求として転送されるため、関数タイプはいずれも受信 HTTP イベントをリッスンして応答します。
Node.js 関数は、単純な HTTP 要求で呼び出すことができます。受信要求を受け取ると、関数は context
オブジェクトで最初のパラメーターとして呼び出されます。
11.5.3.1. Node.js コンテキストオブジェクト
関数は、context
オブジェクトを最初のパラメーターとして渡して呼び出されます。このオブジェクトは、受信 HTTP 要求情報へのアクセスを提供します。
コンテキストオブジェクトの例
function handle(context, data)
この情報には、HTTP リクエストメソッド、リクエストと共に送信されたクエリー文字列またはヘッダー、HTTP バージョン、およびリクエスト本文が含まれます。CloudEvent
の受信インスタンスが含まれる受信要求はコンテキストオブジェクトにアタッチし、context.cloudevent
を使用してアクセスできるようにします。
11.5.3.1.1. コンテキストオブジェクトメソッド
context
オブジェクトには、データの値を受け入れ、CloudEvent を返す cloudEventResponse()
メソッドが 1 つあります。
Knative システムでは、サービスとしてデプロイされた関数が CloudEvent を送信するイベントブローカーによって呼び出される場合に、ブローカーが応答を確認します。応答が CloudEvent の場合には、このイベントはブローカーにが処理します。
コンテキストオブジェクトメソッドの例
// Expects to receive a CloudEvent with customer data function handle(context, customer) { // process the customer const processed = handle(customer); return context.cloudEventResponse(customer) .source('/handle') .type('fn.process.customer') .response(); }
11.5.3.1.2. CloudEvent data
受信要求が CloudEvent の場合は、CloudEvent に関連付けられたデータがすべてイベントから抽出され、2 番目のパラメーターとして提供されます。たとえば、以下のように data プロパティーに JSON 文字列が含まれる CloudEvent が受信された場合に、以下のようになります。
{ "customerId": "0123456", "productId": "6543210" }
呼び出されると、関数に対して context
オブジェクト後に来る 2 番目のパラメーターは、JavaScript オブジェクトで、このオブジェクトには customerId
と productId
プロパティーが含まれます。
署名の例
function handle(context, data)
この例の data
パラメーターは、customerId
および productId
プロパティーが含まれる JavaScript オブジェクトです。
11.5.4. Node.js 関数の戻り値
この関数は有効な JavaScript タイプを返すことができます。がそれ以外は戻り値を持たせないようにすることもできます。関数に戻り値が指定されておらず、失敗を指定しないと、呼び出し元は 204 No Content
応答を受け取ります。
関数は、CloudEvent または Message
オブジェクトを返してイベントを Knative Eventing システムにプッシュすることもできます。この場合に、開発者は CloudEvent メッセージング仕様の理解や実装は必要ありません。返された値からのヘッダーおよびその他の関連情報は抽出され、応答で送信されます。
例
function handle(context, customer) { // process customer and return a new CloudEvent return new CloudEvent({ source: 'customer.processor', type: 'customer.processed' }) }
11.5.4.1. 返されるヘッダー
headers
プロパティーを return
オブジェクトに追加して応答ヘッダーを設定できます。これらのヘッダーは抽出され、呼び出し元に応答して送信されます。
応答ヘッダーの例
function handle(context, customer) { // process customer and return custom headers // the response will be '204 No content' return { headers: { customerid: customer.id } }; }
11.5.4.2. 返されるステータスコード
statusCode
プロパティーを return
オブジェクトに追加して、呼び出し元に返されるステータスコードを設定できます。
ステータスコード
function handle(context, customer) { // process customer if (customer.restricted) { return { statusCode: 451 } } }
ステータスコードは、関数で作成および出力されるエラーに対して設定することもできます。
エラーステータスコードの例
function handle(context, customer) { // process customer if (customer.restricted) { const err = new Error(‘Unavailable for legal reasons’); err.statusCode = 451; throw err; } }
11.5.5. Node.js 関数のテスト
Node.js 関数は、コンピューターに対してローカルでテストできます。kn func create
を使用して関数を作成する際に作成されるデフォルトプロジェクトには、簡単なユニットテストおよびインテグレーションテストが含まれる test フォルダーがあります。
前提条件
- OpenShift Serverless Operator および Knative Serving がクラスターにインストールされている。
-
Knative (
kn
) CLI をインストールしている。 -
kn func create
を使用して関数を作成している。
手順
- 関数の test フォルダーに移動します。
テストを実行します。
$ npm test