2.5. Vertical Pod Autoscaler を使用した Pod リソースレベルの自動調整
OpenShift Container Platform の Vertical Pod Autoscaler Operator (VPA) は、Pod 内のコンテナーの履歴および現在の CPU とメモリーリソースを自動的に確認し、把握する使用値に基づいてリソース制限および要求を更新できます。VPA は個別のカスタムリソース (CR) を使用して、プロジェクトの Deployment
、Deployment Config
、StatefulSet
、Job
、DaemonSet
、ReplicaSet
、または ReplicationController
などのワークロードオブジェクトに関連付けられたすべての Pod を更新します。
VPA は、Pod に最適な CPU およびメモリーの使用状況を理解するのに役立ち、Pod のライフサイクルを通じて Pod のリソースを自動的に維持します。
2.5.1. Vertical Pod Autoscaler Operator について
Vertical Pod Autoscaler Operator (VPA) は、API リソースおよびカスタムリソース (CR) として実装されます。CR は、プロジェクトのデーモンセット、レプリケーションコントローラーなどの特定のワークロードオブジェクトに関連付けられた Pod について Vertical Pod Autoscaler Operator が取るべき動作を判別します。
VPA は、それらの Pod 内のコンテナーの履歴および現在の CPU とメモリーの使用状況を自動的に計算し、このデータを使用して、最適化されたリソース制限および要求を判別し、これらの Pod が常時効率的に動作していることを確認することができます。たとえば、VPA は使用している量よりも多くのリソースを要求する Pod のリソースを減らし、十分なリソースを要求していない Pod のリソースを増やします。
VPA は、一度に 1 つずつ推奨値で調整されていない Pod を自動的に削除するため、アプリケーションはダウンタイムなしに継続して要求を提供できます。ワークロードオブジェクトは、元のリソース制限および要求で Pod を再デプロイします。VPA は変更用の受付 Webhook を使用して、Pod がノードに許可される前に最適化されたリソース制限および要求で Pod を更新します。VPA が Pod を削除する必要がない場合は、VPA リソース制限および要求を表示し、必要に応じて Pod を手動で更新できます。
デフォルトで、ワークロードオブジェクトは、VPA が Pod を自動的に削除できるようにするためにレプリカを 2 つ以上指定する必要があります。この最小値よりも少ないレプリカを指定するワークロードオブジェクトは削除されません。これらの Pod を手動で削除すると、ワークロードオブジェクトが Pod を再デプロイします。VPA は推奨内容に基づいて新規 Pod を更新します。この最小値は、Changing the VPA minimum value に示されるように VerticalPodAutoscalerController
オブジェクトを変更して変更できます。
たとえば、CPU の 50% を使用する Pod が 10% しか要求しない場合、VPA は Pod が要求よりも多くの CPU を消費すると判別してその Pod を削除します。レプリカセットなどのワークロードオブジェクトは Pod を再起動し、VPA は推奨リソースで新しい Pod を更新します。
開発者の場合、VPA を使用して、Pod を各 Pod に適したリソースを持つノードにスケジュールし、Pod の需要の多い期間でも稼働状態を維持することができます。
管理者は、VPA を使用してクラスターリソースをより適切に活用できます。たとえば、必要以上の CPU リソースを Pod が予約できないようにします。VPA は、ワークロードが実際に使用しているリソースをモニターし、他のワークロードで容量を使用できるようにリソース要件を調整します。VPA は、初期のコンテナー設定で指定される制限と要求の割合をそのまま維持します。
VPA の実行を停止するか、またはクラスターの特定の VPA CR を削除する場合、VPA によってすでに変更された Pod のリソース要求は変更されません。新規 Pod は、VPA による以前の推奨事項ではなく、ワークロードオブジェクトで定義されたリソースを取得します。
2.5.2. Vertical Pod Autoscaler Operator のインストール
OpenShift Container Platform Web コンソールを使って Vertical Pod Autoscaler Operator (VPA) をインストールすることができます。
手順
-
OpenShift Container Platform Web コンソールで、Operators
OperatorHub をクリックします。 - 利用可能な Operator の一覧から VerticalPodAutoscaler を選択し、Install をクリックします。
-
Install Operator ページで、Operator recommended namespace オプションが選択されていることを確認します。これにより、Operator が必須の
openshift-vertical-pod-autoscaler
namespace にインストールされます。この namespace は存在しない場合は、自動的に作成されます。 - Install をクリックします。
VPA Operator コンポーネントを一覧表示して、インストールを確認します。
-
Workloads
Pods に移動します。 -
ドロップダウンメニューから
openshift-vertical-pod-autoscaler
プロジェクトを選択し、4 つの Pod が実行されていることを確認します。 -
Workloads
Deploymentsに移動し、4 つの デプロイメントが実行されていることを確認します。
-
Workloads
オプション:以下のコマンドを使用して、OpenShift Container Platform CLI でインストールを確認します。
$ oc get all -n openshift-vertical-pod-autoscaler
出力には、4 つの Pod と 4 つのデプロイメントが表示されます。
出力例
NAME READY STATUS RESTARTS AGE pod/vertical-pod-autoscaler-operator-85b4569c47-2gmhc 1/1 Running 0 3m13s pod/vpa-admission-plugin-default-67644fc87f-xq7k9 1/1 Running 0 2m56s pod/vpa-recommender-default-7c54764b59-8gckt 1/1 Running 0 2m56s pod/vpa-updater-default-7f6cc87858-47vw9 1/1 Running 0 2m56s NAME TYPE CLUSTER-IP EXTERNAL-IP PORT(S) AGE service/vpa-webhook ClusterIP 172.30.53.206 <none> 443/TCP 2m56s NAME READY UP-TO-DATE AVAILABLE AGE deployment.apps/vertical-pod-autoscaler-operator 1/1 1 1 3m13s deployment.apps/vpa-admission-plugin-default 1/1 1 1 2m56s deployment.apps/vpa-recommender-default 1/1 1 1 2m56s deployment.apps/vpa-updater-default 1/1 1 1 2m56s NAME DESIRED CURRENT READY AGE replicaset.apps/vertical-pod-autoscaler-operator-85b4569c47 1 1 1 3m13s replicaset.apps/vpa-admission-plugin-default-67644fc87f 1 1 1 2m56s replicaset.apps/vpa-recommender-default-7c54764b59 1 1 1 2m56s replicaset.apps/vpa-updater-default-7f6cc87858 1 1 1 2m56s
2.5.3. Vertical Pod Autoscaler Operator の使用について
Vertical Pod Autoscaler Operator (VPA) を使用するには、クラスター内にワークロードオブジェクトの VPA カスタムリソース (CR) を作成します。VPA は、そのワークロードオブジェクトに関連付けられた Pod に最適な CPU およびメモリーリソースを確認し、適用します。VPA は、デプロイメント、ステートフルセット、ジョブ、デーモンセット、レプリカセット、またはレプリケーションコントローラーのワークロードオブジェクトと共に使用できます。VPA CR はモニターする必要のある Pod と同じプロジェクトになければなりません。
VPA CR を使用してワークロードオブジェクトを関連付け、VPA が動作するモードを指定します。
-
Auto
およびRecreate
モードは、Pod の有効期間中は VPA CPU およびメモリーの推奨事項を自動的に適用します。VPA は、推奨値で調整されていないプロジェクトの Pod を削除します。ワークロードオブジェクトによって再デプロイされる場合、VPA はその推奨内容で新規 Pod を更新します。 -
Initial
モードは、Pod の作成時にのみ VPA の推奨事項を自動的に適用します。 -
Off
モードは、推奨されるリソース制限および要求のみを提供するので、推奨事項を手動で適用することができます。off
モードは Pod を更新しません。
CR を使用して、VPA 評価および更新から特定のコンテナーをオプトアウトすることもできます。
たとえば、Pod には以下の制限および要求があります。
resources: limits: cpu: 1 memory: 500Mi requests: cpu: 500m memory: 100Mi
auto
に設定された VPA を作成すると、VPA はリソースの使用状況を確認して Pod を削除します。再デプロイ時に、Pod は新規のリソース制限および要求を使用します。
resources: limits: cpu: 50m memory: 1250Mi requests: cpu: 25m memory: 262144k
以下のコマンドを実行して、VPA の推奨事項を表示できます。
$ oc get vpa <vpa-name> --output yaml
数分後に、出力には、以下のような CPU およびメモリー要求の推奨内容が表示されます。
出力例
... status: ... recommendation: containerRecommendations: - containerName: frontend lowerBound: cpu: 25m memory: 262144k target: cpu: 25m memory: 262144k uncappedTarget: cpu: 25m memory: 262144k upperBound: cpu: 262m memory: "274357142" - containerName: backend lowerBound: cpu: 12m memory: 131072k target: cpu: 12m memory: 131072k uncappedTarget: cpu: 12m memory: 131072k upperBound: cpu: 476m memory: "498558823" ...
出力には、target
(推奨リソース)、lowerBound
(最小推奨リソース)、upperBound
(最大推奨リソース)、および uncappedTarget
(最新の推奨リソース) が表示されます。
VPA は lowerBound
および upperBound
の値を使用して、Pod の更新が必要であるかどうかを判別します。Pod のリソース要求が lowerBound
値を下回るか、upperBound
値を上回る場合は、VPA は終了し、target
値で Pod を再作成します。
2.5.3.1. VPA の最小値の変更
デフォルトで、ワークロードオブジェクトは、VPA が Pod を自動的に削除し、更新できるようにするためにレプリカを 2 つ以上指定する必要があります。そのため、2 つ未満を指定するワークロードオブジェクトの場合 VPA は自動的に機能しません。VPA は、Pod が VPA に対して外部にある一部のプロセスで再起動されると、これらのワークロードオブジェクトから新規 Pod を更新します。このクラスター全体の最小値の変更は、VerticalPodAutoscalerController
カスタムリソース (CR) の minReplicas
パラメーターを変更して実行できます。
たとえば、minReplicas
を 3
に設定する場合、VPA は 2 レプリカ以下のレプリカを指定するワークロードオブジェクトの Pod を削除せず、更新しません。
minReplicas
を 1
に設定する場合、VPA は 1 つのレプリカのみを指定するワークロードオブジェクトの Pod のみを削除できます。この設定は、VPA がリソースを調整するために Pod を削除するたびにワークロードがダウンタイムを許容できる場合のみ、単一のレプリカオブジェクトで使用する必要があります。1 つのレプリカオブジェクトで不要なダウンタイムを回避するには、podUpdatePolicy
を Initial
に設定して VPA CR を設定します。これにより、Pod は VPA の外部にある一部のプロセスで再起動される場合にのみ自動的に更新されます。または、Off
に設定される場合、アプリケーションの適切なタイミングで Pod を手動で更新できます。
VerticalPodAutoscalerController
オブジェクトの例
apiVersion: autoscaling.openshift.io/v1
kind: VerticalPodAutoscalerController
metadata:
creationTimestamp: "2021-04-21T19:29:49Z"
generation: 2
name: default
namespace: openshift-vertical-pod-autoscaler
resourceVersion: "142172"
uid: 180e17e9-03cc-427f-9955-3b4d7aeb2d59
spec:
minReplicas: 3 1
podMinCPUMillicores: 25
podMinMemoryMb: 250
recommendationOnly: false
safetyMarginFraction: 0.15
2.5.3.2. VPA の推奨事項の自動適用
VPA を使用して Pod を自動的に更新するには、updateMode
が Auto
または Recreate
に設定された特定のワークロードオブジェクトの VPA CR を作成します。
Pod がワークロードオブジェクト用に作成されると、VPA はコンテナーを継続的にモニターして、CPU およびメモリーのニーズを分析します。VPA は、CPU およびメモリーについての VPA の推奨値を満たさない Pod を削除します。再デプロイ時に、Pod は VPA の推奨値に基づいて新規のリソース制限および要求を使用し、アプリケーションに設定された Pod の Disruption Budget (停止状態の予算) を反映します。この推奨事項は、参照用に VPA CR の status
フィールドに追加されます。
デフォルトで、ワークロードオブジェクトは、VPA が Pod を自動的に削除できるようにするためにレプリカを 2 つ以上指定する必要があります。この最小値よりも少ないレプリカを指定するワークロードオブジェクトは削除されません。これらの Pod を手動で削除すると、ワークロードオブジェクトが Pod を再デプロイします。VPA は推奨内容に基づいて新規 Pod を更新します。この最小値は、Changing the VPA minimum value に示されるように VerticalPodAutoscalerController
オブジェクトを変更して変更できます。
Auto
モードの VPA CR の例
apiVersion: autoscaling.k8s.io/v1 kind: VerticalPodAutoscaler metadata: name: vpa-recommender spec: targetRef: apiVersion: "apps/v1" kind: Deployment 1 name: frontend 2 updatePolicy: updateMode: "Auto" 3
- 1
- この VPA CR が管理するワークロードオブジェクトのタイプ。
- 2
- この VPA CR が管理するワークロードオブジェクトの名前。
- 3
- モードを
Auto
またはRecreate
に設定します。-
Auto
:VPA は、Pod の作成時にリソース要求を割り当て、要求されるリソースが新規の推奨事項と大きく異なる場合に、それらを終了して既存の Pod を更新します。 -
Recreate
:VPA は、Pod の作成時にリソース要求を割り当て、要求されるリソースが新規の推奨事項と大きく異なる場合に、それらを終了して既存の Pod を更新します。このモードはほとんど使用されることはありません。リソース要求が変更される際に Pod が再起動されていることを確認する必要がある場合にのみ使用します。
-
VPA が推奨リソースを判別し、新規 Pod に推奨事項を割り当てる前に、プロジェクトに動作中の Pod がなければなりません。
2.5.3.3. Pod 作成時における VPA 推奨の自動適用
VPA を使用して、Pod が最初にデプロイされる場合にのみ推奨リソースを適用するには、updateMode
が Initial
に設定された特定のワークロードオブジェクトの VPA CR を作成します。
次に、VPA の推奨値を使用する必要のあるワークロードオブジェクトに関連付けられた Pod を手動で削除します。Initial
モードで、VPA は新しいリソースの推奨内容を確認する際に Pod を削除したり、更新したりしません。
Initial
モードの VPA CR の例
apiVersion: autoscaling.k8s.io/v1 kind: VerticalPodAutoscaler metadata: name: vpa-recommender spec: targetRef: apiVersion: "apps/v1" kind: Deployment 1 name: frontend 2 updatePolicy: updateMode: "Initial" 3
VPA が推奨リソースを判別し、新規 Pod に推奨事項を割り当てる前に、プロジェクトに動作中の Pod がなければなりません。
2.5.3.4. VPA の推奨事項の手動適用
CPU およびメモリーの推奨値を判別するためだけに VPA を使用するには、updateMode
を off
に設定した特定のワークロードオブジェクトの VPA CR を作成します。
Pod がワークロードオブジェクト用に作成されると、VPA はコンテナーの CPU およびメモリーのニーズを分析し、VPA CR の status
フィールドにそれらの推奨事項を記録します。VPA は、新しい推奨リソースを判別する際に Pod を更新しません。
Off
モードの VPA CR の例
apiVersion: autoscaling.k8s.io/v1 kind: VerticalPodAutoscaler metadata: name: vpa-recommender spec: targetRef: apiVersion: "apps/v1" kind: Deployment 1 name: frontend 2 updatePolicy: updateMode: "Off" 3
以下のコマンドを使用して、推奨事項を表示できます。
$ oc get vpa <vpa-name> --output yaml
この推奨事項により、ワークロードオブジェクトを編集して CPU およびメモリー要求を追加し、推奨リソースを使用して Pod を削除および再デプロイできます。
VPA が推奨リソースを判別する前に、プロジェクトに動作中の Pod がなければなりません。
2.5.3.5. VPA の推奨事項をすべてのコンテナーに適用しないようにする
ワークロードオブジェクトに複数のコンテナーがあり、VPA がすべてのコンテナーを評価および実行対象としないようにするには、特定のワークロードオブジェクトの VPA CR を作成し、resourcePolicy
を追加して特定のコンテナーをオプトアウトします。
VPA が推奨リソースで Pod を更新すると、resourcePolicy
が設定されたコンテナーは更新されず、VPA は Pod 内のそれらのコンテナーの推奨事項を提示しません。
apiVersion: autoscaling.k8s.io/v1 kind: VerticalPodAutoscaler metadata: name: vpa-recommender spec: targetRef: apiVersion: "apps/v1" kind: Deployment 1 name: frontend 2 updatePolicy: updateMode: "Auto" 3 resourcePolicy: 4 containerPolicies: - containerName: my-opt-sidecar mode: "Off"
たとえば、Pod には同じリソース要求および制限の 2 つのコンテナーがあります。
# ... spec: containers: - name: frontend resources: limits: cpu: 1 memory: 500Mi requests: cpu: 500m memory: 100Mi - name: backend resources: limits: cpu: "1" memory: 500Mi requests: cpu: 500m memory: 100Mi # ...
backend
コンテナーがオプトアウトに設定された VPA CR を起動した後、VPA は Pod を終了し、frontend
コンテナーのみに適用される推奨リソースで Pod を再作成します。
... spec: containers: name: frontend resources: limits: cpu: 50m memory: 1250Mi requests: cpu: 25m memory: 262144k ... name: backend resources: limits: cpu: "1" memory: 500Mi requests: cpu: 500m memory: 100Mi ...
2.5.4. Vertical Pod Autoscaler Operator の使用
VPA カスタムリソース (CR) を作成して、Vertical Pod Autoscaler Operator (VPA) を使用できます。CR は、分析すべき Pod を示し、VPA がそれらの Pod について実行するアクションを判別します。
手順
特定のワークロードオブジェクトの VPA CR を作成するには、以下を実行します。
スケーリングするワークロードオブジェクトがあるプロジェクトに切り替えます。
VPA CR YAML ファイルを作成します。
apiVersion: autoscaling.k8s.io/v1 kind: VerticalPodAutoscaler metadata: name: vpa-recommender spec: targetRef: apiVersion: "apps/v1" kind: Deployment 1 name: frontend 2 updatePolicy: updateMode: "Auto" 3 resourcePolicy: 4 containerPolicies: - containerName: my-opt-sidecar mode: "Off"
- 1
- この VPA が管理するワークロードオブジェクトのタイプ (
Deployment
、StatefulSet
、Job
、DaemonSet
、ReplicaSet
、またはReplicationController
) を指定します。 - 2
- この VPA が管理する既存のワークロードオブジェクトの名前を指定します。
- 3
- VPA モードを指定します。
-
auto
は、コントローラーに関連付けられた Pod に推奨リソースを自動的に適用します。VPA は既存の Pod を終了し、推奨されるリソース制限および要求で新規 Pod を作成します。 -
recreate
は、ワークロードオブジェクトに関連付けられた Pod に推奨リソースを自動的に適用します。VPA は既存の Pod を終了し、推奨されるリソース制限および要求で新規 Pod を作成します。recreate
モードはほとんど使用されることはありません。リソース要求が変更される際に Pod が再起動されていることを確認する必要がある場合にのみ使用します。 -
initial
は、ワークロードオブジェクトに関連付けられた Pod が作成される際に、推奨リソースを自動的に適用します。VPA は、新しい推奨リソースを確認する際に Pod を更新しません。 -
off
は、ワークロードオブジェクトに関連付けられた Pod の推奨リソースのみを生成します。VPA は、新しい推奨リソースを確認する際に Pod を更新しません。また、新規 Pod に推奨事項を適用しません。
-
- 4
- オプション:オプトアウトするコンテナーを指定し、モードを
Off
に設定します。
VPA CR を作成します。
$ oc create -f <file-name>.yaml
しばらくすると、VPA はワークロードオブジェクトに関連付けられた Pod 内のコンテナーのリソース使用状況を確認します。
以下のコマンドを実行して、VPA の推奨事項を表示できます。
$ oc get vpa <vpa-name> --output yaml
出力には、以下のような CPU およびメモリー要求の推奨事項が表示されます。
出力例
... status: ... recommendation: containerRecommendations: - containerName: frontend lowerBound: 1 cpu: 25m memory: 262144k target: 2 cpu: 25m memory: 262144k uncappedTarget: 3 cpu: 25m memory: 262144k upperBound: 4 cpu: 262m memory: "274357142" - containerName: backend lowerBound: cpu: 12m memory: 131072k target: cpu: 12m memory: 131072k uncappedTarget: cpu: 12m memory: 131072k upperBound: cpu: 476m memory: "498558823" ...
2.5.5. Vertical Pod Autoscaler Operator のアンインストール
Vertical Pod Autoscaler Operator (VPA) を OpenShift Container Platform クラスターから削除できます。アンインストール後、既存の VPA CR によってすでに変更された Pod のリソース要求は変更されません。新規 Pod は、Vertical Pod Autoscaler Operator による以前の推奨事項ではなく、ワークロードオブジェクトで定義されるリソースを取得します。
oc delete vpa <vpa-name>
コマンドを使用して、特定の VPA CR を削除できます。Vertical Pod Autoscaler のアンインストール時と同じアクションがリソース要求に対して適用されます。
VPA Operator を削除した後、潜在的な問題を回避するために、Operator に関連する他のコンポーネントを削除することをお勧めします。
前提条件
- Vertical Pod Autoscaler Operator がインストールされていること。
手順
-
OpenShift Container Platform Web コンソールで、Operators
Installed Operators をクリックします。 - openshift-vertical-pod-autoscaler プロジェクトに切り替えます。
- VerticalPodAutoscaler Operator の場合は、Options メニュー をクリックし、Uninstall Operator を選択します。
- ダイアログボックスで、Uninstall をクリックします。
- オプション: 演算子に関連付けられているすべてのオペランドを削除するには、ダイアログボックスで、Delete all operand instances for this operatorチェックボックスをオンにします。
- Uninstall をクリックします。
オプション: OpenShift CLI を使用して VPA コンポーネントを削除します。
VPA namespace を削除します。
$ oc delete namespace openshift-vertical-pod-autoscaler
VPA カスタムリソース定義 (CRD) オブジェクトを削除します。
$ oc delete crd verticalpodautoscalercheckpoints.autoscaling.k8s.io
$ oc delete crd verticalpodautoscalercontrollers.autoscaling.openshift.io
$ oc delete crd verticalpodautoscalers.autoscaling.k8s.io
CRD を削除すると、関連付けられたロール、クラスターロール、およびロールバインディングが削除されます。
注記この操作により、ユーザーが作成したすべての VPA CR がクラスターから削除されます。VPA を再インストールする場合は、これらのオブジェクトを再度作成する必要があります。
VPA Operator を削除します。
$ oc delete operator/vertical-pod-autoscaler.openshift-vertical-pod-autoscaler