5.2. Jenkins エージェント


OpenShift Container Platform は、Jenkins エージェントとして使用するための Base、Maven、および Node.js イメージを提供します。

Jenkins エージェントのベースイメージは次のことを行います。

  • 必須のツール (ヘッドレス Java、Jenkins JNLP クライアント) と有用なツール (gittarzipnss など) の両方を取り入れます。
  • JNLP エージェントをエントリーポイントとして確立します。
  • Jenkins ジョブ内からコマンドラインの操作を呼び出す oc クライアントツールが含まれます。
  • Red Hat Enterprise Linux (RHEL) および localdev イメージの両方の Dockerfile を提供します。

Maven v3.5、Node.js v10、および Node.js v12 イメージは、ベースイメージを拡張します。これらは、新しいエージェントイメージを構築するときに参照できる Universal Base Image (UBI) の Dockerfile を提供します。また、contrib および contrib/bin サブディレクトリーにも注意してください。これらのサブディレクトリーを使用すると、イメージの設定ファイルと実行可能スクリプトを挿入できます。

重要

OpenShift Container Platform リリースバージョンに適したバージョンのエージェントイメージを使用してください。OpenShift Container Platform バージョンと互換性のない oc クライアントバージョンを埋め込むと、予期しない動作が発生する可能性があります。

OpenShift Container Platform Jenkins イメージは、Jenkins Kubernetes プラグインでこれらのエージェントイメージを使用する方法を示すために次のサンプル Pod テンプレートも定義します。

  • OpenShift Container Platform Maven Jenkins エージェントイメージを使用する単一のコンテナーを使用する Maven Pod テンプレート。
  • nodejs Pod テンプレート。OpenShift Container PlatformNode.js Jenkins エージェントイメージを使用する単一のコンテナーを使用します。
  • 2 つのコンテナーを使用する java-builder Pod テンプレート。1 つは jnlp コンテナーで、OpenShift Container Platform Base エージェントイメージを使用し、Jenkins エージェントを開始および停止するための JNLP コントラクトを処理します。2 つ目は、java OpenShift Container Platform サンプル ImageStream を使用する java コンテナーです。これには、コードをビルドするために、Maven バイナリー mvn を含むさまざまな Java バイナリーが含まれています。
  • 2 つのコンテナーを使用する nodejs-builder Pod テンプレート。1 つは jnlp コンテナーで、OpenShift Container Platform Base エージェントイメージを使用し、Jenkins エージェントを開始および停止するための JNLP コントラクトを処理します。2 つ目は、nodejs OpenShift Container Platform サンプル ImageStream を使用する nodejs コンテナーです。これには、コードをビルドするために、npm バイナリーを含むさまざまな Node.js バイナリーが含まれています。

5.2.1. Jenkins エージェントイメージ

OpenShift Container Platform Jenkins エージェントイメージは Quay.io または registry.redhat.io で利用できます。

Jenkins イメージは、Red Hat レジストリーから入手できます。

$ docker pull registry.redhat.io/ocp-tools-4/jenkins-rhel8:<image_tag>
$ docker pull registry.redhat.io/ocp-tools-4/jenkins-agent-base-rhel8:<image_tag>

これらのイメージを使用するには、Quay.io または registry.redhat.io から直接アクセスするか、これらを OpenShift Container Platform コンテナーイメージレジストリーにプッシュします。

5.2.2. Jenkins エージェントの環境変数

各 Jenkins エージェントコンテナーは、以下の環境変数で設定できます。

変数定義値と設定の例

JAVA_MAX_HEAP_PARAMCONTAINER_HEAP_PERCENTJENKINS_MAX_HEAP_UPPER_BOUND_MB

これらの値は Jenkins JVM の最大ヒープサイズを制御します。JAVA_MAX_HEAP_PARAM が設定されている場合は、その値が優先されます。設定されていない場合は、最大ヒープサイズは、コンテナーメモリー制限の CONTAINER_HEAP_PERCENT として動的に計算され、オプションで JENKINS_MAX_HEAP_UPPER_BOUND_MB MiB を上限とします。

デフォルトでは Jenkins JVM の最大ヒープサイズは、上限なしでコンテナーメモリー制限の 50% に設定されます。

JAVA_MAX_HEAP_PARAM の設定例: -Xmx512m

CONTAINER_HEAP_PERCENT のデフォルト: 0.5 (50%)

JENKINS_MAX_HEAP_UPPER_BOUND_MB の設定例: 512 MiB

JAVA_INITIAL_HEAP_PARAMCONTAINER_INITIAL_PERCENT

これらの値は Jenkins JVM の初期ヒープサイズを制御します。JAVA_INITIAL_HEAP_PARAM が設定されている場合は、その値が優先されます。設定されていない場合は、初期ヒープサイズは、動的に計算される最大ヒープサイズの CONTAINER_INITIAL_PERCENT として動的に計算されます。

デフォルトでは、JVM は初期のヒープサイズを設定します。

JAVA_INITIAL_HEAP_PARAM の設定例: -Xmx32m

CONTAINER_INITIAL_PERCENT の設定例: 0.1 (10%)

CONTAINER_CORE_LIMIT

設定されている場合には、内部の JVM スレッドのサイジング数に使用するコアの数を整数で指定します。

設定例: 2

JAVA_TOOL_OPTIONS

このコンテナーで実行中のすべての JVM に適用するオプションを指定します。この値の上書きは推奨していません。

デフォルト: -XX:+UnlockExperimentalVMOptions -XX:+UseCGroupMemoryLimitForHeap -Dsun.zip.disableMemoryMapping=true

JAVA_GC_OPTS

Jenkins JVM ガーベッジコレクションのパラメーターを指定します。この値の上書きは推奨していません。

デフォルト: -XX:+UseParallelGC -XX:MinHeapFreeRatio=5 -XX:MaxHeapFreeRatio=10 -XX:GCTimeRatio=4 -XX:AdaptiveSizePolicyWeight=90

JENKINS_JAVA_OVERRIDES

Jenkins JVM の追加オプションを指定します。これらのオプションは、上記の Java オプションを含む、その他すべてのオプションに追加され、必要に応じてそれらのいずれかを上書きするために使用できます。追加オプションがある場合には、スペースで区切ります。オプションにスペース文字が含まれる場合には、バックスラッシュでエスケープしてください。

設定例: -Dfoo -Dbar; -Dfoo=first\ value -Dbar=second\ value

USE_JAVA_VERSION

コンテナーでエージェントを実行するために使用する Java バージョンのバージョンを指定します。コンテナーの基本イメージには、java-11java-1.8.0 の 2 つのバージョンの Java がインストールされています。コンテナーの基本イメージを拡張する場合は、関連付けられた接尾辞を使用して、Java の任意の代替バージョンを指定できます。

デフォルト値は java-11 です。

設定例: java-1.8.0

5.2.3. Jenkins エージェントのメモリー要件

JVM はすべての Jenkins エージェントで使用され、Jenkins JNLP エージェントをホストし、javac、Maven、または Gradle などの Java アプリケーションを実行します。

デフォルトで、Jenkins JNLP エージェントの JVM はヒープにコンテナーメモリー制限の 50% を使用します。この値は、CONTAINER_HEAP_PERCENT の環境変数で変更可能です。上限を指定することも、すべて上書きすることも可能です。

デフォルトでは、シェルスクリプトや oc コマンドをパイプラインから実行するなど、Jenkins エージェントコンテナーで実行される他のプロセスはすべて、OOM kill を呼び出さずに残りの 50% メモリー制限を超えるメモリーを使用することはできません。

デフォルトでは、Jenkins エージェントコンテナーで実行される他の各 JVM プロセスは、最大でコンテナーメモリー制限の 25% をヒープに使用します。多くのビルドワークロードにおいて、この制限の調整が必要になる場合があります。

5.2.4. Jenkins エージェントの Gradle ビルド

OpenShift Container Platform の Jenkins エージェントで Gradle ビルドをホストすると、Jenkins JNLP エージェントおよび Gradle JVM に加え、テストが指定されている場合に Gradle が 3 番目の JVM を起動してテストを実行するので、さらに複雑になります。

以下の設定は、OpenShift Container Platform でメモリーに制約がある Jenkins エージェントの Gradle ビルドを実行する場合の開始点として推奨されます。必要に応じて、これらの設定を変更することができます。

  • gradle.properties ファイルに org.gradle.daemon=false を追加して、有効期間の長い (long-lived) Gradle デーモンを無効にするようにします。
  • gradle.properties ファイルで org.gradle.parallel=true が設定されていないこと、また、コマンドラインの引数として --parallel が設定されていないことを確認して、並行ビルドの実行を無効にします。
  • java { options.fork = false }build.gradle ファイルに設定して、プロセス以外で Java がコンパイルされないようにします.
  • build.gradle ファイルで test { maxParallelForks = 1 } が設定されていることを確認して、複数の追加テストプロセスを無効にします。
  • GRADLE_OPTSJAVA_OPTS、または JAVA_TOOL_OPTIONS 環境変数で、Gradle JVM メモリーパラメーターを上書きします。
  • build.gradlemaxHeapSize および jvmArgs 設定を定義するか、-Dorg.gradle.jvmargs コマンドライン引数を使用して、Gradle テスト JVM に最大ヒープサイズと JVM の引数を設定します。

5.2.5. Jenkins エージェント Pod の保持

Jenkins エージェント Pod は、ビルドが完了するか、停止された後にデフォルトで削除されます。この動作は、Kubernetes プラグイン Pod の保持設定で変更できます。Pod の保持は、すべての Jenkins ビルドについて各 Pod テンプレートの上書きで設定できます。以下の動作がサポートされます。

  • Always は、ビルドの結果に関係なくビルド Pod を維持します。
  • Default はプラグイン値を使用します (Pod テンプレートのみ)。
  • Never は常に Pod を削除します。
  • On Failure は Pod がビルド時に失敗した場合に Pod を維持します。

Pod の保持はパイプライン Jenkinsfile で上書きできます。

podTemplate(label: "mypod",
  cloud: "openshift",
  inheritFrom: "maven",
  podRetention: onFailure(), 1
  containers: [
    ...
  ]) {
  node("mypod") {
    ...
  }
}
1
podRetention に許可される値は、never()onFailure()always()、および default() です。
警告

保持される Pod は実行し続け、リソースクォータに対してカウントされる可能性があります。

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