25.5. AWS での Ingress クラスタートラフィックの設定
OpenShift Container Platform は、クラスター内で実行されるサービスを使用してクラスター外からの通信を可能にする方法を提供します。この方法では、AWS のロードバランサー、具体的には Network Load Balancer (NLB) またはク Classic Load Balancer (CLB) を使用します。どちらのタイプのロードバランサーもクライアントの IP アドレスをノードに転送できますが、CLB にはプロキシープロトコルのサポートが必要です。これは OpenShift Container Platform によって自動的に有効になります。
これらのロードバランサーは、新規または既存の AWS クラスターで設定できます。
25.5.1. AWS での Classic Load Balancer タイムアウトの設定
OpenShift Container Platform は、特定のルートまたは Ingress Controller のカスタムタイムアウト期間を設定するためのメソッドを提供します。さらに、AWS Classic Load Balancer (CLB) には独自のタイムアウト期間があり、デフォルトは 60 秒です。
CLB のタイムアウト期間がルートタイムアウトまたは Ingress Controller タイムアウトよりも短い場合、ロードバランサーは接続を途中で終了する可能性があります。ルートと CLB の両方のタイムアウト期間を増やすことで、この問題を防ぐことができます。
25.5.1.1. ルートのタイムアウトの設定
Service Level Availability (SLA) で必要とされる、低タイムアウトが必要なサービスや、バックエンドでの処理速度が遅いケースで高タイムアウトが必要なサービスがある場合は、既存のルートに対してデフォルトのタイムアウトを設定することができます。
前提条件
- 実行中のクラスターでデプロイ済みの Ingress Controller が必要になります。
手順
oc annotate
コマンドを使用して、ルートにタイムアウトを追加します。$ oc annotate route <route_name> \ --overwrite haproxy.router.openshift.io/timeout=<timeout><time_unit> 1
- 1
- サポートされる時間単位は、マイクロ秒 (us)、ミリ秒 (ms)、秒 (s)、分 (m)、時間 (h)、または日 (d) です。
以下の例では、2 秒のタイムアウトを
myroute
という名前のルートに設定します。$ oc annotate route myroute --overwrite haproxy.router.openshift.io/timeout=2s
25.5.1.2. Classic Load Balancer タイムアウトの設定
Classic Load Balancer (CLB) のデフォルトのタイムアウトを設定して、アイドル接続を延長できます。
前提条件
- 実行中のクラスターにデプロイ済みの Ingress Controller がある。
手順
次のコマンドを実行して、デフォルト
ingresscontroller
の AWS 接続アイドルタイムアウトを 5 分に設定します。$ oc -n openshift-ingress-operator patch ingresscontroller/default \ --type=merge --patch='{"spec":{"endpointPublishingStrategy": \ {"type":"LoadBalancerService", "loadBalancer": \ {"scope":"External", "providerParameters":{"type":"AWS", "aws": \ {"type":"Classic", "classicLoadBalancer": \ {"connectionIdleTimeout":"5m"}}}}}}}'
オプション: 次のコマンドを実行して、タイムアウトのデフォルト値を復元します。
$ oc -n openshift-ingress-operator patch ingresscontroller/default \ --type=merge --patch='{"spec":{"endpointPublishingStrategy": \ {"loadBalancer":{"providerParameters":{"aws":{"classicLoadBalancer": \ {"connectionIdleTimeout":null}}}}}}}'
現在のスコープがすでに設定されている場合を除き、接続タイムアウト値を変更するには scope
フィールドを指定する必要があります。デフォルトのタイムアウト値に戻す場合は、scope
フィールドを設定する際に再度設定する必要はありません。
25.5.2. ネットワークロードバランサーを使用した AWS での ingress クラスタートラフィックの設定
OpenShift Container Platform は、クラスター内で実行されるサービスを使用してクラスター外からの通信を可能にする方法を提供します。そのような方法の 1 つでは、Network Load Balancer (NLB) を使用します。NLB を新規または既存の AWS クラスターに設定することができます。
25.5.2.1. Ingress Controller Classic Load Balancer の Network Load Balancer への置き換え
Classic Load Balancer (CLB) を使用している Ingress Controller は、AWS の Network Load Balancer (NLB) を使用している Ingress Controller に置き換えることができます。
この手順を実行すると、新しい DNS レコードの伝搬、新しいロードバランサーのプロビジョニングなどの要因により、数分間にわたる障害が発生することが予想されます。この手順を適用すると、Ingress Controller ロードバランサーの IP アドレスや正規名が変更になる場合があります。
手順
新しいデフォルトの Ingress Controller を含むファイルを作成します。以下の例では、デフォルトの Ingress Controller の範囲が
External
で、その他のカスタマイズをしていないことを想定しています。ingresscontroller.yml
ファイルの例apiVersion: operator.openshift.io/v1 kind: IngressController metadata: creationTimestamp: null name: default namespace: openshift-ingress-operator spec: endpointPublishingStrategy: loadBalancer: scope: External providerParameters: type: AWS aws: type: NLB type: LoadBalancerService
デフォルトの Ingress Controller が他にカスタマイズされている場合には、それに応じてファイルを修正してください。
Ingress Controller の YAML ファイルを強制的に置き換えます。
$ oc replace --force --wait -f ingresscontroller.yml
Ingress Controller の置き換えが完了するまでお待ちください。数分ほど、サービスが停止します。
25.5.2.2. 既存 AWS クラスターでの Ingress コントローラーネットワークロードバランサーの設定
AWS Network Load Balancer (NLB) がサポートする Ingress Controller を既存のクラスターに作成できます。
前提条件
- AWS クラスターがインストールされている。
インフラストラクチャーリソースの
PlatformStatus
は AWS である必要があります。PlatformStatus
が AWS であることを確認するには、以下を実行します。$ oc get infrastructure/cluster -o jsonpath='{.status.platformStatus.type}' AWS
手順
既存のクラスターの AWS NLB がサポートする Ingress Controller を作成します。
Ingress Controller のマニフェストを作成します。
$ cat ingresscontroller-aws-nlb.yaml
出力例
apiVersion: operator.openshift.io/v1 kind: IngressController metadata: name: $my_ingress_controller1 namespace: openshift-ingress-operator spec: domain: $my_unique_ingress_domain2 endpointPublishingStrategy: type: LoadBalancerService loadBalancer: scope: External3 providerParameters: type: AWS aws: type: NLB
クラスターにリソースを作成します。
$ oc create -f ingresscontroller-aws-nlb.yaml
新規 AWS クラスターで Ingress コントローラー NLB を設定する前に、インストール設定ファイルの作成 手順を実行する必要があります。
25.5.2.3. 新規 AWS クラスターでの Ingress Controller ネットワークロードバランサーの設定
新規クラスターに AWS Network Load Balancer (NLB) がサポートする Ingress Controller を作成できます。
前提条件
-
install-config.yaml
ファイルを作成し、これに対する変更を完了します。
手順
新規クラスターの AWS NLB がサポートする Ingress Controller を作成します。
インストールプログラムが含まれるディレクトリーに切り替え、マニフェストを作成します。
$ ./openshift-install create manifests --dir <installation_directory> 1
- 1
<installation_directory>
については、クラスターのinstall-config.yaml
ファイルが含まれるディレクトリーの名前を指定します。
cluster-ingress-default-ingresscontroller.yaml
という名前のファイルを<installation_directory>/manifests/
ディレクトリーに作成します。$ touch <installation_directory>/manifests/cluster-ingress-default-ingresscontroller.yaml 1
- 1
<installation_directory>
については、クラスターのmanifests/
ディレクトリーが含まれるディレクトリー名を指定します。
ファイルの作成後は、以下のようにいくつかのネットワーク設定ファイルが
manifests/
ディレクトリーに置かれます。$ ls <installation_directory>/manifests/cluster-ingress-default-ingresscontroller.yaml
出力例
cluster-ingress-default-ingresscontroller.yaml
エディターで
cluster-ingress-default-ingresscontroller.yaml
ファイルを開き、必要な Operator 設定を記述するカスタムリソース (CR) を入力します。apiVersion: operator.openshift.io/v1 kind: IngressController metadata: creationTimestamp: null name: default namespace: openshift-ingress-operator spec: endpointPublishingStrategy: loadBalancer: scope: External providerParameters: type: AWS aws: type: NLB type: LoadBalancerService
-
cluster-ingress-default-ingresscontroller.yaml
ファイルを保存し、テキストエディターを終了します。 -
オプション:
manifests/cluster-ingress-default-ingresscontroller.yaml
ファイルをバックアップします。インストールプログラムは、クラスターの作成時にmanifests/
ディレクトリーを削除します。
25.5.3. 関連情報
- Installing a cluster on AWS with network customizations。
- NLB のサポートの詳細は、Network Load Balancer support on AWS を参照してください。
- CLB のプロキシープロトコルサポートの詳細は、Configure proxy protocol support for your Classic Load Balancer を参照してください。