2.10. ビルドでの Red Hat サブスクリプションの使用


以下のセクションを使用して、OpenShift Container Platform でエンタイトルメントが適用されたビルドを実行します。

2.10.1. Red Hat Universal Base Image へのイメージストリームタグの作成

ビルド内で Red Hat サブスクリプションを使用するには、Universal Base Image (UBI) を参照するイメージストリームを作成します。

UBI をクラスター内の すべてのプロジェクトで 利用可能にするには、イメージストリームタグを openshift namespace に追加します。それ以外の場合は、これを 特定のプロジェクトで 利用可能にするには、イメージストリームタグをそのプロジェクトに追加します。

このようにイメージストリームタグを使用すると、他のユーザーにプルシークレットを公開せずに、インストールプルシークレットの registry.redhat.io 認証情報に基づいて UBI へのアクセスを付与することができます。これは、各開発者が各プロジェクトで registry.redhat.io 認証情報を使用してプルシークレットをインストールすることが必要になる場合よりも便利です。

手順

  • openshift namespace で ImageStreamTag を作成し、これを開発者に対してすべてのプロジェクトで利用可能にするには、以下を実行します。

    $ oc tag --source=docker registry.redhat.io/ubi8/ubi:latest ubi:latest -n openshift
    ヒント

    または、以下の YAML を適用して openshift namespace に ImageStreamTag を作成できます。

    apiVersion: image.openshift.io/v1
    kind: ImageStream
    metadata:
      name: ubi
      namespace: openshift
    spec:
      tags:
      - from:
          kind: DockerImage
          name: registry.redhat.io/ubi8/ubi:latest
        name: latest
        referencePolicy:
          type: Source
  • 単一プロジェクトで ImageStreamTag を作成するには、以下を実行します。

    $ oc tag --source=docker registry.redhat.io/ubi8/ubi:latest ubi:latest
    ヒント

    または、以下の YAML を適用して単一のプロジェクトに ImageStreamTag を作成できます。

    apiVersion: image.openshift.io/v1
    kind: ImageStream
    metadata:
      name: ubi
    spec:
      tags:
      - from:
          kind: DockerImage
          name: registry.redhat.io/ubi8/ubi:latest
        name: latest
        referencePolicy:
          type: Source

2.10.2. ビルドシークレットとしてのサブスクリプションエンタイトルメントの追加

Red Hat サブスクリプションを使用してコンテンツをインストールするビルドには、ビルドシークレットとしてエンタイトルメントキーを含める必要があります。

前提条件

サブスクリプションを使用して Red Hat エンタイトルメントにアクセスできる。エンタイトルメントシークレットは Insights Operator によって自動的に作成されます。

ヒント

Red Hat Enterprise Linux (RHEL) 7 を使用してエンタイトルメントビルドを実行する場合、yum コマンドを実行する前に、Dockerfile に次の手順を含める必要があります。

RUN rm /etc/rhsm-host

手順

  1. etc-pki-entitlement シークレットをビルド設定の Docker ストラテジーでビルドボリュームとして追加します。

    strategy:
      dockerStrategy:
        from:
          kind: ImageStreamTag
          name: ubi:latest
        volumes:
        - name: etc-pki-entitlement
          mounts:
          - destinationPath: /etc/pki/entitlement
          source:
            type: Secret
            secret:
              secretName: etc-pki-entitlement

2.10.3. Subscription Manager を使用したビルドの実行

2.10.3.1. Subscription Manager を使用した Docker ビルド

Docker ストラテジービルドは Subscription Manager を使用してサブスクリプションコンテンツをインストールできます。

前提条件

エンタイトルメントキーは、ビルドストラテジーのボリュームとして追加する必要があります。

手順

以下を Dockerfile の例として使用し、Subscription Manager でコンテンツをインストールします。

FROM registry.redhat.io/ubi8/ubi:latest
RUN dnf search kernel-devel --showduplicates && \
        dnf install -y kernel-devel

2.10.4. Red Hat Satellite サブスクリプションを使用したビルドの実行

2.10.4.1. Red Hat Satellite 設定のビルドへの追加

Red Hat Satellite を使用してコンテンツをインストールするビルドは、Satellite リポジトリーからコンテンツを取得するための適切な設定を提供する必要があります。

前提条件

  • Satellite インスタンスからコンテンツをダウンロードするために、yum 互換リポジトリー設定ファイルを提供するか、これを作成する必要があります。

    サンプルリポジトリーの設定

    [test-<name>]
    name=test-<number>
    baseurl = https://satellite.../content/dist/rhel/server/7/7Server/x86_64/os
    enabled=1
    gpgcheck=0
    sslverify=0
    sslclientkey = /etc/pki/entitlement/...-key.pem
    sslclientcert = /etc/pki/entitlement/....pem

手順

  1. Satellite リポジトリーの設定ファイルを含む ConfigMap を作成します。

    $ oc create configmap yum-repos-d --from-file /path/to/satellite.repo
  2. Satellite リポジトリー設定およびエンタイトルメントキーをビルドボリュームとして追加します。

    strategy:
      dockerStrategy:
        from:
          kind: ImageStreamTag
          name: ubi:latest
        volumes:
        - name: yum-repos-d
          mounts:
          - destinationPath: /etc/yum.repos.d
          source:
            type: ConfigMap
            configMap:
              name: yum-repos-d
        - name: etc-pki-entitlement
          mounts:
          - destinationPath: /etc/pki/entitlement
          source:
            type: Secret
            secret:
              secretName: etc-pki-entitlement

2.10.4.2. Red Hat Satellite サブスクリプションを使用した Docker ビルド

Docker ストラテジービルドは、Red Hat Satellite リポジトリーを使用してサブスクリプションコンテンツをインストールできます。

前提条件

  • エンタイトルメントキーと Satellite リポジトリー設定がビルドボリュームとして追加しておく。

手順

以下のサンプル Dockerfile を使用して、Satellite を使用してコンテンツをインストールします。

FROM registry.redhat.io/ubi8/ubi:latest
RUN dnf search kernel-devel --showduplicates && \
        dnf install -y kernel-devel

2.10.5. SharedSecret オブジェクトを使用したエンタイトルメントが適用されたビルドの実行

別の namespace のSecretオブジェクトからの RHEL エンタイトルメントを安全に使用する 1 つの namespace で、ビルドを設定および実行できます。

Buildオブジェクトと同じ namespace にサブスクリプションクレデンシャルを使用してSecretオブジェクトを作成することにより、OpenShift Builds から RHEL エンタイトルメントに引き続きアクセスできます。ただし、OpenShift Container Platform 4.10 以降では、OpenShift Container Platform システム namespace の 1 つにあ るSecret オブジェクトから、クレデンシャルと証明書にアクセスできるようになりました。Secret オブジェクトを参照する SharedSecret カスタムリソース (CR) インスタンスの CSI ボリュームマウントを使用して、エンタイトルメントのあるビルドを実行します。

この手順は、新しく導入された共有リソース CSI ドライバー機能に依存しています。この機能を使用して、OpenShift Container Platform Builds で CSI ボリュームマウントを宣言できます。これは、OpenShift Container Platform Insights Operator にも依存しています。

重要

共有リソース CSI ドライバーとビルド CSI ボリュームはどちらもテクノロジープレビュー機能であり、実稼働環境でのサービスレベルアグリーメント (SLA) ではサポートされていないため、機能的に完全ではない可能性があります。Red Hat は実稼働環境でこれらを使用することを推奨していません。テクノロジープレビュー機能は、最新の製品機能をいち早く提供して、開発段階で機能のテストを行いフィードバックを提供していただくことを目的としています。

Red Hat のテクノロジープレビュー機能のサポート範囲に関する詳細は、テクノロジープレビュー機能のサポート範囲 を参照してください。

共有リソース CSI ドライバーおよびビルド CSI ボリューム機能も、現在のテクノロジープレビュー機能のサブセットである TechPreviewNoUpgrade 機能セットに属しています。テストクラスターで TechPreviewNoUpgrade 機能セットを有効にできます。この場合、実稼働クラスターで機能を無効にしたまま、完全にテストできます。この機能セットを有効にすると元に戻すことができなくなり、マイナーバージョン更新ができなくなります。この機能セットは、実稼働クラスターでは推奨されません。以下の関連情報セクションの "Enabling Technology Preview features using feature gates" を参照してください。

前提条件

  • 機能ゲートを使用して、TechPreviewNoUpgrade 機能セットを有効にしている。
  • Insights Operator がサブスクリプションクレデンシャルを格納する Secret オブジェクトを参照する SharedSecret カスタムリソース (CR) インスタンスがある。
  • 次のアクションを実行するためのパーミッションがある。

    • ビルド設定を作成し、ビルドを開始します。
    • oc get sharedsecretsコマンドを入力し、空でないリストを取得して、使用可能なSharedSecret CR インスタンスを見つけます。
    • namespace で使用可能な builder サービスアカウントが、指定された SharedSecret CR インスタンスの使用を許可されているかどうかを確認します。つまり、oc adm policy who-can use <identifier of specific SharedSecret> を使用して、namespace のbuilderサービスアカウントが一覧表示されているかどうかを確認できます。
注記

このリストの最後の 2 つの前提条件のいずれも満たされない場合は、必要なロールベースアクセス制御 (RBAC) を自身で確立するか、誰かに依頼して確立します。これにより、SharedSecret CR インスタンスを検出し、サービスアカウントを有効にして SharedSecret CR インスタンスを使用できるようになります。

手順

  1. YAML コンテンツでoc applyを使用して、SharedSecret CR インスタンスを使用するための builder サービスアカウント RBAC 権限を付与します。

    注記

    現在、 kubectlocには、use 動詞を Pod セキュリティーを中心としたロールに制限する特別な場合のロジックがハードコーディングされています。したがって、oc create role …​ を使用して、SharedSecret CR インスタンスの使用に必要なロールを作成することはできません。

    YAML Role オブジェクト定義を使用した oc apply -f コマンドの例

    $ oc apply -f - <<EOF
    apiVersion: rbac.authorization.k8s.io/v1
    kind: Role
    metadata:
      name: shared-resource-my-share
      namespace: my-namespace
    rules:
      - apiGroups:
          - sharedresource.openshift.io
        resources:
          - sharedsecrets
        resourceNames:
          - my-share
        verbs:
          - use
    EOF

  2. oc コマンドを使用して、ロールに関連付けられた RoleBinding を作成します。

    oc create rolebinding コマンドの例

    $ oc create rolebinding shared-resource-my-share --role=shared-resource-my-share --serviceaccount=my-namespace:builder

  3. RHEL エンタイトルメントにアクセスする BuildConfig オブジェクトを作成します。

    YAML BuildConfig オブジェクト定義の例

    apiVersion: build.openshift.io/v1
    kind: BuildConfig
    metadata:
      name: my-csi-bc
      namespace: my-csi-app-namespace
    spec:
      runPolicy: Serial
      source:
        dockerfile: |
          FROM registry.redhat.io/ubi8/ubi:latest
          RUN ls -la /etc/pki/entitlement
          RUN rm /etc/rhsm-host
          RUN yum repolist --disablerepo=*
          RUN subscription-manager repos --enable rhocp-4.9-for-rhel-8-x86_64-rpms
          RUN yum -y update
          RUN yum install -y openshift-clients.x86_64
      strategy:
        type: Docker
        dockerStrategy:
          volumes:
            - mounts:
                - destinationPath: "/etc/pki/entitlement"
              name: my-csi-shared-secret
              source:
                csi:
                  driver: csi.sharedresource.openshift.io
                  readOnly: true
                  volumeAttributes:
                    sharedSecret: my-share-bc
                type: CSI

  4. BuildConfig オブジェクトからビルドを開始し、oc コマンドでログを追跡します。

    oc start-build コマンドの例

    $ oc start-build my-csi-bc -F

    例2.1 oc start-build コマンドからの出力例

    注記

    次の出力の一部のセクションは に置き換えられました。

    build.build.openshift.io/my-csi-bc-1 started
    Caching blobs under "/var/cache/blobs".
    
    Pulling image registry.redhat.io/ubi8/ubi:latest ...
    Trying to pull registry.redhat.io/ubi8/ubi:latest...
    Getting image source signatures
    Copying blob sha256:5dcbdc60ea6b60326f98e2b49d6ebcb7771df4b70c6297ddf2d7dede6692df6e
    Copying blob sha256:8671113e1c57d3106acaef2383f9bbfe1c45a26eacb03ec82786a494e15956c3
    Copying config sha256:b81e86a2cb9a001916dc4697d7ed4777a60f757f0b8dcc2c4d8df42f2f7edb3a
    Writing manifest to image destination
    Storing signatures
    Adding transient rw bind mount for /run/secrets/rhsm
    STEP 1/9: FROM registry.redhat.io/ubi8/ubi:latest
    STEP 2/9: RUN ls -la /etc/pki/entitlement
    total 360
    drwxrwxrwt. 2 root root 	80 Feb  3 20:28 .
    drwxr-xr-x. 10 root root	154 Jan 27 15:53 ..
    -rw-r--r--. 1 root root   3243 Feb  3 20:28 entitlement-key.pem
    -rw-r--r--. 1 root root 362540 Feb  3 20:28 entitlement.pem
    time="2022-02-03T20:28:32Z" level=warning msg="Adding metacopy option, configured globally"
    --> 1ef7c6d8c1a
    STEP 3/9: RUN rm /etc/rhsm-host
    time="2022-02-03T20:28:33Z" level=warning msg="Adding metacopy option, configured globally"
    --> b1c61f88b39
    STEP 4/9: RUN yum repolist --disablerepo=*
    Updating Subscription Management repositories.
    
    
    ...
    
    --> b067f1d63eb
    STEP 5/9: RUN subscription-manager repos --enable rhocp-4.9-for-rhel-8-x86_64-rpms
    Repository 'rhocp-4.9-for-rhel-8-x86_64-rpms' is enabled for this system.
    time="2022-02-03T20:28:40Z" level=warning msg="Adding metacopy option, configured globally"
    --> 03927607ebd
    STEP 6/9: RUN yum -y update
    Updating Subscription Management repositories.
    
    ...
    
    Upgraded:
      systemd-239-51.el8_5.3.x86_64      	systemd-libs-239-51.el8_5.3.x86_64
      systemd-pam-239-51.el8_5.3.x86_64
    Installed:
      diffutils-3.6-6.el8.x86_64           	libxkbcommon-0.9.1-1.el8.x86_64
      xkeyboard-config-2.28-1.el8.noarch
    
    Complete!
    time="2022-02-03T20:29:05Z" level=warning msg="Adding metacopy option, configured globally"
    --> db57e92ff63
    STEP 7/9: RUN yum install -y openshift-clients.x86_64
    Updating Subscription Management repositories.
    
    ...
    
    Installed:
      bash-completion-1:2.7-5.el8.noarch
      libpkgconf-1.4.2-1.el8.x86_64
      openshift-clients-4.9.0-202201211735.p0.g3f16530.assembly.stream.el8.x86_64
      pkgconf-1.4.2-1.el8.x86_64
      pkgconf-m4-1.4.2-1.el8.noarch
      pkgconf-pkg-config-1.4.2-1.el8.x86_64
    
    Complete!
    time="2022-02-03T20:29:19Z" level=warning msg="Adding metacopy option, configured globally"
    --> 609507b059e
    STEP 8/9: ENV "OPENSHIFT_BUILD_NAME"="my-csi-bc-1" "OPENSHIFT_BUILD_NAMESPACE"="my-csi-app-namespace"
    --> cab2da3efc4
    STEP 9/9: LABEL "io.openshift.build.name"="my-csi-bc-1" "io.openshift.build.namespace"="my-csi-app-namespace"
    COMMIT temp.builder.openshift.io/my-csi-app-namespace/my-csi-bc-1:edfe12ca
    --> 821b582320b
    Successfully tagged temp.builder.openshift.io/my-csi-app-namespace/my-csi-bc-1:edfe12ca
    821b582320b41f1d7bab4001395133f86fa9cc99cc0b2b64c5a53f2b6750db91
    Build complete, no image push requested

2.10.6. 関連情報

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