1.5. Red Hat OpenShift distributed tracing platform 2.8 のリリースノート
1.5.1. 分散トレースの概要
サービスの所有者は、分散トレースを使用してサービスをインストルメント化し、サービスアーキテクチャーに関する洞察を得ることができます。Red Hat OpenShift 分散トレーシングプラットフォームを使用すると、最新のクラウドネイティブのマイクロサービスベースのアプリケーションにおいてコンポーネント間の対話のモニタリング、ネットワークプロファイリング、トラブルシューティングが可能です。
分散トレースプラットフォームを使用すると、以下の機能を実行できます。
- 分散トランザクションの監視
- パフォーマンスとレイテンシーの最適化
- 根本原因分析の実行
分散トレースプラットフォームは、以下の 3 つのコンポーネントで設定されます。
- Red Hat OpenShift 分散トレーシングプラットフォーム (Jaeger)。これは、オープンソースの Jaeger プロジェクト に基づいています。
- Red Hat OpenShift 分散トレーシングプラットフォーム (Tempo)。オープンソースの Grafana Tempo プロジェクト に基づいています。
- Red Hat build of OpenTelemetry。オープンソースの OpenTelemetry プロジェクト に基づいています。
1.5.2. Red Hat OpenShift distributed tracing platform 2.8 のコンポーネントバージョン
Operator | コンポーネント | バージョン |
---|---|---|
Red Hat OpenShift distributed tracing platform (Jaeger) | Jaeger | 1.42 |
Red Hat build of OpenTelemetry | OpenTelemetry | 0.74.0 |
Red Hat OpenShift 分散トレーシングプラットフォーム (Tempo) | Tempo | 0.1.0 |
1.5.3. テクノロジープレビューの機能
このリリースでは、Red Hat OpenShift distributed tracing platform (Tempo) のサポートが、Red Hat OpenShift distributed tracing platform の テクノロジープレビュー 機能として導入されています。
Red Hat OpenShift distributed tracing platform (Tempo) は、テクノロジープレビュー機能です。テクノロジープレビュー機能は、Red Hat 製品サポートのサービスレベルアグリーメント (SLA) の対象外であり、機能的に完全ではない場合があります。Red Hat は、実稼働環境でこれらを使用することを推奨していません。テクノロジープレビュー機能は、最新の製品機能をいち早く提供して、開発段階で機能のテストを行いフィードバックを提供していただくことを目的としています。
Red Hat のテクノロジープレビュー機能のサポート範囲に関する詳細は、テクノロジープレビュー機能のサポート範囲 を参照してください。
この機能は、Red Hat OpenShift distributed tracing platform (Tempo) のバージョン 0.1.0 と、アップストリームの distributed tracing platform (Tempo) コンポーネントのバージョン 2.0.1 を使用します。
distributed tracing platform (Tempo) を使用して Jaeger を置き換え、ElasticSearch の代わりに S3 互換ストレージを使用できます。distributed tracing platform (Tempo) は Jaeger と同じ取り込みおよびクエリープロトコルをサポートし、同じユーザーインターフェイスを使用するため、Jaeger の代わりに distributed tracing platform (Tempo) を使用するほとんどのユーザーは機能の違いに気付きません。
このテクノロジープレビュー機能を有効にする場合は、現在の実装における以下の制限に注意してください。
- 現在、distributed tracing platform (Tempo) は非接続インストールをサポートしていません。(TRACING-3145)
- distributed tracing platform (Tempo) で Jaeger ユーザーインターフェイス (UI) を使用すると、Jaeger UI は過去 15 分以内にトレースを送信したサービスのみを一覧表示します。過去 15 分以内にトレースを送信していないサービスの場合、トレースは Jaeger UI に表示されませんが、保存はされます。(TRACING-3139)
Red Hat OpenShift distributed tracing platform の今後のリリースでは、Tempo Operator のサポートを拡張することが予定されています。追加される可能性のある機能には、TLS 認証、マルチテナンシー、複数クラスターのサポートが含まれます。Tempo Operator の詳細は、Tempo コミュニティーのドキュメント を参照してください。
1.5.4. バグ修正
このリリースでは、、CVE (Common Vulnerabilities and Exposures) およびバグ修正に対応しています。
1.5.5. サポート
本書で説明されている手順、または OpenShift Container Platform で問題が発生した場合は、Red Hat カスタマーポータル にアクセスしてください。カスタマーポータルでは、次のことができます。
- Red Hat 製品に関するアーティクルおよびソリューションを対象とした Red Hat ナレッジベースの検索またはブラウズ。
- Red Hat サポートに対するサポートケースの送信。
- その他の製品ドキュメントへのアクセス。
クラスターの問題を特定するには、OpenShift Cluster Manager Hybrid Cloud Console で Insights を使用できます。Insights により、問題の詳細と、利用可能な場合は問題の解決方法に関する情報が提供されます。
本書の改善への提案がある場合、またはエラーを見つけた場合は、最も関連性の高いドキュメントコンポーネントの Jira Issue を送信してください。セクション名や OpenShift Container Platform バージョンなどの具体的な情報を提供してください。
1.5.6. 多様性を受け入れるオープンソースの強化
Red Hat では、コード、ドキュメント、Web プロパティーにおける配慮に欠ける用語の置き換えに取り組んでいます。まずは、マスター (master)、スレーブ (slave)、ブラックリスト (blacklist)、ホワイトリスト (whitelist) の 4 つの用語の置き換えから始めます。この取り組みは膨大な作業を要するため、今後の複数のリリースで段階的に用語の置き換えを実施して参ります。詳細は、Red Hat CTO である Chris Wright のメッセージ をご覧ください。