21.6. SR-IOV InfiniBand ネットワーク割り当ての設定
クラスター内の Single Root I/O Virtualization (SR-IOV) デバイスの InfiniBand (IB) ネットワーク割り当てを設定できます。
21.6.1. InfiniBand デバイス設定オブジェクト
SriovIBNetwork
オブジェクトを定義することで、InfiniBand (IB) ネットワークデバイスを設定できます。
以下の YAML は、SriovIBNetwork
オブジェクトについて説明しています。
apiVersion: sriovnetwork.openshift.io/v1 kind: SriovIBNetwork metadata: name: <name> 1 namespace: openshift-sriov-network-operator 2 spec: resourceName: <sriov_resource_name> 3 networkNamespace: <target_namespace> 4 ipam: |- 5 {} linkState: <link_state> 6 capabilities: <capabilities> 7
- 1
- オブジェクトの名前。SR-IOV Network Operator は、同じ名前を持つ
NetworkAttachmentDefinition
オブジェクトを作成します。 - 2
- SR-IOV Operator がインストールされている namespace。
- 3
- この追加ネットワークの SR-IOV ハードウェアを定義する
SriovNetworkNodePolicy
オブジェクトのspec.resourceName
パラメーターの値。 - 4
SriovIBNetwork
オブジェクトのターゲット namespace。ターゲット namespace の Pod のみをネットワークデバイスに割り当てることができます。- 5
- オプション: YAML ブロックスケーラーとしての IPAM CNI プラグインの設定オブジェクト。プラグインは、割り当て定義についての IP アドレスの割り当てを管理します。
- 6
- オプション: Virtual Function (VF) のリンク状態。許可される値は、
enable
、disable
、およびauto
です。 - 7
- オプション: このネットワークに設定する機能。
"{ "ips": true }"
を指定して IP アドレスのサポートを有効にするか、"{ "infinibandGUID": true }"
を指定して IB Global Unique Identifier (GUID) サポートを有効にします。
21.6.1.1. 追加ネットワークの IP アドレス割り当ての設定
IPAM (IP アドレス管理) Container Network Interface (CNI) プラグインは、他の CNI プラグインの IP アドレスを提供します。
以下の IP アドレスの割り当てタイプを使用できます。
- 静的割り当て。
- DHCP サーバーを使用した動的割り当て。指定する DHCP サーバーは、追加のネットワークから到達可能である必要があります。
- Whereabouts IPAM CNI プラグインを使用した動的割り当て。
21.6.1.1.1. 静的 IP アドレス割り当ての設定
以下の表は、静的 IP アドレスの割り当ての設定について説明しています。
フィールド | 型 | 説明 |
---|---|---|
|
|
IPAM のアドレスタイプ。値 |
|
| 仮想インターフェイスに割り当てる IP アドレスを指定するオブジェクトの配列。IPv4 と IPv6 の IP アドレスの両方がサポートされます。 |
|
| Pod 内で設定するルートを指定するオブジェクトの配列です。 |
|
| オプション: DNS の設定を指定するオブジェクトの配列です。 |
addresses
の配列には、以下のフィールドのあるオブジェクトが必要です。
フィールド | 型 | 説明 |
---|---|---|
|
|
指定する IP アドレスおよびネットワーク接頭辞。たとえば、 |
|
| egress ネットワークトラフィックをルーティングするデフォルトのゲートウェイ。 |
フィールド | 型 | 説明 |
---|---|---|
|
|
CIDR 形式の IP アドレス範囲 ( |
|
| ネットワークトラフィックがルーティングされるゲートウェイ。 |
フィールド | 型 | 説明 |
---|---|---|
|
| DNS クエリーの送信先となる 1 つ以上の IP アドレスの配列。 |
|
|
ホスト名に追加するデフォルトのドメイン。たとえば、ドメインが |
|
|
DNS ルックアップのクエリー時に非修飾ホスト名に追加されるドメイン名の配列 (例: |
静的 IP アドレス割り当ての設定例
{ "ipam": { "type": "static", "addresses": [ { "address": "191.168.1.7/24" } ] } }
21.6.1.1.2. 動的 IP アドレス (DHCP) 割り当ての設定
以下の JSON は、DHCP を使用した動的 IP アドレスの割り当ての設定について説明しています。
Pod は、作成時に元の DHCP リースを取得します。リースは、クラスターで実行している最小限の DHCP サーバーデプロイメントで定期的に更新する必要があります。
DHCP サーバーのデプロイメントをトリガーするには、以下の例にあるように Cluster Network Operator 設定を編集して shim ネットワーク割り当てを作成する必要があります。
shim ネットワーク割り当ての定義例
apiVersion: operator.openshift.io/v1 kind: Network metadata: name: cluster spec: additionalNetworks: - name: dhcp-shim namespace: default type: Raw rawCNIConfig: |- { "name": "dhcp-shim", "cniVersion": "0.3.1", "type": "bridge", "ipam": { "type": "dhcp" } } # ...
フィールド | 型 | 説明 |
---|---|---|
|
|
IPAM のアドレスタイプ。値 |
動的 IP アドレス (DHCP) 割り当ての設定例
{ "ipam": { "type": "dhcp" } }
21.6.1.1.3. Whereabouts を使用した動的 IP アドレス割り当ての設定
Whereabouts CNI プラグインにより、DHCP サーバーを使用せずに IP アドレスを追加のネットワークに動的に割り当てることができます。
以下の表は、Whereabouts を使用した動的 IP アドレス割り当ての設定について説明しています。
フィールド | 型 | 説明 |
---|---|---|
|
|
IPAM のアドレスタイプ。値 |
|
| IP アドレスと範囲を CIDR 表記。IP アドレスは、この範囲内のアドレスから割り当てられます。 |
|
| オプション: CIDR 表記の IP アドレスと範囲 (0 個以上) のリスト。除外されたアドレス範囲内の IP アドレスは割り当てられません。 |
Whereabouts を使用する動的 IP アドレス割り当ての設定例
{ "ipam": { "type": "whereabouts", "range": "192.0.2.192/27", "exclude": [ "192.0.2.192/30", "192.0.2.196/32" ] } }
21.6.1.1.4. Whereabouts reconciler デーモンセットの作成
Whereabouts reconciler は、Whereabouts IP アドレス管理 (IPAM) ソリューションを使用して、クラスター内の Pod の動的 IP アドレス割り当てを管理します。これにより、各 Pod が指定された IP アドレス範囲から一意の IP アドレスを確実に取得します。また、Pod が削除またはスケールダウンされた場合の IP アドレスの解放も処理します。
NetworkAttachmentDefinition
カスタムリソースを使用して動的 IP アドレスを割り当てることもできます。
Whereabouts reconciler デーモンセットは、Cluster Network Operator を通じて追加のネットワークを設定するときに自動的に作成されます。YAML マニフェストから追加のネットワークを設定する場合、これは自動的には作成されません。
Whereabouts reconciler デーモンセットのデプロイメントをトリガーするには、Cluster Network Operator のカスタムリソースファイルを編集して、Whereabouts-shim
ネットワーク割り当てを手動で作成する必要があります。
Whereabouts reconciler デーモンセットをデプロイするには、次の手順を使用します。
手順
以下のコマンドを実行して、
Network.operator.openshift.io
カスタムリソース (CR) を編集します。$ oc edit network.operator.openshift.io cluster
CR の
AdditionalNetworks
パラメーターを変更して、whereabouts-shim
ネットワーク割り当て定義を追加します。以下に例を示します。apiVersion: operator.openshift.io/v1 kind: Network metadata: name: cluster spec: additionalNetworks: - name: whereabouts-shim namespace: default rawCNIConfig: |- { "name": "whereabouts-shim", "cniVersion": "0.3.1", "type": "bridge", "ipam": { "type": "whereabouts" } } type: Raw
- ファイルを保存し、テキストエディターを編集します。
次のコマンドを実行して、
whereabouts-reconciler
デーモンセットが正常にデプロイされたことを確認します。$ oc get all -n openshift-multus | grep whereabouts-reconciler
出力例
pod/whereabouts-reconciler-jnp6g 1/1 Running 0 6s pod/whereabouts-reconciler-k76gg 1/1 Running 0 6s pod/whereabouts-reconciler-k86t9 1/1 Running 0 6s pod/whereabouts-reconciler-p4sxw 1/1 Running 0 6s pod/whereabouts-reconciler-rvfdv 1/1 Running 0 6s pod/whereabouts-reconciler-svzw9 1/1 Running 0 6s daemonset.apps/whereabouts-reconciler 6 6 6 6 6 kubernetes.io/os=linux 6s
21.6.2. SR-IOV の追加ネットワークの設定
SriovIBNetwork
オブジェクトを作成して、SR-IOV ハードウェアを使用する追加のネットワークを設定できます。SriovIBNetwork
オブジェクトの作成時に、SR-IOV Operator は NetworkAttachmentDefinition
オブジェクトを自動的に作成します。
SriovIBNetwork
オブジェクトが、running
状態の Pod に割り当てられている場合、これを変更したり、削除したりしないでください。
前提条件
-
OpenShift CLI (
oc
) がインストールされている。 -
cluster-admin
権限を持つユーザーとしてログインしている。
手順
SriovIBNetwork
CR を作成してから、YAML を<name>.yaml
ファイルに保存します。<name>
は、この追加ネットワークの名前になります。オブジェクト仕様は以下の例のようになります。apiVersion: sriovnetwork.openshift.io/v1 kind: SriovIBNetwork metadata: name: attach1 namespace: openshift-sriov-network-operator spec: resourceName: net1 networkNamespace: project2 ipam: |- { "type": "host-local", "subnet": "10.56.217.0/24", "rangeStart": "10.56.217.171", "rangeEnd": "10.56.217.181", "gateway": "10.56.217.1" }
オブジェクトを作成するには、以下のコマンドを入力します。
$ oc create -f <name>.yaml
ここで、
<name>
は追加ネットワークの名前を指定します。オプション: 以下のコマンドを実行して、直前の手順で作成した
SriovIBNetwork
オブジェクトに関連付けられたNetworkAttachmentDefinition
オブジェクトが存在することを確認します。<namespace>
をSriovIBNetwork
オブジェクトで指定した networkNamespace に置き換えます。$ oc get net-attach-def -n <namespace>